モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

『ゴジラ-1.0』「ゴジラ」生誕70周年記念作品。予告編・初日舞台挨拶・トークショー「映画監督 山崎 貴の世界」・ゴジラ第1作(妻女山里山通信)

2023-11-07 | シネマ・テレビ
「ゴジラ」生誕70周年記念作品『ゴジラ-1.0』。「戦後、日本。無(ゼロ)から負(マイナス)へ。」敗戦後に焦土と化した東京をさらに無慈悲に破壊するゴジラ。「生きて、抗え。」とある様に史上最悪の絶望に人々は立ち向かう。朝ドラ『らんまん』で人気を博した神木隆之介と浜辺美波の主演が光る。小津安二郎のローアングルは、見ている人をまるでその家に飼われている猫の様な気分にさせてくれる。このゴジラは現場にいる人間の目線で作られており、見上げるゴジラの大迫力は恐怖を覚えるほど。体感・体験のコンセプトが見事に具現化されている。フルCGの完成度の高さといい終戦後の物語の重厚さといい見事で、映画史に残る名作といえるかも知れない。

『ゴジラ-1.0』は単なるエンターテイメント、娯楽映画ではない。1954年の初代ゴジラは、同年にビキニ環礁での水爆実験があり水爆が原因で巨大した太古の恐竜という設定だった。反核と反戦が根底にあった。その後、単なる娯楽映画に堕落していったが、今回の生誕70周年記念作品は、原点に戻ったともいえる作品だった。キャッチコピーの「生きて、抗え。」は、与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」に通じる。200万人が犠牲になり、特攻隊や餓死、東京大空襲や原爆などで多くの死人を出した太平洋戦争。「生きて、抗え。」はゴジラに対してだけ向けられている言葉だろうか。

 村上春樹原作の『ドライブ・マイカー』のブログ記事で書いた文章。ーー偶然とは人間が計り知れない必然のことをいう。と私は思う。一枚の枯れ葉が落ちる場所も、実は計り知れない必然の重なりでできている。それを因果という。物事には必ず原因と結果がある。その連続。その偶然を受け入れるか拒絶するかで、人生はドラスティックに変わる。諸行無常。会者定離。どんな幸せな人生も、(大事件や大災害だけでなく)ほんの小さな事件や潜在的なトラウマで崩壊する危うさを持っている。諦めと再生する愛ーー。美大生時代に村上春樹さんのジャズ喫茶でアルバイトしていた頃のブログは、「国分寺・国立70Sグラフィティ」をご覧ください。32本の記事に世界中からアクセスがあります。
「生きて、抗え。」は非常に深淵で厚みのある言葉だと思う。
映画『ゴジラ-1.0』公式サイト

 下の予告編は、見るYouTubeをクリックしフルスクリーンで。サウンドイコライザーのアプリを使って低音と高音を上げ、ヘッドフォンで視聴するのがお勧め。
GODZILLA MINUS ONE Official Trailer


GODZILLA MINUS ONE Official Trailer 2


映画『ゴジラ-1.0』公開記念特番 Behind the scenes -No.30-ト云フモノ
 神木隆之介・浜辺美波・山崎貴監督へのスペシャルインタビュー、そして膨大なメイキング映像から、現代日本映画史上最大規模で放たれる令和初のゴジラ最新作に迫る。:単なる怪獣映画と思って観に行った人は号泣するかも。浜辺美波は昭和の大女優を彷彿とさせる。


Godzilla Minus One TRAILER 2 BREAKDOWN (This Looks INCREDIBLE!):オフィシャル以外のトレイラーではこれが珠玉だと思う。残念ながら日本のテレビ局ではできないレベル。ネタバレも微妙に回避して、歌舞伎町の画を入れたり上手い!


【トークノーカット】『ゴジラ-1.0』より神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、安藤サクラら登壇!初日舞台あいさつ


【山崎貴×庵野秀明】第4回山崎貴セレクションゴジラ上映会トークショー


長野県ローカル放送「映画監督 山崎 貴の世界」ゴジラ-1.0メイキング映像公開(?)


