宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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火星探査車“キュリオシティ”、目的地のシャープ山に到着!

2014年09月20日 | 火星の探査
火星探査を続けているNASAの無人探査車“キュリオシティ”が、
やっと目的地のシャープ山のふもとに到着しました。
シャープ山のふもと周辺の景色。

シャープ山は、
およそ5キロの高さがあり、
直径154キロのゲール・クレーターの中心にあります。

“キュリオシティ”は2012年8月に同クレーターに着陸して以来、
この山を目指して9キロ近く走り続けてきたんですねー
そしてここで、火星に生命が存在した可能性を示す痕跡を、見つける調査をおこなうことになります。

現在“キュリオシティ”がいるのは、
山麓の地層とクレーター底部の堆積層との境界領域です。

まず、ふもとの“Pahrump Hills”と呼ばれる幅約50メートルの露頭で、
(地層と岩石が露出している場所)
ドリルを使っての地表分析を行い、
その後は地層ごとに調査を行いながら山を登っていくことになります。

ただ“キュリオシティ”の6つある車輪のうち4つは、
昨年、火星のゴツゴツした岩石によって穴が開いてしまったんですねー

なので、今後のルートは当初の計画よりも若干直線的になるようです。
“キュリオシティ”の今後のルート(黄色)。

太陽系外初! 7光年彼方の星に水の氷の兆候を検出

2014年09月19日 | 宇宙 space
今年の4月に発見された7.2光年彼方の褐色矮星に、
水の氷でできた雲の兆候が検出されました。
低温の褐色矮星“W0855”(イメージ図)

水の兆候が見つかったのは、うみへび座の方向7.2光年彼方にある、
褐色矮星“WISE J085510.83-071442.5(以下W0855)”でした。

この褐色矮星は、
今年の4月にNASAの赤外線天文衛星“WISE”の観測から見つかったもので、
Jacqueline Fahertyさんらが、チリのラスカンパナス天文台で観測調査を行っていました。

褐色矮星とは、
あまりにも軽いため核融合ができず、
通常の恒星のように輝くことができない天体です。

その温度や質量は、
巨大ガス惑星程度のものから恒星に近いものまで、幅広く存在しているんですねー

“W0855”は、どちらかといえば惑星に近く、
質量は木星のおよそ3~10倍、表面温度は地球の北極程度とみられています。

今回の研究では、
近赤外線観測データを褐色矮星の大気モデルと照らし合わせた結果、
その上空に硫化物と水が凍った雲が存在する兆候が示されています。

木星や海王星など、太陽系内の多くの惑星で水の氷が見つかっています。
でも、太陽系外では初めての例になるんですねー

銀河系を含む新超銀河団“ラニアケア”

2014年09月18日 | 宇宙 space
銀河系付近の新しい宇宙地図が作られました。
この地図は、銀河系の位置と周辺の何万もの銀河との関係を示す地図で、
この関係づけにより、新たに“超銀河団”が定義されたんですねー

この銀河団は“ラニアケア”と名付けられ、
ハワイの言葉で「無限の天空」を意味するそうです。
銀河同士の間に働く重力を追跡して作成した新しい宇宙地図。
銀河(白い点)が巨大な超銀河団を構成し、その中に銀河系(黒い点)がある。
白い線は、新たに確定された超銀河団“ラニアケア”の重力中心に向かって、各銀河が動く道筋を示している。青は銀河の密度が低い領域、緑は中間、赤は高密度。


宇宙では、銀河は互いに集まって巨大な構造を作る傾向があります。

天文学者は、これを超銀河団と呼んでいて、
地球が属する銀河系は、直径5億光年で約10万の銀河を含む“ラニアケア”超銀河団の縁近く位置します。

この超銀河団も、宇宙のほんの一部にすぎず、
宇宙は観測可能な範囲だけでも、900億光年以上の広がりがあるようです。


銀河系周辺の地図が作られたのは、これが初めてではないのですが、
これまでの地図では、銀河系の属する超銀河団に重力によって結びついているかを特定できませんでした。

今回の研究では、
各銀河が宇宙空間で、どのように運動しているかを観測し、
“ラニアケア”の境界と、それに属する銀河とを特定しています。

観測される銀河の運動から、宇宙の膨張による運動の成分を引いたもの。
これを得意運動といいます。

この得意運動をもとに軌跡を描くことができ、
銀河がどのように動くかを示すこの軌跡から、
銀河を引き付けている重力の中心(アトラクター)の位置が分かります。

こうしたアトラクターが超銀河団の核を形成し、
そこに属する銀河の振る舞いを支配しています。
でも、核に引き付けられる得意運動を、突き止めるのは容易ではありません。

