モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

『真夏の樹液バー物語』犠牲者も。強者が勝者とは限らない(妻女山里山通信)

2014-07-31 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨明けが7月6日と早かった昨年は、樹液バーもあちこちにでき、昆虫の発生も多く、どこも大賑わいでした。今年の梅雨明けは、7月22日でしたが、樹液の出がよくありません。昆虫も少なめです。数少ない樹液バーでは、席の取り合いで熾烈な生存競争が毎日繰り広げられています。そんな樹液バーを4軒ほどはしごしてみました。樹液バーとか樹液酒場と呼ばれるのは、樹液にはエタノールや酢酸、糖分が含まれていて、空気に触れるとすぐに醗酵するからです。樹液には、糖質やアミノ酸、リンゴ酸、ミネラル類などが豊富に含まれているので、昆虫たちの重要な栄養源になるのです。メープルシロップを思い出してもらうと分かりますが、コナラやクヌギの樹液も舐めるとかなり甘いのです。体の大きな人間には感じられませんが、昆虫たちにはかなりのアルコール分になるわけで、飲み過ぎてフラフラしているオオスズメバチを見ることもあります。

 小さな樹液バーには、小さなコクワガタ(小鍬形)がいました。よく見るとオスのコクワの下にメスのコクワがいます。そうなんです。メスが吸汁している間、オスはずっとメスを守り続けているのです。ミヤマクワガタやカブトムシも同じ行動をします。他の昆虫が来ると執拗に追い払います。
 隣のコナラの根本にカブトムシのオスがいました。様子が変です。弱っているようです。樹液が飲めていないのでしょう。1.5mほど上にある樹液バーへ向かってよろよろと登り始めましたが、途中で無理だと思ったのか飛び立ちました。しかし、カブトムシは飛翔が下手です。結局、上の樹液バーには辿りつけず、近くの小さなガマズミの木の葉に逆さにぶら下がって留まりました。長いことは無いかもしれません。樹液バーの席順では最上位にいるはずのカブトムシが、なぜ樹液にありつけないのでしょう。
 その樹液バーでは、アオカナブンの団体さんが頭を突っ込んで吸汁中です。出ている部分が少ないので、ここでも熾烈な戦いが繰り広げられていました。

 その樹液バーの下を見ると、4つの甲虫の死骸がありました。死因はいずれも餓死でしょう。席順が最上位のカブトムシが死んでいるのは、その角のせいなのです。角が邪魔をして、狭い隙間の樹液を吸えないのです。饅頭と呼ばれるメスは、角が無いので吸えます。ミヤマカミキリやアオカナブンは、席の取り合いに負けたのです。
 そんな席の取り合いに負けて地面に叩き落とされたアオカナブンのオスメス2匹が、根本で出会いました。意気投合したかどうかは分かりませんが、オスがメスの背中に取り付きました。メスは最初迷惑そうで振り落とそうともしましたが、結局オスを背負ったまま1.5m上の樹液バーまで登りました。そして、席を取ろうと必死に先客を排除しにかかりましたが、なかなかどいてくれません。結局無理やり席取りに成功。このオスはメスを見る目があったということでしょうか。

 また別の樹液バーでは、オオスズメバチ2匹が占領中。オオムラサキや小さな甲虫やハエが来ましたが、全て頭突きで追い払いました。オオスズメバチが追い払えないのは、カブトムシとミヤマクワガタぐらいです。
 アオカナブンの団体さんが陣取る樹液バーにゴマダラチョウが訪れました。オオムラサキの近縁種で、食草も同じエノキです。アオカナブンの隙間から、長い口吻を差し込んで吸汁を始めました。
 さらに別のアオカナブンの樹液バーには、オオムラサキが訪れました。アオカナブンやカブトムシの中に口吻を差し込むのは危険も伴います。毎年、口吻が途中で切れた個体を必ず見ます。それで死ぬことはないようですが、短いと甲虫達の隙間から吸汁するのが難しくなります。

 樹液バーを離れて、長坂峠の草むら(叢)に行ってみました。ジャノメチョウが舞っています。クロアゲハが、葉で休んでいました。すると下から年配の男性が登ってきました。斎場山古墳を見に来たそうです。いつもならアブやハエに煩いほどたかられるのに、今年は虫が少ないねえと言っていました。気づいている人は気づいているのです。彼が斎場山の標識にバッタが留まっているのに気が付きました。セミの抜け殻、空蝉(うつせみ)の横にミヤマフキバッタがいます。しかし、変です。胴がだらしなく伸びきっています。触ってみるとわずかに脚を動かしましたが、もう動けないようです。バッタ茸に取り付かれたようです。菌がバッタに取り付くと、高い方へ誘い、瞬殺します。中で菌を増殖させ胞子を飛ばします。高い方へ誘うのは、なるべく遠くへ胞子を飛ばすためです。そのことを話すと、とても驚かれていました。
 空蝉というと、源氏物語と一青窈を思い出します。
「いにしへもしかにあれこうつせみも嬬(妻)を争ふらしき」:万葉集

 椎茸栽培のホダ木の場所へ下りると、ルリボシカミキリが3匹いました。この日はなんだか活性が低くて、あまり動き回りませんでした。交尾が済んで、やれやれというところでしょうか。

 帰りに妻女山展望台裏の四阿に立ち寄りました。向こうに茶臼山が見えます。そうだ、次は茶臼山に行こうと決めました。茶臼山は長野市の中なので、ネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布をしていません。昆虫の発生具合を比較できるかもしれません。

必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
 
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★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
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ルリボシカミキリの交尾と三角関係の修羅場に遭遇の昼下がり(妻女山里山通信)

2014-07-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ルリボシカミキリ(瑠璃星天牛、瑠璃星髪切:Rosalia batesi )は、コウチュウ目(鞘翅目)カミキリムシ科ルリボシカミキリ属の昆虫ですが、国蝶がオオムラサキなら、国の甲虫はルリボシカミキリといわれるほど美しい甲虫です。属名のRosaliaとは美しい乙女を象徴する女性名。元はラテン語のrosa(薔薇)でしょう。イタリアはパレルモのカプチン会地下納骨堂に眠る「死後80年以上経過してもなお、“腐敗しない死少女(死蝋化)”」として有名なロザリア・ロンバルドを連想させます。この美しい瑠璃色は死ぬと赤褐色に変化してしまうので、標本では見る事ができません。 瑠璃星と書くように瑠璃色かと思うと、薄い青の部分は、瑠璃色というよりは天色(あまいろ)に近く、濃い色の部分は、瑠璃紺より更に濃い青みがかった黒(漆黒)ですね。瑠璃はラピスラズリで、そこからできる顔料はウルトラマリン・ブルーです。ルリは、青い色をした鳥や昆虫の名前に色々使われています。鳥では、オオルリ、ルリビタキなど。昆虫では、ルリタテハ、ルリシジミなど。植物では、ヤマルリソウ、ルリハコベなど。必ずしも瑠璃色ではないのですが、そう呼ぶ習わしのようです。

