親しくしている寿司やの板前さん。
なんとなく伯父に似ているため、親近感もあるのだが、ぶっきらぼうでべらんめえ口調、最初は怒られているのかと思ったくらい。
だがしかし、群馬の標高1900メートルを超える山中に生れたという60歳の彼は、非常に人情家である。
冬になると雪が3メートルも積もる山里の小学校は、今年の春170年もの歴史に幕を閉じた。
最後の学年は児童3人だった。
山を3つ越えて一時間、スキーで小学校へ通った話、
薪ストーブの当番はみんなより一時間早く登校して火を焚いた話、
木造建築の出身小学校が数年前に統廃合でなくなってしまった私にとっても、
なんだか懐かしくなる話ばかりである。
「俺たちの2つ前の学年から卒業写真があるんだよ、それを全部載せた卒業生写真集が作られてな。買ったよ!もちろん!」
彼は、東京で板前として働き始め、いつからか毎年
「学校の子どもたちに本を買ってあげて下さい」
と匿名で寄付を続けていた。
ある時、「毎年送って下さるのは、あなたではないですか」
と校長先生から電話がかかってくる。封書の消印と卒業生の住所名簿から見当をつけて。
彼は「違いますよ、私じゃないですよ」
「どうして名乗らなかったんですか?」と私
「別に名乗るほどのことじゃないし!いいんだよ、贈り主が誰だって」
…この台詞がまた、江戸っ子口調で端切れがいいんだなあ
俺がやったと言いたい人は多いけど、聴かれてなお名乗り出ず
匿名のまま善行ができる人はそう多くない。
昔気質な人の美徳というか、
なかなか今は薄れてきた感覚(田舎ではけっこうあるかもしれないが)に触れたような気がして
今日はちょっぴり得した気分だった。
なんとなく伯父に似ているため、親近感もあるのだが、ぶっきらぼうでべらんめえ口調、最初は怒られているのかと思ったくらい。
だがしかし、群馬の標高1900メートルを超える山中に生れたという60歳の彼は、非常に人情家である。
冬になると雪が3メートルも積もる山里の小学校は、今年の春170年もの歴史に幕を閉じた。
最後の学年は児童3人だった。
山を3つ越えて一時間、スキーで小学校へ通った話、
薪ストーブの当番はみんなより一時間早く登校して火を焚いた話、
木造建築の出身小学校が数年前に統廃合でなくなってしまった私にとっても、
なんだか懐かしくなる話ばかりである。
「俺たちの2つ前の学年から卒業写真があるんだよ、それを全部載せた卒業生写真集が作られてな。買ったよ!もちろん!」
彼は、東京で板前として働き始め、いつからか毎年
「学校の子どもたちに本を買ってあげて下さい」
と匿名で寄付を続けていた。
ある時、「毎年送って下さるのは、あなたではないですか」
と校長先生から電話がかかってくる。封書の消印と卒業生の住所名簿から見当をつけて。
彼は「違いますよ、私じゃないですよ」
「どうして名乗らなかったんですか?」と私
「別に名乗るほどのことじゃないし!いいんだよ、贈り主が誰だって」
…この台詞がまた、江戸っ子口調で端切れがいいんだなあ
俺がやったと言いたい人は多いけど、聴かれてなお名乗り出ず
匿名のまま善行ができる人はそう多くない。
昔気質な人の美徳というか、
なかなか今は薄れてきた感覚(田舎ではけっこうあるかもしれないが)に触れたような気がして
今日はちょっぴり得した気分だった。