モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

聖山で初物のジコボウ。妻女山で初物のウラベニホテイシメジとウスヒラタケ。最後に100本以上のハタケシメジ。(妻女山里山通信)

2018-09-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 自然写真を撮影するために極めてラフな林道を走るのですが、3ナンバーの四駆には信州の林道は狭すぎます。草むらに切り株や岩が隠れていたり。そんなで私の車は傷だらけ。そんな愛車のリアバンパーの凹みを修理するために長男が住む安曇野へ。帰りに夕方の霧に包まれた聖山へ。翌日は妻女山奥へキノコ狩り。結果、キノコ三昧の三連休になりました。

(左)リアバンパーの右の凹みを修理します。ネジやらピンを抜いてリアバンパーを取り外します。どうやって修理するかというと、熱湯をかけて内側から押し出して戻すのです。まあ満足できるかなというレベルには復活しました。エアコンフィルターとかエアクリーナーも自分で掃除したり交換します。(中)前夜は焼き肉王国で彼に焼肉三昧をごちそう。王国大皿にサムゲタン、チョウレギサラダ、私は生ビール2杯。(右)翌日は作業の後で、そば乃庵 はや田へ。息子は十割蕎麦に辛味大根。私は地物野菜たっぷりのつけそば大盛り。普通盛りが400gなので、もちろん食べきれません。彼に手伝ってもらいました。信州の蕎麦屋は、ときに盛りが凄いので東京感覚で大盛りを頼むとえらい目に遭います。

(左)帰りは国道19号から県道12号へ。旧大岡村の聖山へ。聖山パノラマホテルの駐車場から。旧スキー場のゲレンデ。尾根を左へ登ると約40分で山頂です。もちろん拙書でも紹介しています。(中)猛毒のヤマトリカブト。(右)林下でサラシナショウマの真っ白な花穂がたくさん揺れていました。

(左)ハナニガナ。苦いんです。(中)霧の露に濡れたノコンギク。秋のキク科の同定は難しい。(右)山頂は霧の中。午後四時なので誰もいません。晴れていれば、北アルプスから八ヶ岳まで360度のパノラマ。長野盆地から松本盆地まで見えます。

(左)山頂近くで遅出のハナイグチを発見。最盛期は10日ほど前。地元の人が入ったのでしょう。他の場所では何もありませんでした。なお、別荘地がある山域は、山菜採りキノコ狩りは禁止です。(中)ヤマハハコ。(右)登山道を横切る霧に包まれた林道。眼の前をヤマドリの子供が2羽横切っていきました。ヤマドリは養殖が難しく、販売禁止の野鳥です。

(左)白樺の森に色づくヤマウルシの紅葉。(中)毒草のマムシグサ。食べると口内がただれます。友人の医師が自ら人体実験して証明しました(笑)。(右)別荘地に咲いていた秋明菊。菊とつきますがアネモネの仲間で茶花にも用いられます。古い時代の中国からの帰化植物ですが、「秋牡丹」「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」など、非常に多くの別名があります。花弁に見えるのは萼片です。

 聖湖に下りて403号を下り、千曲川展望台で休憩。眼下には黄金色の姨捨の棚田と向こうに千曲川。この三連休はあちこちで稲刈りが行われています。昔ながらのハゼ掛けが行われているのは、おそらく自家用のお米でしょうね。味が違います。

(左)翌日は妻女山の奥山へ。林道も登山道もない藪山に入ります。海を渡るアサギマダラも吸蜜に訪れるマルバフジバカマ。(中)ミツバアケビの実。例年の半分以下の大きさ。猛暑の影響でしょう。(右)死の天使と呼ばれる猛毒のドクツルタケ。この2本で10人分以上の致死量があります。西洋ではマッシュルームの幼菌と間違えての誤食、日本ではオシロイシメジなどとの間違いですが、オシロイシメジも今は毒キノコです。完全に同定できないキノコは採らない食べないが原則です。猛毒のキノコも一度は食べられますが、二度目はありません。

