モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ネオニコ散布のない茶臼山は赤花に4ミリのハナアブが乱舞の天国(妻女山里山通信)

2015-08-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今日は国会前や全国で大規模なデモがありましたね。私は仕事をしながらツイッターで状況を見ていましたが、何かが確実に変わりつつあります。来年再来年は福島だけでなく首都圏でも深刻な放射能パンデミックが起きるのはチェルノブイリの前例で証明済み。ジャパン・ハンドラーズの手先となった自公やマスゴミから主権を我々の手に取り戻せるかが日本の将来を決めます。自分の可能なことから始めましょう。
 毎日ぐつつき気味の天気で撮影トレッキングも出来ない毎日、ストレスが溜まります。そんな金曜日、朝方から久しぶりに晴れ間が。急遽取るものもとりあえず妻女山へ。もちろんネオニコの空中散布で死の山となった千曲市側ではなく長野市側へ。以前見かけtゼフィルスを探しに。その後、茶臼山へ。両山も私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林に載っています。

 まず妻女山へ。もちろんネオニコチノイド系農薬の空中散布で死の山となった千曲市側ではなく、長野市側へ。前回見つけた大型のゼフィルスの撮影を目指して山奥へ。1時間弱粘りましたが現れる気配なし。雨上がりなので活性が低いのかなと帰ろうとすると視線を感じました。目を上げると割りと大きなニホンカモシカ。撮影すると悠然と立ち去って行きました。
 次に茶臼山へ。旗塚のある南峰へ。大正時代に建てられた川中島合戦の石碑があります。旗塚といいますが、実際は古墳時代後の墳墓でしょう。旗塚から林道へ下りて切り通しを抜けます。右のカット、上から凝灰岩・亜炭・泥岩・粗粒砂岩・凝灰岩なんですが、壊れてしまいました。論地層と呼ばれる、ここが海、あるいは湖沼だった約600万年前(新生代第三紀中新世)の地層で、貝や葉の化石が出てきます。

 倒木に粘菌(変形菌)かと思ったのですが、ちょっと違うような気がします。なにかキノコの幼菌でしょうか。真ん中は間違いなく粘菌です。ツノホコリでしょうか。右は猛毒のドクツルタケ。致死量はわずかに8グラム。激しい嘔吐と下痢の後に内蔵が破壊され死に至るという怖いキノコ。欧米では死の天使と呼ばれます。今回は、これを含め、もう少し大きいものと3本採りました。殺虫に使います。生分解するので、ネオニコ殺虫剤のように環境を破壊しません。

 わずか8ミリの大きさのアカバナにあちこちで4ミリ位の小さなハナアブが吸蜜。本当に小さいです。見ようとしなければ見えない気がつかない大きさです。以前「ネオニコの空中散布のない長野市茶臼山は昆虫の天国(妻女山里山通信)」で、体長がオス9ミリ、メス8ミリが飛翔しながら交尾するカットを載せましたが、その半分しかありません。こんな小さな生き物も、自然の共生関係に重要な役割を果たしているのです。

 ヒヨドリバナの残花で吸蜜するアサギマダラ。まもなく海を2000キロ以上も越えて渡る長い旅に出ます。中はコバノギボウシの紫花。若葉はオオバギボウシと同じくウルイという山菜。アキアカネが大量に群舞するノコンギクの草むらにたくさんのツバメシジミがいました。これはオス。メスが翅表が茶褐色で地味です。

 北アルプス展望所で虫倉山を眺めながら昼食。私が作ったやたら漬けと梅漬けを挟んだおにぎり。材料は、ナス、キュウリ、ミョウガ、オクラ、シソの葉を和風出汁の素と醤油で漬けたもの。材料は、その時あるものでいいのです。これに納豆と卵を加えると、夏バテでも朝食がすすみます。柿酢を少し加えても美味。
 虫倉山の山頂には、昨年の神城断層地震で崩落した箇所がはっきり見えます。山頂の4割が崩壊してしまいました。晴れていれば、山頂の左に白馬三山が見えます。

 昼食後は少し北へ下って善光寺平展望所へ。山座同定をしてみました。手前は川中島。皆神山の手前が松代になります。昔は水田や果樹園の中に集落が島のようにあったのですが、現在はつながってしまい大きな建造物を目印にしないと、どこがどこだか分からなくなりました。

 ワレモコウの小花。これが風に揺れる様を観ると、秋が近いなと思います。中はオトコエシ。男郎花と書きますが、オミナエシ(女郎花)と相対する名称です。右はボタンヅル。一見するとセンニンソウと間違えそうですが、花がやや小ぶりで純白のセンニンソウと異なり、ややクリーム色。葉も鋸歯があるので区別がつきます。可憐な花ですが、いずれも毒草です。

