今年は異常な天候続きで昆虫たちにとっては過酷な夏だった様です、8月19日が、今年のオオムラサキを見た最後の日になりました。しかも、通常ならば遅く発生したメスが最後に残るのに、これはオスでした。今年はオオムラサキの発生が非常に少なかったのが気がかりです。スミナガシは2年続けて見られませんでした。ゼフィルスは、ほぼ絶滅状態です。蝶の研究家のTさんの言うように、千曲市によるネイニコチノイド系農薬の空中散布の影響でなければいいのですが・・。もしそうであれば、これは大変なことです。日本中のミツバチやハナアブが絶滅すれば、作物は受粉できず、農業は滅びます。農業が滅びるということは、日本が滅びるということです。
たった1頭残ったオオムラサキのオス。手前では、コクワのオスが吸汁するメスを抱きかかえて守っています。真ん中は、発酵し、白く結晶化した樹液をむさぼるジバチ(地蜂)。信州ではヘボといって、この蜂の子を珍重します。大きな巣は1万円以上します。信州人が長寿なのは、昆虫食をするからだとも言われています。昆虫食をすれば、世界に食糧危機はないという説もあります。まあ。信州は高山に囲まれて原発がないというのもあるでしょう。原発からは事故がなくても、放射性物質が漏れていますから。
この夏は、昆虫の大量発生期に樹液があまり出ず、虫達がほとんど消えてから大量に出るという過酷な夏でした。餓死した昆虫も少なくなかったでしょう。
最後はトックリバチの仲間のスズバチ(鈴蜂)。ドロバチ科で、ドロで固めた巣を作ります。十数個に区切られた部屋には、蛾の幼虫が麻酔を打たれて詰められ、卵が一個ずつ産み付けられます。孵化した幼虫は、蛾の幼虫を食べて成長するのです。
ハナアブですね。残念ながら未だ同定できません。宿題です。でもほとんど見られなくなったハナアブがいたことにホッとしました。多孔菌科のキノコにキマワリが。森の掃除屋さんの一種です。だれも気にも留めませんけどね。ヒグラシでしょうか。遺骸にトゲアリが群がっていました。アリも森の掃除屋さんなんです。このアリは社会寄生という実に珍しい生態を持っています。秋が近づいたので、ミンミンゼミやツクツクボウシの鳴き声が増えました。
ミズヒキ(水引)の小花が咲き始めると小さな秋を感じます。茶道で使う茶花のひとつです。上から見ると紅く、下から見ると白い目出度い花。センニンソウ(仙人草)も咲き始めました。これが咲き誇ると、そこいらじゅうがブライダルブーケという感じになります。毒草ですが、扁桃腺の民間薬としても知られています。野草の中では、一二を争ういい香りがします。小さい秋見つけた。
キツリフネ(黄釣船)ホウセンカと同じように触れると種をはじき飛ばして増えます。和名の黄釣船とは、ぶら下がる花を釣船(吊り舟)、あるいは花器の釣船にみたてたものです。英名は、Touch-me-not Balsam。ツリフネソウは、学名をImpatiens noli-tangereといいます。Impatiensは、「耐えきれない」の意で、noli-tangereは、「私に触れるな」ということ。触れると種が勢いよく弾けるホウセンカの仲間ならではの名前です。
コミスジが葉の上で休息中。樹液バーには、ジバチに混じって蛾のベニシタバが。近寄ってくる羽虫を追い払うために翅を広げる度に、紅い色がチラチラ見えます。地味な羽織の裏地に鮮やかな浮世絵という様な感じでしょうか。粋ですね。最後は、ヒメウラナミジャノメ。可愛らしい蝶なのですが、アップにすると顔がヒゲだらけでおっさん臭い蝶なんです。
萩も咲き始めました。これはヤマハギ(山萩)。例年なら吸蜜するゼフィルスがたくさん見られるのですが、今年は1頭もいません。いくらなんでもこれは異常事態です。
粘菌(変形菌)のキフシススホコリに殻の直径が3ミリぐらいの小さなカタツムリが食餌に訪れていました。意外と知られていないのですが、テントウムシの幼虫は、粘菌を食べに来ます。最後はコマメホコリかマメホコリの変形体に小さな甲虫が食餌に来ています。甲虫が噛ると、中からピンク色の原形質がこぼれてきます。粘菌も栄養があるわけで、小さな虫達の重要な栄養源となっているわけです。
茶臼山へも行ってみました。アルプス展望台からの眺め。北アルプスは雲の中でしたが、山布施の山村と、青々とした棚田が美しく光っていました。中央の空中に飛ぶのはオニヤンマです。
クサギ(臭木)の花が咲き始めました。臭い木と書きますが、白粉(おしろい)のような匂いです、枝を折るとピーナッツバターの様な匂いがします。アキノギンリョウソウ(秋の銀竜草)がたくさん咲いていました。別名を銀竜草擬とか幽霊茸とかいいます。腐生植物で、葉緑素が全くないため白い色をしています。
