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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

思わず可愛ええと呟いたキバネツノトンボは、今や希少種。虫コブも発見 (妻女山里山通信)

2013-05-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 このところ善光平(長野盆地)は晴天続きなのですが、午後になると5-8メートルの強風が吹きます。そんな中、山の除草に行くとイネ科の植物の茎に抱きついている黄色い虫を発見しました。なんだろうと近づいてみるとキバネツノトンボ(黄翅角蜻蛉)。各地で絶滅種や絶滅危惧種に指定されている希少種。前翅が透明で、後翅が黒と黄色の編み目模様とパリコレ真っ青のお洒落な配色。

 トンボというけれどトンボではなく、アミメカゲロウ目ツノトンボ科。学名は、Ascalaphus ramburi。幼虫は、ウスバカゲロウの仲間なのでアリ地獄に似ているけれど、アリ地獄は作らず徘徊して小さな虫を捕食するようだ。

 クマノミズキは、既に咲き終わっているのですが、サワフキを採りに森に入ると、ミズキが咲いていました。クマノミズキの葉は対生で、ミズキの葉は互生。クマノミズキは、花期がミズキより一ヶ月程早いのが特徴なんですが、この対生と互生というのが非常に分かりにくいのです。よく見ないと分からない。で、クマノミズキの葉の方がやや大きく細長い。ミズキはやや小さく丸っこい。ふたつ並べてようやく、ああそうかと分かる位です。実は緑から赤、黒と変化し、鳥や熊などの食料になります。

 シナノタンポポ(信濃蒲公英)が種を飛ばし始めました。高さが50センチはあります。もっと大きいのはないかと探したら、70センチというのがありました。在来種カントウタンポポの亜種で、ともに染色体数が2倍体なので受粉しないと種子ができません。外見上は、総苞片全体の大きさが太く、外総苞片と内総苞片の先端の小角突起とが全く無く、緑色した外総苞片と内総苞片の色の濃さが薄いなどの特徴があります。最近は西洋タンポポとの交雑種も見られます。

 クサノオウ(瘡の王)の群落が咲き誇っています。ケシ科クサノオウ属。別名は、皮癬草(ひぜんくさ)。生薬名は、白屈菜(はっくつさい)といいますが、非常に毒性が強いものです。瘡(くさ)・丹毒(たんどく)・湿疹を治す薬効があるために、くさ(瘡)の王と呼ばれるようになったとか。茎は中空で、折ると白汁が出て、橙黄色に変化します。北信濃では、里山の林道脇にたくさん咲くのが見られます。決して口にしないように。

 コナラにできたナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。ナラリンゴタマバチによって作られた虫コブ(虫えい・ゴール)です。ナラメリンゴタマバチ(雌)が交尾後、コナラの根に楢根玉五倍子(ナラネタマフシ)を作ります。そこから冬に羽化した雌が単性生殖でコナラの冬芽に産卵し、それがこのような五倍子(フシ)を形成するのです。
  虫コブは古くから利用されてきました。マタタビはマタタビミミタマバエの作る虫コブができて初めて価値あるマタタビ酒になります。また、ヌルデ(白膠木)の若芽や若葉などにヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶ(ヌルデミミフシ)は、お歯黒、染め物、薬、インク、占いなどに使われてきました。特に染料は、空五倍子色という伝統色で、古代より(正倉院にあり)珍重されてきました。
 虫コブは、物理的刺激や植物の生長を促進する物質(植物ホルモンやアミノ酸など)により形成されますが、現在は人工的に虫コブを作る研究もされているようです。しかもフシはなにも虫だけによってつくられるのではなく、ダニ類、線虫類、細菌、菌類によっても作られます。ですから虫コブや虫えいよりは、英語の GALL(ゴール)といった方が適切かもしれません。もっとも、植物寄生菌類の多くは果樹や野菜に多大被害をもたらすものばかりですが。現在、日本では1400種以上のゴールが見つかっています。実に奥が深い世界です。

 薄紫のキリ(桐)の花が咲き誇っています。強風が吹くとポトッポトッと落ちて、辺り一面に白粉のような匂いが漂います。遠くに象山と皆神山が霞んでいますが、これは靄(もや)ではなく、強風による砂埃のためです。わずかですが放射性物質も舞上がっているはずです。ゴーグルとマスクは必須です。なにせたった一粒で肺癌になるという史上最強の猛毒プルトニウムが飛散したのですから。吸引内部被曝すれば、晩発性障害は必ず出ます。

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シェルのランプシェードの様な翅が美しいウスバシロチョウの交尾は女性上位 (妻女山里山通信)

2013-05-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 久しぶりの妻女山山系を訪れると、芽吹きの新緑の森はすっかり濃い緑へと変わっていました。木漏れ日の林道を歩き、陣場平へ登ると、氷河期の生き残りと言われるウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)が、優雅に舞っていました。太陽蝶といわれるように、日が昇ると盛んに舞い始めるのです。吸蜜する花が、まだヒメオドリコソウ、ミツバツチグリ、カナムグラぐらいしかないので、なかなか留まりません。撮影には難儀しました。6月に入ると彼らが大好きなハルジオンが大量に咲き始めるので、そうなるとシャッターチャンスは格段に増えます。

