モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

「真田信之 - 十万石の礎を築いた男 -」真田信之松代入部400年記念 真田宝物館特別展へ(妻女山里山通信)

2022-10-29 | 歴史・地理・雑学
 12月19日(月)まで開催中の、「真田信之 - 十万石の礎を築いた男 -」真田信之松代入部400年記念 真田宝物館特別展に行ってきました。非常に見応えのある展示で、県外ナンバーの車もたくさん見られました。撮影禁止のものもありますが、撮影可能なものも非常に重要です。それらをアップします。信之や幸村の書状とか、真田マニアなら絶対に見逃せないものばかり。
真田宝物館公式サイト

 真田家の歴史から始まります。赤備えのイメージのディスプレイにワクワクします。

「真田昌幸 昇梯子の具足」天衝(てんつく)という大きな前立てと胴の四段梯子が特徴。軽量かつ実用的な仕様だそうですが、この兜の前立ては重くないのでしょうか。兜は何種類か持っていたそうなので、実戦用とかもあったのでしょうか。(左の掛け軸は撮影禁止なので消してあります)

「海津大絵図」で、床にレプリカが敷いてあり、くつのままお上がり下さいとあるのですが、皆さん無関心で見ていかないのです。私は地図フェチなのでじっくりと観察します。松代城を中心に、北は善光寺から南は狼煙山まで。東は奇妙山、西は西山地域まで描かれています。松代城の北に細い古川が描かれていることから、戌の満水の後で大規模な瀬直しが行われた後の地図だと思われます。川中島の集落もそれぞれ分かれていますが、現在は全部つながってしまってどこがどこやら境が分かりません。

 妻女山は、斎場山の場所に記されています。現在の妻女山は赤坂と。倉骨城(鞍骨城)もあります。斎場山と妻女山、赤坂山の混同の入れ違いの歴史については、拙書やこのブログでも何度も記事にしています。BS・TBSの歴史番組で歴史研究家の三池純正さんをガイドをしたこともあります。「真説・川中島合戦」洋泉社新書は一読の価値があると思います。

 皆神山。右奥の三角は狼煙山。武田の狼煙を上げる山城がありました。左奥に地蔵峠も見えます。

 真田家の墓や御霊屋がある長国寺。その奥にそびえる瀧山は奇妙山のこと。清滝も描かれています。左手前に真田幸隆に攻略された尼厳山。拙書でも記していますが、奇妙山は本来は帰命山であり、本名は仏師岳、仏師ケ岳といいます。

 善光寺。越後に通じる北国街道も。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」が出版された頃は庶民の旅行も盛んになり、善光寺御開帳には全国から参拝者が集まり、川中島の戦いの絵図がたくさん刷られ飛ぶように売れたということです。幕末頃には、妻女山で上杉謙信槍尻の泉を巡って「霊水騒動」なるものが起きています。槍尻の泉が霊水で万病に効くと噂が広まり、城下や遠く越後からも霊水を求めて人が集まったとか。実は、この騒動を起こしたのは、当時名主をやっていた我が祖先の林逸作ではないかと思っています。おそらく村おこしのために。
上杉謙信槍尻之泉の新事実発見!妻女山湧き水ブームとは・・(妻女山里山通信)

 真田昌幸が信幸にあてた書状。

「大阪落城絵巻」大坂の陣。慶長19年(1614年)の大坂冬の陣と、慶長20年(1615年)の大坂夏の陣。我が家の祖先は、豊臣方についた真田昌幸の家臣で、足軽大将の林太郎左衛門といわれています。息子は林源次郎寛高といい真田信繁(幸村)の7人の影武者のひとりで大阪夏の陣で討ち死にしたと伝えられています。その後生き残った7人で某所に林村を作ったとか。そのうちのひとり、林采女(林織部?)が松代に移り住み帰農したと伝わっています。激動の戦乱を生き延びたということです。川中島には、「七度の飢饉より一度の戦(いくさ)」という言葉が残っています。度重なる飢饉よりもたった一度の戦の方が嫌だという重い言葉です。

 従四位の下侍従以上の者の冠。該当者は8代藩主・真田幸貫のみとか。彼は白河藩松平家から養子入りし、幕府の老中も務めました。我が家には、その後に老中を務めた松平乗全が描いた『庚辰春日』という白い牡丹を描いた一幅の掛け軸があります。岩野村の名主を務めた先祖が賜ったと思われます。近所には、幼馴染で松代藩の御用絵師の青木雪卿(せっけい)重明が住んでいました。

 黒船来航の際に、松代藩と小倉藩が横浜の警備につきました。その際に横須賀沖に停泊する蒸気船を描いた巻物。当時の横浜は、貧しい漁村でした。今の横浜の元を作ったのが松代藩というわけです。

 特別展示でないと見られない様なものが並んでいます。真田ファンにはお勧めの展示ばかりです。特に書状は、信之や信繁などの心情が見えて興味深いものがあります。

 信之の時代に幕府から問い合わせがあった系図の問い合わせへの返答。滋野天皇から始まっていますね。滋野、海野、根津、望月、真田は同系氏族といわれています。信濃には他に源氏村上がいます。出雲系の諏訪氏や金刺氏、信濃國造になった大和系の子孫や高句麗の帰化人の子孫達は、今にどうつながっているのでしょう。
滋野氏

