約2週間ぶりの梅雨の晴れ間。前日はかなり雨が降りました。遠くからネムノキの花が咲いているのが見えたので、まずそこへ向かいました。
ネムノキ(合歓木、合歓の木)マメ科ネムノキ亜科の落葉高木。夜になると小葉が閉じて垂れ下がる就眠運動を行うことで眠る木といいます。
ネムノキは高さ10m以上になります。花は葉の上に咲くので、下からはよく見えません。ここは林道下の斜面に根本があるので間近で見られます。化粧の刷毛の様でもあり、線香花火の様でもあり。繊細な花です。なんとも形容し難いかすかに甘い香りがします。赤松と同様に排気ガスには弱く、我が家の山の大木は高速道路ができたら数年で枯れました。葉は合歓皮(ごうかんひ)といって漢方薬です。利尿、強壮、鎮痛、腰痛、打ち身、腫れ物、水虫、手荒れ、精神安定などに効くそうです。貝原益軒は「この木を植えると人の怒りを除き、若葉を食べると五臓を安じ、気をやわらげる」と記しています。
「昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ」 紀女郎(きのいらつめ) 『万葉集』巻八1461
(昼に咲いて、夜には恋しい想いを抱いて寝るという合歓の花を私だけに見させないで。君もここに来て見なさいな):紀女郎が大伴家持に贈った歌ですが、紀女郎は年上の人妻で、戯奴というのは目下の人を呼びかける言葉です。人妻が若者をからかったのか、誘ったのか。背景を知ると、なんとも意味深な歌です。
「合歓咲く 七つ下りの 茶菓子売り」小林一茶
江戸の八丁堀の合歓の木が咲く小腹が空く午後4時頃に、茶菓子売りの声が聞こえる様。どんな茶菓子だったのでしょう。茶饅頭か、夏だから水菓子かな。
「象潟(きさかた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花」松尾芭蕉
西施は、中国の春秋時代の呉を滅ぼした傾国の美女。その越に滅ぼされた呉のエリートたちが日本に渡来して弥生時代を作ったのです。その後、越も滅ぼされ、また日本に渡来します。詳しくは下のリンク記事を。
●中国正史の書を読む梅雨空の好日。『中国正史 倭人・倭国伝全釈』『中国正史の倭国九州説 扶桑国は関西にあった』『西暦535年の大噴火』(妻女山里山通信)
ヤマアジサイ(山紫陽花)。別名は、サワアジサイ。周辺は装飾花で、中心部は両性花。ガクアジサイに比べると、花の色が色々あります。
「言問はぬ木すら味狭藍(紫陽花) 諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけり」(大伴家持 巻4 773)
(恋を語らない木ですら、紫陽花のように移ろいやすい。巧みな言葉に私は騙されてしまいました。)
「味狭藍(紫陽花)の 八重咲く如 やつ代にを いませわが背子 見つつ思はむ(しのはむ)」(橘諸兄 巻20 4448)
(紫陽花が八重に咲くように、ますます長い年月を生きてください。紫陽花を見ながらあなたをお慕いします。)
ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)。シオカラトンボのメス。オスも未熟な時はメスと同様な色合いをしています。まだ羽化直後なのでしょうか、翅がよれて眼も青くありません。ルリシジミらしきものを見かけました。
陣場平へ登る途中。落葉松の倒木を処理しようと思ったら、誰かが切ってくれていました。有り難い。道路にはみ出ていたつるを片付けました。丸太は梅雨明けにメンバーと処理しましょう。
陣場平。気温は20度ですが、前日の大雨のために湿度は100%近く。この湿度ではゼフィルスは樹冠を舞っていて下りてはきません。
貝母(ばいも・編笠百合)は全部倒れました。実はまだ弾けていません。種が飛び出すのは梅雨明けごろ。
ザトウムシ(座頭虫)。節足動物門鋏角亜門クモ綱ザトウムシ目で日本には80種類ぐらいいます。アメリカでは足長伯父さん(Daddy Longlegs)と呼ばれています。「千と千尋の神隠し」の釜爺(かまじい)のモデルであり、また「新世紀エヴァンゲリオン」のマトリエルのモデルとなっています。
ミヤマフキバッタの幼体か。ヒメギスの幼体にしては触覚が短すぎるし後ろ脚がねています。
陣場平の中央にあるクマノミズキ。花が咲いているものと結実したものが見られます。