 それでも辛抱強く待つと、ミツバツチグリで吸蜜する雌に雄が背後から交尾を迫りました。この雌は、まだ交尾をした印のスフラギスという交尾嚢(交尾を終えた雄が雌につける、つまり貞操帯)はなかったのですが、あっさりとふられてしまいました。優雅に舞うと書きましたが、実際は翅を羽ばたかせる角度が狭いためバタバタ舞う感じですが、高い樹冠からスーッと舞い降りて来る様は、言いようの無いほど優雅です。

 すると別のカップルが足下に。交尾中でした。雌が交尾したまま雄を引きずって、ヤエムグラやカナムグラ、ミツバツチグリのジャングルを抜けて行きます。手を出したら、腕にまで登ってきました。つまんでフキの葉に戻すと、そこは雌がお気に召さなかったようで、また下へ。やがてススキの若葉が気に入ったらしく、そこで静かに交尾を続けました。上が雌で、下の雄を翅でしっかり抱えています。雄は脚も宙ぶらりんでなすがまま。女性上位です。
 シェルのランプシェードの様な白く透けた翅は、逆光で撮ると、その美しさがひと際引き立ちます。

 用があるので後ろ髪を引かれつつ山を下りる途中、秘密のギンランが小さく群生する場所に寄りました。まだ少し早かったのか、わずかに二本だけ。高さは20センチもなく。他の植物に隠れているため、たとえ足下にあっても気づく人は稀でしょう。そして、蕾に見える花は、これでもほぼ全開なのです。せいぜいもう少し開いてキョが見えるだけ。本当に慎ましい花です。各地で絶滅危惧種になっている貴重な山野草でもあります。園芸店には売られていることもありますが、育ちません。運が良ければ二年ぐらいはもつかもしれませんんが、そこまでです。それは、ラン科植物はラン菌根と呼ばれる独特の菌根を形成して、菌根から栄養分を摂取するからですが、樹木の根に外菌根を形成し共生している菌、外菌根菌が必須だからなのです。よって鉢植えでは絶対に育ちません。共生相手である特定種の樹木が必要なのです。ですから、育ててみようと採取してくることは、まず100パーセント無駄なわけです。

 妻女山山系は、新緑をバックに、ヤマツツジの赤い花と、コバノガマズミの白い花とで紅白に染まっています。コバノガマズミの雄しべは、目出たいよう嬉しいようと小さな子供が皆で万歳しているように見えるのですが・・。もうじきシロバナオドリコソウやクルマバソウ、アマドコロなど梅雨前の花が咲き始めます。


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雪降って半月ちょっとで29度の信州。体が追いつかない (妻女山里山通信)

2013-05-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 4月21日の長野マラソンの日は雪が降って、その後も低温が続き、いつになったらコタツやストーブが仕舞えるのだろうと思っていたら、いきなりの29度。これには参りました。驚いたのは人間だけではないようで、信州では果樹に相当の被害が出ました。GWに、忙しくなる前にと近隣の里山を回って来ました。

 茶臼山展望台では、山桜が満開の山村と雪型が現れ始めた北アルプスの絶景が迎えてくれました。林間ではオオカメノキが純白の花を浮かべていました。妻女山山系では、ヤマツツジ、マルバアオダモ、ウワミズザクラが咲き始めました。Kさんのログハウスへ行くと、ヤマシャクヤクが開きそう。この花は花期が2、3日と短いので、満開の瞬間に出合えるのが非常に難しいのです。


 林道のコンクリートブロックの上では、ルリタテハが日向ぼっこ。人の気配に敏感ですぐに逃げてしまうため、撮影が難しい蝶なのですが、必ず戻ってくるので、追わずに辛抱強く待ちます。結局三回逃げられましたが、やっとのことで撮影に成功。


日当りのいい斜面にはタチツボスミレの群生もあちこちに見られる様になりました。氷河期の生き残りといわれるウスバシロチョウが優雅に舞い始めるのもまもなくでしょう。それにしても、いきなりの29度には参りました。


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妻女山SDP初仕事は、危険極まりない伐採作業だった(妻女山里山通信)

2013-05-04 | ジョブ
 連休だというのに妻女山SDP初仕事となりました。朝8時半に集合して現場へ。作業経過の写真を番号入りで添付しますので、別ウィンドウで開いてお読みください。事前に現場の写真をもらって大変だということは分かっていたのですが、実際に現場を見て全員がフリーズしました(1)。20mを超える杉と樅の大木の真下には家。そしてすぐ側には6000ボルトの電線。ごめんなさいして帰る気分でしたが、そうもいかず作業開始。

 まず中でも簡単そうな杉から倒す事に。仕事を受けたK氏が梯子をかけてロープを結びます。家や電線の方に倒れない様に固定するのです。ところが杉をよく見ると、昔先端を二回ほど切ったようで株立ちしています(2)。しかも、その下から横に大きな支枝が上へ伸びているのです。つまり、重心がどこにあるか掴めない。これは非常に危険です。