 ワレモコウが揺れる旗塚下の駐車場に戻りました。そこからの山座同定です。晴れていれば五一山脈の向こうに蓼科山や八ヶ岳連峰が見えます。今回紹介した山々も私の本にガイドが載っています。秋は気持ちのいい信州の里山を歩いてみませんか。信州の里山の山頂は、古墳や山城、里の神社の奥宮などがたいていあり、歴史好きにもお勧めです。林道はサイクリストにも。山脈の縦走はトレランの人達にもお勧めです。

【追記】千曲市は、2016年の空中散布を中止することを決めたと信毎Webに載っていました。評価できる嬉しい決定ですが、ネオニコチノイド農薬は、非常に残留性が高く、水溶性で植物や地面に深く浸透し、その影響は何年も続きます。ほぼ絶滅してしまった十数種類いたゼフィルスを始め昆虫たちが復活するのには相当の年数がかかるものと思われます。赤松林への散布は土壌汚染を引き起こすため松茸菌を弱らせ、結果として松茸も出なくなり、共生関係に赤松も弱ります。千曲市は中止ですが、坂城町は実施するという愚挙。村上義清も泣いていることでしょう。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店、蔦屋などでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この秋は、信州の里山や亜高山を歩いてみませんか。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください

★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応は不可能です。

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高尾山にも祀られる飯縄権現の鎮座する飯綱山は湿度100%のお花畑(妻女山里山通信)

2015-08-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末は、長野市民の山、飯縄山へ撮影登山に出かけました、この山も私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林に載っています。3年前に息子達と中社・西登山道コースを登り、瑪瑙山コースを下ったのですが、今回は、一番ポピュラーな一の鳥居からの南登山道を登りました。このコースは、2000年にまだ小さかった息子達と登って以来ですから、なんと15年ぶりです。このコースは、飯縄神社の本宮から奥宮への表参道になります。
子供のトレッキングについてのノウハウは「キッズ・トレッキングのアドバイス」をお読みください。

 一の鳥居園地の案内図。右が北になります。下の赤い細線は、私が描き加えた登山道。本書では、分かりやすい舗装路へすぐ出るルートを紹介していますが、駐車場からちょっと入ったところにある登山道の小さな標識を見落とさなければ、森を歩くこちらの方がいいでしょう。
 落葉松林の小道を歩きます。道の両側には、マルバフユイチゴ(丸葉冬苺)の赤い実がたくさん成っていました。

 舗装路に出て真っ直ぐに登って行くと、登山口の石の鳥居に着きます。額には飯縄大明神の文字。登るとほどなく林道が横切っています。その向こうに一の鳥居。このコース沿いには、13体の石仏と馬頭観音があります。右のカットは、第6番目の弥勒菩薩。看板には、文化十三年八月建立とありますから、1816年。江戸時代後期の初めで町人文化が栄え、庶民の旅も始まった頃です。
「十三仏(じゅうさんぶつ)は、十王をもとにして、江戸時代になってから日本で考えられた、冥界の審理に関わる13の仏(正確には仏陀と菩薩)である。また十三回の追善供養(初七日~三十三回忌)をそれぞれ司る仏様としても知られ、主に掛軸にした絵を、法要をはじめあらゆる仏事に飾る風習が伝えられる。13の仏とは、閻魔王を初めとする冥途の裁判官である十王と、その後の審理(七回忌・十三回忌・三十三回忌)を司る裁判官の本地とされる仏である。」(Wikipedia)
 途中、登山道を整備されている人と出合いました。度重なる豪雨で登山道がすぐに荒れてしまうそうです。神城断層地震でもダメージを受けたとか。飯縄山の名称の由来となったともいわれる「天狗の麦飯」について聞いた所、山頂の北側にあった群生地は、もう数十年前に消滅したそうです。私の本では中腹と書いてありますが、これは校正ミスで正しくは山頂付近です。現在は笹薮に覆われています。ただ藍藻類というのは意外にタフで、乾燥にも強いので、笹薮を切り開いて更地に戻せば復活するのではなどと考えてしまいます。
 登山道整備のお礼を言って登山開始。猛烈な湿度で歩みも捗りません。クロメマトイが大発生して鬱陶しいこと。

 途中で撮影した不思議な物体。3センチほどですが、最初は粘菌かと思ったのですが。撮影して拡大してみると、どうもキノコのようです。ハナホウキタケの幼菌ではないかと思われます。他にはニガイグチの仲間がたくさん出ていました。
 湿度100%の山登りは、想像以上に過酷でした。まるでサウナの中で登山しているような状態。しかも、あまりの湿度にカメラが度々誤作動して参りました。撮影に時間を撮られたのもありますが、1時間15分もかかって半分の駒つなぎの場に到着。本書では、1時間45分と、初心者向けに多めにとってあります。
 右はクマイチゴ(熊苺)。文字通り月の輪熊の大好物です。先日、伊那の長男がサイクリングに行った時に、山中で5m前にうずくまってキイチゴを食べているおじさんがいると思ったら、子熊だったそうです。あっという間に逃げていったので無事でしたが。飯縄山もひと沢に一頭いるといわれるので、熊鈴は必須です。