(左・中)今季初物のウラベニホテイシメジ。私の「ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケ」の記事にアクセスが殺到しています。食べ方もこちらで。「ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケの見分けクイズ!」もぜひトライしてください。(右)これが毒のクサウラベニタケ。なあんだ、全然違うじゃん。これなら見分けられるわ。という方こそ見分けクイズを是非。全問正解できなかったら採取は諦めてください。

 今回採取したウラベニホテイシメジとウスヒラタケ。道の駅などでは、1000円ぐらいで買えると思います。食べ方は、今アクセスが集中している、「信州の秋はジコボウはじめキノコ三昧。キノコ料理のレシピ。放射能除染方法も(妻女山里山通信)」では、信州のキノコとそのレシピ、さらには放射能の除染方法も解説しています。最下部のスライドショーを御覧ください。但し高汚染地のものは除染しても食べられません。最も計測が簡単なセシウムでさえ、その毒性は青酸カリの2000倍です。現在政府が許可しているkgあたり100ベクレルは、福一の事故以前は、ドラム缶で保存が義務付けられる値でした。それを食べていいと言っているのです。私は最終地の土壌の放射能汚染をガイガーカウンターで計測しています。更に安全と分かっていても除染しています。被爆には高線量と低線量の二つの害のピークがあるのです。低いからといって安全ではないのです。チェルノブイリの教訓を学ばなければ生き残れません。

 さて帰ろうかなと思いましたが、もしかしてとある場所へ。なんとハタケシメジの群生地を発見。例年より少し早いかな。味はホンシメジに近く、絶品です。匂い松茸味シメジといわれますが、このハタケシメジはホンシメジに旨味成分が近く、松茸の2倍以上あります。松茸とどっちを選ぶと聞かれたら、私は迷うことなくこちらを選びます。あまりに多くて数えていませんが100本以上採取しました。

 2時間近く歩いて妻女山展望台へ。松代出身と福島出身のカップルがいたので、斎場山の話や古代科野国の話、松代藩の話をしました。拙書も紹介。眼下の長芋畑はこれから少しずつ黄葉していきます。サッカースタジアムからは、キノコ狩りの最中にチャントが聞こえてきました。中央にそびえる飯縄山。飯縄権現は、上杉謙信の兜の前立で拙書でも詳しく紹介しています。まだ風景は濃い緑で夏と変わらないように見えますが、秋は確実に忍び寄っている信州ですが、猛烈な台風24号の進路が非常に心配です。

 そして作ったハタケシメジの炊き込みご飯とウラベニホテイシメジの味噌汁。旨味はホンシメジとほぼ同じハタケシメジの炊き込みご飯は、油揚げ、人参、自家製枝豆、鶏胸肉を昆布出汁と鰹出汁で炊きました。馬鹿旨で箸が止まりません。
 ウラベニホテイシメジと豆腐の黒大豆の自家製味噌を使った味噌汁。松茸の二倍の甘みとほんのりとした苦味がたまらない。お金では買えない秋の味覚。似た毒のクサウラベニタケとの見分けは確実に

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。


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初秋の妻女山山系。キノコの偵察に。アサギマダラに邂逅。しかし猛暑と台風21号の影響があちこちに。(妻女山里山通信)

2018-09-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 三連休の中日、本当に久しぶりに妻女山山系の奥に行きました。台風21号の被害の確認と初秋のキノコの観察に。台風の被害は思ったよりも少なかったのですが、落枝や倒木はあちこちに散見されました。キノコは、食菌はないのは分かっていましたが、発生状況で次の状況が推測できるのです。最高気温は26度ぐらいでしたが、湿度が高く歩くと汗だくになりました。クロメマトイや藪蚊も煩いです。