『ゴジラ』 | 予告編 | ゴジラ 第1作目(1954年)

ゴジラ(Wikipedia):初代ゴジラのポスターなど

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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『ドライブ・マイ・カー』Drive My Car 濱口竜介監督 村上春樹原作 Trailer & Review(妻女山里山通信)

2022-03-05 | シネマ・テレビ
Drive my car | Tráiler en español | Estreno en cines el 4 de febrero

 スペイン語の吹き替え人は、皆声が低い。それだけでこれほど印象が変わるものか。

Drive My Car Trailer #1 (2021) | Movieclips Indie

 不思議だが、映画を見た後で小説を一冊読み終えた様な満足感があった。映画であって映画でない様な作品。見せるのではなく聞かせる作品。3時間が不思議な緊張感と弛緩の繰り返しで、あっという間に過ぎ去る。この映画は、観衆に想像力と創造力を求める、あるいは喚起する。映像ですべて分かる説明的な映画になれている人は、分からないとか何が良いのかと言うかもしれない。濱口竜介監督の手法は、全く同じではないけれど、小津安二郎監督を思い起こさせる。激しいアクションや実際にはあまりあり得ない激しい感情の表現の羅列にうんざりしているのは、日本人だけではないようだ。昔の映画は、欧州もアメリカもそうではなかった。話題の『ひまわり』や『道』、『ドクトル・ジバゴ』。アメリカ映画でも『ペーパー・ムーン』、『マンハッタン』とか。
70年代は、ニューシネマ。そして私はシネマフリークになった『国分寺・国立70sグラフィティ』村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック :この記事を読んで頂くと分かると思いますが、シネマフリークでした。日本の監督では、小津安二郎、鈴木清順、藤田敏八、小栗康平とか。海外だと、フェリーニ、ヴィスコンティ、スタンリー・キューブリック、ウッディ・アレン、イングマル・ベルイマン、タルコフスキー等々。チャップリンやバスター・キートンも好き。南米では、ヴェルナー・ヘルツォーク、グラウベル・ローシャなど。

【8/20(金)公開】「第74回カンヌ国際映画祭」コンペ部門出品 映画『ドライブ・マイ・カー』(PG-12)90秒予告

「生き残った者は、死んだ者のことを考えつづける… ぼくや君はそうやって生きて行かなくてはいけない」「生きていくほかないの」という人生にレーゾンデートル(存在理由)はあるのか。そもそも必要なのか。どんなに愛し合った夫婦でも元は他人。全てを知りたいとか全てを理解したいと思うのは性か業か。ありのままの全てを受け入れることこそが…。なんのアクションもスリルもサスペンスもないけれど、静かな緊張感に溢れた時間が過ぎていく。そういう作品だった。亡き妻を想う。

【邦画初の作品賞候補】映画「ドライブ・マイ・カー」ロケ地での撮影秘話


【急遽広島が舞台】映画「ドライブ・マイ・カー」Gグローブ賞獲得に歓喜


『ドライブ・マイ・カー』三浦透子インタビュー「運転に人柄が集約される」


西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、濱口竜介監督が登場『ドライブ・マイ・カー』壮行会イベント【トークノーカット】


石橋英子 | Eiko Ishibashi | Drive My Car (Kafuku) (Official Audio)

 ピアノのアルペジオが心地よくドラマチック。

『ドライブ・マイ・カー』村上春樹ブックガイド 短編篇⑭


『濱口竜介vsジェーン・カンピオン 演技について』「ドライブ・マイ・カー」と「パワー・オブ・ザ・ドッグ」でアカデミー賞にノミネートの監督を比べます。映画考察 ネタバレなし


Drive My Carドライブマイカー Movie Review 解説・映画レビュー Oscar to Ryusuke Hamaguchi? アカデミー賞なるか?


