モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

信州の伝統野菜や自家製調味料で作る夏のオリジナル料理。小森ナスのおやき、ミニトマトの冷製パスタ、ゴーヤチャンプルー、鰊冷麦、ナスイタリアン、牡丹胡椒、自家製ケチャップのナポリタン(妻女山里山通信)

2023-08-25 | 男の料理・グルメ
 アマゾンに3回も行きましたし、暑いのはむしろ得意です。在京時代は通勤電車の強すぎる冷房と事務所のこれまたパソコンなど電子機器がたくさんあるので強冷房。それと外気の温度差が凄すぎていつも自律神経失調症に悩まされていました。とはいえこの夏の猛暑はさすがに厳しい。アマゾンより暑いです。アマゾンは暑くなると必ずスコールがあり10度ぐらい気温が下がりましたから。雷雨はあるのですが短い。千曲川は渇水期ギリギリの流量です。

「信州の夏野菜の冷製パスタ」。素麺、冷麦、ざるうどんなどがある日本ならではのパスタ。ミニトマト、コーン、玉葱、ピーマン、枝豆にミニトマトで作った自家製のトマトソース。バジルと松の実入り。小森ナスとピーマン、玉葱は先にオリーブ油で炒めておいて冷まします。コーンは蒸して冷ます。味付けはコンソメパウダー。途中に味変でハラペーニョソースを。

「小森ナスのおやき」。赤紫蘇、青紫蘇、ミョウガの葉でつつんで蒸します。粉は幻の伊賀筑後オレゴン。具は手作り信州糀味噌をごま油で溶いたもの。何回も作ると味変したくなり、牛豚合いびき肉を入れたり、エビをたたいて入れたり、ツナを入れたり。豆板醤や食べる辣油とか、自家製の焼いた青唐辛子を刻んで麹と醤油漬けにしたものを混ぜたり。市販のものはナスが薄すぎるのでぶ厚くします。祖母、母、妻へと伝わった我が家の伝統食です。粉と味噌が余ったらボタンコショウやピーマンのおやきを作ります。私はこれが大好きでした。

 おやきは、包んで蒸すもの、灰焼き、蒸して焼く、焼いてから蒸すと色々ありますが、「挟みおやき」というものもあります。これは伝統野菜の小森ナス以外に、玉葱、ボタンコショウ、ケール、牛豚合いびき肉が入っています。調味料は味噌以外に豆板醤、食べる辣油、牡蠣ソース、業務スーパーの葱姜醤と炒り粉。生地には伊賀筑後オレゴンに日穀製粉のホームラン。炒り粉、卵、とろろを入れてあります。とろろを入れると軽くなり冷めても固くなりません。山に撮影に行く時にも持っていきます。

 これは昔、父が作っていた信州の伝統野菜小森ナス。小布施ナスも有名です。ただ本当にオリジナルか交雑していないか調べる方法があります。水に浸ける。本物の小森ナス、小布施ナスなら沈みます。そしてしばらくすると水がポリフェノールでまっ紫に染まります。ならなければ交雑しています。それでも充分に美味ですが。本来の種ではありません。種の保存というのは本当に難しいのです。長野県は伝統野菜を認定し保存に努めていますが、決して簡単なことではありません。父は私や家族のために新鮮な野菜をたくさん送ってくれました。私も家族で帰省した際になるべく多くの野菜を持ち帰れるように、レオーネのツーリングワゴンを買いました。150キロは積めます。冬に上京する時に息子達が「わ〜ネギ臭いよ〜」と言ったことも笑い草です。

「育てたゴーヤでゴーヤチャンプルー」。材料はゴーヤ、デンマーク製のランチョンミート(スパム)、焼き豆腐、小森ナス、ピーマン、玉葱、ケール、ニンニクみじん切り、味付けはコンソメパウダーと昆布出汁のつゆ。ごま油とキャノラー油で炒め卵で閉じます。次男が低学年の時にゴーヤの自由研究をしました。彼が発表しましたが、ある時まで沖縄ではある昆虫のためにゴーヤが作れなかったことを知っていますか。

「鰊の煮物、ナスの天ぷら、オクラの冷麦」。出汁は塩皮鯨と炒り粉、鰹出汁。鰊は甘露煮ではなく薄味で煮ます。その汁もつゆに加えます。調味料は生前に父がたくさん作ってくれておいた自家製の七味唐辛子。これを味わうたびに父を思い出します。思えば農家の長男なのに金のかかる美大への進学を許してくれて応援してくれたこと。まあ、南米放浪の際には、何を考えているのか分からんと母に言っていたそうですが、それは帰国してからちゃんと話しました。本当に感謝しています。名門の陸軍第九師団で暗号をたずさわっていたのですが、一度も戦闘せずに終戦。もしそのまま沖縄に駐留していたら私は生まれていなかったでしょう。人生努力は必須ですが、運だけはどうしようもない。戦争でも自然災害でも仕事でも、それはどうしようもない。