 椎茸栽培のコナラのホダ木に一匹のルリボシカミキリが飛来しました。コブシ類、カエデ類、ブナ類、ナラ類、ヤナギ類などの倒木や伐採木などに集まるので、このホダ木はお気に入りなんでしょう。これはどうやらメスらしいのですが、この後一悶着起こします。

 他にはいないかなと、向かいのホダ木を見ると、なんと二匹が交尾しているではありませんか。レンズを向けると、気がついたのか、交尾をしながら移動。ついにホダ木の底面へ。無防備なので安全な場所へ移動したのでしょう。

 しばらく遠くから観察していると、ホダ木を登り、ホダ木の上面へ辿り着いたのですが、そこには先程のメスが待っていました。そのメスは、交尾している二匹にに近づきます。私の方がいい女よとでも言いたげに? 交尾していたメスは、彼は私のものよ!とでも言うように、そのメスを追い払いにかかりました。熾烈な三角関係の争いが勃発しました。オスを背中に乗せながら、執拗に噛み付くと、もう一匹のメスは最後は逃げて行きました。ルリボシカミキリの昼下がりのメロドラマでした。

 追い払ったので、再び交尾を開始する二匹です。たくさん子供を生んでくれるといいのですが。そういえば昔、ゲーリー・クーパーとオードリー・ヘプバーンの『昼下がりの情事』という映画がありましたね。あの名ラストシーンは、新幹線ではできませんね。フランス人は三角関係の物語が好きなんですかね。ミア・ファローの『フォロー・ミー』もいい映画でした。そこまで連想が飛びますか?と思われるかもしれませんが、それが思考のワープで、企画やアイデア創造には欠かせない思考法なのです。そして、必ずアナログで描きとめます。デジタルではダメ。無限に広がる思考チャートを視覚的に描いていくのです。

 実は、この二匹のすぐ近くの葉に、もう一匹の別のオスがいたのです。さっきのメスがこのオスと出会えればいいのですが。捕まえて引きあわせてと、ルリボシカミキリの仲人をするわけにもいかないので、幸運を祈るのみですが。

 その後、樹液バーへ。随分と昆虫が増えました。ミヤマカミキリ、ミヤマクワガタ、カブトムシのメス(通称饅頭)、アオカナブンの団体、カナブン、ヒメスズメバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチ、キシタバ。そして、もちろんオオムラサキ。今年は樹液の出が悪いので、樹液バーの席の取り合いは熾烈を極めています。辺り構わず頭突きをくらわせて追いやるのはスズメバチ。しかし、アオカナブンの団体には敵いません。全く動じないのはカブトムシのご婦人。大きなお尻をこちらに向けて微動だにせずに吸汁しています。オオムラサキは、その長い口吻を活かして後ろから吸汁。その後ろから隙あらば交尾をと近づくオス。毎年のことなのですが、観察していると見飽きることのない『樹液バー物語』が繰り広げられています。

 帰りに妻女山展望台へ。靄っています。中央が茶臼山。その奥の北アルプスはもちろん、虫倉山も見えません。眼下の畑では、夏野菜の収穫が真っ盛りなのですが、ニホンミツバチやハナアブがほとんど見られません。あちこちでネオニコチノイド系農薬や殺虫剤を使うためでしょう。一見、美しい農村風景ですが、実はかなり病んでいるのです。

必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
 
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今回の妻女山SDPには、4歳の天使が舞い降りて皆メロメロ(妻女山里山通信)

2014-07-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 連休最終日の妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)は、帰化植物の除草作業でした。人海戦術となるはずでしたが、都合が悪い人が続出で、結局たった三名での作業となりました。しかし、今回は方法を変えたため、それでも1時間余りで終了しました。以前は、刈払い機を使って全部刈っていたのですが、その方法だと同じ様に皆また生えてきてしまうので、今回は春頃から対象の帰化植物のみを少しずつ刈っていたのです。それが非常に効果的であるということが分かったので、今回はその総仕上げの作業となりました。

 対象となる帰化植物は、主にヨウシュヤマゴボウとオオブタクサです。特にオオブタクサは、放っておくと2m以上になり、秋に大量の花粉を飛ばして酷い花粉症を引き起こします。また、他の在来種を駆逐してしまいます。ということで、今回はナタ鎌と鎌で、選択的に除草。春から少しずつ除草を何度も重ねてきたので、3人でも割りと簡単に済ませることができました。しかし、いずれにせよ絶滅させるということは不可能です。農薬を使えば必ず自分たちに戻ってきますし・・。
 その後は山を下って、椎茸のホダ木の点検です。椎茸栽培の天敵、ゴムタケの除去作業。この梅雨は、北信にしてはよく雨が降るパターンだったので、ゴムタケが異常繁殖。名前のようにゴムの様な弾力で、湿度が高いと出てきます。必ずしもゴムタケが出るとホダ木が駄目になるということではないのですが、胞子を出して異常繁殖されても困るので、除去します。ゴムタケはムコ多糖で癌に効くという話もあります。N氏がかじってみましたが、ゴムだな。味はないとの感想。実は私も食べてみたことがありますが、もの凄く弾力のあるキクラゲという感じ。旨味はありません。ただ、栄養はあるので、なんとか美味しい食べ方はないかなと思っています。とりあえず茹でてわさび醤油とか、キクラゲと同じ扱いで中華炒めがいいと思います。

 作業を終えて、冷茶や最近私がお気に入りの畑で採れたカモミールアイスティーなんぞを飲みながら、今回初めてBBQに招待したお客様3名を待ちました。やがて現れたのは2名。なんでも小4のお兄ちゃんは昨日までのキャンプで疲れて欠席とか。お母さんに付いてきた4歳のちびっ子は、最初はオドオドしていましたが、途中でオオムラサキ達のいるコナラの大木に寄ったら、感情が一気にマックスになりました(笑)。そして故Kさんのログハウスへ。
 前回、猟師のTさんから頂いた鹿肉と猪をマリネしておいたものを焼いて、野菜は食べきれないほどの夏野菜を大量に持ってきました。それと今回は欠席でしたが、K氏が作った幻の小麦粉、伊賀築後オレゴン(通称イガチク)でN氏の奥様が作ったパンと手打ちうどん。うどん作るから手伝ってというと、虫と遊んでいたちびっ子が嬉々としてやってきました。N氏の指示で小野式製麺機を回すと、うどんが出てくる出てくる。この辺りでまた、彼の感動はマックスに。そうなんです。男の子です。N氏もS氏も最初女の子だと思っていたようです。男の子と分かってからは、N氏とR君はお珍々談義に花を咲かせていました。結局R君は全部のうどんを作りました。イガチクは、採りたて挽きたてなので、ちょっと若い熟成していない感じはしましたが、なんとも言えない甘みとコクが有り美味でした。私が作った夏用辛味大根をお母さんのYさんにおろしてもらって長ネギと薬味にしたのですが、これがまた絶品。もうひとつのドライフルーツを入れたパンも味わい深いものでした。今回来られなかったメンバーは、損をしましたね(笑)。