[1hour] 🚗 Drive My Car Movie OST / Various versions of song "Drive My Car"


アカデミー賞ノミネート、村上春樹原作「ドライブ・マイ・カー」を観に長野相生座・ロキシーへ。感動の大作!(妻女山里山通信):トレイラー・壮行会イベント・舞台挨拶・三浦透子インタビュー・レビュー

村上春樹さんの国分寺ピーター・キャットを中心とした70年台のクロニクルまたはスラップスティック - 『国分寺・国立70Sグラフィティ』 :32本の私のフォトエッセイ

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
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アカデミー賞ノミネート、村上春樹原作「ドライブ・マイ・カー」を観に長野相生座・ロキシーへ。感動の大作!(妻女山里山通信)

2022-02-15 | シネマ・テレビ
 カンヌ国際映画祭で、脚本賞受賞ほか全4冠。アカデミー賞にノミネートされた村上春樹原作の「ドライブ・マイ・カー」を観に長野相生座・ロキシーへ出かけました。3時間に渡る大作でしたが、想像以上の面白さ。深い作品でした。正直言って、まだ自分の中で咀嚼しきれていません。原作の村上春樹さんの短編集『女のいない男たち」の「ドライブ・マイ・カー」に「シェラザード」と「木野」を加えて極めて緻密に濃密に構成されたストーリー。劇中劇のチェーホフの「ワーニャ伯父さん」が、もうひとつの原作といっていいほど重要な要素となっていて、最後の20分間は圧巻です。とにかく素晴らしい。
 私のブログの読者の方はご存知でしょうけど、学生時代に国分寺の村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットでアルバイトをしていたことを綴ったフォトエッセイ「国分寺・国立70Sグラフィティ」 村上春樹さんのピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルがあります。世界中からアクセスがあります。今回は事前に「ドライブ・マイ・カー」が収録された短編集「女のいない男たち」を買い求めましたが、あえて読みませんでした。全く同じでないことは分かっていましたし、先入観を刷り込みたくなかったからです。気が向いたら、これからゆっくりと読みます。映画は、村上ワールドの空気がそのままに漂っていたと思います。濱口監督の深く厚い力量に感服します。

 長野相生座・ロキシーは、長野市中心街の繁華街、権堂というところにあります。車で行くと時間が読めないので、久しぶりにしなの鉄道で行きました。何十両と連なった石油の貨物列車。上越市のタンクで積載し、坂城駅に向かいます。長野県は全国一、二を争うほどガソリン価格が高いのです。ガソリン税を減税するべきです。元売りに補助金など何の効果もない。2、3歳の頃、両親が畑仕事で忙しい時に、女子高生だった叔母の自転車の後ろに乗って線路近くの女子校へ。体育館でバトミントンをする女子高生には目もくれず、蒸気機関車や長い貨物列車を見ていました。今なら女子高生を見るでしょうけれど(笑)。これは、実は映画の伏線です。

 長野駅には、4月から始まる予定の善光寺御開帳の大きな提灯が。底に大きなQRコードがあるのが可笑しい。あれ使う人いるのでしょうか。映画館までは北へ15分歩きます。東急デパート横の鄙びた道を歩きました。権堂に近づくとキャバクラとかスナックとか居酒屋とか。私は来たことありませんが。長野で最初にコロナ感染者が出たのは、この辺りのキャバクラでした。田舎は狭いので、すぐにどこの娘だとか特定されてしまって、それは可愛そうでした。彼女に責任はないですから。一日も早くおさまることを祈ります。

 権堂のアーケード街。この先に映画館があります。平日とはいえ昼の時間なのに人通りが少ないです。松本に比べると中心街の空洞化が目立ちます。長野は、長野駅と善光寺の間が2キロほどあります。しかも上り坂。昔は中程に丸光と丸善がありました。それがなくなり、丸善は東急と提携し駅前に。中央の空洞化が顕著になりました。かといって駅前もバブルの頃にチャンスはあったと思うのですが再開発が進まず、県庁所在地とは思えないほどの寂れた状況になっています。今後、20年をかけて再開発をする計画があるそうですが、どうなるのでしょう。唯一、いいのは高層ビルがないことです。長野に高層ビルは不要です。周りの里山やアルプス、志賀高原を借景とすべきです。全ての世代が歩きたくなる街、集いたくなる街。新交通システムも考えていいでしょう。街の活性化には、若者、馬鹿者、よそ者の声を聴けという話があります。善光寺だけではない長野。その構築が求められています。