 1800mを過ぎて草地に出ましたが、このガス。なんにも見えません。シシウド(獅子独活)だけが目立ちます。中はシモツケソウ(下野草)の残花。ほとんどは散っていました。他の花もそうですが、夏の花の見頃は7月下旬から8月上旬です。右はハクサンフウロ(白山風露)の残花。

 飯縄神社のある1909mのピーク手前の小石祠。登山者の中には、ここを飯縄神社と思って通り過ぎて行く人もいるようです。中は、1909mのピーク広場。ここから山頂へ向かう下り口の右を見ると、一番右のカットのように赤い屋根が見えます。これが飯縄神社の奥宮です。

 飯縄神社奥宮。御由緒などは、飯縄神社のホームページを。入り口に雨が吹き込まないようにブルーシートが掛かっていますが、軒先が神城断層地震と豪雪で壊れてしまったそうです。
 中は御本殿。中央に神鏡が置かれ、左右には天狗の面や石仏、下駄などが奉納されています。史実とは断定できませんが、烏天狗は、古代にいなくなったユダヤの11部族のひとつが日本に流れ着いたという説もあります。信州の羽田(秦)一族にはそういう伝説も残っているといいます。アフリカからベーリング海峡を越えて南米最南端のホーン岬まで行っていることを考えると、あながち荒唐無稽な話ではないと思います。

 ピークに戻り、山頂へ向かう道を下ると、すぐ左手に携帯トイレのブースがあります。携帯トイレは大座法師池のコンビニや観光案内所で買えます。
 一旦鞍部へ下ってマツムシソウ(松虫草)の咲く笹の道を歩きます。奥には山頂が見えています。ほどなく山頂へ。やや広い山頂には、40人ぐらいの人がいたでしょうか。若者や小さな子供達もいます。ちょうど本のパンフレットを持っていたので、皆さんに配りました。非常に反応が良かったのですが、山が好きでこんな過酷な日に登ってきた人達ですから当然かもしれません。一番小さい子は6歳で、3,4人いました。次男が登った時の年齢です。普段から歩き慣れていれば、年長組なら登れるでしょう。ただ、山頂付近は放射線量がやや高いので要注意。岩に座る場合はアルミシートを敷くように。放射能汚染を甘く見てはいけません。情報弱者は生き残れませんよ。

 湿度が高いので昆虫は、クロメマトイが大発生でしたが、山頂ではキアゲハと共に、ツマグロヒョウモンのメスを撮影することができました。真ん中はヤマハハコ(山母子)。右は、同定の論争の種になるリンドウの仲間。エゾリンドウ(蝦夷竜胆)かオヤマリンドウ(御山竜胆)か、エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)か。正直なところ私には分かりません。

 目立つのは、やはりシシウド。大きな白花は、高原の夏の花火。虫たちも大好きでアブやアリなどが集まります。中は、マツムシソウ。よくクジャクチョウやハナアブが吸蜜しています。右は、これもしっかり見ないと同定が難しい花。これは花の色の濃さと葉の輪生からサワヒヨドリだと思います。晴れていれば、アサギマダラの吸蜜が見られたかもしれません。

 色が濃いトリカブト(鳥兜)の仲間。出会った男性は、これを見られたから満足と言って下りて行きました。トリカブトの仲間も同定が困難です。ホソバトリカブト(細葉鳥兜)でしょうか。低山のヤマトリカブトに比べると花の色が濃くて見惚れます。全草が猛毒なので要注意ですが。
 中はクガイソウ(九蓋草)の残花。右はモミジハグマ(紅葉白熊)。若芽は山菜のシドケ。

 下山途中で雲が取れて善光寺平が見えてきました。大座法師池の右奥に旭山、中央に葛山、左に大峰山。左に長野市街。犀川の流れ。その奥には千曲川の流れが。間が川中島です。
 あまりの湿気と冷えでしょうか、右脚のスネを痛めてしまいました。パンフレットがなくなったので、途中で登ってきた女性には話で本の紹介を。彼女も何度も引き返そうと思ったそうです。過酷な天候でした。駒つなぎの場にいた東京からの家族にも本の紹介をしました。一緒に記念撮影を頼まれたのは照れくさかったですが。この日は、午後になって雲が取れてきたので、遅出の人のほうがラッキーでしたね。ただ、猛暑で雷雲が発生しそうな日は、午後2時か3時までには下山しないと危険です。