 おしゃべりに興じながらの昼食の後に、R君をイワナがいる泉に案内しました。第四次川中島合戦の折に上杉謙信が陣用水にしたと伝わる泉です。残念ながら雨で泉の水が濁っていて、いつもは見えるイワナが見えませんでしたが、イガチクのパンを小さくちぎって投げ入れると、一匹のイワナが浮かんできて食べました。ちゃんとR君も見た様です。その後は、ログハウス隣の円墳へ。横穴式なので石室の中に入ることができます。これも興奮していましたね。天井になんかいる。動いてると言って。いやあ案内しがいのあるちびっ子です。内部はK氏が子供の頃、野菜の冷蔵室に使っていたという様に、ひんやりしています。外とは10度ぐらい気温差があるのではないでしょうか。昔、怪我をした子供のニホンカモシカが、この中に避難していたと故Kさんから聞いたことがあります。

 当日は、靄ってはいましたが、時折吹くのは爽涼な風でした。眼下の千曲川は上流で降った雷雨で濁っていましたが、これは梅雨明けだね、という午後。しかし、去年はあんなにいた昆虫たちがほとんどいません。去年は煩いほどいたカメムシさえ。たった1頭オオムラサキのメスがログハウスのデッキの中を通りすぎて行きました。セミも少なめです。豪雪の影響も考えられますが、やはり、7.5倍の高濃度で空中散布したという松枯れ病の農薬が原因である蓋然性が高いと思われます。こんなに昆虫の少ない山は、帰郷して6年で初めてです。ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)などを引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)

 帰りにもう一度オオムラサキ達のいるコナラの樹液バーに立ち寄りました。アオカナブンが占領していましたが、別の樹液酒場にはオオスズメバチもいました。R君はアオカナブンにも触ったりして大興奮でしたね。ミヤマクワガタの死骸を見つけて持ち帰りました。昨年は見かけたルリボシカミキリが見られなかったのは残念ですが、実はこの朝、椎茸栽培のホダ木で2匹を発見しました。空中散布をした千曲市側では見ていません。オオムラサキも例年と比べると、10分の1位という異常事態です。とても経年変化の範疇と言えるようなものではありません。

 すると1頭のオオムラサキのオスが舞い降りてきて、コナラの幼木の葉に留まりました。お母さんのスマホを借りて早速撮影するR君。オスの翅は、羽化直後と違い、縄張り争いなどでかなり傷んでいますが、そういう自然の営みを知ることも大切です。彼も横浜の保育園より、今の村の保育園が気に入っているようです。保育園の給食の話とか色々してくれました。私も息子達をそう育てましたが、自然は豊かで理不尽。子供とて容赦はしません。だからこそいい学校なのです。遊ぶことが学ぶことに繋がる。心の自由度や読解力の豊かさ、他者に対する思いやりは、子供時代のスキンシップと自然との関わり方に因ると思います。大学時代に愛読したホイジンガーの『ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』を思い出しました。また読んでみましょう。
「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生まれけん 遊ぶ子供の声聞けば 我が身さへこそゆるがるれ」『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』
 これは平安時代の作です。技術が進歩しても感性は変わらない。むしろ退化しているかもしれません。技術だってそう。重機なしでピラミッドが造れますか。前方後円墳が造れますか。奢ってはいけない。その挙句の果ての福一の大事故なのです。
 今度は私が、ちょっとした特技を披露。留まって吸汁しているオオムラサキを手で摘んで捕獲して見せました。めったにしませんが、オスのゲリタニアやメスが卵を持っているかななどの観察の時にする方法です。これも驚いたようです。彼に渡そうとしましたが、いやいやをするのでお母さんに。彼のお母さん凄い!みたいな表情が可愛い。その後、脳内が子供のN氏が真似して捕獲。これは、要領が要ります。間違って翅の端を掴むと、自ら引きちぎって逃げてしまいます。
タップリと自然を堪能して、我々は山を下りました。余りに彼が興奮するので、私達は夜中にひきつけを起こさないかなと心配した程です。
 彼のお母さんは、『EARTH&SKY』というフェアトレード(公平貿易)のネットショップを開設しています。オーガニックコットンのベビー服や子供服など。スキンケアやオーガニックコーヒーも。一度覗いて見てください。家族や友人や親戚の出産祝いや誕生祝いなどにも最適だと思います。信州の自然溢れるブログも必見。ヨガも教えるそうなので、興味のある方はお問い合わせを。
 さて次の妻女山SDOPは、イガチクをどう食べるかでしょうか。

オオムラサキの保護活動、妻女山里山デザイン・プロジェクトの記録。目次の一番下の妻女山SDPをクリック!
 

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希少なルリボシカミキリに邂逅。この美しい瑠璃色に魅せられない人はいないだろう(妻女山里山通信)

2014-07-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 椎茸のホダ木の点検に妻女山の我が家の山へ。案の定、椎茸栽培の天敵ともいうべきゴムタケが一本のホダ木に発生中。念入りに除去作業。必ずしもゴムタケが発生したら終わりということでもないらしいのですが、菌糸が寡占状態になるのはやはりまずいようです。除去し終わって何気なく足元の草むらに目をやると、なんと妻女山山系では、一年に一度見られるかどうかという希少なルリボシカミキリ(瑠璃星天牛、瑠璃星髪切)が。

 最初に発見したのは、2011年でした。その後毎年邂逅していますが、たいてい一回きり。妻女山山系ではスミナガシと共に、それほど希少です。この美しい瑠璃色は死ぬと赤褐色に変化してしまうので、標本では見る事ができないのも特徴なんです。世界にもいますが、これは日本の固有種。アオカナブンと共に非常に美しい甲虫です。国蝶がオオムラサキなら、国の甲虫はルリボシカミキリといわれています。アップにすると結構ごつい顔なんですが(笑)、出会うと胸がときめかずにはいられないのです。

 属名のRosaliaとは美しい乙女を象徴する女性名。イタリアはパレルモのカプチン会地下納骨堂に眠る「死後80年以上経過してもなお、“腐敗しない死少女(死蝋化)”」として有名なロザリア・ロンバルドを連想させます。しかし、気になるのは、いつもは千曲市側の尾根筋で見つけていたのですが、今回は長野市側の現妻女山近く。ネオニコの空中散布が行われた千曲市側では見ていません。スミナガシも昨年は出会えませんでした。ゼフィルスは壊滅状態。

 その後、その市境の尾根筋へ行くと、なんと樹液バーにオオスズメバチが来ていました。オオムラサキの撮影時にいると非常に撮影が難しくなるのですが、全くいなくなると問題です。周囲のカナブンやアオカナブンを頭突きで追い払って悠々と吸汁し始めました。彼らが追い払えないのは。カブトムシとミヤマクワガタだけです。そこへオオムラサキのオスがやって来ましたが、やはり様子を伺っていてなかなか近づけません。結局、オオスズメバチが飛び去った後に吸汁することができました。