 長野相生座・ロキシーの入り口。燦然と輝く受賞とノミネートの表示。

 昭和レトロの映画館。明治25年(1892年)に現在地に芝居小屋「千歳座」として建てられ、30年(1897年)に活動写真を初上映しました。 大正8年4月(1919年) 相生座が千歳座を買収し相生座と改称。 活動写真の営業を始めたという国内最古級の映画館です。これは長野市民ならず日本の有形文化財です。小津安二郎の映画の街、鎌倉に映画館が一つもなくなってしまったという事実を考えると、この映画館の貴重さが分かると思います。

 上映はロキシー1で。ご覧の通り客席に段差がありません。私がよく行く上田の東宝シネマズ上田は、最新ですので階段状で椅子も広く、音響も最新です。久しぶりですこういう映画館。東京でもなかなかありません。思い出すのは、国立スカラ座ですね。スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛」とか、デヴィッド・リーン監督の「ドクトル・ジバゴ」などを観ました。右のスチーム暖房が、お湯が通るとチンチンと小さな音を立てるのです。この後、観客が大勢入ってきました。凄く若い人からけっこうな高齢者までと、年齢層がもの凄く幅広いのに驚きました。ただ、3時間と長いのでトイレに行っておくことと、事前に飲み物は控えたほうがいいですね。フィルムの頃は、半分でフィルムの取替があって休憩時間があったのですが、これはありません。途中でトイレに行く人が年配者に多くいましたが、これはもったいない。途中でコーラを飲んだりポップコーンを食べるような映画でもありません。体調を整えて万全の態勢で鑑賞しましょう(笑)。

 スタッフ手作りの掲示板。いいですね。劇中劇は、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」とアントン・チェーホフの「ワーニャ伯父さん」。撮影の殆どは広島県で行われ、ロケ地巡りも人気の様です。主人公たちが広島から北海道へ向かうシーンでは、よく知っている国道8号の親不知の洞門が出てきて思わずハッとなりました。俳優については、ネタバレになるので記しませんが、日本人俳優だけでなく韓国や台湾の俳優が非常に印象的でした。手話も非常に効果的で心に残りました。私は若い頃から英国やフランス、ノルウェー、ブラジルやボリビアを長いこと放浪して、外国の友人も多いのですが、違いもありますが、相似律というものも多くあるのです。濱口監督は、それをよく分かっている方だと思いました。

 上映が終わった濱口監督の作品。ドストエフスキー。偶然とは人間が計り知れない必然のことをいう。と私は思う。一枚の枯れ葉が落ちる場所も、実は計り知れない必然の重なりでできている。それを因果という。物事には必ず原因と結果がある。その連続。その偶然を受け入れるか拒絶するかで、人生はドラスティックに変わる。諸行無常。会者定離。どんな幸せな人生も、ほんの小さな事件や潜在的なトラウマで崩壊する危うさを持っている。諦めと再生する愛。

 3時間はあっという間でした。北陸で春一番が吹いたというツイートが流れてきました。重厚な最後の20分で、ラストはどうおさめるのだろうと思いました。フフッという感じで終わりました。濱口監督の緊張感と弛緩の組み合わせが、最高に心地よいと思いました。弛緩の時間に観客に安堵と考える時間を与えてくれるのです。絶妙です。

 1956年のイタリア映画「鉄道員」というモノクロの映画を思い出します。悲しくも美しく愛に溢れた映画でした。なんでこんな殺伐とした世界になってしまったのでしょう。効率と金。異常なほどの科学信仰とまかり通る嘘。
 で、「ドライブ・マイ・カー」ですが、ネタバレを避けて感想を言うのはとても難しい。抽象的に。真っ赤なサーブ900ターボの美しさ。劇中劇のベケットとチェーホフ。生きることに真っ直ぐに向き合うことと、演じてしまう人生。物語を必要とするということ(メタ・フィクション)。物語と自己再生の旅。ソシュール言語学でいうところのシニフィアン(意味しているもの)とシニフィエ(意味されているもの)。ドラマツルギー(戯曲の創作や構成についての技法。作劇法。戯曲作法。演劇に関する理論・法則・批評などの総称。演劇論。)など。
「生き残った者は、死んだ者のことを考えつづける… ぼくや君はそうやって生きて行かなくてはいけない」「生きていくほかないの」という人生にレーゾンデートル(存在理由)はあるのか。そもそも必要なのか。どんなに愛し合った夫婦でも元は他人。全てを知りたいとか全てを理解したいと思うのは性か業か。ありのままの全てを受け入れることこそが…。なんのアクションもスリルもサスペンスもないけれど、静かな緊張感に溢れた時間が過ぎていく。そういう作品でした。亡き妻を想う。