 高野山での信繁(幸村)の書状。信之が江戸で二代将軍・秀忠のもとでの活躍を目出度いとしつつも、今年の冬は不自由で察して欲しいと。慰みに連歌を勧められたが老いの学問で難しいと言っています。戦の日々で教養を高める時間など無かったのでしょう。

 真田信之が、初代小野お通に宛てた松代移封を伝える書状。倉科の里や田毎の月、朝日山や善光寺などの名所が多くあり、都にも劣らないと。しかし、長生きしたため親しい人もいなくなり、朝夕は涙ばかりだと吐露しています。

 松代城と城下の地図。よく見ると現在の道と同じ通りがけっこうあるのが分かります。千曲川が城のすぐ横を流れているので戌の満水の前の地図だと分かります。

 5代藩主・真田信安が描いたもの。狩野派に師事したのでしょうか。見事な描写力です。

 6代藩主・真田幸弘所要の筆。馬、羊、鹿、狸、猫などの動物の毛だそうです。

 閉じても開いている様に作られた扇子。鮮やかです。

 8代藩主・真田幸貫の子・幸良の性質の貞松院の住居・新御殿の庭。庭園の面影は今も残っています。左奥は狼煙山、右は象山から鏡台山まで続く戸神山脈。武田別働隊が超えたと伝わる山脈です。当ブログでは、古文書に残る地名からそのルートを推測して記事にしています。

 帰りに松代城に寄りました。観光客もちらほらと。中にある大正時代の大きな石碑が松代城ではなく海津城と書いてあるのですが、なぜでしょう。幕末から明治初期の松代藩のことを調べれば分かります。

 松代城(海津城)から見る上杉謙信が最初本陣とした斎場山(妻女山)と、七棟の陣小屋を建てたという陣場平。海津城との距離感が分かると思います。近いです。間者もいたでしょうし、炊飯の煙とか大勢での移動とか丸見えだったと思います。

『龍馬伝』にも出た老中松平乗全の掛け軸から推測する幕末松代藩の人間模様(松代歴史通信)

斎場山から天狗山へ。上杉謙信斎場山布陣想像図。古書の虫干しで大発見(妻女山里山通信)

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」のコースのチェックに天城山へ。堂平大塚古墳 。予定外のキノコ狩りも(妻女山里山通信)

2022-10-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 来月、松代夢空間主催の「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」が行われます。そのガイドをするのでコースのチェックと所要時間をつかむために天城山(てしろやま)へ登りました。

 陣場平から登って天城山登山道との分岐手前から松代方面。里山はまだまだ緑色です。右奥の高い山々は、焼額山とか岩菅山などの奥志賀高原方面です。奥志賀から秋山郷へ抜ける405号沿いは紅葉の見頃でしょう。
錦秋の奥志賀から秋山郷で紅葉に酔い滝三昧、そして蕎麦三昧の始まり(妻女山里山通信):かなりの秘境なので気軽には行けませんが、心に沁みる素晴らしい紅葉が見られます。

 登山道は帰路に下りてきます。まず林道を芝山方面へ歩きます。かなりの草薮ですが、歩くのに問題はありません。

 樹間から見える篠ノ井方面。手前の尾根は、斎場山から土口将軍塚へ続く長尾根です。

 帰化植物のマルバフジバカマ。吸蜜していたアサギマダラは、南へ飛び去りました。

 林道を完全に塞ぐクヌギの倒木。今回はこれの除去のために来ました。

 15分ほどかけて倒木を処理。なんとか人が安全に通れるようになりました。

 天城山と芝山のあいだにある鞍部。直登します。かなりの急斜面ですが、落ち葉が深いので登りにくくはありません。尾根に登ると登山道に出ます。

 南面に色づいているのは欅(ケヤキ)。この先の芝山の岩稜地帯を越えていくと、雨宮方面へ下れます。

 天城山方面へ。左を直登すると、5分ぐらいで天城山山頂です。坂山古墳があります。ハイキング当日はここを登りますが、今回は久しぶりに右の倉科将軍塚古墳方面への道をたどりました。

 ところが倒木が何本も。これは下を巻きました。赤松の倒木で登山道が崩れて無いところもありました。

 この倒木は下をくぐり抜けました。この登山道は使えません。危険です。

 倉科尾根へ。ジコボウ(ハナイグチ)がたくさん出ていました。もう充分に採ったのでいらないのですが、きのこ屋の性で、キノコがあるとつい採ってしまいます。小さなものと虫が入っていないものだけを採りました。

 フウセンタケの仲間だと思うのですが。マンジュウガサ?毒キノコではなさそうです。同定できていません。

 二本松峠(坂山峠)から鞍骨山(鞍骨城跡)方面。右が倉科方面で倉科坂となっていますが、間違っています。倉科方面が清野坂、清野方面が倉科坂なのです。清野側の妻女山から象山へ行く林道が「林道倉科坂線」と国土地理院の地図にもある様に。清野側が倉科坂なのです。清野の人が山を超えて倉科へ行ったから清野側が倉科坂なのです。これを設置したのは倉科の方たちでしょう。完全に間違っています。これを作った倉科のMさんは知っていて以前入れ替えられたことを怒っていました。