 オスが飛び去った後にメスがやってきて吸汁。するとオスが舞い戻ってきて、背後からエビの尻尾のような交尾器・ゲリタニアを出して交尾を迫りました。これは一種の儀式のようなもので、ゲリタニアでメスを捕獲して、そのまま交尾に至った例は未だかつて見たことがありません。気づいたメスは、さっと振り返って対峙。2頭はくんずほぐれつで舞いながら、隣のコナラに留まりました。それがこの写真。触覚で相手を探りながら確かめ合っています。そして、この後2頭は、共に舞いながら樹冠へと消えていきました。

 例年に比べると圧倒的に昆虫が少ないのですが、蛾だけがたくさん地面近くを舞っています。前の記事でマイマイガと書きましたが、今回初めて留まっているところを撮影出来ました。見てびっくり。マイマイガではありません。なんでしょう。蛾の同定は、本当にいつも困難を極めます。確かに長野市中心街や西山では、マイマイガが大量に発生しているようです。しかし、妻女山山系ではマイマイガの特徴的な卵も見ないので変だなとは思っていました。どうやら大量発生したのはマイマイガだけではなかったようです。

 ヒヨドリバナで吸蜜しているのは、ジョウカイボンでしょうか。ホタルの仲間ですが、命名の由来は雑食性で昆虫や小動物も食べるため、強そうな平清盛の法名、淨海坊(じょうかいぼう)に由来すると言われたり、清盛が高熱の病気で亡くなったことと、昔の呼び名の火虫と関連づけた説がある他、西遊記の沙悟浄の法名も淨海坊だそうで、それに由来するという説もあるそうです。
 吸汁にムモンホソアシナガバチがやってきました。小さいハチですが、除草作業で一番刺されることの多いハチです。私はひと夏に四回刺されたことがあります。ポイズンリムーバーで、すぐに毒を抜いたのでたいして腫れませんでしたが、痛いです。

 湿った空気に包まれた千曲川畔。こんな空気が湿って重たい日は、オオムラサキも翅が湿って活性が落ちます。たまに日が差すと、翅を思い切り広げて乾かす光景があちこちで見られます。日が出ないと、たいてい葉の上や神社の屋根の窪みに留まって昼寝をしています。

 樹液バーに戻ると、オオムラサキが吸汁していました。曇り空なので光量が足りません。驚かさないように気配を殺して近づき、コナラの幹にカメラを押さえつけてブレないように固定して撮影しました。

オオムラサキの保護活動、妻女山里山デザイン・プロジェクトの記録。目次の一番下の妻女山SDPをクリック!
 
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オオムラサキのメスを初見。樹液バーでは、希少なチャイロスズメバチとの小競り合い(妻女山里山通信)

2014-07-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 毎年オオムラサキが集まるコナラの樹液バーへ撮影に行きました。しかし、オオムラサキはいず、蛾のキシタバとハエがいたのみでした。今年は、まだここでオオムラサキを見ていないのです。気落ちして更に奥のギャップへ行くことにしました。今年は本当に昆虫が少ないのです。しかし、林道には大発生した煩いほどのマイマイガが飛び交っています。

 ハルジオンでミナミヒメヒラタアブのオスが吸蜜中です。但し、周りじゅうを見てもたった一匹しかいませんでした。ハチやハナアブは本当に減少しました。ゼフィルスに至っては絶滅状態。冬の豪雪に加えて、千曲市のネオニコ空中散布が原因でしょう。極めて深刻な事態が起きています。
 バッタ茸に冒されたミヤマフキバッタの死骸です。バッタを操り、草のてっぺんに誘い瞬殺するのです。体内で菌糸を発達させ胞子を飛ばします。バッタにとっては恐ろしいキノコです。幸い今のところ人間に取り付く人間茸なるものは発見されていません。ミヤマフキバッタも今年は少なめです。

 例年なら、樹液バーにはオオムラサキを始め、カブトムシやオオスズメバチ、カナブンやアオカナブン、ミヤマカミキリ、ルリタテハなどで大混雑するのですが。林道にはマイマイガが舞っているだけです。しばらく待っていると。なんと希少なチャイロスズメバチが一匹現れました。まだストレスの貯まる子育て期ではないとはいえ、相当に攻撃性が強いので要注意です。
 このチャイロスズメバチは、社会寄生種という極めて珍しい生態を持っています。造巣能力を持たず、女王蜂は他のスズメバチより遅く活動を始め、キイロスズメバチやモンスズメバチの働き蜂が羽化直後に巣を乗っ取り、女王蜂を殺し相手の働き蜂に自分の生んだ卵の世話をさせるのです。チャイロスズメバチが羽化し始めると巣の中は、二種類の蜂が共存するわけですが、やがて全てチャイロスズメバチに入れ替わって行きます。他のスズメバチ類に比べて強靭な外骨格をもつため、大顎や毒針の攻撃に強く、オオスズメバチの攻撃を受けて逆に撃退する事もあるそうです。そのオオスズメバチを全く見ません。オオムラサキの撮影の時はいない方が好都合なのですが、全く見かけないのは問題です。ヒメスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチも見ません。ヒヨドリバナが咲き出しました。

 するとバサバサと大きな羽音が頭上から聞こえると、2頭のオオムラサキのメスが、樹冠から舞い降りて来ました。今年のメスの初見です。しかし、たった2頭とは寂しい。コナラの大木に留まると、アオカナブンが頭を突っ込んでいる樹液バーに近づき、口吻を差し込みました。

 1頭のメスが吸汁中に、背後からオスが体をくの字に折って交尾器のゲリタニアでメスと無理やり交尾をしようとせまります。これが成功することはまずなく、大抵メスは気がついて逃げるか向かい合って対峙します。この後メスが気がついて逃げ、近くのコナラに留まりました。オスが追いかけて対峙したカットが右側です。ただ、この時はオスがメスを気に入らなかったのか、すぐに飛び去ってしまいました。

 取り残されたメスです。私のどこが気に入らないのよ、という様な顔をしています。そう見えるだけですが・・。まだ羽化したてなので、翅も綺麗です。しかし、小さい。オスが気に入らなかったのも、この小ささかもしれません。一見綺麗ですが、発育不良かもしれません。このオスも小さめです。長野市側で見たオスは、もっと大きな個体でした。結局この日、ここで見たのはこの3頭だけでした。千曲市と接しない近隣の山では普通に発生しているという話も聞いているので、余計に気がかりです。

 先客のアオカナブンが頭を突っ込んで吸汁中のところへ、オオムラサキとチャイロスズメバチがやって来ました。チャイロスズメバチはアオカナブンをどかそうと頭突きをしましたが、びくともしません。三匹は仲良く吸汁しているかに見えたのですが。何が気に入らなかったのか、突然チャイロスズメバチがオオムラサキを攻撃しました。この勝負はチャイロスズメバチの勝ちに見えましたが、しばらくしてまたオオムラサキが戻り、何事もなかったかのように吸汁を始めました。