映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイト

■DRIVE MY CAR - Trailer


■西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、濱口竜介監督が登場『ドライブ・マイ・カー』壮行会イベント【トークノーカット】


■西島秀俊、岡田将生、濱口竜介監督が登場!映画『ドライブ・マイ・カー』初日舞台あいさつ【トークノーカット】


■『ドライブ・マイ・カー』三浦透子インタビュー「運転に人柄が集約される」


 ネタバレになるので、映画を観てからご覧になった方がいいと思います。素晴らしいレビューです。「メタ・フィクション」
●Drive My Carドライブマイカー Movie Review 解説・映画レビュー Oscar to Ryusuke Hamaguchi? アカデミー賞なるか?


「70年代は、ニューシネマ。そして私はシネマフリークになった」:70年代の美大生時代と80年代のデザイナー時代に観た映画についてのフォトエッセイ。『国分寺・国立70sグラフィティ』ー村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティックー(海外からのアクセスも多い32本のフォトエッセイ)


 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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信州の千曲市が舞台の映画『ペルセポネーの泪』を観に行きました(妻女山里山通信)

2021-12-02 | シネマ・テレビ
 地元の千曲市が舞台の話題の映画『ペルセポネーの泪』を観に行きました。ネタバレになるのでパンフレットや予告動画で紹介されている以上のことは記しません。主に個人的な感想を。

 ペルセポネーって初めて目にする人が多いのではないでしょうか。ギリシア神話に登場する生と死との間を廻る大地の女神で冥界の女王です。象徴は自らが食したザクロ、水仙、蝙蝠の3つ。
『ペルセポネーの略奪』:「ペルセポネーが冥界でどんな食べ物も口にしていなかったならば、その願いをかなえよう」
 正直に観た感想を言うと、消化不良の様な満たされない気持ちが残る作品でした。決して駄作ではありませんが、傑作ではないかな。ギリシャ神話を題材の原点にするのはいいのですが、それが効果的に作品に反映されているとは思えませんでした。ファンタジーをうたうには演出や映像にケレン味がなさすぎる。鈴木清順ぐらいは目指してほしかった。いい役者さんが揃っているだけに残念。展開が想像できるか?とありますが、展開が全く予想できなくてとニュース映像でおばさんが言っていましたが、映画を観た回数や小説を読んだ回数が少ないのでしょう。フラッシュバックやデジャヴュは、よく用いられる手法で珍しくはありません。だいたい予想できました。特にラストシーンは予想通りで終わりましたが、あまりにも表現が簡単すぎます。最後に冥界もののふの地団駄が見たかった? あれっ!?という終わり方でしたね。

 ロケ地はほとんどが千曲市が使われています。唯一長野市の旧屋代線の川田駅が登場。ロケ地のほぼ全てが馴染みのあるところで、すぐに分かりました。拙書『信州の里山トレッキング』でも千曲市の里山をたくさん紹介していますし、当ブログでも数え切れないほど紹介しています。正直言うと、もっと美しいシーンや場所があるのになと思いました。これは美しいと思ったのは、大池での空撮シーン。個人的に一番印象に残ったシーンです。そこは大河ドラマ『風林火山』でも使われた場所で、拙書では三峯山のページで紹介しています。車で行けますし、バンガローやキャンプ場もあり、長野市や千曲市からも近くオススメのスポットです。

 映画のメインの舞台となった姨捨の棚田。左手上に主人公たちが住んでいた家(ゲストハウス)があります。拙書では、冠着山(姨捨山)のページで、その歴史や自然の魅力をコースや写真、文章で紹介しています。姨捨の長楽寺には姨捨伝説の姥岩があり、棚田の眺めもよくオススメです。剛力彩芽さんが、この棚田の道を自転車で二人乗りの後ろで走り下りるのが一番怖かったと言ってましたが、あれは拷問に近いですね。監督は鬼ですね(笑)。ブレーキが壊れたら棚田にダイブするしかないですものね。あのシーンは、私もお尻がムズムズしました。