 下山して大座法師池の近くの大谷地湿原へ。左の花が分かりません。葉は大きく肉厚で、葉脈は網目状。なんか以前見た記憶があるのですが思い出せません。中はシラネセンキュウ。ヤマゼリ、シラネセンキュウ、カノツメソウの3つは咲く時季、生える場所も似ているので、よく間違えます。
 右は、大谷地湿原からの飯縄山。大きなアザミ(薊)が咲いていますが、木道を外れて近づけないので同定できません。

 その後は、逆谷地湿原へ。長男が卒論で花粉分析のためにボーリングをした時に、私も手伝いました。小学校の校庭ぐらいの広さですが、約10万年という日本はもちろん、世界でも最古級の貴重な湿原なのです。尾瀬ヶ原が9000年と考えると、その貴重さが分かると思います。オオミズゴケに覆われ、サワギキョウ(沢桔梗)が咲き始めていました。今回は、許可を得ていないので立ち入って撮影はできません。
 中はタチアザミ(立薊)。右は、デッキに墜落してきたアカエゾゼミ(赤蝦夷蝉)。樹冠で鳴いているので、こうして見るのは初めてです。貴重なカットが撮れました。もちろん撮影後に放しました。足元にはたくさんのミヤマフキバッタ。ハラビロトンボが生息するようですが、時期が遅いのか見たのはオニヤンマでした。

◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店、蔦屋などでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山や亜高山を歩いてみませんか。
本の概要は、こちらの記事を御覧ください
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天然記念物のミヤマモンキチョウに会いに峰の原高原から根子岳へ(妻女山里山通信)

2015-08-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
 またまた最高気温35度という猛暑を逃れて菅平の根子岳へ撮影登山に出かけました、もちろん私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っています。本書では。菅平牧場からと米子大瀑布から、四阿山へのコースとカルデラ周回コースを紹介していますが、今回は掲載できなかった峰の原高原からのコースです。前回登った大松山で撮影したミヤマモンキチョウが、どうも交雑種の蓋然性が高いので、こちらはどうだろうと確認に来ました。

 朝もやのかかる根子岳を見ながら、菅平牧場の北端の縁を登っていきます。気温は20度ぐらい。牧場の牛が草をはんでいました。途中群馬から合宿に来たという女の子が元気よく追い越して行きました。私は度々撮影でストップするのでポレポレ登山。山頂近くで、早々と彼女が戻ってきました。毎日登ってるの?速いねえと言うと、いえ初めてです。とっても気持ちよかったです。お気をつけて。と爽やかな笑顔を残して下りて行きました。このコースは、以外にマイナーで静かな撮影や山歩きが楽しめるのがお勧めです。右に根子岳、左の小ピークが小根子岳。根子岳へは、左の森と森の間を登っていきます。避難小屋辺りは、以前と異なり、もっと左手を真っ直ぐ登る新道ができています(下の地図の避難小屋近くの破線が古い道)。地図でお分かりでしょうが、狭い帯状の森を挟んで北側はゴルフ場です。殺虫剤や除草剤でゴルフ場は、大量の農薬を散布します。ネオニコ系の農薬もあり得ます。その影響が心配です。

[国土地理院電子地形図25000使用]
 車は、峰の原高原集会所に停めます。トイレと案内所、登山届提出ボックスがあります。ここから道路を東へ歩き、T字路を右折して別荘やペンション街を進みます。10分ぐらいで登山口のあるカーブ。標識はありますが、小さいので見落とさないように。沢を渡り登って行くと菅平牧場。料金所があるので200円を入れます。ここからは牧場のフェンスに沿って緩やかに登っていきます。
 コウゾリナで吸蜜するミナミヒメヒラタアブのメス。8ミリぐらいと非常に小さい。まず、知見がないと目の前にいても見えません。

 ハクサンシャジン(タカネツリガネニンジン)。妻女山など里山で見るツリガネニンジンと比べると大きく、花の数もずっと多いのが特徴。中はキバナノヤマオダマキ。数は多くはありませんでした。他にはコオニユリ、オオバギボウシ、アキノキリンソウ、シシウド、ワレモコウ、トリアシショウマ、ウツボグサ、ハクサンシャジン、ヤナギラン、ヒヨドリバナなどなど。
 右はシソ科のイブキジャコウソウ(伊吹麝香草:別名は百里香)。発汗作用のある薬草で、ハーブとしても人気があります。

 笹に留まるチャバネセセリ。翅の白斑が丸いので、間違いないでしょう。やはり笹に留まるヨツボシナガツツハムシ。ハギ類、カンバ類、ヤナギ類の葉を食べます。メスには、卵を糞で覆って地表に落とすという面白い習性があります。「糞食らえ!」ということですかね。小さな虫ですから小さな卵も哺乳類ではなく昆虫の餌でしょう。オオムラサキなどは、猪の糞を吸汁しますから、彼らにとってはごちそうです。昆虫の卵は、アリなどの餌食になるので、それへの対策として獲得した生きる術なのでしょう。
 右はマツムシソウで吸蜜するハナアブなんですが、同定できません。なんという種でしょうか。大松山でもヤナギランにいました。スイセンハナアブに似ていますが違うようです。とにかく動きが速く止まらないので、音を上げました。

