中尾山-茶臼山トレッキングの翌日に、今度は妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々で、信州は松代町東条にそびえる奇妙山に登りました。奇妙山は、行基が留錫(りゅうしゃく)した地で、臨死再生の修験の山です。古名を帰命山といい、一名を佛師嶽、佛師ケ嶽といいます。帰命とは、「仏の救いを信じ、身命を投げ出して従うこと。帰依」ということで、奇妙奇天烈な山ということではないのです。つまり修験の山であり、また、山頂には古い山城の遺構があります。茶臼山はハイキングでしたが、奇妙山は桁違いのハードなトレッキングでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/93/120c21ae07cb663d13ebd4a2611c41c8.jpg)
まず車を岩沢集落の一番上にある駐車スペースに置き、一旦あんず畑の中を下って清滝を目指します。途中、清滝観音堂(真言宗)に参拝。行基が千手観世音菩薩を掘り安置し、後に坂上田村麻呂が堂塔を創建したと伝わる古刹です。滝本の集落に入り、清滝と阿弥陀堂に参拝。滝の水はほとんど涸れていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/96/5fa9e252add5119894fd68e07e8e24c9.jpg)
山麓には、マルバルコウソウ(丸葉縷紅草)の群落がありました。熱帯アメリカ原産で、江戸時代に観賞用として持ち込まれたそうですが、なぜこの山にだけあるのか不思議ですね。花は少なくタイアザミでしょうか、わずかに見られた程度です。谷筋にはサポニンが含まれるため石けんの代用として使われた幹が棘だらけのサイカチも見られます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/b9/8266ebf86ebe1b8214fe79ebadfae950.jpg)
滝本の上の林道から振り返ると奇妙山の30mの崖が見えました。崖は垂直ではなく三段ぐらいに別れているのですが、尾根が狭く両側が崖なので、高度感はあります。凍結した積雪期に下りた事があるので、実は私が一番恐れていたかもしれません。やはり4月に下りたことのあるKさんを除いて皆初体験なので、相当不安だったと思います。奇妙山 崖で検索しても、私のサイトぐらいしか出て来ないので、恐らく登る人はほとんどいないと思われます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/a4/3789d64818206b62619ae9d78948c6ad.jpg)
尾根に乗るまで長い長い林道歩きを強いられるのですが、途中ショートカットのために藪山を急登しました。そして尾根に乗ったら林道を外れて急登をこなし、ひとつピークを越えた先で問題の30mの崖。まず経験者のKさんに先導してもらい、上から指示をしてもらうことに。やはり経験のある私がしんがり。ザイルが下がっている高さ6m程の崖を登ります。登った先が斜めのテラスで、そこを>の字に登ってまず一段クリア。ここが一番大変なので、これさえ登ればなんとかなります。ただ両側が崖で、その下は急斜面。さらにその下がまた崖ということで、高度感はたっぷり。このルートは、中級者以上におすすめします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/ac/75fe81d2d83a1e9d1d986c2d5d8ccc65.jpg)
折り重なった岩を乗り越えたり、岩の縁を巻いたりして登って行くと、目の前に神官像が現れます。真冬の単独登山で、これを最初に見た時には驚きました。どうやって持ち上げたのだろうと。それ以上にその時は、この凍結した崖を下りられるのだろうかと10分ぐらい悩みましたが(笑)。石像は、東側の赤野田の集落の人が運び上げたらしいのです。御岳信仰のもので、御岳山の方角を向いています。崖の先端に立つその像は、非常に荘厳な感じがします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/e1/3f905d55adfc4603aab0608d79f6d814.jpg)
石像からは東西南の山脈がよく見えます。眼下には皆神山。その手前には、こちらを見上げて写真を撮影した畑の道も見えます。道路には熊の檻が置かれていました。石像からは、また岩登りをしてからやせ尾根を進みます。空掘りを二つ超えるとやっと山頂です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/7d/bed60bdea1d6d6f7799ca4ffbb9473a3.jpg)