最後は、別名を死の天使という1本で約8人分の致死量があるという猛毒のドクツルタケ。柄にささくれがないと、やはり猛毒のシロタマゴテングタケ。激しい下痢、嘔吐、腹痛の後に、内蔵が破壊され死に至るという猛毒のキノコですが、里山でも普通に見られます。これをポットントイレに数本砕いて入れておくと、ひと夏ハエが発生しません。しかも生分解するので環境を汚しません。ネオニコチノイド系の殺虫剤は、神経毒で人体にも有毒です。
帰りに有旅茶臼山の駐車場から南方を見た風景。右端はこの春登った上田市の大林山。左に有明山。間の谷は千曲市から坂城町、上田市と続きます。晴れていれば、この間登った蓼科山が見えるのですが、この日は雲の中でした。広島では集中豪雨で大勢の方が亡くなりました。罹災された方々に心よりお悔やみを申し上げます。信州でもそうですが、あそこは絶対に住んじゃいかんと古老が言う所に新興住宅地はできるんです。その結果が広島激甚災害と言ってもいいでしょう。住宅メーカーや不動産屋は絶対に教えてくれません。古い小字名にその災いの歴史が残っていることがあります。窪とか水とか沼とかつく地名は要注意です。地質も調べるべきですね。人任せではいけません。この秋冬と、更なる異常気象や天変地異が襲うのではと案じています。最大の脅威はもちろん原発ですが・・・。
★Youtubeスライドショー(BGMは、GarageBandで作曲したオリジナルです)
■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 1of3【オオムラサキ】
◆この度、「信州 山の日」制定に伴い、「信州 山の達人」の募集がありましたが、私がそのひとりに選ばれました。妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)の活動や、ブログ「モリモリキッズ」や当サイトでの情報発信活動が、「独自性」「継続性」「有効性」「発信力」の観点から優れていると認められ、選考されたということです。今後も、里山保全活動や、里山インタープリター、ネイチャーフォトなどに力を入れていくつもりです。
妻女山SDPの活動記録は、■MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryのインデックスの妻女山SDPか当ブログ「モリモリキッズ」をご覧ください。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
たった1頭残ったオオムラサキのオス。手前では、コクワのオスが吸汁するメスを抱きかかえて守っています。真ん中は、発酵し、白く結晶化した樹液をむさぼるジバチ(地蜂)。信州ではヘボといって、この蜂の子を珍重します。大きな巣は1万円以上します。信州人が長寿なのは、昆虫食をするからだとも言われています。昆虫食をすれば、世界に食糧危機はないという説もあります。まあ。信州は高山に囲まれて原発がないというのもあるでしょう。原発からは事故がなくても、放射性物質が漏れていますから。
この夏は、昆虫の大量発生期に樹液があまり出ず、虫達がほとんど消えてから大量に出るという過酷な夏でした。餓死した昆虫も少なくなかったでしょう。
最後はトックリバチの仲間のスズバチ(鈴蜂)。ドロバチ科で、ドロで固めた巣を作ります。十数個に区切られた部屋には、蛾の幼虫が麻酔を打たれて詰められ、卵が一個ずつ産み付けられます。孵化した幼虫は、蛾の幼虫を食べて成長するのです。
ハナアブですね。残念ながら未だ同定できません。宿題です。でもほとんど見られなくなったハナアブがいたことにホッとしました。多孔菌科のキノコにキマワリが。森の掃除屋さんの一種です。だれも気にも留めませんけどね。ヒグラシでしょうか。遺骸にトゲアリが群がっていました。アリも森の掃除屋さんなんです。このアリは社会寄生という実に珍しい生態を持っています。秋が近づいたので、ミンミンゼミやツクツクボウシの鳴き声が増えました。
ミズヒキ(水引)の小花が咲き始めると小さな秋を感じます。茶道で使う茶花のひとつです。上から見ると紅く、下から見ると白い目出度い花。センニンソウ(仙人草)も咲き始めました。これが咲き誇ると、そこいらじゅうがブライダルブーケという感じになります。毒草ですが、扁桃腺の民間薬としても知られています。野草の中では、一二を争ういい香りがします。小さい秋見つけた。