 信州伝統野菜の小森ナスを、洋風で食べたい。昔、ブラジル・アマゾン放浪の旅に出る時に、サンパウロの叔父の奥さんが長距離バスで食べる様にと米ナスのピザを持たせてくれました。これは美味でした。やはりナス料理の洋風というとイタリア料理が思い浮かびます。今回作ったのは、なんていうかイタリア風です。カポナータでもイオンヴォルティーニでもマリネでもないし、我流です。「自家製ベーコンと小森ナスとミニトマトのチーズ焼き」とでもいいましょうか。ニンニクとオリーブ油で炒めてチーズをのせて焼きます。仕上げにパルミジャーノ・レッジャーノをとパセリをのせて少し焼きます。調味料はオレガノが決め手。酒は白ワインかグラッパがおすすめ。それにしても、夏は飽きました。もう要らない。でも10月まで暑いと聞いて天を仰いでいます。この反動は必ず来ます。この冬は要注意です。特に春先の大豪雪。

 7月にアップしたのですが、手軽で美味しいので再びアップします。「鯖の水煮缶詰の冷や汁」。サバ缶は汁ごと入れます。これはひとり用の小缶ですが、大きな缶なら2、3人分になります。キュウリ、木綿豆腐、青紫蘇、すり胡麻、手作り信州糀味噌、業務スーパーの人気商品・姜葱醤(ジャンツォンジャン)と氷水。バックの手ぬぐいは、朝ドラ「らんまん」のモデル牧野富太郎と関係の深い南方熊楠の粘菌(変形菌)です。浜辺美波の昭和大女優の様な美しさと凛とした姿にメロメロです。
日本の植物分類学における 南方熊楠と牧野富太郎の交流。
富太郎と熊楠:これは非常に面白い。稀代の奇人変人天才の同類反発の見本か。必読です。できれば朝ドラで南方熊楠をやって欲しい。でも牧野富太郎より難しいかも知れません。拙書のエッセイの粘菌のページで彼のことを書いていますが、森永キャラメルの箱に粘菌を入れて昭和天皇に献上したなんていうエピソードは可愛いもんです。国立科学博物館の特別展には息子と行ってモジホコリももらってきました。粘菌好きは植物学者レベルではない変わり者が多い。まあ私もその一人ですが。粘菌特集のブログはアクセスが多いです。YouTubeには世界中からアクセスとコメントが来ます。すぐ下のリンクでスライドショーが見られます。
粘菌(変形菌)図鑑。妖しく奇妙で美麗なマクロの世界。ツノホコリ、キフシススホコリ、マメホコリ、クダホコリetc(妻女山里山通信):動物でも植物でもない魅惑的な粘菌の世界。3つのスライドショーも必見ですよ。

「ポテトぼたんこしょうとジャンボピーマンとひき肉のアンチョビーカレー炒め」 ぼたんこしょう(牡丹胡椒)は信州北部の伝統野菜でトウガラシ科。実の先端が牡丹の様でこう呼ばれます。辛いです。信濃町辺りでは訛ってぼたごしょうといいます。郷土料理の「やたら」にも必須。ジャンボピーマンは大きなピーマンで苦味やえぐみが少なく子供でも食べやすい。ポテトはキタアカリで拍子切りにして水に晒します。アンチョビーで塩気が入るのでコンソメパウダーは少なめでニンニクみじん切りとオリーブ油で炒めます。カレー粉はエスビーの赤缶。仕上げに白ワインでフランベ。ご飯のおかずにもビールやハイボールのつまみにも最適です。

「手作りベーコンと手作りケチャップのナポリタン」 産直売り場で完熟トマトが800gで200円。二つ買いました。一つはトマトソースに、もう一つはトマトケチャップを作りました。トマトケチャップは初めて作りましたが馬鹿旨。ケチャップの起源は、中国や東南アジアの魚醤だそうで、それが英国に渡ってウースターソースやトマトケチャップになったそうです。ですからトマトではないケチャップというのもあるのです。野菜は他にボタンコショウ、ジャンボピーマン、長ナス、タマネギです。自家製ケチャップは病みつきになります。作り方はネットにたくさん転がっています。とりあえず私のレシピ。
トマトケチャップ:完熟ミニトマト500g、キビ糖大さじ2、タマネギすりおろし1/8個、ニンニクすりおろし小さじ1、塩コショウ小さじ1、リンゴ酢かワインビネガー大さじ3。オールスパイス・シナモン・ローリエ適量。ミキサーでひいて鍋で煮て適当に水分を飛ばしてできあがり。
トマトソース:完熟トマト800g、タマネギ300g、オリーブ油大さじ3、ニンニク大さじ3を炒める。ローリエ3枚、タイム大さじ1、オレガノ大さじ1、塩小さじ2、キビ糖小さじ1、赤ワイン大さじ3、バジル10枚ぐらいを炒めたところへ加える。仕上げにエキストラヴァージンオリーブ油を大さじ3入れて広口瓶詰めにする。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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幸せを呼ぶ青い蜂ブルービー再び。ツクツクボウシ、ムギワラトンボ、ノシメトンボ、ジャノメチョウ。信州の里山の風景(妻女山里山通信)