堂平大塚古墳へ。濃緑(こみどり)の里山の向こうに晴れていれば北アルプスが見えるのですが。中腹が見えていますね。
ハハコグサ(母子草)キク科ハハコグサ属の越年草。春の七草のひとつです。里山にあると野草ですが、畑にあるとかわいそうですが雑草です。
イチヤクソウ(一薬草)。別名は 鹿蹄草(ろくていそう)といい生薬。 薬効は急性腎炎、膀胱炎、妊娠時のむくみなど。妻女山山系では貴重な花です。
葉を巻く昆虫は、オトシブミ科のオトシブミ(落し文)やハマキガ科のハマキムシ(葉巻虫)です。巻いた葉は揺籃といいます。これはどちらでしょう。後者かな。
ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)。前翅がかなり傷んでいます。飛ぶのに問題はありません。
妻女山展望台から茶臼山と右奥に虫倉山。
飯縄山の山頂は雲の中。千曲川は大雨のために増水して濁っています。南長野運動公園。右はAC長野パルセイロのホームスタジアム。今日行われた信州ダービーは、松本1-1長野でした。信州ダービーは本当に面白い。盛り上がります。
北アルプスは雲の中。夏色の空。明日からまた梅雨空に戻りそうです。
■ 「村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクル」というムサビの美大生時代に彼のジャズ喫茶でアルバイトしていた当時のブログは世界中からアクセスがあります。この文章をクリックで見られます。ロンドンに5週間住んでいて、Queenのフレデイ・マーキュリーの恋人のメアリー・オースチンが勤めていたBIBAの店で当時の私の恋人が彼女からジャケットを買った話。70年代の美大生の赤裸々な日々が見られます。
■好評だったブログ記事:「ブラジルへの郷愁」レヴィ=ストロース 川田順造訳 みすず書房。文化人類学、また構造主義におけるバイブルのひとつ(妻女山里山通信)は、都合によりリンク先の楽天ブログに移転しました。
●インスタグラムはこちらをクリック。ツイッターはこちらをクリック。YouTubeはこちらをクリック。米子大瀑布、絶滅危惧種のナミルリモンハナバチ・キバネツノトンボ・北信流など。これからどんどんアップしていきます。。
もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
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ネムノキ(合歓木、合歓の木)マメ科ネムノキ亜科の落葉高木。夜になると小葉が閉じて垂れ下がる就眠運動を行うことで眠る木といいます。
ネムノキは高さ10m以上になります。花は葉の上に咲くので、下からはよく見えません。ここは林道下の斜面に根本があるので間近で見られます。化粧の刷毛の様でもあり、線香花火の様でもあり。繊細な花です。なんとも形容し難いかすかに甘い香りがします。赤松と同様に排気ガスには弱く、我が家の山の大木は高速道路ができたら数年で枯れました。葉は合歓皮(ごうかんひ)といって漢方薬です。利尿、強壮、鎮痛、腰痛、打ち身、腫れ物、水虫、手荒れ、精神安定などに効くそうです。貝原益軒は「この木を植えると人の怒りを除き、若葉を食べると五臓を安じ、気をやわらげる」と記しています。
「昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ」 紀女郎(きのいらつめ) 『万葉集』巻八1461
(昼に咲いて、夜には恋しい想いを抱いて寝るという合歓の花を私だけに見させないで。君もここに来て見なさいな):紀女郎が大伴家持に贈った歌ですが、紀女郎は年上の人妻で、戯奴というのは目下の人を呼びかける言葉です。人妻が若者をからかったのか、誘ったのか。背景を知ると、なんとも意味深な歌です。
「合歓咲く 七つ下りの 茶菓子売り」小林一茶
江戸の八丁堀の合歓の木が咲く小腹が空く午後4時頃に、茶菓子売りの声が聞こえる様。どんな茶菓子だったのでしょう。茶饅頭か、夏だから水菓子かな。
「象潟(きさかた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花」松尾芭蕉
西施は、中国の春秋時代の呉を滅ぼした傾国の美女。その越に滅ぼされた呉のエリートたちが日本に渡来して弥生時代を作ったのです。その後、越も滅ぼされ、また日本に渡来します。詳しくは下のリンク記事を。