(左)仲間が標識を立ててくれた陣場平の標識。第四次川中島合戦の上杉謙信陣城跡と伝わる場所です。(中)陣場平。7月に妻女山里山デザイン・プロジェクトで貝母保護のために除草した効果が現れています。4月には貝母(編笠百合)が見事に咲き乱れます。毒草なので持ち帰りは厳禁。(右)貝母の群生地にはミズヒキの群生がありました。

(左)ホコリタケ。この時期数少ない食菌です。味噌汁に入れたり、プニプニした食感が楽しい。(中)ドウシンタケかな。食用と記されている図鑑もあるけどテングタケ科のキノコは猛毒が多いので要注意。食べられるキノコと美味しいキノコは別。(右)山椒の実。亡父がこれを集めて七味唐辛子を作る際に薬研で磨り潰して入れていた。

 海を渡ってくるアサギマダラ。透けた部分の浅葱色が美しい。ここにも猛暑のせいなのか、この個体は小さい。

(左)昔、神奈川藤野町の陣馬山で、もの凄い数の群舞を見たことがある。(中)咲き始めた帰化植物のマルバフジバカマ。アサギマダラも吸蜜に訪れる。(右)台風21号のためか、倒木が林道を塞いでいる。途中で落枝をかたずけたりしたが、これはチェーンソーがないと無理。

(左)山桜の倒木にスルメタケ。というかスルメタケに寄生されると山桜はいずれ枯れる。(中)ワタカラカサタケかな。ハラタケ科なのは間違いないでしょうけど。(右)死亡例もあるニガクリタケ。この時期食菌のクリタケはないので間違えることはないでしょうけど。見分け方は軽く噛んでみること。ニガクリタケはなんとも嫌な苦味があります。

(左・中)なんでしょうね。フウセンタケ科かな。甘いいい香りがします、未同定。(右)山栗は不作です。実も小さい。熊とか狸とか、山の動物には厳しい秋かも知れません。

(左)K氏のログハウスで昼食。カボチャご飯にタイのレッドカレーとガスパチョ。まだミンミンゼミが鳴いています。(中)湿度が高く蒸し暑い日でした。(右)ログハウスから望む千曲川。北アルプスは雲の中。

(左)イヌタデ。食用になるタデとは違い食べられません。(中)シャクガ科の一種だとは思うのですが。似たような文様の蛾がたくさんいます。(右)ヒカゲチョウの仲間だというのはわかるのですが、なんだこれは。見たことがない。

 センニンソウ(仙人草)。例年ならブライダルブーケの様に大量に咲き乱れる様子が見られるのですが、今年は寂しい。これも猛暑の影響でしょうか。毒草ですが、野草の中では一二を争うほどいい香りがします。。

 ツバメシジミ。翅の表が青いのはオス。褐色なのはメス。今年はゼフィルスも大量に発生したオオミドリシジミ以外は非常に少なく、心配な事態でした。樹液バーにも昆虫がほとんど来ませんでした。

(左)移動するときに車のフロントガラスに来た小さな小さな蜘蛛。ワカバグモでしょうか。可愛い。(中)キツリフネ。今年は群生地も寂しい開花状況です。(右)アカカサタケかキツネノカラカサか。分かりません。

 妻女山(旧赤坂山)展望台から観る松代城方面。三連休なので県外からも妻女山展望台を訪れる人がいました、私の妻女山・斎場山のブログのアクセスも増えています。本当の妻女山が斎場山ということも、広まりつつあると思います。

 今年は久しぶりに秋刀魚が豊漁。北海道の地震で価格が少し上がりましたが、復旧が一日も早く進むことを祈ります。秋刀魚は胃がないのでわたも食べられるのです。よって放射性物質を溜めにくい。
 それにしても政府は、外国に何兆円もの融資をしながら、台風21号で被災した関西やこの北海道には雀の涙ほどの予算しかつけない。安倍自公政権は狂っています。それを放って置く国民は愚かすぎます。日本は既に経済大国でも先進国でもない。覚醒を!