2023-08-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 二つの台風の襲来で、猛暑なのに天候に恵まれず、約2週間ぶりの撮影に茶臼山山系へ。気温は28度でしたが前日に豪雨があったのでもの凄い湿気です。加えてアブにしつこく付き纏われ、なかなか厳しい撮影となりました。撮影時間は1時間が限度でした。その間に撮影チャンスはたった2回。

 ノアザミで吸蜜するブルービー(Blue Bee)。正式にはナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)。ハチ目ミツバチ科の昆虫です。全国的に減少傾向で、県によって絶滅危惧Ⅰ類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種に指定されています。長野県では準絶滅危惧種。

 今年はノアザミが早く咲いてしまったので、ほとんどが既に種になっています。今回も咲いていたのは4つだけ。それも離れているので全部を観察するのは無理。そこで、ここに来るだろうという一輪を決めて観察。すると予想通り来ました。

 ナミルリモンハナバチは、コシブトハナバチ類(スジボソフトハナバチ)やケブカハナバチ類の巣に寄生(労働寄生)し、幼虫は巣に貯えられた花粉などを横取りして育つという珍しい生態をしています。寄生のために卵の数が制限されることも数が増えない理由の様です。

 ぶれたカットですが長い舌がはっきりと分かるので載せました。ニホンミツバチ、セイヨウミツバチも同じ様な長い舌を持っています。舌は蝶の口吻の様な円筒形の筒状ではなく、もっと複雑な構造をしています。「ミツバチの体」で検索を。動画は3つ前の記事の最下部とInstagramで見られます。

 足元にいたツクツクボウシ。ミンミンゼミと共に晩夏を象徴するセミです。周りでアブラゼミ、ミンミンゼミと共にたくさん鳴いています。以前ブログでアップしましたが、朝早く森を歩くと夜に羽化したセミを拾って歩くことができます。そういう森を知っていないとできませんが。

 ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)・シオカラトンボのメスと思ったのですが、腹部の第8節が横に膨らんでいないのと複眼が青いのでオスの未熟でしょうか。
。です。来る途中の千曲川の堤防上には無数のアキアカネの未熟が舞っていました。1000m以上の高原にいたものが下りてきたのです。猛暑ですが確実に秋は近づいています。

 キンミズヒキ(金水引)があちこちで咲いています。バラ科キンミズヒキ属の多年草。これもミズヒキと共に秋を感じさせる花です。止血、止瀉、消炎、強壮の薬草です。

 イチモンジセセリ(一文字挵)。幼虫の食草は、イネ科、カヤツリグサ科の葉。成虫はアザミ、キクやハギ類で吸蜜します。

 ノアザミ(野薊)で吸蜜中。

 ジャノメチョウ(蛇目蝶)も吸蜜中。人の気配に敏感なのでお食事中とかでないと撮影は難しい。周りには何頭も舞っていて縄張り争いをしています。

 ノシメトンボ(熨斗目蜻蛉)。熨斗目(のしめ)は、江戸時代に、武士が小袖の生地として用いた絹織物のこと。赤ん坊のお宮参りの着物。熨斗目蜻蛉は、腹部の黒い斑紋が熨斗目模様に似ていることが名前の由来とか。アキアカネと似ていますが、翅の先端が褐色なので見分けがつきます。

 麓は35度ぐらいでしょうか。ここは29度。下から吹き上げる風が快適です。左は五里ヶ峯。中央の中腹に森将軍塚古墳。麓にある古墳館は必見です。右奥遠くには雲に隠れた蓼科山。

 かなり汗をかいたので温泉へ。田んぼの向こうには、さっきまでいた茶臼山山系。その奥は陣場平山から富士ノ塔山への峰。右奥は戸隠富士と呼ばれる高妻山。

 帰りに妻女山の陣場平へ久しぶりに登ってみました。やはり何もいない樹液バー。しかし、大量のアブがいて車外に出られません。クロメマトイも凄い。カブトムシやオオムラサキ、アオカナブンやミヤマカミキリ、オオスズメバチもまったく見られません。昨年に続き異常な状態が今年も。関東で業者などが大量に捕獲するためにライトトラップや手作り樹液をしたり樹木を傷つけることがニュースになっていましたが言語道断。私も樹に傷をつけますが、これは昆虫の餌を確保するため。薪を取るような木山をしなくなったため、自然のままでは樹液が足りず多くの昆虫が餓死してしまうのです。そのため樹に傷をつけ樹液が出る様にしています。捕獲のためではありません。