 マツムシソウで吸蜜するシマハナアブのオス。花粉の媒介者で、リンゴとかナシの受粉にも利用されています。中はヒラタアブの仲間、ヒラタアブはナミホシヒラタアブとかフタホシヒラタアブとか似ているものが多く、同定はなかなか困難です。なんでしょう。
 こんな花畑の草原を登ってきます。左上に見えるのが眼下の菅平牧場。草むらからは盛んに虫の音が聞こえ、足元からはバッタやミヤマフキバッタが飛び出します。

 2時間少しで山頂。山頂には男子高校生と大学生の団体がいて大賑わい。他にも登山者が大勢いました。5歳ぐらいの女の子もいました。座るところがないので溶岩ダイクの先の大すき間と四阿山が見えるところまで行きましたが、なんと後からその団体さんが来て狭いダイクの上は大混雑。山頂へ戻り、小根子岳で昼食としました。写真は、団体さんが去った山頂。まだまだ、登山者が登ってくるのが見えます。

 その大すき間を見下ろし、四阿山を見上げるダイク(溶岩の岩脈)の上。爽風も吹いて休息には最高の場所です。しかし、右側は崖地なので転落に注意。菅平牧場を起点として四阿山から根子岳へのループコースは、本書でも紹介しているお勧めのコースです。写真の四阿山の左の肩には、二等三角点があるのですが、四阿山から見ると尖ったピークに見える不思議。現地で見ても、写真で見てもそう見えるのです。これも本書で紹介しています。

 他に誰もいない小根子岳山頂から眼下に菅平高原と、向かいに大松山。手前に日本ダボス。遠く大林山、冠着山、鏡台山が見えました。北アルプスは靄っていて見えませんでした。一番右端に、出発地点の菅平牧場の端が見えます。あの草原と森の境を登ってきます。ここで昼食にしました。時折吹く涼風が気持ちいいこと。真夏の信州の高原は最高ですね。根子岳は、普通の体力があれば、特別な登山技術も不要です。ただ、夏は雷雨がある場合もあります。当日の天気予報は必ずチェック! できれば早出早帰で、雷雨が起きやすい午後2時には下山していたいですね。この日は雷雨の心配はありませんでしたが。

 ザレ岩から四阿山のカルデラ内部。ちょうど中央に見える崖地の手前が米子大瀑布の不動滝の落ち口になります。本書では、米子大瀑布の麓からこのカルデラに上がって縦断し、根子岳へ向かうコースも紹介しています。また、米子大瀑布を起点とした根子岳、四阿山、浦倉山の周回コースは、23キロほどのロングコースですが、体力のある方には超お勧めのコースです。これも載せています。右上にアキアカネが写っていますが、根子岳山頂でも大量の群舞が見られ、それは見事でした。ザレ岩から下の分岐までは、ほとんど展望のない森の中の道になります。
米子大瀑布から四阿山カルデラ周回コースのフォトルポ」地図は掲載していません。詳細なコース地図は、『信州の里山トレッキング 東北信編』に載せています。

 ヒメキマダラヒカゲ。笹が食草なので、笹薮の森の道で数多く見られました。次はウラギンヒョウモン。こちらは明るい草地で見られます。ヤマハハコに留まるアサマシジミと思ったのですが、似たものにヒメシジミやミヤマシジミがあり、これもまだ同定できていません。山仲間の専門家に頼もうと思います。ということで聞いたらヒメシジミと同定されました。
 撮影中に、こんにちはと明るい声をかけられました。20代のとても美しい女性でした。今まで出会った山ガールの中で一番の美人さんかも。私も仕事柄、昔は女優やモデルの撮影のディレクションをしましたが、そういう人達の中にも山ガールは増えているようです。芸能人にも山好きは多いですね。昔お隣さんで、息子達をかわいがってくれたザ・ブルー・コメッツのジャッキー吉川さんも山登りが大好きな人です。山ガールが増えたのは、アニメ『ヤマノススメ』の影響もあるのでしょうか。登山ファッションも、昔とは考えられないくらいお洒落で機能的です。