 これも昔、Mさんが作った標識なんですが腐ってしまいました。防腐剤を塗布しておかないと持ちません。それと石油溶剤を使った塗料は熊に壊されるので使ってはいけません。

 クリタケを発見。6株ぐらい採れました。

 赤松の間から松代方面の眺め。

 陣場平へ。今年は三回も草刈りをしたので清々しています。バイモの球根をたくさん移植したので、来年4月が楽しみです。

 その陣場平にシロシメジがたくさんありました。別名をヌノビキ(布引)といい、白い布を敷いた様に生えるのですが、妻女山山系では幻のキノコです。こんなに大量に群生しているのは初めて見ました。

 遅い昼は、堂平大塚古墳のあるログハウスを借りて。ここも案内します。左側の紅葉は、まだ全く紅葉していません。ハイキングの時は色づいているといいのですが。

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里山巡り。鏡台山、妻女山、天城山。ジコボウ、ハタケシメジ、クリタケ、ウスヒラタケ、ムキタケ、アラゲキクラゲ(妻女山里山通信)

2022-10-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 秋晴れの週末は久しぶりに鏡台山へ。旧埴科郡の中央に位置する里山で、標高は1269.1m。大きな山体なので拙書では、7コースを。大峯山からの2コース、妻女山や象山からのコースを合わせると10コース以上になります。また、長野県立歴史館をスタートとして、森将軍塚古墳から五一山脈を五里ヶ峰へ。沢山峠から鏡台山へ。北へ戸神山脈を鞍骨山へ。天城山から斎場山、薬師山から歴史館に戻ると約20キロのトレランコースができます。これも拙書の地図をつなぐと分かるようになっています。要注意箇所も記しています。

 林道芝平樽滝線の三滝沢上から見る北アルプス白馬三山の雄姿。眼下に長野と松本を結ぶ長野自動車道。向こうは西山の里山。その向こうは、犀川左岸に連なる里山。拙書では、虫倉山や大姥山を紹介しています。西山地区は、白金にもある超有名店のロンディネッラがあったり、世界的なミュージシャンのスタジオがあったり、美味しいベーカリーやカフェ、絶品手打ち蕎麦の店が点在します。特におすすめはイノシシや鹿、熊などのジビエ。道の駅やレストランで買えたり食べられます。信州新町の道の駅やムサシヤ、さぎり荘でいただける稀少なサフォークのジンギスカンは絶品です。猟師の友人に鹿肉1キロもらったこともありました。信州恐るべし(笑)。

 急登を息を切らして左下に見える真っ暗な森に入ります。なんということでしょう。何にもありません。昨年はチャナメツムタケやクリタケ、ナメコを大量に採ったのに。ニオウシメジやホンシメジを採ったこともあります。山は生き物です。毎年同じ様なわけにはいきません。山は思った以上に乾いていました。

 クサギ(臭木)の実。キノコがないならマタタビの実を採ろうと思ったら、実が全くついていません。

 標高1000m以上では色々な紅葉が始まっています。

 樽滝。右上に滝があります。右の階段で10分足らずで滝に登れます。鏡台山は熊の生息域で私も何度か遭遇したことがあります。拙書では、「猫にマタタビ、月の輪熊に石油」というエッセイで詳しく紹介しています。単に熊鈴をつければいいというものではなく、季節によって対処法も変わることも記しています。

 ウルシの仲間のヌルデ(白膠木)。ヌルデ(白膠木)の葉には虫コブ(ヌルデミミフシ)ができます。外はフェルト状で柔らかく、中は空洞。アブラムシがたくさんいます。 タンニンの含有量が多く、乾燥品を五倍子といい、染め物では空五倍子色(うつふしいろ)とよばれる伝統色として用いられます。古くはお歯黒などにも使われました。
「足柄の 吾を可鶏山の かづの木の 吾をかつさねも かづさかずとも」(詠人知らず) 万葉集(巻14)東歌 *カヅノキ(可頭乃木)=ヌル

 イタドリ(虎杖)の花。海外では有害帰化植物になっています。タデ科の多年生植物で、東京の野川沿いとかでも普通に生えています。すかんぽという山菜。サプリメントもあります。

 三滝の一の滝。濡れて青く光る岩が美しい。拙書の鏡台山の記事では、氷瀑の一の滝を紹介しています。十年で一度見られるかどうかの貴重な美しい氷瀑です。

 帰りに妻女山展望台へ。西山の茶臼山と右奥に虫倉山。光背に北アルプスの白馬三山。眼下の長芋畑ではつる壊しが始まっています。乾いたら燃やします。その炎と煙が秋の風物詩。黄色く見えるのは耕作放棄地に咲くセイタカアワダチソウ。耕作放棄地が増えています。農業は防衛の最も重要なもの。世界の農業大国は、日本とは比べ物にならないほど農業に税金を注ぎ込んでいます。工業製品を売って農産物は輸入すればいいという自民党の政策は時代遅れ。安全で確実に農産物を得るには、税金をつぎ込み若い営農者や営農企業を育てる以外に道はありません。危機的状況では都会の市民は餓死するしかないでしょう。在京時代はベランダで野菜を育てたり、近所の無人販売の有機栽培の野菜にお世話になりました。東京は実は農業が盛んなんです。