これは銀河ごとに得意運動を観測するのが非常に困難なためです。

なので今回は8000の銀河の特異運動を調べることで、
銀河系と周辺の銀河が、どのアトラクターに支配されているのかを、
突き止めることに成功したんですねー

そして、それをもとに“ラニアケア”超銀河団の範囲が確定されることに…

簡単に言うと、運動が“ラニアケア”のグレート・アトラクター(ケンタウルス座の方向にある)に支配されている銀河は、
“ラニアケア”超銀河団に属しているということになります。

超銀河団に含まれる銀河は、宇宙の糸に通されたビーズのように連り、
それぞれの糸がグレート・アトラクターへと繋がっていて、
銀河系は、これらの糸のうちの1本の端にあるということなんですねー

ただ、空間的に“ラニアケア”に属する銀河のすぐ横に位置する銀河でも、
別のアトラクターに引き付けられていれば、“ラニアケア”とは別の超銀河団に属することになります。

驚いたことに超銀河団は、さらに巨大な銀河集団である“シャープレー集団”に引っ張られている可能性もあるようですよ。
まぁー まだ十分な情報がなくて、“シャープレー集団”の概要は分かっていませんが…

21年ごしの検出… 超新星の正体を明かすかつてのパートナー

2014年09月17日 | 宇宙 space
1993年に出現した明るい超新星のそばに、理論上予測されていた伴星が見つかりました。
この発見は、IIb型と呼ばれる珍しい超新星の爆発メカニズムを解き明かす、
初めての決定的証拠になるようです。
おおぐま座の銀河M81と、超新星1993J(右下)

爆発前の天体の伴星が見つかったのは、
おおぐま座の銀河M81に出現した超新星の跡。

この発見は、
ハッブル宇宙望遠鏡の紫外線観測と、地上の望遠鏡の可視光データを合成したところ、
予測されていた伴星の連続スペクトルと一致することから分かりました。

1993年3月に出現した超新星“1993J”は、
10等という明るさや、1100万光年距離の近さも記録的なものだったのですが、
超新星の性質そのものも、IIb型超新星というタイプに分類される、とてもまれなものでした。

超新星には、爆発後に観測される光の分析や明るさの変化などから、
いくつかのタイプに分類されます。

こうした違いは、
爆発前の天体の性質や、爆発後に至るプロセスにより生まれると考えられています。

IIb型超新星は、
元の天体が単独星の場合に見られるものと、
パートナーがある場合に見られるものとで、
両方の性質を持つのですが、
水素が少ないことが特長の1つになります。
超新星爆発で広がる残骸の中心に、
残された伴星がかすかに輝いている。
(イメージ図)

このことから、
「爆発前の天体が伴星によって、外層の水素を大量に奪い取られている」
というモデルが提唱されてきたんですねー

このモデルを裏付ける検証として、
超新星1993Jの伴星の捜索が行われてきたのですが、
超新星の残光に比べると伴星はひじょうに暗くて、これまで確実な証拠を見つけることができなかったんですねー



超新星残骸の近くに見つかったマグネター

2014年09月16日 | 宇宙 space
ヨロッパ宇宙機関のX線天文衛星“XXMMニュートン”がとらえた、超新星残骸の画像。

この画像の中に、ひじょうに強力な磁場を持つ中性子星“マグネター”が発見され、
さらに、この画像の中には2つの中性子星が写っていたんですねー

超新星残骸“ケスチーベン79”(上)と
マグネター“3XMM J185246.6+003317”(下)
画像の中で大きな部分を占めている泡状構造は、
“ケスチーベン79”と呼ばれる超新星残骸で、
わし座の方向約2万3000万光年彼方に位置しています。

“ケスチーベン79”の年齢は、
超新星残骸中の高温ガスの特徴と天体の大きさから計算すると5000~7000歳。

超新星爆発が起こったのは約3万年前と考えられていて、その爆発で弱い磁場を持つ中性子星(ケスチーベン79の中央の青い点)が残されたようです。



その下には青い斑点状に見える天体が、
マグネターに分類される天体“3XMM J185246.6+003317”で、
ひじょうに強力な磁場を持つ中性子星なんですねー

超新星残骸中の中性子星は比較的若いのですが、
マグネターの年齢は百万歳ほどとみられています。

なので、その年齢差から“ケスチーベン79”を形成した爆発から、
マグネターが形成された可能性はないことが分かることに…

“3XMM J185246.6+003317”は、
2008年と2009年に取得された画像を調べて2013年に発見された後、
同じ領域をとらえた2008年以前の画像を調べたところ、
マグネターの形跡は、まったく見られませんでした。

なので、マグネターが放出した爆発的なX線は、
「磁場構造における劇的な変化によるもの」ではないかと考えられているんですねー