 それにしても、例年に比べると昆虫の数も種類も極端に少ないのです。千曲市によるネオニコチノイド農薬の空中散布のせいなのか。冬の豪雪の影響なのか。その両方なのか。真実を知っているのは彼ら昆虫たちだけです。

 野生のホウズキ(鬼灯、酸漿)が実をつけていました。子供の頃に、赤く熟れた実を口に含んで鳴らして遊んだものです。ネムノキの花が満開です。
 妻女山展望台の裏にある弘化4年(1847)に起きた善光寺地震の供養塔(右)。死者総数8,600人強、全壊家屋21,000千軒、焼失家屋は約3,400軒を数えました。嘉永二年(1849)建立。文は、松代長国寺住職、圭白師。なぜ善光寺から遠くここに供養塔があるかというと、松代藩はここが古代からの神聖な斎場であったことを知っていたからと町史には記されています。最近、福島沖で大きな地震がありました。東北太平洋沖大地震の余震だということですが、次に来るアウターライズ大地震の前震ということはないのでしょうか。気がかりです。

 妻女山展望台からは、一日毎に夏色が増す善光寺平が見えます。今年は台風の発生数が多いそうですが、昨年のように洪水にならなければいいなと思います。長野パルセイロのホームとなるサッカー場も急ピッチで工事が進んでいます。総事業費は、70億円余り。収容人数が違うとはいえ、新国立競技場は、当初3000円億円で、批判が出て圧縮して1600億円余り。あの日本の文化を全く無視した酷いデザインといい、狂ってますね。
 ワールドカップの喧騒も、ドイツの優勝で幕を閉じました。ドイツは、8年に及ぶという若手の育成に成功しましたね。勝利を決めたのが、交代で入った22歳と23歳の若者。前回はバルサ中心のスペイン。今回はバイエルン中心のドイツが優勝。アドバンテージは主要リーグのある欧州にある時代でしょうか。御 用メディアもですがバックに電 通がいる限り100年経っても日本の優勝は無理でしょう。その前に食べて応援と、今回の様に福島の食材を使っていたら永遠に無いでしょうね。内部被曝を軽く見ると、必ず痛い目に遭います。

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千曲市森の杏が最盛期、朝採り杏で焼酎漬。松枯れ病が深刻。ネオニコは農薬でなく農毒!(妻女山里山通信)

2014-07-09 | アウトドア・ネイチャーフォト

 6月末から7月中旬まで、千曲市のあんずの里では杏の収穫の最盛期を迎えます。望めば杏狩りもできます。杏の実は傷みやすいので、生食ができるのはこの期間だけです。うちの近所もそうですが、集落の道路には熟した杏がたくさん落ちていて、踏み潰さないと通れないほどです。この時期は、潰れた杏の甘酸っぱい香りが集落中に漂います。昔は我が家の庭にも杏の木があり、杏干し、シロップ漬け、焼酎漬け、紫蘇巻き杏などを作りました。在京時代は、森の親戚から送ってもらった杏で、ジャムを作ったりタルトを作ってもらったりして堪能しました。現在は、もっぱら焼酎漬けを作りますが、完熟あんずを使い砂糖は入れません。甘みが欲しければ食べる時に蜂蜜を。

 写真は、4月14日の杏の花が満開のあんずの里と、7月6日の杏の実の収穫が最盛期を迎えたあんずの里です。随分と印象が変わるものです。訪れる人は、花の季節の方が圧倒的に多いのですが、私は花より団子派なので、収穫期も好きです。杏の甘酸っぱい香りは、梅雨の季節の鬱陶しい気分を爽快にさせてくれます。

 坂上田村麿が東征の際の草創で、川中島合戦の時には、山陰に隠れるようにあったため武田の戦火を免れたという古刹、信濃三十三番札所第六番「洗渕山観龍寺」。本尊は、藤原初期のものと言われる榧(かや)の一木造り十一面千手観音菩薩座像。紫陽花の花が鮮やかでした。しかし、昆虫が全くいないのです。山門の斜面にはハルジオンがたくさん咲いていましたが、吸蜜する蝶は皆無。ジョウカイボンを一匹見ただけ。この時期大量に発生するウリハムシやハナムグリさえいません。もちろんハナアブやミツバチも皆無。あり得ない異常事態。

 あんずの里の北西の外れにある有明山の麓の岡地地区です。松枯れ病の現状を見に来ました。赤茶色に見えるのが枯れた赤松です。ほとんどやられていると言っても過言ではありません。写真左の中腹には右の有明山トンネルと左の森トンネルに挟まれた高速道路が見えます。赤茶色に枯れているのは、この高速道路の周囲が顕著です。誰の目にも分かります。この地区には親戚がいるのですが、やはり高速ができてから松枯れ病が一気に広がったと言っています。マツノマダラカミキリのセンチュウが原因ではない可能性が極めて高いのです。高速の露出していないひとつ南の谷は松枯れ病はあまり見られません。

 左の写真は、千曲市の土口地区から見た斎場山。マツノマダラカミキリが繁殖しやすいという山の南面に松枯れ病はほとんど見られません。ところが、その反対側の北面は酷い状況です(写真右)。こちらは、すぐ下に一日三万五千台通過する高速道路と、一日一万台以上車が通る国道304があります。中央に点々と見える白い物は、松枯れの赤松を伐採し、玉切してビニールを掛け、農薬(ヤシマNCS)で殺虫しているものです。20箇所以上ありますが、下の杉の林の切れ目の上に集中しているのが分かります。ここから排気ガスがもろに当たるのでしょう。赤松の葉の気孔は非常に小さく、排気ガスで容易に詰まってしまうという説もあります。この山では、いくら探してもマツノマダラカミキリは発見できません。この山は、昔桑畑だったので赤松にとっては過栄養で、太くても材はスカスカで建築用材にもなりません。風雪にも弱く簡単に折れます。虚弱で病気にもなり易いのです。ある意味、淘汰されても当然なのです。落葉松を含めると立ち枯れも20本以上あります。道路上に倒れたこともあり、非常に危険な状態です。
松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?