 翌日は曇り空。松代方面の眺め。霧が覆っています。気温は12度。朝は川中島の霧で視界は100mもありませんでした。もっと冷え込むとホワイト・アウトして視界が全くなくなります。フォグランプも効きません。

 どれぐらいぶりでしょう。旧道を歩きます。崩壊して獣道になっています。30年前にはこの上の林道は無くて、長男が6ヶ月の時に両親と妻と4人でキノコ狩りに来て通った道です。その時は、ムラサキシメジを120本採りました。動画も残っています。妻が母に教わりながら手打ちのキノコうどんを作りました。ここを歩く人は私以外もう誰もいません。

 クリタケを発見。4株ほど採れました。この色なら猛毒のニガクリタケとは噛んで味見しなくても判別できます。ニガクリタケなら最悪死にます。

 倒木にムキタケを発見。猛毒のツキヨタケと見分けないといけませんが、ツキヨタケは標高1000m以上なので、この里山にはありません。

 獣道を塞ぐクヌギの倒木。ここにもムキタケがありました。くぐったり跨いだりしてなんとか通過。倒木は非常に増えています。台風やドラスティックな気象で、ダウンバーストが発生したりするからです。巨木でも根本が細かったり急斜面にあったり、ダウンバーストの通り道だったりすると、あっけなく倒れます。

 そんな倒木にウスヒラタケ。和洋中華なんにでもアレンジ可能な旨い食菌です。何株も採れました。

 別の倒木にアラゲキクラゲ。普通のキクラゲより高級品です。キクラゲは栄養価が高いので、特に女性にはおすすめです。

 全草が猛毒のヤマトリカブト。特に根っこは極めて猛毒です。昔は、口減らしや暗殺に用いられたといいます。現在では、体内に成分が残留するのですぐに判明します。若葉のころに山菜のニリンソウと間違えないことが大事。よく隣り合って群生しています。

 ある場所にハタケシメジの群生地があります。小汚いのでキノコ狩り初心者はまず採りませんが、意外にベテランのはずの高齢者も同定できずに採らないことが多いのです。しかし、幻のホンシメジに最も近く非常に美味しいキノコです。袋いっぱい採れました。

 帰路に見つけたこのキノコ。3本採りました。最初幻のシロシメジかと思いました。傘の上に灰褐色の色があればスカンクの臭いのシロノハイイロシメジで食べられません。以前この近くで傘の直径が15センチ。根本が5センチのシロシメジを採ったことがあります。匂いをかぐとシロノハイイロシメジではありません。でもシロシメジが出るには早すぎます。やや紫味を帯びているのでムラサキシメジか?違いますね。やはり幻のシロシメジかと。これだけ別にすまし汁にしてみます。それで同定できます。結果は、幻のシロシメジでした。煮るとぬめりが強くシメジらしい濃い味がします。

 ジコボウ(ハナイグチ)、ハタケシメジ、地大根、松代一本葱の味噌粕汁。味噌は仲間と作ったもの。七味唐辛子は父が生前たくさん作っておいてくれたもの。材料費は100円もかかっていません。バックの手ぬぐいは、昔東京の科博で南方熊楠展の際に買い求めたもの。絵は彼が描いた粘菌(変形菌)です。味噌や酒粕の力はもの凄いものです。昔、ホテルオークラのエンタープライズの社長をしていた義父に、毎年北海道のエゾシカの肉が送られて来ました。ある年、どうも血抜きが甘かった様で、ワインやリンゴ、玉葱に漬け込んでもどうにも臭みが強くて不味い。私がひらめいて信州味噌に漬け込んで焼いてみたら、これがビンゴ! 美味しくいただけました。味噌の力はもの凄いと実感しました。

 採れたキノコ。40センチを超えるボウルに満杯です。熱めの塩湯に浸けてから流水でゴミを親指の爪で削ぎ落としていきます。キノコの種類ごとにジップロックに分けて冷蔵、冷凍します。けっこう大変です。妻女山里山デザイン・プロジェクトの昼餉や冬の鍋や煮込みうどん、正月のお雑煮などに使います。里山のありがたい滋味、恵みです。ただ、福島第一原発の事故で拡散した放射能により、現在でも高汚染されたキノコがあります。長野県でも軽井沢や佐久地域のキノコは基準を超えています。菌根菌は特に危険。福島第一原発の事故の放射能汚染は、十万年も続くのです。それで病気になり死んでも、国はなんの保障もしてくれません。

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妻女山の奥山へキノコ狩りに。ジコボウにハタケシメジ、ウスヒラタケ、ムキタケ(妻女山里山通信)

2022-10-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前の日曜に雨がかなり降ったので出ているだろうと、妻女山の奥山へキノコ狩りに出かけました。獣道すらない様な急斜面の藪山を歩きます。今年は猛暑のために2週間ぐらいキノコが遅れています。

 狙いはウラベニホテイシメジと天然舞茸だったのですが皆無。落葉松林でやっとジコボウ(時候坊・ハナイグチ)を見つけました。ぬめりはナメコより強く、甘さと旨味の強いキノコです。煮込みうどんに鍋に、おろし和えや和風パスタに。

 北側の斜面をトラバースしていきます。知らないと現在地がつかみにくい地形です。熊鈴は鳴らしていません。キノコ狩りしているのが分かるからではなく、この季節に月の輪熊はいないからです。8キロ先の鏡台山から来るのですが、3月上旬、5月中旬から6月中旬、クリスマスの頃と決まっています。鏡台山に餌がない季節と、淡竹の筍が出る時期にだけ現れます。