 荒砥城跡下の善光寺大本願別院からの戸倉上山田温泉。ここは、高校時代の同級生の旅館(国楽館 戸倉ホテル)があるので、昔から新年会で利用していました。知り合いのタイの女性がやっているスナックもあるので度々行っていました。そこで行われたクリスマスパーティーとかの写真や動画もあるのですが、さすがにアップできません。この映画にも、そんな元気なタイやフィリピンの女性も登場して欲しかった。そんなわけで、まあ隅から隅まで知っています。正面の里山は、拙書でも紹介している五里ヶ峯。何度も登っていますが、本当にいい山です。

 国道403号の姨捨サービスエリアの上にある千曲川展望公園からの暮れなずむ善光寺平。ここからの夜景は超オススメです。ここから少し下ると姨捨駅。ここもオススメ。遠く志賀高原や信越トレイルの山々が見えます。この夜景を映画で取り上げて欲しかった。まあ、大きなスポンサーもついていないし、予算が少ないのは分かりますが。しかし、傑作ではないかもしれませんが、多くの人に見て欲しい映画です。見方や感想は人それぞれですから。私は学生時代から何百本、いや千本以上の映画を観てきました。時に現実はフィクションを超えてしまうこともありますが、この映画で人生が変わる人だっているかも知れません。長野県の後は全国でも観られると思います。ぜひ観てください。
『ペルセポネーの泪』公式サイト
 私の好きな日本の映画監督は、小津安二郎、鈴木清順、藤田敏八、小栗康平など。海外では、フェデリコ・フェリーニ、タルコフスキー、スタンリー・キューブリック、イングマル・ベルイマン、ウッディー・アレン、ヴェルナー・ヘルツォーク、グラウベル・ローシャなどです。

 QUEENの『ボヘミアン・ラプソディ』は、七回観に行きました。DVDも買って何度も観ています。学生時代、イースターの休みにロンドンに5週間ほど住んでいた時に流行っていた曲です。QUEENは、私の青春そのもの。当ブログや村上春樹さんのことを記したはてなブログでも記事にしています。印象に残ったのは、柳楽優弥主演の『北斎』。これも傑作でした。信州の小布施が深く関係します。小布施の北斎館はぜひ訪れてください。

70年代は、ニューシネマ。そして私はシネマフリークになった:『国分寺・国立70sグラフィティ』村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック。世界中からアクセスが有る私の人気のブログです。QUEENの記事も。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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昭和30年代テレビは生きていた!?

2010-11-03 | シネマ・テレビ
 テレビ時代を「一億総白痴化」と言ったのは故大宅壮一でした。それがマスメディアに急成長していくに従い「国民洗脳装置」になったともいわれたテレビですが、時の流れは速いもので、ネット化でテレビを見ない人が増大しました。若者の部屋にはテレビがないというのは珍しくない時代です。テレビは、視聴者がテレビの時間に合わせるということで成り立ってきたわけですが、それがビデオの普及で崩れ、ブロードバンドの普及で根底から崩れようとしています。今盛んにテレビを見ているのは、ネットやワンセグができない人ぐらいでしょう。ただし、それは老人とは限りません。

 そんな風に考えると、テレビ全盛期といえる昭和30年代から40年代は、ブラウン管の中には夢が詰まっていたなあと思わずにはいられません。白痴になろうが洗脳されようが面白いものは面白いで過ぎて行ったある意味幸福な時代でした。そんな昭和のテレビ番組がネットにはたくさんアップされています。まさにテレビの歴史を観る事ができるのです。もちろん、ドラマやバラエティだけでなく、ドキュメンタリーなどもたくさん観る事ができます。外国のものさえ・・。ドラマに映る背景の東京や日本の風景が郷愁を誘います。高度経済成長と共に失ったものが見えてきます。ほとんどが、まだ原発のない時代でしたが、核実験は世界中で行われており、すでに我々は被爆していました。子供の頃、雨に当たると禿になるぞと言われたものです。幸い髪の毛はまだ健在ですが、飛蚊症が酷い。チェルノブイリの後も飛蚊症が増えたといわれています。子供の頃、雨の中で遊んだり、サッカーをしたせいでしょうか。