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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秋雨の合間の妻女山。クロヒカゲ、ツバメシジミ、ヌルデの花で吸蜜するキオビツチバチ。小さな秋が見られる信州(妻女山里山通信)

2018-09-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 盆休み以降、超多忙な日々が続きブログの更新もできませんでしたが、久しぶりに妻女山へ。ただ長野市には大雨警報が出たので、早めに買い物や用事を済ませなければならず、短時間の滞在となりました。斎場山や陣場平には行くことができませんでした。台風での落枝や倒木も気になります。それは次の連休に。里では、ギンヤンマ、シオカラトンボ、アカトンボが待っています。猛暑から小さな秋へ変わりつつある信州です。

(左)秋雨の露が光るミズヒキ。8月から咲きますが、やはり似合うのは秋。(中・右)傘の裏が網状なのでイグチ科なのはわかりますが、さて。近くに落葉松はないのでカラマツベニハナイグチではなさそう。コウジタケかな。未同定です。多雨で松茸は豊作の様ですが、本格的な秋のキノコのシーズンは、9月下旬からです。今年は2年ぶりに天然舞茸をゲットすることを目論んでいます。

(左)マルバハギに小さなアリが吸蜜に訪れていました。(中)韮の花!? 妻女山の駐車場脇とはいえ、なぜここにニラが。『古事記』では加美良(かみら)、『万葉集』では久々美良(くくみら)、『正倉院文書』には彌良(みら)として記載がある。by wikipedia(右)直径15ミリほどの蔓草の花。これも駐車場脇なので園芸種かも。未同定です。

 ヌルデの葉にクロヒカゲ(黒日陰)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。幼虫の食草はササ類で、薄暗いところを好むそうですが、この日は曇り空だったの林道に出てきたのでしょう。樹液を吸ったり、イノシシの糞などを吸ったりします。

(左・右)ツバメシジミのオス。縄張り争いの歴戦の証ともいえる翅の傷みが勲章です。

(左)クズ(葛)の花。吉野葛は最高級品ですが、クズ自体は東京でもあちこちにはびこる雑草として有名です。外国でも帰化植物になって猛威を奮っています。(中)これは帰化植物のヨウシュヤマゴボウ(マルミノヤマゴボウ)。有毒です。繁殖力がもの凄く、妻女山では林道脇に繁茂し、在来植物を淘汰しています。(右)クマノミズキの実がつきました。それがつく小枝は赤く色づきます。晩秋にかけて鮮やかな朱色に変化します。私が森の珊瑚と呼ぶ理由がこれなんです。実は緑から濃紺に変化し、野鳥の重要な餌になります。

(左・右)ヌルデの花で吸蜜するキオビツチバチ。幼虫は、コガネムシの幼虫を食べて育ちます。触覚が短いのでこれはメスか。一心不乱に吸蜜していました。

(左)フウロソウ科フウロソウ属のゲンノショウコ(現の証拠)。胃腸、下痢便秘の薬草として有名です。センブリ、ドクダミなどとともに日本の民間薬の代表的なもの。(中)ソメイヨシノが紅葉し始めた妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者が祀られています。(右)妻女山(旧赤坂山)展望台の裏にある1847年5月8日(弘化4年3月24日)に発生した善光寺地震の慰霊碑。松代藩が立てたものです。善光寺御開帳の時期だったために、死者は推定一万人ともいわれています。松代藩がここに慰霊碑を立てたのは、後背にある斎場山(旧妻女山)が、古代科野国の古墳であり、死者を弔い祭祀を行う神聖な場所と知っていたからに他なりません。

 妻女山(旧赤坂山)展望台から望む善光寺平。赤坂橋の向こうに横に広がる森は、川中島の戦いの折に、武田信玄が本陣を構えたと伝わる八幡原(はちまんぱら)です。右にホワイトリング。左奥に長野市中心街。気温は23度ですが湿度が高い。ミンミンゼミが最後の鳴き声を響かせています。まだまだ緑は濃いのですが、小さな秋はあちこちに見られる信州です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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