 昨年、5株の天然舞茸が出た大きなクヌギ。あと数年は出ないと思います。イノシシが掘り返した跡はあちこちに見られます。ニホンカモシカの糞も。

 倒木に小さなムキタケが。ムキタケのシーズンはこれからです。

 突然現れる高句麗人の積石塚古墳群。ここに至る道が無いので、知っている人は極わずかです。

 あちこちに大きなカラカサタケが出ています。食菌ですが美味しくないので採りません。

 枯れ木にウスヒラタケ。

 藪こぎをして下ります。ここでもジコボウを少し採りました。

 蟹沢(がんざわ)の泉。川中島の戦いでは、上杉軍の陣用水になったと伝わっています。

 ハタケシメジの群生地がありました。シャキシャキとした食感でバター醤油炒めなどにすると最高です。ウニや海老とクリームパスタもおすすめ。

 ハナイグチ、ムキタケ、ウスヒラタケ、アケビ、山栗。

 ハタケシメジ。検索すると幻のホンシメジに最も食味が近いとあります。確かに天然物は格別の旨さですが、ホンシメジと比べるのはどうかな。これを書いた人は本占地を食べたことがないのでは。ホンシメジの旨味成分は松茸の3倍以上あります。比べ物になりません。「匂い松茸味シメジ」といいますが、それを本当に分かっている人は少ないと思います。
信州の秋はジコボウはじめキノコ三昧。キノコ料理のレシピ。放射能除染方法も(妻女山里山通信):毎年非常にアクセスの多い記事でホンシメジの写真も載せていますが、個別の記事では採取しても載せることはありません。それほど稀少なのです。

 Kさんのログハウスを借りてゆるゆると昼餉。中華おこわのおにぎりに、魚肉ソーセージにクミンシードを入れたエスニック風の卵焼き、リンゴのコンポート2種、卵スープ。最高気温が24度。暑いぐらいです。山の風景も秋というより夏の終りの感じ。食後のコーヒーを飲んで下山しました。

 遅い午後は、長野県立歴史館へ「諏訪と武田氏」を観に行きました。

 資料室と図書館へ。興味深い絵図とか歴史書がたくさんあります。拙書を執筆の際には、何度も通いました。

 歴史館から見上げる森将軍塚古墳。翌日、取り残したシロをいくつか回りました。前日の二倍ぐらい採れました。ハタケシメジの菌の移植作業もしました。

 量が多いので、ほとんどを小分けして冷蔵と冷凍にしました。今夜はハナイグチとハタケシメジたっぷりのキノコうどん。アゴ出汁で。うどんは、幻の小麦いがちくオレゴンとゆめちから、ゆめせいきのブレンドで手打ちしておいたもの。とろとろで旨味甘みがたっぷりの煮込みうどんになりました。

 日曜日の妻女山展望台からの善光寺平。飯縄山、左に戸隠連峰。眼下の長芋畑はまだ葉が緑色です。枯れたら杭から外して燃やします。その煙が風物詩となっています。

 展望台の下に咲くノコンギクとヤクシソウ。ヌルデとソメイヨシノが少し色づいてきたぐらいで、まだ秋の風景にはなっていません。

 ハナイグチとハタケシメジに秋のサツマイモ、里芋、カボチャ、松代一本葱、信州豚のけんちん汁。天然キノコは味が濃いのでアゴとサバやイワシの出汁粉に貝出汁を合わせました。秋の滋味です。敷布は、在京時代に科博で買った鳥獣戯画の手ぬぐいです。

 キノコ料理。「苧環蒸し」と聞いて、好きとか知ってるとかどれだけいるでしょうね。信州はもちろん東京でも少ないと思います。「小田巻き蒸し」とも書きますが、うどん入りの茶碗蒸しのことで、大阪の船場あたりでよく食べられていたちょっと豪華な料理です。昔、卵は高級食材だったのですから、その卵をたくさん使う苧環蒸しが高級料理だったのもうなずけます。丼の底で渦を巻くうどんの様子が、紡いだ麻糸を玉のように巻いた苧環(おだまき)に似ていることから「おだまき蒸し」の名がついたと言われています。今回はカニカマとかまぼこ、ハタケシメジと松代一本葱ですが、紅ズワイとかタラバガニでやったら最高です。簡単で温まるので寒い夜におすすめです。
苧環蒸し(おだまきむし):バブルの頃に作ったズワイガニを使ったオリジナルレシピです。

 雨後3日にピンポイントでハナイグチのシロに行ってみました。傘の開いていないものがたくさん採れました。ハナイグチは成長が早いのです。傘が開いていないものがベストです。大きな傘は味はいいのですが、消化が悪くなります。人によっては食べすぎるとお腹を壊すこともあります。ハタケシメジも少し採れました。ハタケシメジはカニのクリームパスタにします。

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ワイン用ぶどうの収穫と仕込み。メルロー・シラー・スチューベン(妻女山里山通信)

2022-10-13 | 男の料理・グルメ
 ワイン用ぶどうの収穫と仕込みに集まりました。ぶどうは日本では生食用が一般的ですが、世界では生産量の80%がワイン用だそうです。