 そして、やっとノアザミで吸蜜中のミヤマモンキチョウを見つけました。環境庁の準絶滅危惧種で、長野県の天然記念物です。もちろん全県で採取は禁止。羽の縁のピンクが愛らしい。これはメスで、オスもいましたが、活性が高く撮影させてくれませんでした。食草はクロマメノキ(アサマブドウ:採取禁止)。ただ思ったよりも数は少なく、ちょっと風が強かったり雨が降ると出てこないので、出会える確率はかなり低いと思います。この撮影チャンスもわずか3分足らずでした。
 やはりネオニコ空中散布がなければ、山は美しく虫たちで賑やかなのです。危険極まりないネオニコチノイド系農薬についての記事は、ブログの3つ前。4つ前。5つ前の記事をご覧ください。皆さんが食べている有名産地の果樹や野菜にも使われている可能性が高いのです。水溶性なので中に染み込むため洗っても落ちません。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店、蔦屋などでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山や亜高山を歩いてみませんか。
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猛暑を逃れて菅平高原の大松山へ。ゲレンデのジャングルに突入。穴場です(妻女山里山通信)

2015-08-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温35度という猛暑を逃れて菅平の大松山へ撮影登山に出かけました、私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っています。東側の四阿山や根子岳と違い2000mもないので、それほどの涼しさは期待できませんが、それでも盆地よりは遥かにましです。さすがに信州でもこの猛暑では里山はきつい。本書では、人気の蓼科山、黒斑山、水ノ塔山、東篭ノ登山、四阿山、根子岳などの亜高山も掲載しています。他のガイドブックでは未紹介の魅力的なコースもあります。コースガイドや高山植物の写真も豊富です。ぜひ書店やAmazonでお求めください。

                                             [国土地理院電子地形図25000使用]
 本書では、アルペンコースとアルプスコースを登る2つのルートを紹介しているのですが、ゲレンデは真夏はところにより背丈ほども草が生い茂ってしまうので登れません。いや、登れないことはないのですが、かなりの藪こぎになります。ということで、今回はゲレンデの保守点検用の林道を登ることにしました。地図の夏用コースと書いてあるのがそれです。右のカットは地図の矢印の辺り。正面に続く林道を登っていきます。
 ところが、地図のT字路のところで左に行かなければいけないのに、うっかり右へ行ってしまいました。まあ、こちらを言っても林道歩きで稜線出合いには出られるのですが。面倒なので、ホワイトピークコースを登ることにしました。アサギマダラが上へ上へと誘うものですから。
 間違わなければ、真夏でも一時間もあれば着くでしょう。私は間違えてゲレンデを登ったので、もう少しかかりましたが。

 ゲレンデには、キンポウゲ科のカラマツソウ(落葉松草、唐松草)が咲いていました。見上げるとシシウドがゲレンデにたくさん咲いています。マルバダケブキやオオバギボウシなども。
 ホワイトピークコースの草丈の低い所を選んで登って行ったのですが、右のようにシシウドや、キオン、ヒヨドリバナで背丈を超えるジャングルに突入しました。しかも、上に行くに従って急になります。クマイチゴのヤブに突入すると痛いのなんの。ノアザミも避けなければなりません。10m登って小休止、撮影の連続でした。

 それでも、時折ヒヨドリバナで吸蜜するアサギマダラを撮影しながら、なんとか上の道路にたどり着きました。右は、その棘が痛いクマイチゴの果実。これをたくさん集めて口に頬張り、舌で潰して汁を吸って種だけを吐き出します。甘く酸味が強い味ですが、木苺の中では、これとモミジイチゴが一番美味しいと思います。朝露を浴びて冷えた木苺は、本当に美味しく自然の滋味でした。痛いのを我慢した褒美ということにしておきましょう。

 ようやっと山頂へ。もやっていて、四阿山と根子岳は見えません。涼しい風が時折吹くのが心地よかったですね。本当は、写真の右下に見えるリフトの降り場、地図ではガイドマップと書いてある所に来るはずだったのですが。あそこからここまでは、走れば5分、ゆっくりで20分もあれば着きます。白い花の群生はヤマハハコ。その下のピンクはヤナギランです。実は麓のペンションの庭から合宿中の吹奏楽の演奏がずっと聞こえているのです。登り始めはグラウンドで練習する運動部員の声も聞こえました。とても菅平らしい光景です。
 高原野菜の白いマルチが見えます。畑によっては収穫に追われていいました。サラダ菜とかレタスなどですね。私は少量ですが無農薬無化学肥料で作っているので買うことはありませんが。今朝はそれをむしりとって来て、自家製ベーコンとハムエッグにして、ミニトマトを挟んでサウザンアイランドドレッシングで、くるみの入ったカンパーニュに挟んでサンドウィッチに。アマゾンのアサイジュースを飲みながらブランチしました。馬鹿旨です。

 途中や山頂辺りで見た花です。まずラン科のネジバナ。この二つを見ても分かるように、右巻きと左巻きと両方あります。亜高山の花というわけでもなく、妻女山山系でも見られます。別名はモジズリ(捩摺)。すごく小さいので、見落としがちです。次はコオニユリ。多くはありませんが、あちこちに小さな群生がありました。
 右はヤナギラン。山頂近くにはまとまった群生があります。艶やかな高原の花で、昆虫たちもよく吸蜜に訪れます。日本では高原の花ですが、アラスカやイギリスでは野原の花です。