(1)の写真手前に倒したいので、受け口をこちら側に作ります(3)。それで伐採したのですが、真北に倒れてしまいました(4)。重心が真北にあったようです。ちょうどガレージと電線の間に倒れたのが幸いでしたが、少しでもずれると、ガレージ粉砕か、電線切断となるところでした。みな冷汗。倒した後は全員でチェーンソーで枝の切り落とし作業(5)。すごい量です。

 すると依頼主から、赤松と杏と柾 (まさき)も切ってくれないかと要望が。ということで、まずは柾の薮を処理してから杏を伐採中(6)。60センチを超える幹の根元は空洞化してうろになっていました。中にはセルロースのスポンジが(7)。

 そして最後は、樹齢50年を超える樅の木の伐採。これが一番の難題。なにせ直下には家。上には6000ボルトの電線。下には電線、斜めに電柱のワイヤー。まずは入念に作戦会議。杉は結果オーライでしたが、失敗してますしね。まず、高所作業車で、N氏が乗って枝を下から切って行きます(9)。下にも電線があるので慎重に。この樅の木というのは、重いのです。枝も半分位切ると自重で折れます。総重量は、軽く7、8トンはあるでしょう。

 最高部は20m位。アームも限界。そしてロープを結んで落とす方向を制御しながら上から玉切りしていきます(12)。下へ来るほど太くなるので、200キロ以上になります。落とすとドカーンという音と地響き。通りかかったちびっ子が目をむいて驚いていました。最後に3m位になったところでくさびを入れて倒しました。ここで危険な作業は終了で記念撮影(13)。最後に倒した主幹は1トン以上。50センチ位に玉切りしても、とても人力ではトラックに積み込みできません。クレーンを使ってつり上げて積載。そして枝の積み込みがまた大変でした。結局作業が終了して解散が6時半。もう疲れ切って帰りましたw。それから、ご近所の皆様、連休だというのに一日中チェーンソーの音を響かせて大変お騒がせしました。この場を借りてお詫び申し上げます。

 こんな危険な作業を請け負うなんて相当のプロと思われるかもしれませんが、全員林業関係者でも造園業でもありません。ただの素人。まあ、妻女山里山デザイン・プロジェクトで山林作業はお手の物ですが、住宅街は初体験。建築関係と電気関係のプロがいたので出来た様なものですが、山の様にただ倒せばいいというものではありませんでした。これで屋根に穴開けたり、電線ぶった切って怪我人でも出たら、夜のローカルニュースのネタになってしまいますからね。いやあ無事に終えて良かった。と同時に、我々の持っているスキルの意外な高さを認識した仕事でもありました。伐採というのは体力と同時に高度な頭脳労働だと再認識しました。まあ、こんな困難な仕事は二度と受けることはないでしょうけれど。

 依頼主の老夫婦が、本当に喜んでくれたのが幸いでした。それと、休憩時間に依頼主のおばさんが出してくれた長芋の糠漬けが大変美味でした。茄子と野沢菜のおやきも美味しゅうございました。

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■今年は、福島や首都圏、東京で、放射能による突然死や疾病が顕在化する。身近な人や文化人、芸能人が犠牲になることで・・。それは既に始まっている。福島第一原発からの放射性物質の総排出量は、約90万テラベクレル(テラは1兆)で、原爆の約170倍。空間だけで現在も毎時1000万ベクレル。毎日2億4000万ベクレルが放出中。収束は嘘。さらに地中から海へ流れ出ている総量は見当すらつかない有様。1、2、3号機は、もう手が付けられないレベル。石棺すらできない。4号機はなんとか修理しているが、使用済み核燃料プールが崩壊したら日本は終わり。米でさえ、すでに流れは脱原発。GEのトップでさえそう言明している。米が日本に原発続けさせたいのは、劣化ウランが欲しいから。そして、自国の財政破綻を救うため、TPPで日本から、血の最後の一滴までもぎ取ろうとしている。それに加担する原発村企業官僚自公民マスコミの隷属グループ。正に彼らこそ日本を滅亡に導く真の売国奴。
チェルノブイリ事故との比較

■千年に一度の地震多発期にある日本。富士山の大噴火に始まった貞観地震の時には、9年後に関東大地震が起き、間に大噴火がふたつ。18年後には、東海、東南海、南海地震が連動したともいわれる仁和地震が起きている。今回もM9の大地震なので、100パーセント噴火があり、1~10年の間に必ず大地震が起きる。速やかに全ての原発を廃炉にし、核燃料を安全な場所に移さないと、間違いなく日本は滅亡する。高レベル廃棄物の処理方法はなく、その見通しさえたっていない。六ヶ所村ももうすぐ満杯。大地震で六ヶ所村が崩壊すれば、その時は人類の終わり。それだけの核廃棄物がある。われわれに時間の猶予はない。

■歴史は繰り返す:864年:富士山噴火/868年:播磨国地震(阪神)/869年:貞観地震M9・貞観津波(東北)/871年:鳥海山噴火/874年:開聞岳噴火/878年:相模武蔵地震(関東)M 7.4/887年:仁和地震(東海南海地震)M9(M=推定)

■原発情報は、左のツイッターで。
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