山頂は、東山城跡(清滝城跡)の本郭で、鎌倉から室町の築城といわれています。東條氏の尼巌城跡の支城ともいわれますが、不詳です。 足利勢が鎌倉を奪回し、中先代の乱が収束すると信濃守護の小笠原貞宗は北朝側の武将として転戦。1336年(建武3年)に北条勢の残党が立て篭もる東山城を村上信貞らと共に攻略したと伝わっています。さらに古代には修験の山で、行基にまつわる伝説が数多く残っています。
昼は、N氏が持って来た沖縄料理の数々。ラフテー、ミミガー、島ラッキョなど。S氏はお手製の奈良漬けと八角の効いた豚の角煮。そして私が持参した時候坊(ハナイグチ)とネギを入れたラーメンなど。ゆるゆると、まったりとした午餐が繰り広げられたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/c1/3148401e0a228451177e18dee17c9329.jpg)
帰りの高見岩からの展望。北アルプスは霞んでいましたが、茶臼山まではよく見えました。帰路は、通常の登山道で尼巌山との鞍部に下ります。そこから出発点の岩沢の駐車スペースへ。近くの天の岩戸へ立ち寄る提案をしたのですが、却下されました。いつかの尼巌山登山の時までとっておきましょう。その代わり、西条の舞鶴山にある白鳥神社へ、まるで生き馬のようといわれる立川流和四郎富昌の木造神馬像を見に行ったのですが、格子戸があり暗くてよく見えません。LEDのソーラー式センサーライトぐらいつけてくれてもいいんじゃないでしょうか。その後、疲れを癒しに温泉に入り、慰労会会場へと向かいました。来春は、もう少し優しい山で、山菜天ぷらパーティーをしようと思います。来月は、妻女山SDPで、手打ちキノコうどんパーティーを、Kさんのログハウスで行う予定です。
◉この奇妙山も掲載の『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真とコース地図。レアなバリエーション・コースなど3コースも。
■【奇妙山】今回のトレッキングの詳細なフォト・ルポです。
ハイビジョンでご覧頂くには、Youtubeのページを開いて720dpiを選択してください。
■【清滝-奇妙山】雪のある奇妙山へバリエーション・ルートで挑戦。雪のある30mの崖を命がけで下った超ハードな1月下旬のトレッキング。
■【奇妙山】イカリソウやクルマバソウが咲く、5月の通常コースでの奇妙山トレッキング。
■【信州の里山】キノコの汚染と除染について
腐生菌と菌根菌(腐生の約10倍汚染)除染方法等。
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■『国分寺・国立70Sグラフィティ』夏に似合うジャズアルバム。村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の気怠い夏。現在発売中の光文社『フラッシュ』1258号の、村上春樹特集の最後のページに、私のインタビュー記事が載っています。
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まず車を岩沢集落の一番上にある駐車スペースに置き、一旦あんず畑の中を下って清滝を目指します。途中、清滝観音堂(真言宗)に参拝。行基が千手観世音菩薩を掘り安置し、後に坂上田村麻呂が堂塔を創建したと伝わる古刹です。滝本の集落に入り、清滝と阿弥陀堂に参拝。滝の水はほとんど涸れていました。
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山麓には、マルバルコウソウ(丸葉縷紅草)の群落がありました。熱帯アメリカ原産で、江戸時代に観賞用として持ち込まれたそうですが、なぜこの山にだけあるのか不思議ですね。花は少なくタイアザミでしょうか、わずかに見られた程度です。谷筋にはサポニンが含まれるため石けんの代用として使われた幹が棘だらけのサイカチも見られます。
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滝本の上の林道から振り返ると奇妙山の30mの崖が見えました。崖は垂直ではなく三段ぐらいに別れているのですが、尾根が狭く両側が崖なので、高度感はあります。凍結した積雪期に下りた事があるので、実は私が一番恐れていたかもしれません。やはり4月に下りたことのあるKさんを除いて皆初体験なので、相当不安だったと思います。奇妙山 崖で検索しても、私のサイトぐらいしか出て来ないので、恐らく登る人はほとんどいないと思われます。
