朝から晴天となれば撮影に行かないわけにいきません。最高気温が34度が恐怖でしたが、オオミドリシジミの現場に着くともの凄い湿度。ああ、これは駄目だなと思った通り下に舞い降りて来ません。これでは撮影にならないと森の奥へ行くことにしました。望み薄ですが…。
むせ返るような高湿度の中を林道を歩いて藪山へ。獣道ぐらいしかないので熟知していないと遭難します。2キロほど彷徨いましたがめぼしいものはありませんでした。諦めて昼食を食べてから少し湿度が下がった明るいギャップへ。
いました。キマダラセセリ(黄斑せせり蝶)。幼虫の食草は、ススキなどのイネ科の植物、ミヤコザサなど。止まるときの翅の閉じ方が特徴的。地味なセセリチョウの中では、ひときわ派手なチョウです。セセリチョウ科セセリチョウ亜科。
葉の上に止まったアカシジミと思ったら翅の色が薄い。文様の特徴などを調べたら、どうもキタアカシジミ(カシワアカシジミ)っぽい。以前近くで撮影したアカシジミと比べても、その差は歴然としています。アカシジミ(赤小灰蝶:Japonica lutea)。シジミチョウ科ミドリシジミ亜科。幼虫の食樹は、コナラ、クヌギ、カシワなどで、新芽を好んで食べます。カシワアカシジミといわれる所以でしょう。
ツバメシジミ(燕小灰蝶)。シジミチョウ科ヒメシジミ亜科。食草はマメ科の植物。メスは翅の表面の色が青から茶褐色まで変異がありますが、これは茶褐色だったのでメスですね。ちょこまか動くので撮影が大変でした。葉の上に止まったときに、にじにじと回転するのはどういう理由があるのでしょう。
(左)開張したツバメシジミのメス。(右)ルリシジミ(瑠璃小灰蝶:Celastrina argiolus Linnaeus)シジミチョウ科ルリシジミ属。幼虫の食草はマメ科、バラ科、ミズキ科、タデ科、ミカン科などの花。食草の種類が多いためか、北信濃では比較的よく見られるシジミチョウです。ヤマトシジミと似ていますが、後翅の斑紋の違いや濃さ、目の色がルリシジミは黒、ヤマトシジミは灰褐色などで分かります。飛翔の際の大きなオスの瑠璃色の羽はとても美しく見応えがあります。
(左)ミナミヒメヒラタアブ(南姫平田虻:Sphaerophoria indiana)のオス。体長は10ミリもありません。以前メスを抱えて飛行しながら交尾する様を撮影したことがあります。下のリンクは、その記事。キタヒメヒラタアブはロシアまで。
◉ネオニコの空中散布のない長野市茶臼山は昆虫の天国(妻女山里山通信):2015年7月の記事です。リンク記事も必読です。虫の次に滅びるのは人間です。
(右)ホソヒラタアブ(細平田虻:Episyrphus balteatus ) 双翅目 ハナアブ科。複眼がくっついているのでオス。体長は9から11ミリ。腹部が平たく、太細の縞模様が特徴。器用にホバリングしながら吸密します。幼虫はアブラムシを食べます。人間にとっては益虫ですが、モンサントのラウンドアップなど、ネオニコチノイド系やグリホサート系の除草剤や殺虫剤を使うと絶滅し、野菜や果樹、野草の受粉ができなくなってしまいます。
(左)ミヤマウグイスカグラの赤い実。食べられますが冷やした方がいいでしょう。(中)ムラサキシキブではなくてコムラサキの花。小さな実がぎっしりとなります。(右)オカトラノオの群生地があちこちで見られます。
(左・中)なんだろうと思いましたがボタンヅルの様です。毒草です。センニンソウと共に初秋の花だと思っていましたが、今頃咲くこともあるのですね。これはもう結実しています。(右)森の中の朽木に粘菌のマメホコリ。拙書のコラムでも3ページに渡って南方熊楠にも触れて書いています。粘菌の写真も多く、人気のエッセイです。
(左)こんな怪しい獣道しかないような、知らなければとても歩けない森を辿ります。(中)十人平(じゅうにんびら)と呼ばれる檜の植林地。イノシシのヌタ場があります。(右)高句麗の渡来人(ツングース系の騎馬民族で馬産を伝えたという)が作ったといわれる積石塚古墳。いくつもありますが、ここに至る道がないため知っている人は僅かです。発汗が凄いので水分を摂りながら歩いたのですが、戻ったときは脱水症状での脚の痙攣が起きてしまいました。こういうときは経験上、水分だけでなく生の味噌が有効です。味噌きゅうりを持参しましょう。
(左)信州も6月29日に梅雨明けした模様。観測史上最速とか。土曜日は朝から撮影に。妻女山松代招魂社へ。19日に羽化は確認していましたが、雨が降らないので地面に下りてきません。前日雨が降ったので招魂社の社殿の左側、左から二枚目の戸の格子にオオムラサキが止まっています。(右)気配を殺してそっと近づくと、雨水が染みたところで吸水していました。すぐ先の道路に水たまりがあり、そこでも吸っていましたがこちらの方がお好みの様です。早朝にしたばかりのイノシシの糞を吸うこともあります。