キツリフネ(黄釣船)ホウセンカと同じように触れると種をはじき飛ばして増えます。和名の黄釣船とは、ぶら下がる花を釣船(吊り舟)、あるいは花器の釣船にみたてたものです。英名は、Touch-me-not Balsam。ツリフネソウは、学名をImpatiens noli-tangereといいます。Impatiensは、「耐えきれない」の意で、noli-tangereは、「私に触れるな」ということ。触れると種が勢いよく弾けるホウセンカの仲間ならではの名前です。
コミスジが葉の上で休息中。樹液バーには、ジバチに混じって蛾のベニシタバが。近寄ってくる羽虫を追い払うために翅を広げる度に、紅い色がチラチラ見えます。地味な羽織の裏地に鮮やかな浮世絵という様な感じでしょうか。粋ですね。最後は、ヒメウラナミジャノメ。可愛らしい蝶なのですが、アップにすると顔がヒゲだらけでおっさん臭い蝶なんです。
萩も咲き始めました。これはヤマハギ(山萩)。例年なら吸蜜するゼフィルスがたくさん見られるのですが、今年は1頭もいません。いくらなんでもこれは異常事態です。
粘菌(変形菌)のキフシススホコリに殻の直径が3ミリぐらいの小さなカタツムリが食餌に訪れていました。意外と知られていないのですが、テントウムシの幼虫は、粘菌を食べに来ます。最後はコマメホコリかマメホコリの変形体に小さな甲虫が食餌に来ています。甲虫が噛ると、中からピンク色の原形質がこぼれてきます。粘菌も栄養があるわけで、小さな虫達の重要な栄養源となっているわけです。
茶臼山へも行ってみました。アルプス展望台からの眺め。北アルプスは雲の中でしたが、山布施の山村と、青々とした棚田が美しく光っていました。中央の空中に飛ぶのはオニヤンマです。
クサギ(臭木)の花が咲き始めました。臭い木と書きますが、白粉(おしろい)のような匂いです、枝を折るとピーナッツバターの様な匂いがします。アキノギンリョウソウ(秋の銀竜草)がたくさん咲いていました。別名を銀竜草擬とか幽霊茸とかいいます。腐生植物で、葉緑素が全くないため白い色をしています。
最後は、別名を死の天使という1本で約8人分の致死量があるという猛毒のドクツルタケ。柄にささくれがないと、やはり猛毒のシロタマゴテングタケ。激しい下痢、嘔吐、腹痛の後に、内蔵が破壊され死に至るという猛毒のキノコですが、里山でも普通に見られます。これをポットントイレに数本砕いて入れておくと、ひと夏ハエが発生しません。しかも生分解するので環境を汚しません。ネオニコチノイド系の殺虫剤は、神経毒で人体にも有毒です。
帰りに有旅茶臼山の駐車場から南方を見た風景。右端はこの春登った上田市の大林山。左に有明山。間の谷は千曲市から坂城町、上田市と続きます。晴れていれば、この間登った蓼科山が見えるのですが、この日は雲の中でした。広島では集中豪雨で大勢の方が亡くなりました。罹災された方々に心よりお悔やみを申し上げます。信州でもそうですが、あそこは絶対に住んじゃいかんと古老が言う所に新興住宅地はできるんです。その結果が広島激甚災害と言ってもいいでしょう。住宅メーカーや不動産屋は絶対に教えてくれません。古い小字名にその災いの歴史が残っていることがあります。窪とか水とか沼とかつく地名は要注意です。地質も調べるべきですね。人任せではいけません。この秋冬と、更なる異常気象や天変地異が襲うのではと案じています。最大の脅威はもちろん原発ですが・・・。
★Youtubeスライドショー(BGMは、GarageBandで作曲したオリジナルです)
■Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 1of3【オオムラサキ】
◆この度、「信州 山の日」制定に伴い、「信州 山の達人」の募集がありましたが、私がそのひとりに選ばれました。妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)の活動や、ブログ「モリモリキッズ」や当サイトでの情報発信活動が、「独自性」「継続性」「有効性」「発信力」の観点から優れていると認められ、選考されたということです。今後も、里山保全活動や、里山インタープリター、ネイチャーフォトなどに力を入れていくつもりです。
妻女山SDPの活動記録は、■MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryのインデックスの妻女山SDPか当ブログ「モリモリキッズ」をご覧ください。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。