 左はモンキチョウのメスでしょう。中は長野県の天然記念物のミヤマモンキチョウのメス? でも翅の模様がなんか変ですね。交雑種でしょうか。翅の縁のピンク色も薄いし、後翅の白斑も二つですね。一番右は、中のミヤマモンキチョウのメスに誤認で求愛するモンキチョウのオス二頭? なんだか間違って受け入れて交尾してしまうこともあるのでしょうか。ゲレンデは、帰化植物が入るので、モンキチョウとミヤマモンキチョウが混在するのでしょうか。仲間に蝶の研究家がいるので聞いてみようと思います。ということで後日聞いたらクサイということです。ただ捕獲は禁止されていますが、捕獲して詳細を調べないと分からないということです。

 こちらは、ノアザミで吸蜜するウラギンヒョウモン。左のカットでは、ノアザミの粘る総苞に捕まったコバエが見えます。前々回の三峯山の記事でも書きましたが、食虫植物でもないのに、なぜこういう特徴があるのか不思議です。右は高原の線香花火シシウド。数多くの虫が吸蜜に訪れます。聖山のものは高さが4mもありましたが、大松山のものは2mぐらいが最大でした。

 これがモンキチョウのオス。メスはかなり白っぽいので区別は容易です。中はアキアカネ。山頂付近の空は、これで埋め尽くされていました。右はトラマルハナバチ。舌下が長いので、蜜源が深くにある花を好みます。ハナアブの仲間は、他にも何種類か見ました。やはりネオニコ空中散布は、何よりの自然破壊だと分かります。家庭用の殺虫剤も使ってはいけません。ペットのノミ取り剤も危険。いずれ必ず健康被害が出ます。しかも個人では因果関係が証明できないので泣き寝入り必至。

 午後になって、やっと四阿山(右)と根子岳(左)が姿を表しました。この山域のカルデラや米子大瀑布からのコースも本では紹介しています。やや経験者向きですが、非常に楽しいコースです。健脚向きには、カルデラ周回23キロのハードなコースも紹介しています。山が好きで体力のある人にはぜひ挑戦して欲しいコースです。尾根筋とカルデラ内では、全く異なる自然が見られます。米子硫黄鉱山の跡地も歴史マニアや廃墟マニアには必見のコース。詳細は本をお読みください。
 雷鳴がとどろき始めたので下山することにしました。

 その途中で立ち寄った菅平高原自然館の湿原遊歩道へ。そこで見た植物です。まずキンポウゲ科のシキンカラマツ(紫錦唐松)。可憐で可愛い花です。真ん中はシラネセンキュウ。こういう風に丸くなるものと、妻女山山系の様に割りと平面的なものとがあります。里山と亜高山では、若干違うのでしょうか。亜種と考えていいのでしょうか。
 右はオトギリソウ科のトモエソウ。花びらが卍形をしているのが特徴です。根子岳に登るとオトギリソウ(弟切草)に出合えます。
 やはりネオニコ空中散布がなければ、里山は美しく虫たちで賑やかなのです。危険極まりないネオニコチノイド系農薬についての記事は、ブログの2つ前。3つ前。4つ前の記事をご覧ください。家庭用の殺虫剤や除草剤、ノミ取り薬も危険です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店さんでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。最近は、首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山を歩いてみませんか。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応は不可能です。

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信州麻績村の聖山はアサギマダラの楽園だった。その100倍ぐらいアブが大発生でフリーズ(妻女山里山通信)

2015-08-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末はフィールドワークで前回登った麻績村の北西にそびえる聖山へ撮影登山。いや北側の聖パノラマホテルからの超楽ちんコースなので、撮影ハイキングです。しかし、驚きました。アブが大発生。撮影で車を停めると大量のアブに取り囲まれ車にも体当たり。降りようとすると、最低3、4匹は車内に飛び込むほど。これには本当に参りました。経年変化の範疇なのでしょうが、妻女山山系の千曲市側のようにネオニコ空中散布で全滅よりは遥かにましです。
 前回紹介した麻績村の聖湖から北へ別荘地を抜けて三和峠を越えて、長野市旧大岡村の聖山パノラマホテル(公営国民宿舎)にやってきました。ここはお勧めです。安いしロケーションが抜群。料理もいいみたいです。地元なので泊まったことはありませんが、こことか麻績村の信州牛が堪能できる「シェーンガルテンおみ」とか信州新町のサフォークのジンギスカンで有名な「さぎり荘」とか超絶穴場です。信州には群馬県境の近くのリゾートのようにホットスポットがある場所もあります。ここは、ガイガーカウンターで測りましたが比較的安全な場所です。

