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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

中尾山・茶臼山トレッキング2013 (妻女山里山通信)

2013-10-15 | アウトドア・ネイチャーフォト
 10月13日に、中尾山-茶臼山トレッキングのインストラクターをしました。数日前まで30度の日があったとは思えない程、涼しい朝を迎え、雲ひとつない絶好のハイキング日和となりました。そのためか、当日参加の方々も多く、百数十名(ハイキングではちょっと多すぎか)と過去最高の人数となりました。年配の参加者が多かったので、先頭を行く私はいつもの1/2倍速で登ったのですが、それでも少し速すぎたようで、時々立ち止まって待つこともありました。暑い日が続いたために、紅葉はまだまだでしたが、途中、ダンコウバイやネジキ、ハウチワカエデ、ホウノキなどの樹の説明をしながらゆっくりと登りました。ガマズミの赤い実で作る果実酒の話も。

 中尾山は白土の美しい崖が見られます。裾花凝灰岩は石英が含まれるため、登山道の砂は日が当たるとキラキラ光ります。一昨年は、キノコ狩りも楽しめたのですが、今回は台風18号の後ほとんど降雨がなかったので、まったくなかったのが残念でした。茶臼山に多いモミジイチゴの説明もしました。木イチゴの中では最も美味しいもので、生食もいいのですが、ジャムや果実酒にもなります。

 急な登りは、一本松まで。そこからはほぼ平坦な尾根道歩き。茶臼山の山頂の手前でアルプス展望台に立ち寄ります。稜線に雲はかかっていましたが、仁科三山、白馬三山が奇麗でした。右手には神話の山、虫倉山。初めて参加の人が多かったので、ここからの展望は感激したようです。10月半ばというのに風景は青々して真夏の様ですが、月末にかけて一気に紅葉が進むでしょう。

 今回の最高地点、730mの茶臼山山頂は、展望がないのでさっさと通過。下って茶臼山自然植物園の中を下りて行きます。ここも中腹のアスレチック広場までは人が来るのですが、その上へはほとんど行く人がいません。長い山藤の棚の下を歩きながら、花の季節は凄く奇麗なのでおすすめですと説明しました。展望台で、ちょっと早過ぎるということで時間調整。ここからは東側の笠ヶ岳や横手山、根子岳や四阿山が善光寺平の向こうに奇麗に見えました。

 そして昼食と交流会。地元の主婦の皆さんが作ってくれた美味しいキノコ汁で昼食。その後、私とSさんで講演をしました。今回は江戸時代後期に描かれた武田信玄茶臼山布陣の絵図を持って来て、茶臼山の名前の由来や山城の説明をしました。Sさんは、崩れ易い茶臼山の地質などについて興味深い話をされました。その後はいつもの様に歌の会。終了後は、真っ赤や黄色に実ったリンゴ畑の中を歩いて、出発点へ戻りました。
 茶臼山は、いわゆる西山と呼ばれ、東山に属する妻女山とは地質や気候が違うため、植生も異なり、両方を交互に訪れると非常に面白いのです。もっと地元の人にも、山ガールなど若い人にも登って欲しい山です。


■茶臼山=茶臼岳、茶摩山、茶磨山などとも書かれ、全国に200以上あるもっとも多い山名だそうです。茶臼とは甜茶を抹茶に挽く石臼です。抹茶が日本に入ってきたのは鎌倉時代。茶道が武将の間に広まったのは戦国時代にかけてといいますから、茶臼山という名称も室町時代以降といえるのではないでしょうか。戦国当時、名だたる武将は陣を張るとまず幕内に茶臼をしつらえ、抹茶を立てて一服するのが習わしだったそうです。抹茶を飲む事は、精神を落ち着けるとともに、相手を粉々に粉砕するという意味も含まれていました。
 その茶臼を使わない時に布をかぶせると富士山のような形になります。その形に似ている山ということで、全国各地に茶臼山という山があるのですが、大阪の茶臼山(大阪夏の陣で真田幸村が布陣)のように武将が好んで布陣した山でもあります。武将にとって縁起のいい山名だったのでしょう。そのため、茶臼山には山城が築かれたところも多くあります。また、それより遥か昔には古墳だったところもあります。円墳や前方後円墳の後円部は茶臼の形をしています。そう考えると、武田信玄が茶臼山に布陣したというのも、江戸時代の作り話でしょうが、そう荒唐無稽な話ではないかもしれません。



●今回の講演で使った「川中島合戦陣取りの図

■【茶臼山】紅葉の美しい錦秋の茶臼山へ。キノコも。10月末のトレッキング

■【中尾山-茶臼山】ガマズミやアオダモの白い花や新緑が美しい、5月の茶臼山

■【中尾山-茶臼山】ショウジョウバカマやスミレなど、春の花が咲き乱れる4月の茶臼山

【信州の里山】キノコの汚染と除染について
 腐生菌と菌根菌(腐生の約10倍汚染)除染方法等。


◉この中尾山や茶臼山も掲載の拙書『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真と分かりやすいと評判のコース地図とガイド。初心者からベテランまで38山、74コースを収録。信濃毎日新聞の記事と書評に次いで新潮社『SINRA』の本のコーナーでも高い評価を頂きました 。2015年7月10日初版


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