 収穫の方法や手順の説明を聞いて作業開始。ここはフランスのボルドーでもチリでもありません。信州の上田市です。

 拙書「信州の里山トレッキング 東北信編」川辺書林の表紙にもなっている子檀嶺岳(こまゆみだけ)。ルビがないととても読めない山名の由来や歴史も説明しています。山頂は真田の山城です。全国からハイカーが訪れる人気の山。
子檀嶺岳 花と歴史のトレッキング(妻女山里山通信):下山後は、国宝大法寺の三重塔(見返りの塔)に参拝して別所温泉がおすすめ。

 拙書では載せられませんでしたが、仲間と登ったこれも歴史の山、夫神岳。近くに女神岳も鎮座します。
上田市塩田平、別所温泉の後背にそびえる雨乞いの山、夫神岳トレッキング(妻女山里山通信):戦没画学生慰霊美術館「無言館」へもぜひ。

 メルロー(Merlot)です。フランスのボルドーを原産地とする赤ワイン用ぶどう品種です。カシスやブラックベリーなどの濃厚な果実味を持ちながら、シルキーなタンニンを持つ滑らかな味わいを特徴とするといわれています。

 こんな風に横に移動しながら収穫していきます。ワインは、日本酒やビールと違って水を使わず果汁のみで作るので、ぶどうの品質がそのままワインの品質になります。

 収穫したぶどうは、選別作業で虫食いや腐っている実、病気の実、未成熟な実などを取り除いていきます。根気のいる作業です。周囲をコガタスズメバチがたくさん飛び回っています。ぶどうに取り付いて一心不乱に食べています。手で追い払ったりしなければ刺されませんが、鬱陶しいです。鹿よけの高圧電流の電線もあるので、うかつに触れると感電します。作業中は電源を切ってますけどね。

 処理したぶどうをトラックに積み込みます。手前はスチューベン。東御市にある醸造所へ向かいます。

 醸造所のTSUIJI LAB(ツイヂラボ)へ。醸造責任者(CTO)は、J.S.A ソムリエの須賀さん。ぶどうを運び込みます。

 ぶどう園オーナーのK氏の満面の笑み。美味しいワインができるといいのですが。義父がホテルオークラのグルメ関係のエンタープライズの社長をしていたり、私自身土井善晴さんや平野レミさん、ジュディ・オングさんなどとグルメ関係の仕事をしたり、妻がやっていたプランタン銀座でのカフェメニュー教室のバックアップをしたり、料理本を監修したりメニュー制作をしたりと関わってきたので、ピンからキリまで色々なワインを飲んできましたが、ワインは本当に難しい。高くてもう〜ん好みじゃないなとか、安くて東欧の古いワインが驚くほど美味かったり、円高の時の南米放浪で買ったチリの2000円ほどのワインが(レート換算では2万円ほど)、びっくりするほど美味かったり。醸造酒でもワインは本当にバリエーションが豊かすぎて広すぎて深すぎて、ブラックホールに吸い込まれる気分です。
MORI MORI RECIPE・男の料理:信州の新郷土料理に、世界の郷土料理やアウトドア料理を、時に大胆に時に繊細に「男の料理」にアレンジ。
マリングルメ(美味しい愛情レシピ):妻のレシピ集。デザートが必見です。エコールプランタンの講座の料理とデコレーションも。

 処理作業に入ります。

 ぶどうの房から果梗を取り除き実と分けます。これが一般的ですが、除梗しない全房発酵(ホールバンチ・ファーメンテーション)というやり方もあるそうです。うまいこと分かれるもんだなと感心して見ていました。

 最初は自重で絞り、最後に何度も圧力をかけて静かに絞ります。できたジュースを飲ませてもらいました。前回のメルロー100%のものに比べると、華やかな甘さだけではなく、酸味や渋みが加わって味の輪郭もはっきりしていました。どんなワインが出来上がるかとても楽しみです。実は我が家は明治時代は酒造免許を持っていて葡萄酒を作っていたそうです。

 作業が終了して機械を洗ったり。私も昨年春までナショナルブランドの食品メーカーで働いていたので、作業後の洗浄の大切さと大変さはよく知っています。あと異物混入には非常に神経を使いました。非常停止ボタンを押したことも何度かありました。外国人の教育係もしていたので、英語やらポルトガル語やらを駆使してけっこう大変でした。今もタイやフィリピンのお姉様方とは交流があります。

 今回お土産にいただいた果実。秋映とシナノゴールドにスチューベン。最近はシャインマスカットばかりが注目されていますが、在来のぶどうも充分に美味しいのでおすすめです。敷いてあるセミ模様の布は、プロバンス地方の伝統柄です。ヨーロッパでセミが鳴くのは南仏のプロバンス地方だけ。セミは平和の象徴で、魔除けの意味もあるそうです。

独立行政法人 酒類総合研究所 ワイン醸造技術まとめサイト:ワイン醸造に興味のある方はどうぞ。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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あいにくの天候の三連休。聖山へ、三峯山へ、妻女山陣場平へ。昆虫が激減!山の異常。秋のグルメ(妻女山里山通信)