 森から帰る途中の雨宮田んぼでは、地産の小麦、ユメセイキの収穫の後で焼き畑をしていました。病害虫の駆除と灰を肥料にするためでしょう。その奥に見えるのが高速道路・上信越自動車道です。右の写真は、ひとつ上の左の写真のもう少し右の中腹から千曲川や眼下の高速道路を撮ったものです。この場所は、主に北風と東風が吹くので、眼下に高速道路があるにもかかわらず、排気ガスが当たらないためか松枯れ病がほとんど見られません。なのに高濃度のネオニコチノイド系農薬を空中散布を実施したのです。眼下には土口の集落や団地もあります。いずれ人的被害は避けられないでしょう。
 ハルジオンの草原でたくさん舞っていたのは、今年大発生しているマイマイガだけでした。空中散布以後に羽化したものです。マイマイガは数年に一度大発生し、ウィルスの蔓延で減少を繰り返します。夏の卵を焼却処分にするのが一番いいかもしれません。アメリカシロヒトリと同様に、地区で日を決めて人海戦術でやるのが効果的です。殺虫剤や農薬を使うと、必ず自分たちに還って来ます。

 その上の陣場平(左)と長坂峠(右)。食草のエノキがあり、いずれも昨年までは大量のオオムラサキが発生し飛び回っていた場所です。ところが今年は1頭も見られません。舞っているのは長野市側のみです。尾根筋でやっと1頭見つけたスジボソヤマキチョウ(中)。この時期のありふれた蝶で、例年ならば林道のあちこちで見られるはずの蝶です。天城山林道を西へ歩いてみました。以前は十数種類のゼフィルス(シジミチョウ)が見られたのですが、今回は1頭も発見できませんでした。そればかりか他の昆虫もいません。壊滅状態です。
 前の記事で書いたように、この異常事態は、千曲市が3年前から実施している松枯れ病のネオニコチノイド系農薬の空中散布のためだと思います。そして、こともあろうか通常は20~40倍で希釈というのを、今年は7.5倍というとんでもない高濃度の薬剤を散布したらしいのです。ベトナム戦争の枯葉剤と同様の強力な神経毒である農薬、いや農毒を、空から撒くという狂気。
 前の記事で書いたように、金沢大学教授山田敏郎さんは、「ネオニコは、毒性が強く分解しにくく、『農薬』というより『農毒』に近い。このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える。ネオニコの危険性を多くの人に知ってもらいたい」と語っているのです。生態系には、もちろん人間も当然含まれます。

 群馬県前橋市で、松枯れ病対策としてネオニコチノイド系殺虫剤が使用されるようになった2003年以降、ネオニコチノイド系殺虫剤が原因と思われる頭痛、吐き気、めまい、物忘れなどの自覚症状や、頻脈・除脈等の心電図異常がみられる患者が急増しています。なんと日本のネオニコチノイド系農薬の残留基準は、欧米よりも緩い基準値(日本は、アメリカの10倍、欧州の100倍近い)。(青山内科小児科医院 青山美子医師)
 ネオニコチノイド剤の使用が増え始めた2006年頃から、農薬散布時に自覚症状を訴える患者が増加。中毒患者には、神経への毒性とみられる動悸、手の震え、物忘れ、うつ焦燥感等のほか、免疫系の異常によると考えられる喘息・じんましんなどのアレルギー性疾患、皮膚真菌症・風邪がこじれるなどの症状も多くみられます。日本では、果物の摂食、次いで茶飲料の摂取、農薬散布などの環境曝露と野菜からの摂取も多い。受診した患者では、果物やお茶の大量摂取群に頻脈が見られ、治療の一環で摂取を中止させると頻脈が消失します。(東京女子医科大学東医療センター麻酔科医師 平久美子氏)
 ネオニコチノイド系農薬の人体への影響として、空中散布や残留した食品の多量摂取による心機能不全や異常な興奮、衝動性、記憶障害など、急性ニコチン中毒に似た症状が報告されています。
また、ネオニコチノイド系は胎盤を通過して脳にも移行しやすいことから、胎児・小児などの脳の機能の発達を阻害する可能性が懸念されます。(東京都神経科学総合研究所 黒田洋一郎氏):ダイオキシン国際会議ニュースレターより抜粋


 妻女山の草原では、ラン科ネジバナ属の小型の多年草、ネジバナ(捩花)が咲いていました。杏を頂いたので、生食した以外をまず焼酎漬けにしました。普通よりかなり砂糖は控えめです。後で杏仁も加えます。ジャムも作りましたが、こちらも砂糖は極力控えめ。なんといっても砂糖は毒物ですから。空中散布が比較的かかっていないだろう場所のものですが、野菜のように毎日食べるものではないので、大丈夫だろうとは思いますが・・。ドクダミの焼酎漬けが体にいいというので作ってみました。十薬というぐらい高い効能があるそうで、飲んでも美味しいのですが、虫さされや水虫によく効くというのです。実際驚くほどの効果がありました。これは花だけを漬けたものですが、全草を使ってもいいようです。

 千曲市の杏で、非常に気になるデータがあります
★あんずジャム(2011年7月手作り、長野県千曲市更埴産のあんず)(3時間測定)
(+-9 calibration1%) 300cc 402g 25 bq/l → 49・7 bq/kg
★あんずジャム(2011年、手作り、長野県千曲市更埴産のあんず)(3時間測定)
(+-10 calibration1%) 400cc 506g 32 bq/l → 37・9 bq/kg

 この千曲市更埴産というのがよく分かりません。千曲市に更埴という地区はありません。千曲市の旧市名です。千曲市の杏の名産地は森地区ですが、生産地は有明山の向こう側の千曲川沿いにもあります。私は計測や情報から、森地区の放射能汚染はそう高くないと思っています。しかし千曲川沿いは、割りと高い所もあります。以前、ツイッターで駐車場の片隅の砂塵が10000ベクレル/㎏だったと教えてくれた方がいました。マイクロホットスポットがあるようです。この杏の詳細な収穫場所を知りたいものです。加えて千曲市の杏は、ネオニコチノイド農薬の空中散布を浴びている可能性が高い。残存性が高く洗っても落ちません。少なくとも、乳幼児や妊婦は控えたほうがいいかもしれません。
 49.7ベクレルは政府の言う基準値以下だから大丈夫かというととんでもない話で、チェルノブイリ人民法廷 ソランジュ・フェルネクスの報告では、内部被曝による疾病には二つ山がある二相応答曲線になるそうです。低線量のときが危ないのです。これは盲点であり、直線関係しかないとするICRPのモデルはウソだということです。原発村のマスゴミが決して伝えない真実。

福島原発事故後の外食料理汚染、社食汚染まとめ - NAVER まとめ :食べて応援していたら確実に病気になり死にます。
人間は環境化学物質の83%を空気(肺)から。取り込み食品からは7%飲料からは8%に過ぎない。私たちが一日に呼吸する空気は約20キロ。食べ物や水の摂取量のおよそ10倍」村上周三・東京大学

■必見資料2(前の記事に続く)

殺虫剤の危険性…ネオニコチノイド系殺虫剤が脳の発達を阻害!?発達障害の原因か…
自閉症・注意欠如多動性障害(ADHD)など発達障害の原因と有機リン系、ネオニコチノイド系など農薬の危険性
新農薬ネオニコチノイドが脅かす ミツバチ・生態系・人間
千曲市における今後の松くい虫防除対策について :何にも勉強していないどころか、キックバックでももらっているのかと疑われても仕方がないレベル。危険性のエビデンスは既に出ている。
長野県の松枯れ空散で7.5倍希釈(高濃度)のエコワン3(チアクロプリド)散布 :松茸業者と農薬メーカーのために市民を犠牲にする自治体。