なかなかアップを撮らせてくれなかったのですが、粘り強く待ってやっと撮影できました。それ以外の時間は、ただ飛び回っているのを観察するか、どこかに消えてしまったので展望台に訪れた人にガイドしたり。いつ来るか分からない待ち人をひたすら待つだけなのです。今回ここで見られたのはわずか二頭。少ないです。心配です。これはオスですが、まもなくメスが羽化し始めます。多い年は、数十頭の群舞が見られたのですが、なぜ激減したのでしょう。2012年から2015年までの千曲市によるネオニコチノイド系農薬の散布が原因か。一日45000台が通る麓の高速道路と国道の排気ガスによる土壌の酸性化が原因か。赤松だけでなく、ネムノキ、ヤマザクラ、杉や檜も枯れています。
妻女山展望台からの北東、中野市の高社山方面の展望。光っているのはエム・ウェーブです。エム・ウェーブ自体が光っているのではなく、太陽の光の反射がこの展望台にジャスピンで届いているのです。その右向こうが拙書にも掲載の高社山。さらに右へ志賀高原の山々。
この日は東京、埼玉、群馬、地元からと歴史マニアが5組訪れました。撮影の合間にガイドをし、拙書やブログも紹介しました。皆さん歴史に対する興味や憧憬が深く、質問もしてくださって有意義な時間を過ごせました。今回は皆さんに長野インター近くの武田信繁の墓がある典厩寺をおすすめしました。ここの歴史館は必見です。おそらく全て本物です。長野市の最高気温は、35.4度の猛暑日。しかし、山の上は風が吹き抜け31度。暑い日は山に行くことをお勧めします。
◉武田典厩信繁の墓と全国随一の大きさの閻魔大王像がある典厩寺探訪(妻女山里山通信):お勧めです。展示品の一部を掲載しています。
後日、買い物帰りに陣場平へ寄りましたが、ウラナミアカシジミを一頭見ただけ。空梅雨で梅雨明けが異常に早かったため、梅雨中にはなんとか出ていた樹液も出なくなりました。昆虫が異常に少ない。オオスズメバチもカブトムシもいません。オオムラサキも数えるほど。ミヤマフキバッタもほとんど見られません。花も例年ならオカトラノオの青海波の様な群生があちこちで見られるのですが、花穂が小さい。今後どうなるのか気がかりです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
むせ返るような高湿度の中を林道を歩いて藪山へ。獣道ぐらいしかないので熟知していないと遭難します。2キロほど彷徨いましたがめぼしいものはありませんでした。諦めて昼食を食べてから少し湿度が下がった明るいギャップへ。
いました。キマダラセセリ(黄斑せせり蝶)。幼虫の食草は、ススキなどのイネ科の植物、ミヤコザサなど。止まるときの翅の閉じ方が特徴的。地味なセセリチョウの中では、ひときわ派手なチョウです。セセリチョウ科セセリチョウ亜科。
葉の上に止まったアカシジミと思ったら翅の色が薄い。文様の特徴などを調べたら、どうもキタアカシジミ(カシワアカシジミ)っぽい。以前近くで撮影したアカシジミと比べても、その差は歴然としています。アカシジミ(赤小灰蝶:Japonica lutea)。シジミチョウ科ミドリシジミ亜科。幼虫の食樹は、コナラ、クヌギ、カシワなどで、新芽を好んで食べます。カシワアカシジミといわれる所以でしょう。
ツバメシジミ(燕小灰蝶)。シジミチョウ科ヒメシジミ亜科。食草はマメ科の植物。メスは翅の表面の色が青から茶褐色まで変異がありますが、これは茶褐色だったのでメスですね。ちょこまか動くので撮影が大変でした。葉の上に止まったときに、にじにじと回転するのはどういう理由があるのでしょう。
(左)開張したツバメシジミのメス。(右)ルリシジミ(瑠璃小灰蝶:Celastrina argiolus Linnaeus)シジミチョウ科ルリシジミ属。幼虫の食草はマメ科、バラ科、ミズキ科、タデ科、ミカン科などの花。食草の種類が多いためか、北信濃では比較的よく見られるシジミチョウです。ヤマトシジミと似ていますが、後翅の斑紋の違いや濃さ、目の色がルリシジミは黒、ヤマトシジミは灰褐色などで分かります。飛翔の際の大きなオスの瑠璃色の羽はとても美しく見応えがあります。
(左)ミナミヒメヒラタアブ(南姫平田虻:Sphaerophoria indiana)のオス。体長は10ミリもありません。以前メスを抱えて飛行しながら交尾する様を撮影したことがあります。下のリンクは、その記事。キタヒメヒラタアブはロシアまで。