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尾根に乗るまで長い長い林道歩きを強いられるのですが、途中ショートカットのために藪山を急登しました。そして尾根に乗ったら林道を外れて急登をこなし、ひとつピークを越えた先で問題の30mの崖。まず経験者のKさんに先導してもらい、上から指示をしてもらうことに。やはり経験のある私がしんがり。ザイルが下がっている高さ6m程の崖を登ります。登った先が斜めのテラスで、そこを>の字に登ってまず一段クリア。ここが一番大変なので、これさえ登ればなんとかなります。ただ両側が崖で、その下は急斜面。さらにその下がまた崖ということで、高度感はたっぷり。このルートは、中級者以上におすすめします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/ac/75fe81d2d83a1e9d1d986c2d5d8ccc65.jpg)
折り重なった岩を乗り越えたり、岩の縁を巻いたりして登って行くと、目の前に神官像が現れます。真冬の単独登山で、これを最初に見た時には驚きました。どうやって持ち上げたのだろうと。それ以上にその時は、この凍結した崖を下りられるのだろうかと10分ぐらい悩みましたが(笑)。石像は、東側の赤野田の集落の人が運び上げたらしいのです。御岳信仰のもので、御岳山の方角を向いています。崖の先端に立つその像は、非常に荘厳な感じがします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/e1/3f905d55adfc4603aab0608d79f6d814.jpg)
石像からは東西南の山脈がよく見えます。眼下には皆神山。その手前には、こちらを見上げて写真を撮影した畑の道も見えます。道路には熊の檻が置かれていました。石像からは、また岩登りをしてからやせ尾根を進みます。空掘りを二つ超えるとやっと山頂です。
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山頂は、東山城跡(清滝城跡)の本郭で、鎌倉から室町の築城といわれています。東條氏の尼巌城跡の支城ともいわれますが、不詳です。 足利勢が鎌倉を奪回し、中先代の乱が収束すると信濃守護の小笠原貞宗は北朝側の武将として転戦。1336年(建武3年)に北条勢の残党が立て篭もる東山城を村上信貞らと共に攻略したと伝わっています。さらに古代には修験の山で、行基にまつわる伝説が数多く残っています。
昼は、N氏が持って来た沖縄料理の数々。ラフテー、ミミガー、島ラッキョなど。S氏はお手製の奈良漬けと八角の効いた豚の角煮。そして私が持参した時候坊(ハナイグチ)とネギを入れたラーメンなど。ゆるゆると、まったりとした午餐が繰り広げられたのでした。
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帰りの高見岩からの展望。北アルプスは霞んでいましたが、茶臼山まではよく見えました。帰路は、通常の登山道で尼巌山との鞍部に下ります。そこから出発点の岩沢の駐車スペースへ。近くの天の岩戸へ立ち寄る提案をしたのですが、却下されました。いつかの尼巌山登山の時までとっておきましょう。その代わり、西条の舞鶴山にある白鳥神社へ、まるで生き馬のようといわれる立川流和四郎富昌の木造神馬像を見に行ったのですが、格子戸があり暗くてよく見えません。LEDのソーラー式センサーライトぐらいつけてくれてもいいんじゃないでしょうか。その後、疲れを癒しに温泉に入り、慰労会会場へと向かいました。来春は、もう少し優しい山で、山菜天ぷらパーティーをしようと思います。来月は、妻女山SDPで、手打ちキノコうどんパーティーを、Kさんのログハウスで行う予定です。
◉この奇妙山も掲載の『信州の里山トレッキング東北信編』川辺書林が発売中。平安堂やAmazonで。カラー668枚の写真とコース地図。レアなバリエーション・コースなど3コースも。
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■【清滝-奇妙山】雪のある奇妙山へバリエーション・ルートで挑戦。雪のある30mの崖を命がけで下った超ハードな1月下旬のトレッキング。
■【奇妙山】イカリソウやクルマバソウが咲く、5月の通常コースでの奇妙山トレッキング。
■【信州の里山】キノコの汚染と除染について
腐生菌と菌根菌(腐生の約10倍汚染)除染方法等。
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■『国分寺・国立70Sグラフィティ』夏に似合うジャズアルバム。村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の気怠い夏。現在発売中の光文社『フラッシュ』1258号の、村上春樹特集の最後のページに、私のインタビュー記事が載っています。