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妻女山山系のゼフィルスが壊滅状態なのは千曲市による農薬の空中散布だと断言するKさん(妻女山里山通信)

2014-07-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 山の除草に行ったついでに、写真撮影をしました。オオムラサキも先週の倍ぐらいの数になりました。メスはまだ発生していません。もうそろそろですが。昨年よりは少し遅れているようです。しかも発生しているのは、長野市側だけ。空中散布した千曲市川は、今年は全く見られません。千曲市側の天城山林道を調査しましたが、ここは4年前まではゼフィルスの宝庫でした。しかし、今回は1頭も見られないばかりか、それ以外の昆虫もほとんど見られませんでした。恐ろしい事態が起きているように思います。

 これは長野市側のシオカラトンボのオスです。成熟すると青っぽい色になりますが、メスは黄色っぽいままでムギワラトンボともいいます。蜻蛉の背中はメカニカルで好きです。オナガサナエのオスが枯れ葉に留まりました。今年はドクガ科のオオヤママイマイが大量発生しています。どこでも見られるのはそれだけ。異常事態です。

 これも長野市側。ヤマトシジミが2頭、シロツメクサで吸蜜していました。ベニシジミが1等舞ってきました。林道から山仲間で蝶の研究家のTさんが歩いてきました。手には長い捕虫網を持っています。写真を撮りに来たそうですが、第一声は「何にもいない。ぜんぜんいない」でした。妻女山山系は全滅状態だそうです。彼は何年にも渡って長野市や千曲市の里山の蝶の観測をしていますが、ここ3年ばかりの千曲市のゼフィルス(シジミチョウ)の絶滅とも思える極端な減少は、間違いなく松枯れ病の空中散布によるものだと言っています。それしか考えられないと。しかも、農薬を有機リン系からネオニコチノイド系の変えたころから始まったと。千曲市と坂城町が空中散布したのは、ネオニコチノイド系のエコワン3フロアブルです。以前は十数種類もいたゼフィルスが、今はほとんど見られなくなってしまいました。以前は見られたニホンミツバチも全く見なくなりました。ハナアブも激減しています。

 ネオニコチノイド系農薬の毒性については、2013年に金沢大学教授山田敏郎さんの研究によって蜂群が最終的に消滅することが確認されました。フランスでは2006年から使用禁止。2007年春までに、北半球の4分の1のミツバチが消えてしまったという報告があるのです。山田教授は「神経系に障害を起こすネオニコ系農薬によって、ミツバチは帰巣能力を失ったのでは」としているのです。
 ネオニコチノイド系農薬は神経毒で、あのベトちゃんドクちゃんを生んだベトナム戦争の枯葉剤、遺伝子組み換え作物で悪名高きモンサント社のラウンドアップと同系統のものなのです。農薬メーカーがいう安全性などなんの保証にもなりません。現実にゼフィルスやニホンミツバチ、ハナアブなどが激減しているのがなによりの証明です。林野庁もあてになりません。
 山田教授によると、同じく毒性が強くても、有機リン系など従来の農薬の場合は、巣箱の周囲にミツバチの死骸が落ち、時間が経つとともにミツバチの数は回復していくといわれています。教授は、「ネオニコは、毒性が強く分解しにくく、『農薬』というより『農毒』に近い。このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える。ネオニコの危険性を多くの人に知ってもらいたい」と語っているのです。神経毒では、100円ショップで売られているグリホサート系除草剤も極めて危険。殺虫剤も危険です。
 既に危険極まりない毒物であるというエビデンスが出ているのです。それにもかかわらず使い続ける坂城町と千曲市は、愚かすぎて言葉もありません。Kさんによると、千曲市の一重山や坂城町の葛尾城跡辺りの山もゼフィルスは壊滅状態だそうです。もし来年から散布を止めたとしても、回復には5年ぐらいかかるかもしれないということです。止めなければいずれ全ての昆虫が絶滅し、やがて人的被害も出るでしょう。実際千曲市では、子供の発達障害が既に出ているという報告もあります。千曲市の農家のある方は、水田で使っているネオニコチノイド系の除草剤やカメムシ対策の殺虫剤が非常に危険だと思う。あんな米を食べていたらいずれ病気になると言っていました。農家の方でも勉強して分かっている人はいるのです。(写真はヤマトシジミ)

 ヒメウラナミジャノメがハルジオンで吸蜜中。キチョウがオカトラノオで吸蜜中。ありふれた蝶ですが、活発に飛び回るのでなかなか撮影が難しい蝶です。ただこちらも以前と比べると、数は著しく減っています。オオムラサキは六文銭が好きなようです。鬼瓦の六文銭に1等翅を広げて留まっています。その周りを飛ぶもう1等。Kさんによると、長野市側のものも発生が山の南面の千曲市の場合は壊滅状態になるだろうと。実際、長野市側にもかかわらず、林道倉科坂線のゼフィルスは壊滅状態だそうです。

 地面に下りて吸汁。まだまだ翅は傷んでおらず綺麗です。羽化不全の奇形の蝶も今のところ見ていません。空中散布をする頃には、オオムラサキは終齢幼虫か蛹になっているので、影響が少ないのかもしれません。しかし、大量発生していた千曲市側の長坂峠南面では、1頭も確認できませんでした。こんなことは初めてです。

 昨年の今頃は既に樹液が出始めていたので、コナラやクヌギの樹液バーは大賑わいだったのですが、今年はまだ出ていないので、仕方なく地中に染み込んだ水分を吸っています。これも長野市側です。

 これはコンクリートの上の水分を吸っているところ。オオムラサキに限らず、タテハチョウ科の蝶は、こういう習性を見せることがあるようで、コンクリートに含まれる石灰成分を吸っているのではないかなどという人もいますが、真相はまだ分かっていません。乾ききった砂に口吻を挿して何かを吸うなど不可思議な生態は色々あります。

 ハルジオンに見慣れない昆虫が来ました。ハナアブに似ていますが、甲虫のような翅なので、ひと目で違うとは分かりました。ヒメトラハナムグリでした。撮影したのは今回が初めてです。シオヤアブが獲物を捉えて留まりました。なかなかのハンターで、ゼフィルスも犠牲になることがあります。桐の実がたくさん成っています。

 妻女山展望台から見える景色はますます緑が濃くなってきました。左の茶臼山。その右奥の雲が少しかかる虫倉山。右手前の白い崖は中尾山。今秋も中尾山-茶臼山ハイキングのインストラクター(インタープリター)をします。ミニ講演会では、昨年は歴史について語ったので、今年は自然について面白い話をしようと考えています。写真も用意しましょう。もちろん、ネオニコチノイド系やグリホサート系農薬の危険性についても話すつもりです。