●キャンディーズ コント「悪ガキ一家の鬼かあちゃん」part1

●昭和のテレビ番組 チビッコ大将(ちびっこ大将) 主題曲

●Little Rascals' Greatest Hits - Part 1

●1958 - Gekkou Kamen OP

●怪傑ハリマオ

●少年ケニア 連続テレビ映画 1960年

●忍者部隊月光

●【特撮】 おっさんホイホイ Ⅱ 月光仮面、白馬童子ほか

●ボニージャックス - 隠密剣士 Theme song of The Samurai Shintaro

●ナショナルキッド National Kid

●実写版 鉄腕アトム

●ニッポン高度成長物語 元番組不明/なつかしのテレビコマーシャル特集

●すばらしい世界旅行 OP 1985年版  山本直純

●前編「昭和の戦争と平和 ~カラーフィルムでよみがえる時代の表情~」


 検索すれば、まだまだたくさんあります。
 ところで、こちらの記事。グーグルがカバーしているインデックスは、400億ページを超えるそうです。グーグル検索ですべてを知れるわけではありませんが、この数字を見てもネット上の全情報を制覇するなど到底不可能だということが分かります。私のサイトを検索で訪れる人のキーワードを見ても、一般の人たちがいかに検索の技術が低いかが分かります。得たい情報にどうやって辿り着くか。それが問題です。

 ただし、それだけ膨大な情報量でも、グーグルが世界の全てではないのです。ところが今のままだとグーグルに載っていないものは世界に存在しないとなりかねません。「米国の一私企業が世界を牛耳る」。こんなことは人類史上未だかつてなかったことです。凄いなと思う反面、底知れぬ恐怖も感じるのは私だけでしょうか。いずれ何かの形でカタストロフィが来るような気がします。

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「IQ84の人生」村上春樹さんとジョージ・オーウェルと(妻女山里山通信)

2009-07-15 | シネマ・テレビ
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 村上春樹さんの最新作『1Q84』ではありません。IQ(アイキュー)84です。まあ普通の頭脳か、ちょっと劣る程度。IQというのは絶対的な数値でもなければ知能を測る唯一の方法でもありません。生活年齢と精神年齢の比を基準とした知能指数測定と、同年齢の中での偏差値知能指数がありますが、通常は前者をいいます。

 子供の頃すごく精神年齢が高くて大人になっても子供みたいな人(アダルトチルドレンのことではない)は、年をとるに連れてIQが下がるわけです。知能に生得的、遺伝的基盤があることには疑いがないわけですが、生活環境や、その変化によっても変わるわけですから、鳶が鷹を生むこともあれば、その反対もあるわけです。ただこの数値には、もっている鋭い感性は測定不能で含まれません。

 『1Q84』ですが、ジョージ・オーウェルの『1984』をどこかで意識した作品と各所でいわれています。終戦後の1948年に書かれたという『1984』は、第二次大戦後に台頭したソ連などの全体主義国家への風刺的な作品として描かれた近未来小説です。私は、この作品を1984年の冬、南米のブラジル、ボリビアへの放浪の旅の途中に読みました。街中に監視カメラが設置され、行動が24時間政府の手によって見張られるという近未来都市の描写はかなり衝撃的なものでした。同時に呼んだ大人の寓話『動物農場』も、極めて近未来的暗示的な作品でした。

 しかし、現在を見てみれば大都市には街中に監視カメラが設置されています。違うのは全体主義国家ではないということ。それでも、全てがある強固なシステムの中にはめられているのは確かです。商業主義的なマーケティングの手法が行き渡り、予定調和的な流行が街並みにも商品にも溢れかえっています。そこには自発的なムーブメントのようなものさえ計算されて存るわけです。形而下では、全体主義国家の無機質な景観と対局にありながら、その根元的な本質においては、相似率が限りなく高まってしまうという皮肉。