2022-10-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 せっかくの秋の三連休ですが、今年は天候に恵まれていませんね。日曜は午後から雨というのでまず聖高原にでかけました。三和峠から聖山に登ろうと準備していたら下山者が。久しぶりに会う友人でした。彼は蝶の専門家なので、ここ2,3年の里山の異変を話すと、そうなんですと。農薬や気象だけでは説明できない様な異変が起きていると。私と全く同じことを感じ取っていました。虫は大嫌いなんて言っている場合ではないのです。「人類の生存に、壊滅的な結果をもたらす」といわれています。この妻女山山系では、その原因が分からないので深刻なのです。色々話し込んで分かれて登り始めたら膝に違和感が。これは無理かなと車で山頂直下へ。
我々は「6度目の大量絶滅」の過程にいる? 昆虫の減少が表す危険なサイン:哺乳類、鳥類、爬虫類の8倍の早さで絶滅している!
「携帯電話の電磁放射が昆虫の大量死を引き起こしている可能性」をドイツ最大の自然保護団体の研究が示唆:5G携帯は、人類を滅亡に招くかもしれない。

 聖山山頂直下からの鹿島槍ヶ岳。気温は7度。

 山頂は霧に包まれ視界がほとんどありません。途中で追い抜いたサイクリストが登頂。なんにも見えませんねと苦笑。アンテナがたくさんあるので電磁波地獄です。人工電磁波の危険性について、日本人はあまりにも無知で無防備です。
携帯・スマホの電磁波が身体に与える影響とその対策
携帯電話の電磁波に発ガンリスクの疑い!

 しばらくいると、善光寺平が見えてきました。昆虫も鳥の鳴き声もしません。

 下って古いスキー場のリフト降り場へ。眼下に聖山パノラマホテル。蕎麦をはじめ食事が評判のホテルです。ここを拠点として聖山登山は、ファミリー向けです。

 白馬三山も顔を出しました。でも午後は雨になりそうです。

 下って白樺と紅葉しているのはヌルデ(白膠木)。最低気温が8度になると紅葉が始まり、約2週間で見頃になります。まず色づくのはヌルデやヤマザクラ。

 トチノキ(栃の木)の黄葉。栃の実は非常食で、「栃切る馬鹿、栃植える馬鹿」といわれたものです。これはまだ幼木ですが、山梨の大菩薩峠へ行く牛ノ寝通りで樹齢700年といわれる樹高30m以上の栃の木を何度も見に行き撮影しました。栃餅も作りました。ピリッとして父にも大好評でしたが、作るのは本当に大変です。

 三峯山と聖湖。連休なので音楽が流れ、聖湖では、へらぶな釣りの太公望も大勢。でもこの曇天が残念ですね。左のキャンプ場では、家族連れがバーベキューをしていました。

 その聖湖湖畔にある自衛隊の戦闘機の展示場。昔、自衛隊の演習場が作られる計画があった縁でプレゼントされたものらしいです。演習場はできませんでしたが。これはF104ジェット戦闘機で、私が子供の頃かっこいいなと漫画に描いていました。人殺しの道具なんですが、機能が研ぎ澄まされた姿は美しいのも事実です。コッポラが「戦争ほど美しいものはない」ことの怖さを描いた名作が『地獄の黙示録』。

 聖湖。対岸に見えるレストランはピザが美味しい。手前の湖畔には遊具もあって、天気のいい休日には、小さな子供連れの家族が週末にピクニックしています。三峯山からはスライダーがあって、息子達が小さい頃に滑りました。長野市や千曲市からも近くておすすめです。

 帰路は猿ヶ馬場峠から善光寺道を下ります。山栗が。天候不順で今年は不作です。栽培品も3割ほど高いとか。緑色が今年のもの、焦げ茶色は急激な寒さで枯れて落ちたもの。潰れているのは昨年のものでしょう。

 途中で見た馬頭観音。ここから松尾芭蕉も歩いた姨捨への脇道もあります。善光寺道は重なっていたり横断していたり。茶店の跡もあって江戸の雰囲気を想像できます。

 麓の稲荷山へ。目の前は長野自動車道。向こうに私がホームフィールドとしている妻女山山系が見えます。善光寺平の南部は、南から北に向かって何本もの長い尾根が伸びています。それぞれの谷や扇状地に特徴があって多様性を生み出しています。
「信州の街道」北国西往還(善光寺道)。芭蕉も歩いた林道猿ヶ馬場線を下る(妻女山里山通信)

 別の山で見つけたハナイグチ(ジコ坊)。ナメコよりぬめりも甘みも旨さも強くて、大変美味です。今回はわずかに5本採種。キノコうどんにします。右はザラエノハラタケ。やっとでました。例年より2周間ほど遅め。これが出るとウラベニホテイシメジと天然舞茸が出ます。

 松代一本葱。長さ90センチ、太さ3.5センチもあります。松本一本葱、加賀一本葱のルーツといわれます。霜が降りると中がゼリー状になり得も言われぬ旨さ甘さに。有名な深谷葱とか下仁田葱とかありますが、申し訳ないですが比べ物にならない旨さです。でも東京では買えません。栽培量が少ないからです。松代に来たら買って下さい。やはり冬野菜は寒いところのものが美味。同じ野沢菜でも盆地のものより、野沢温泉とか山間部のものの方が美味です。野沢菜漬けは、必ず本漬けを買って下さい。食品添加物が入っているものは偽物です。