 聖山パノラマホテルの広大な駐車場の南東に聖山遊歩道の入り口があります。このコースは、私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っています。現在は廃止されてしまったスキー場のゲレンデをつづら折れで登り、尾根に乗ったら左へ昔のパノラマコースを登っていきます。約40分ぐらいでアンテナのある聖山に着きます。ファミリートレッキングにも最適なコースです。

 とにかくあちこちにアサギマダラがいました。これは珍しいことにクガイソウで吸蜜するカットですが、多くはヒヨドリバナやヨツバヒヨドリで吸蜜していました。しかし、この撮影中もアブが体の周りを何匹も飛び回り、時には刺す(吸血する)のでもう大変です。アブやハチには、子供の頃から刺されまくっているので免疫ができているのか、特にアブは刺されてもなんともありませんが、煩いです。もちろん自然写真家ですからアブの写真も撮りますけれどね。頼むから今日は放っておいてくれよって思うのでした。

 クガイソウで吸蜜するアサギマダラ三態。2000キロ以上の海を渡ってくる蝶です。アサギマダラという名称は、白っぽく透けている部分の色が浅葱色だからなんです。長距離を飛ぶからでしょうか、その舞い方はゆっくりと優雅で、思わず見入ってしまいます。

 ゲレンデ跡は色々な花の宝庫でした。シシウド(猪独活)とヤナギラン(柳蘭)の群生。中はヤナギランのアップ。山火事の後や伐採地にいち早くでるので、英ではファイヤーウィードと呼ばれます。アラスカでは最もポピュラーな花で、山火事の後に群生することから、復活や再生のシンボルとされています。信州の高原でも、非常に艶やかに華やかに目立つ植物です。
 右はキバナノヤマオダマキ(黄花山苧環)。苧環とは糸を巻く道具のことで、昔うちにもありました。私はこのオダマキという言葉を聞くと小田巻蒸しを思い出してしまうのです。大阪の船場が発祥のうどんが入った茶碗蒸しですね。以前、ズワイガニを頂いて小田巻蒸しにしたことがあるのですが、絶品でした。レシピはこちらです

 ゲレンデを登って尾根に乗ったところに以前のリフト降り場があり、アルプス展望台となっています。残念ながらこの日はガスって見えませんでした。眼下に聖山パノラマホテルが見えます。夏季キャンプに来た低学年の小学生たちと出会いましたが、撮影したばかりのアサギマダラの写真を見せて、オニヤンマもたくさんいるよと教えると喜んでいました。山頂のアブには閉口したでしょうけど。

 山頂から反対側の南面の麻績村を俯瞰したところ。かなり靄(もや)っています。後から高齢のご夫婦が登ってきましたが、やはり大量のアブに閉口。旦那さんの白いシャツに留まるアブを、奥さんが何匹も叩き潰していました(笑)。殺生はいかんよなんて言っていられないほどのアブの大群でした。

 そんな山頂に咲いていた花たち。まずフシグロセンノウ。ナデシコ科ですが、蕾がポンッと咲く瞬間を見たことがあります。徐々に咲くのではなく巻いていた細い蕾が瞬間的にポンッと咲くのです。驚きました。
 中はジャコウソウ。山頂で出会った女性が、私が知っているジャコウソウとは違うと言われていましたが、それは亜高山に咲くイブキジャコウソウのことでしょうね。
 右はオヤマボクチの蕾。信州の飯山の富倉そばのつなぎとして有名ですね。蕾も綿毛が巻いていて、なんだかグルグル回っているみたいです。

 ヒヨドリバナで吸蜜する艶やかなクジャクチョウ。夏の信州では里山から高原まで見られる艶やかな蝶です。中はアサマシジミのメス。たくさんいました。右はヨツバヒヨドリの大群生地で吸蜜するアサギマダラ。胸部の水玉模様も可愛いですね。しかしアブが煩い。「アブの生態とその防除法」。やれやれ。

 聖山の撮影を終えて聖湖に戻る途中でのカット。前回登った三峯山の箱庭みたいなカット。展望台のある山頂の右奥は冠着山(姨捨山)。実は、このカットの撮影後、そうだ冠着山に登ろうと思い、一本松峠、古峠経由で鳥居平へ。冠着山にも登りました。

 その冠着山の北アルプス展望台からの聖山。アンテナのある辺りが山頂です。今回登ったのは、あの山頂の向こう側。右手の三和峠から風越山を経由して登頂するコースも、私の本では紹介しています。自然が堪能できる良いコースです。
 やはりネオニコ空中散布がなければ、里山は美しく虫たちで賑やかなのです。危険極まりないネオニコチノイド系農薬についての記事は、ブログの2つ前。3つ前。4つ前の記事をご覧ください。

◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店さんでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。最近は、首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。また、「みすずかる信濃の国の鉄バクテリアがずくを出す」とか「イカリモンガってなにもんだ」など、10本のコラムも面白いと評判です。この夏は、信州の里山を歩いてみませんか。本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応は不可能です。

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