まず、昨年の冬に伐採しておいたコナラとクヌギを、長さ90センチに玉切りします。今回は急斜面の上だったので、切った丸太は転がして林道まで落としました。昨年は一輪車で運んだので大変でしたが、今回は楽でした。軽トラックに載せて山を下ったのが10時過ぎ。ここで、体調不良を訴えていた遅出のK氏が到着。
ドリルで次々に穴を開けていきます。そして私は種駒を打ち込んで行きます。結構細かい作業です。しかし、昨年の半分の量なので、意外に早く作業は進みました。次に杭に防虫防腐剤を塗って打ち込み、番線で縛り、杉の丸太を乗せ、これも番線でしっかりと結わえます。これで馬の完成。
昨年の初冬に出始めたものの、冬の寒さで成長が止まっていた椎茸が、ここのところの雨で大きくなり始めました。これは一昨年前に種打ちしたものです。大きなものは傘の直径が、15センチぐらいになっていました。椎茸は駒打ちして2年目から発生し始めます。太いコナラだと10年ぐらいは出続けます。
穴あけ作業が終わった二人も駒打ちに参加し、作業は順調に終了。ホダ木を横に積み上げてたっぷりと水をかけてブルーシートで覆います。いわゆる地伏せという作業です。たまに乾燥具合を見て水をかけに来ます。そして、梅雨明け頃に開けて、馬に立てかけるわけです。
ブルーシートの向こうに見える白いビニールが見える丸太の山は、松枯れ病で長野森林組合の人が伐採した赤松です。農薬で燻蒸したものですが、生分解プラスチックを使っているのでしょう。役目が終わると自然に破れて土に戻っていく様です。
麓には一日35000台が通過する上信越自動車道と、10000台以上が通過する国道403号線があり、その排気ガスで土壌が汚染され、共生関係にある松茸菌が衰退して栄養が不足するのです。つまり正常な共生関係が崩壊するわけです。結果、赤松ももろくなって、腐朽菌やら昆虫にやられ立ち枯れるということの様です。松葉のたまった腐葉土を見ると、昔は松茸の菌糸が5~10センチぐらいの厚さで見えたのですが、今はほとんど見られないものもあります。いくら排気ガスが綺麗になったといっても、一日に45000台以上もの車が吐き出す排気ガスの量は相当なものでしょう。枯れているのは赤松だけではありません。ヤマグリやネムノキ、ヤマグワ、ヤマザクラもあちこちで枯れています。
この冬は、昨冬の様に豪雪がなかったにもかかわらず、赤松などの倒木が頻発しました。何か異常事態が始まっているのかと案じずにはいられません。今回、海外出張のために途中で帰った蝶の研究家のT氏によると、千曲市と坂城町による松枯れ病のネオニコチノイド系農薬の空中散布は、ゼフィルスの壊滅的な状況を引き起こしていると怒っていました。散布をしない長野市や上田市では、ゼフィルスは普通に見られるそうです。そんな千曲市は、千曲市の自然とか絶滅危惧種とか言って、千曲市の貴重な自然を守ろうとか言っているのですから本当に愚かです。いずれ多動性障害やうつ病、奇形児、発達障害などで市民に影響が出てくるでしょう。坂城町も。
「松枯れ病とは」再掲
金沢大学教授山田敏郎さんは、「ネオニコは、毒性が強く分解しにくく、『農薬』というより『農毒』に近い。このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える。ネオニコの危険性を多くの人に知ってもらいたい」と語っているのです。生態系には、もちろん人間も当然含まれます。
群馬県前橋市で、松枯れ病対策としてネオニコチノイド系殺虫剤が使用されるようになった2003年以降、ネオニコチノイド系殺虫剤が原因と思われる頭痛、吐き気、めまい、物忘れなどの自覚症状や、頻脈・除脈等の心電図異常がみられる患者が急増しています。なんと日本のネオニコチノイド系農薬の残留基準は、欧米よりも緩い基準値(日本は、アメリカの10倍、欧州の100倍近い)。(青山内科小児科医院 青山美子医師)
ネオニコチノイド剤の使用が増え始めた2006年頃から、農薬散布時に自覚症状を訴える患者が増加。中毒患者には、神経への毒性とみられる動悸、手の震え、物忘れ、うつ焦燥感等のほか、免疫系の異常によると考えられる喘息・じんましんなどのアレルギー性疾患、皮膚真菌症・風邪がこじれるなどの症状も多くみられます。日本では、果物の摂食、次いで茶飲料の摂取、農薬散布などの環境曝露と野菜からの摂取も多い。受診した患者では、果物やお茶の大量摂取群に頻脈が見られ、治療の一環で摂取を中止させると頻脈が消失します。(東京女子医科大学東医療センター麻酔科医師 平久美子氏)
ネオニコチノイド系農薬の人体への影響として、空中散布や残留した食品の多量摂取による心機能不全や異常な興奮、衝動性、記憶障害など、急性ニコチン中毒に似た症状が報告されています。
また、ネオニコチノイド系は胎盤を通過して脳にも移行しやすいことから、胎児・小児などの脳の機能の発達を阻害する可能性が懸念されます。(東京都神経科学総合研究所 黒田洋一郎氏):ダイオキシン国際会議ニュースレターより抜粋
あとから来たK氏の作業車です。電気工事の道具から、森林作業の道具、農作業の道具まで揃っています。これだけあれば大抵のことはできますね。今回は、チェーンソーと発電機が大活躍しました。
作業が終わって昼食の用意。今回のメインは、K氏の提案で「海鮮中華おこわ」。アウトドアでやる様な料理じゃありませんね(笑)。案の定、K氏が持ってきたガスコンロでは火力が弱くて火が通りません。そこで、急遽N氏のロケットストーブの出番です。これで一気に炊き上げました。ホタテやカニ、ニンジンにゴボウ、緑色はのらぼう菜。我々が作った椎茸の干椎茸をもどして出汁を取り、隠し味に横浜中華街の中国貿易公司オリジナルのXO醤を入れました。なかなか美味しく出来上がりました。
他には海鮮好きのN氏が、安全を確かめて買ってきたホタルイカの干物やカワハギの干物、ゲンゲの一夜干しなど。後から駆けつけたK医師の焼き鳥などなどを美味しくいただきました。私は、ジコボウやムキタケを味噌粕汁にして持って行きました。やっと暖かくなったのはいいのですが、スギ花粉が飛び始めて、私やS氏など花粉症の面々にはつらい季節の到来です。
まだまだ枯葉ばかりの森ですが、黄色いダンコウバイの花が満開です。似た花のアブラチャンは、花柄が長いので区別がつきます。妻女山山系では、もう少し標高の高い所に行かないと自生していません。ダンコウバイの花は綺麗なんですが、葉が大きく株立ちが旺盛で、放っておくと森が暗くなってしまうので、適度に伐採しなければなりません。里では紅梅も咲き始めました。倉科の杉山では、セツブンソウも咲いているのではないでしょうか。暖かくなって蕗の花も開きました。
ただ、まだ一日の気温差が10度ぐらいです。これが月末から4月に入ると最高気温が上がって、且つ最低気温はあまり上がらず。気温差が一気に20度ぐらいになります。そうすると自律神経失調症に襲われるのです。信州の春は、短く過激なんです。