 天然ムキタケ入りのもつ煮。サツマイモ、ゴボウ、地大根、自家栽培の干し椎茸、松代一本葱。敷物は、草間彌生さんの手ぬぐいです。

 友人からもらったリンゴの秋映。食べきれないのでコンポートにしました。普通は水、砂糖、レモン汁で作りますが、蜂蜜、私が作ったガマズミ酒、レモン汁で作りました。シナモンを振ったものと入れないものの二種類を。なんじゃこりゃというほどの旨さ。ヨーグルトやバニラアイスと一緒にいただきます。パイ生地で包んで焼けばアップルパイになります。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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ぶどうの摘み取りとジュース作り。5反歩3トン収穫の稲刈りで体ボロボロの秋日。スペアリブの中華おこわを作る(妻女山里山通信)

2022-10-04 | 男の料理・グルメ
 2日に渡って農作業をしました。なかなか厳しい作業で体が疲労困憊。トラブル続きでしたが、なんとか無事に終えることができました。暑さに加えて、セイタカアワダチソウやオオブタクサの花粉症で参りました。

 1日目の午前中は、ぶどうの摘み取りとジュース作り。本来ならばかなりの収量が期待できるはずでしたが、病気が発生してしまいほとんど全滅。病気になった実は全て摘み取って土に埋めます。

 なんとか収穫できたぶどうの実を摘み取り、ジュースにします。ところがこのジューサーが不良品でトラブル続き。まあなんとか10リットルぐらいは絞れました。メルロー100%のジュースは濃厚で美味です。お昼を食べて稲刈りへ。有機栽培の野菜は普通に売られていますが、果物はほとんど見たことがないと思います。ぶどうは11回ぐらい農薬散布をするのが普通です。種類によっては有機栽培が可能なものもありますが、かなり高度な技術や経験が必要です。
有機栽培が可能な果樹

 手前の田んぼは稲刈りが終わっていて、藁を束ねる仕事があります。その向こうに大小二つの田んぼがあって稲刈りをします。更にもう二ヶ所ありあり、全部で5反歩。これを三人でこなします。最高気温が28度。直射日光がすごくてクラクラします。機械化されたのでなんとか三人でもできますが、昔は家族親戚総出でやったものです。

 コンバインの出動。その前にコンバインが回転できるように田んぼの四隅を稲刈り鎌で刈ります。この秋は台風が来たので稲が倒れています。コンバインで起こしきれない稲もあって、実こぼれもけっこうあります。でも無駄にはなりません。スズメや鳩などの餌になります。おとぎ話に「舌切り雀」というのがあります。「無慈悲な行いをしたり、欲張るものではない」と諭す話です。現在の大企業のCEOや政治家が絶対に読むべき話です。かの葛飾北斎も描いているほど有名な話。

 籾米がいっぱいになるたびにパック詰め。だいたい一袋30キロ。小さなカエルが稲の中にいて、刈るとピョンピョン出てきます。アキアカネが交尾しながら飛んでいます。オニヤンマもけっこう見られます。

 藁は5束ずつ結んで立てて乾燥させます。これがけっこう根気の要る辛い単純作業なのです。これを切り藁にして畑に撒くのです。麻紐で縛るのにもコツがあって、二重に巻いて縛る時に一本目の紐の下にも通して引っ張ると緩まないのです。ちょっとしたコツですが、作業スピードが全く違います。午後4時過ぎに作業を終了。籾米を乾燥機にすべて投入しました。ひとりが用事で帰ったので二人で1.5トンぐらいを投入。腰が死にました。

 翌日は10時集合で作業開始。大小の田んぼが終わったので、コンバインをユニックに積んで別の畑に移動します。このコンバインの積み下ろしが非常に危険なので気を使います。コンバインが故障したりトラブルが発生しましたがなんとか終了。午後の田んぼの藁は束ねず、全て切り藁にしました。腐ったらそのまま耕耘して肥料にします。

 三人で乾燥機に1.5トンを投入。一袋30キロぐらいあるので大変です。コルセットをしてきました。籾米は必要に応じてその都度12キロぐらいずつ7分づきで精米します。炊き方は土井善晴さんが推奨しているやり方で。有名なブランド米に負けない味に炊きあがります。コイン精米機で精米したあとの籾殻はもらえます。これで燻炭を作って果樹や野菜栽培に使うととてもいい肥料になります。

 乾燥機で一晩乾燥させてできあがり。終えて帰ったのが5時40分。日没後です。全身疲労と筋肉痛で、温泉に行くずくもありませんでした。寿司とビールを買って帰宅しました。来週あたりに別のぶどう畑での収穫。その後にはキノコ狩り、山仕事とこなして行きます。

 翌日は完全休養。温泉に入ってこのブログ記事をゆるゆると制作。時間があるので、スペアリブの中華おこわを作りました。スペアリブは、生姜大蒜葱ペーストと牡蠣ソース、醤油、酒、胡椒でマリネしておきます。仲間と栽培した乾燥椎茸をもどして、その汁で炊きます。餅米にうるち米を少し加えて水に浸してザルにあげて1時間おきます。炊飯器に米、椎茸の戻し汁、中華出汁、五香粉、酒、味醂、長ネギ、椎茸、スペアリブを入れて早炊きします。仕上げに塩茹でした枝豆を散らして完成。馬鹿旨です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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