●中国正史の書を読む梅雨空の好日。『中国正史 倭人・倭国伝全釈』『中国正史の倭国九州説 扶桑国は関西にあった』『西暦535年の大噴火』(妻女山里山通信)
ヤマアジサイ(山紫陽花)。別名は、サワアジサイ。周辺は装飾花で、中心部は両性花。ガクアジサイに比べると、花の色が色々あります。
「言問はぬ木すら味狭藍(紫陽花) 諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけり」(大伴家持 巻4 773)
(恋を語らない木ですら、紫陽花のように移ろいやすい。巧みな言葉に私は騙されてしまいました。)
「味狭藍(紫陽花)の 八重咲く如 やつ代にを いませわが背子 見つつ思はむ(しのはむ)」(橘諸兄 巻20 4448)
(紫陽花が八重に咲くように、ますます長い年月を生きてください。紫陽花を見ながらあなたをお慕いします。)
ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)。シオカラトンボのメス。オスも未熟な時はメスと同様な色合いをしています。まだ羽化直後なのでしょうか、翅がよれて眼も青くありません。ルリシジミらしきものを見かけました。
陣場平へ登る途中。落葉松の倒木を処理しようと思ったら、誰かが切ってくれていました。有り難い。道路にはみ出ていたつるを片付けました。丸太は梅雨明けにメンバーと処理しましょう。
陣場平。気温は20度ですが、前日の大雨のために湿度は100%近く。この湿度ではゼフィルスは樹冠を舞っていて下りてはきません。
貝母(ばいも・編笠百合)は全部倒れました。実はまだ弾けていません。種が飛び出すのは梅雨明けごろ。
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陣場平の中央にあるクマノミズキ。花が咲いているものと結実したものが見られます。
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ハハコグサ(母子草)キク科ハハコグサ属の越年草。春の七草のひとつです。里山にあると野草ですが、畑にあるとかわいそうですが雑草です。
イチヤクソウ(一薬草)。別名は 鹿蹄草(ろくていそう)といい生薬。 薬効は急性腎炎、膀胱炎、妊娠時のむくみなど。妻女山山系では貴重な花です。
葉を巻く昆虫は、オトシブミ科のオトシブミ(落し文)やハマキガ科のハマキムシ(葉巻虫)です。巻いた葉は揺籃といいます。これはどちらでしょう。後者かな。
ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)。前翅がかなり傷んでいます。飛ぶのに問題はありません。
妻女山展望台から茶臼山と右奥に虫倉山。
飯縄山の山頂は雲の中。千曲川は大雨のために増水して濁っています。南長野運動公園。右はAC長野パルセイロのホームスタジアム。今日行われた信州ダービーは、松本1-1長野でした。信州ダービーは本当に面白い。盛り上がります。
北アルプスは雲の中。夏色の空。明日からまた梅雨空に戻りそうです。
■ 「村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクル」というムサビの美大生時代に彼のジャズ喫茶でアルバイトしていた当時のブログは世界中からアクセスがあります。この文章をクリックで見られます。ロンドンに5週間住んでいて、Queenのフレデイ・マーキュリーの恋人のメアリー・オースチンが勤めていたBIBAの店で当時の私の恋人が彼女からジャケットを買った話。70年代の美大生の赤裸々な日々が見られます。
■好評だったブログ記事:「ブラジルへの郷愁」レヴィ=ストロース 川田順造訳 みすず書房。文化人類学、また構造主義におけるバイブルのひとつ(妻女山里山通信)は、都合によりリンク先の楽天ブログに移転しました。
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もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー。
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