 1984年は、アップルのマックが生まれた年。軽薄短小でバブル景気前夜。ポストモダンが台頭し、近代主義を支えた大きな物語の終焉と新たな様式を提唱したのですが、なんだか突拍子もない、目の利かない骨董親父をだますような作品ばかりが街に溢れかえったのは皮肉なことでした。と、現在を見るとネット文化の普及で情報はかつてないほどグローバル化して、近代と現代の境界線を明確にしてしまいました。ポストモダン自体が現代からはじきだされるという、これも皮肉な現象も起き、バーチャル世界に翻弄されているのは、もはやネットおたくだけではありません。

 IQ84の人生ですが、『木を植えた男』という1982年にアカデミー賞短編映画賞を受賞したムービーがありますが、さしずめ『木を切る男』というところでしょうか。どちらも森の再生の話です。森の再生は、人の再生なのです。しかし、切って森を再生するという行為は、原罪を背負いながら生きるような側面があります。『MY LIFE AS A DOG』というスウェーデン映画がありましたが、何の因果か人工衛星に乗せられてしまったライカ犬のような人生にも、爪の垢ほどの希望はあるということでしょうか。確かあの、世界で最も有名になった(本人はその事実を知りませんが)犬は宇宙の塵と消えたのではなかったでしょうか。

 『1Q84』は、明快なエンディングではないそうですが、最近映像を見て老けたなと感じたのは、共通性は全くありませんが、村上春樹さんと金正日でした。あっ、ジョージ・オーウェルの『1984』でつながるかな…。それでも地球は回る。でもいつかは止まる。『2010年宇宙の旅』、結末を覚えていますか。まずは2012年、何が起きるか楽しみにしましょう。なんだか飽きちゃった。そういってアキラが宇宙のスイッチを消さないといいのですが…。

■『国分寺・国立70Sグラフィティ』村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。彼のカタルーニャ・スピーチは必見。
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粘菌スペクタクル

2006-03-13 | シネマ・テレビ
変形菌(粘菌)なるものをご存じでしょうか。
変形菌(粘菌)とは、動物と植物の中間の性質をもつ単細胞生物で、分類上1つの門を形成します。現在はプロチスタ界に分類されていますが、色々議論はあるようです。

別に深山に行かなければ見られないものでもないんです。乾燥した冬場を除けば、その辺の雑木林や公園でもも見られます。ただし、たいてい本当に小さいので真剣に探さないと見つかりません。

葉緑素をもたず、バクテリアなどの固体の食物をとり入れて消化し、アメーバ運動をするところは動物的ですが、胞子嚢をつくり、胞子で繁殖するところは植物的です。菌類に似ていますが、菌類とは異なりセルロースからなる細胞壁を作ります。 世界に約400種、日本に約250種知られています。

野菜に変形菌病を引き起こしたり、慢性中耳炎や創傷感染、膀胱炎などの原因になることがあるとかで、現在は人間にとって有益であるとはいえないようですが、今後の研究いかんでは大発見があるかもしれません。

変形菌は普通食用にはならないのですが、1992年に中国陜西省で25.5kgもある巨大な変形体が発見され、「生ではバラのような香りがし、焼けば肉のような歯ざわり」という発言が記録されているそうですが真偽のほどは不明です。 明の時代に書かれた医書『本草綱目』に、「太歳(タイスイ)」という土中から採取される肉塊のような生物が記載されており、これが変形体の塊ではないかと考えられているそうですが、これも不明。

その変形菌の短編映画「真性粘菌の生活史」を神田小川町のneoneo座へ長男と見に行ってきました。監督は樋口源一郎氏。惜しくも先月、百歳を目前にして亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。上映会は19日までやっています。興味を持たれた方はぜひ。

変形体の運動はとても神秘的で、引き込まれました。生前の湯布院映画祭でのトークも上映されましたが、「わからない」問題を追求するって、日本じゃ全然金が出ません、という氏の言葉には、実は現在はバブル期以上にお金がだぶついているというのにと、本当に情けない思いがしました。いらない空港や高速道路にお金をつぎ込むなら、文化にお金を使えと言いたいですね。

しかし、「見つかったときの面白さってのは、金のことなんか考えられないほど面白い!」という言葉にも大いに頷いたものです。

写真は、私が去年撮影した変形菌4種です。なかなかきれいでしょう。もっと見たい方は、MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryの変形菌をクリックしてください。











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