◉ネオニコの空中散布のない長野市茶臼山は昆虫の天国(妻女山里山通信):2015年7月の記事です。リンク記事も必読です。虫の次に滅びるのは人間です。
(右)ホソヒラタアブ(細平田虻:Episyrphus balteatus ) 双翅目 ハナアブ科。複眼がくっついているのでオス。体長は9から11ミリ。腹部が平たく、太細の縞模様が特徴。器用にホバリングしながら吸密します。幼虫はアブラムシを食べます。人間にとっては益虫ですが、モンサントのラウンドアップなど、ネオニコチノイド系やグリホサート系の除草剤や殺虫剤を使うと絶滅し、野菜や果樹、野草の受粉ができなくなってしまいます。
(左)ミヤマウグイスカグラの赤い実。食べられますが冷やした方がいいでしょう。(中)ムラサキシキブではなくてコムラサキの花。小さな実がぎっしりとなります。(右)オカトラノオの群生地があちこちで見られます。
(左・中)なんだろうと思いましたがボタンヅルの様です。毒草です。センニンソウと共に初秋の花だと思っていましたが、今頃咲くこともあるのですね。これはもう結実しています。(右)森の中の朽木に粘菌のマメホコリ。拙書のコラムでも3ページに渡って南方熊楠にも触れて書いています。粘菌の写真も多く、人気のエッセイです。
(左)こんな怪しい獣道しかないような、知らなければとても歩けない森を辿ります。(中)十人平(じゅうにんびら)と呼ばれる檜の植林地。イノシシのヌタ場があります。(右)高句麗の渡来人(ツングース系の騎馬民族で馬産を伝えたという)が作ったといわれる積石塚古墳。いくつもありますが、ここに至る道がないため知っている人は僅かです。発汗が凄いので水分を摂りながら歩いたのですが、戻ったときは脱水症状での脚の痙攣が起きてしまいました。こういうときは経験上、水分だけでなく生の味噌が有効です。味噌きゅうりを持参しましょう。
(左)信州も6月29日に梅雨明けした模様。観測史上最速とか。土曜日は朝から撮影に。妻女山松代招魂社へ。19日に羽化は確認していましたが、雨が降らないので地面に下りてきません。前日雨が降ったので招魂社の社殿の左側、左から二枚目の戸の格子にオオムラサキが止まっています。(右)気配を殺してそっと近づくと、雨水が染みたところで吸水していました。すぐ先の道路に水たまりがあり、そこでも吸っていましたがこちらの方がお好みの様です。早朝にしたばかりのイノシシの糞を吸うこともあります。
なかなかアップを撮らせてくれなかったのですが、粘り強く待ってやっと撮影できました。それ以外の時間は、ただ飛び回っているのを観察するか、どこかに消えてしまったので展望台に訪れた人にガイドしたり。いつ来るか分からない待ち人をひたすら待つだけなのです。今回ここで見られたのはわずか二頭。少ないです。心配です。これはオスですが、まもなくメスが羽化し始めます。多い年は、数十頭の群舞が見られたのですが、なぜ激減したのでしょう。2012年から2015年までの千曲市によるネオニコチノイド系農薬の散布が原因か。一日45000台が通る麓の高速道路と国道の排気ガスによる土壌の酸性化が原因か。赤松だけでなく、ネムノキ、ヤマザクラ、杉や檜も枯れています。
妻女山展望台からの北東、中野市の高社山方面の展望。光っているのはエム・ウェーブです。エム・ウェーブ自体が光っているのではなく、太陽の光の反射がこの展望台にジャスピンで届いているのです。その右向こうが拙書にも掲載の高社山。さらに右へ志賀高原の山々。
この日は東京、埼玉、群馬、地元からと歴史マニアが5組訪れました。撮影の合間にガイドをし、拙書やブログも紹介しました。皆さん歴史に対する興味や憧憬が深く、質問もしてくださって有意義な時間を過ごせました。今回は皆さんに長野インター近くの武田信繁の墓がある典厩寺をおすすめしました。ここの歴史館は必見です。おそらく全て本物です。長野市の最高気温は、35.4度の猛暑日。しかし、山の上は風が吹き抜け31度。暑い日は山に行くことをお勧めします。
◉武田典厩信繁の墓と全国随一の大きさの閻魔大王像がある典厩寺探訪(妻女山里山通信):お勧めです。展示品の一部を掲載しています。
後日、買い物帰りに陣場平へ寄りましたが、ウラナミアカシジミを一頭見ただけ。空梅雨で梅雨明けが異常に早かったため、梅雨中にはなんとか出ていた樹液も出なくなりました。昆虫が異常に少ない。オオスズメバチもカブトムシもいません。オオムラサキも数えるほど。ミヤマフキバッタもほとんど見られません。花も例年ならオカトラノオの青海波の様な群生があちこちで見られるのですが、花穂が小さい。今後どうなるのか気がかりです。
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