■必見資料

NO! ネオニコ(子どもとミツバチのいのちを守る)
蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん、Colony Collapse Disorder、CCD)
空中散布・松枯れ
2014年度 松枯れ対策等の農薬空中散布予定
長野県での空中散布廃止を求める活動 (長野県千曲市 池田靖子さん)
反農薬東京グループのホームページ
松枯れの原因・対策(木のお医者さん)

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オオムラサキ、クジャクチョウ、メスグロヒョウモン、キマダラセセリ、アゲハチョウ(妻女山里山通信)

2014-07-02 | アウトドア・ネイチャーフォト
 昼休み、撮影に雨上がりの山へ。この時間が最もオオムラサキが活性化し吸汁に飛び回る時間なのです。雨上がりで湿度の高い午前中は、翅が重いのかなかなか飛び回りません。午後になって気温が上がるとお昼寝の時間なのです。

 オオムラサキのオスが盛んに舞っています。ジッと地面に下り立つのを待ちます。蝶の撮影は一に辛抱、二に辛抱。待つのみです。いつ来るとも分からない女神を待つようなものなんです。一頭のオスが下り立ち地面に口吻を挿して、ゆっくりと翅を閉じたり開いたりしながら吸水を始めました。地中に染み込んだ雨水は、単に水分だけでなく、腐葉土の塩分やミネラルが含まれているのでしょう。
 神社の濡れ縁の下の乾燥した砂場で口吻を挿して何かを吸っているオオムラサキ。以前も目撃しましたが、20分近くも吸っていました。事後に確かめると、そこには全く水分がなく(濡れ縁の真下なので雨も当たらない)、何を吸っていたのか全く不明です。ちょうど居合わせた蝶ハンターのSさんにそのことを話すと、彼もその不可思議な生態に気づいていて、本当に不思議だねと言っていました。このような生態は、どこにも紹介されていません。一番右の写真は、柱に染み込んだ僅かな雨水を吸っているところです。これなら分かります。

 広いギャップに出るとクジャクチョウが舞っていました。日本産の亜種につけられている学名はNymphalis io geisha(芸者)なんです。メスグロヒョウモンのメスを発見! 暗茶褐色の翅に白のコントラスト。青色の流れるような滲みが本当に美しい蝶。オスは黄色と黒の、所謂ヒョウモンチョウ特有の色で雌雄で全く違う色合いが不可思議。ヨシの葉に留まるキマダラセセリ。大きな丸い頭に大きな目が愛らしい。

 森のギャップの真ん中の大木、クマノミズキの花が咲き始めました。この花は色々な虫達のお気に入りで、たくさんの昆虫たちが吸蜜に訪れます。

 ハルジオンに吸蜜するアゲハチョウ。蜜が少ないので、あちこちの花を次々に訪れるので撮影が大変でした。しかも吸蜜中はずっと翅を羽ばたいています。アゲハチョウを見ると脳内でポルノグラフィティの 「アゲハ蝶」が再生されます(笑)。本当にいい曲です。
~あなたに逢えた それだけでよかった 世界に光が満ちた 夢で逢えるだけでよかったのに 愛されたいと願ってしまった 世界が表情を変えた 世の果てでは空と海が交じる~
~あなたが望むのなら この身など いつでも差し出していい 降り注ぐ火の粉の盾になろう ただそこに一握り残った僕の想いを すくい上げて心の隅において~

 梢に留まって何を見ているのだろうオオムラサキ。地面で吸水中は、時に非常に危険です。ここは神社の境内なので、草もまばらで敵もよく見えますが、森のギャップの草むらでは、草陰に潜むトカゲやカナヘビが見えません。襲われて餌食になるものや翅がもぎ取られるものもいるのです。蝶の目は複眼で凸面なので比較的全方位が見えますが、やはり真後ろは見えないようです。蝶の撮影の時は、真後ろから近づくのも有効な方法です。

 羽化したてのオオムラサキのオスは、翅も傷んでいないので本当に綺麗です。紫と言いますが、実際はコバルトブルーに近い色合いです。この色は翅の持つ色素の色ではなく、構造色なのです。それ自体に色はないのですが、その微細な構造により光が干渉して、この様な美しい色合いを醸し出しているのです。それにしても自然は、不可思議で信じられないほど美しい文様を作り出すものです。そう思って人体を見ると、なんてシンプルで飾り気がないのでしょう。だから服や化粧で飾るのでしょうか。

 マクロ撮影をしていると、どうして逃げないのと聞く人がいます。確かに普通はこんなに寄ったら即座に逃げます。近づくだけで逃げてしまいます。右の写真はレンズフードから蝶まで6センチぐらいでしょうか。コツがあるにはあるのですが、説明するのは難しいです。時には指や服に留まることもあります。そうですね、お友達になることです。
 オオムラサキの目には瞳があるように見えます。どこから撮ってもこちらを見ているように見えますが、これは偽瞳孔なのです。名前の通り偽もので、いつもこちらを向いているので見つめられているような気がしますが、光の入射角がこちらに向かっていると、光を全て吸収するため黒く見えるのです。複眼の前の二本の角は、下唇鬚(かしんしゅ)といって、匂いを感じたり、複眼や口吻を掃除するものといわれています。
 メスが舞っているのを見ました。遅れて発生します。今年は発生数がやや少ないので心配しています。千曲市の松枯れ病のベトナム戦争の枯葉剤と同タイプの神経毒のネオニコチノイド系農薬空中散布の悪影響でなければいいのですが。実際、ゼフィルスやハナアブは絶滅状態と言っていいほど激減しています。ヤマトシジミがシロツメクサで吸蜜中を発見。たった一頭しかいません。例年ならたくさんいるはずのツバメシジミもウラゴマダラシジミも全く見かけません。4年前まではニホンミツバチもいたのですが、全く見なくなりました。見かけるのは養蜂場が飼っているセイヨウミツバチのみ。虫の次は野生動物、そして人間です。

 妻女山から望む中尾山とその向こうの陣場平山。積乱雲が見えますが、今日は夕立はなさそうです。この美しい里山が、福一の放射能で汚染されたのです。犀川以北の山菜やキノコからは、高濃度の放射性物質が検出されています。詳細は長野県のホームページで。すでに北半球全体にたった一粒吸引しただけで癌になるホットパーティクルが飛散しています。安全性バイアスにかかった人から、情報弱者から死んでいくのです。原発=核は生物学上もっとも反動的なものです。
 右は会津比売神社。祭神の会津比売命は、諏訪大社の祭神、建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)の子、出速雄命(いずはやおのみこと)の子です。しかも、神武天皇の子、神八井耳命(かむやいみみのみこと)の子孫といわれる、大和王権より初代科野(信濃)国造に任ぜられた武五百建命(たけいおたつのみこと)[古事記]の室(妻)といわれているのです。古代科野国の産土神(うぶすながみ)と呼ばれる所以です。

オオムラサキの保護活動、妻女山里山デザイン・プロジェクトの記録。目次の一番下の妻女山SDPをクリック!
 
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