 陣場平の入り口へ。ここも大量のアブがウィンドウに体当たりしてきます。陣場平の様子を見たかったのですが出られません。こんなことは初めてです。昆虫の激減が猛暑が原因かは分かりません。4月の度重なる遅霜も原因かも知れません。いずれにせよ帰るしかありません。現在、妻女山展望台を修理中なので暫くの間登れません。

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マスコミはあまり取り上げないけれど、実は世界で大人気大注目の日本人ミュージシャン。知らないと人生損をする。電通とテレビ局に惑わされるな(妻女山里山通信)

2023-08-17 | BABYMETAL・LOVEBITES・XG・宮本佳林・ジャズ・クラシック
【和訳】日本からの挑戦、吹奏楽とダンスを見事に合わせるモスのパフォーマンス🎷💃 | AGT 2023

 管楽器を一度でもやった人なら分かる。この演奏と見事なパフォーマンス。世界で評価されるのも当然。マーヴェラス。ちむどんどんするわ。

【和訳】日本からの挑戦、制服を着たアバンギャルディの大和魂 | AGT 2023

 セーラー服に比べるともさい感じの制服がこれだけ格好良く見えたこともないかも。見事なパフォーマンス。

Atarashii Gakko - Otona Blue (lyrics)

 キワモノではない。海外でこれだけ評価される実力。分かってる欲しいんでしょ〜。クセになる。

XG - TGIF (Official Music Video)

 なぜこの動画を日本のテレビは流さない。関連動画もぜひ。世界に誇れるガールズ・ユニット。大好き。

BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE - Blu-ray, DVD, LIVE ALBUM / VINYL Trailer

 新生ベビーメタル。期待しか無い。恥ずかしながら車にステッカーを貼ってます。

Химари Йошимура. I тур. Струнные инструменты / XX Международный конкурс юных музыкантов Щелкунчи

 名だたる高名な審査員がほけたように聴き入っている。8歳の時の演奏。「吉岡ひまり」彼女の名前は覚えておいた方がいい。初めて聴いた時に私は涙を流した。これはYouTubeで見るをクリックしてください。絶対に心に響きます。クラシック音楽のバイオリン奏者に現れた100年に一度の天才少女。

中森明菜 演歌を歌う① ベスト5選

 彼女は単なるアイドルではなかった。生まれるのが早すぎたアーティスト。

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猛暑に思う人生で一番美味かったあの時のビールベスト10。海外編。 アマゾン、アンデス、ノルウェー(妻女山里山通信)

2023-08-11 | アマゾン
 猛暑日が続く長野ですが、実は天気予報とは異なるのです。中心街はヒートアイランド現象もあって暑いのですが、郊外はフェーン現象で乾いた南風が入り、夜は涼しくてエアコンも扇風機も不要なのです。そこまで天気予報は細かくも正確でもありません。観天望気が大事です。
 日中の猛暑は変わりありません。ゼフィルスに詳しい友人からも少ないですと連絡がありました。こんなに暑いとビールが甘露です。国産ビールは思い出が多すぎるので、外国で味わったビールのベスト10?をピックアップしてみました。もちろんこれら以外にも思い出のビールはたくさんあります。最近は信州もクラフトビールが増えてきて、いや本当に美味しいのです。

 海外は円高の頃に青春だったのでイギリスにフラットを借りて住んだり、南米放浪やノルウェーや香港などへも。当時は学生が頑張ってアルバイトすれば海外へ行けたのです。それもツアーではなくバックパックの旅。美大の友人たちも先に欧州や中南米へ旅立って行きました。そして私も。流行りにのったわけではなく。美大を出て出版関係のデザイナーやアートディレクターとして仕事を始めたのですが、自分の引き出しの無さに唖然としました。これでは一人前のクリエイターになれないと放浪を決心しました。学生時代に村上春樹さんに悩みを打ち明けていた時に、「こんな狭い日本でうじうじしてないで世界を旅してきなよ」と言われたことも大きなきっかけでした。求めたのは「カルチャーショック」。今の様に世界中の情報が瞬時に得られる時代ではありませんでした。『地球の歩き方』もなく、情報は日本や海外のアングラ雑誌などで。当時のブラジルやボリビアはハイパーインフレの時代。ブラジルは軍政、ボリビアは民生になってすぐ。いつ軍事クーデターが起きるかも知れず。放浪中に、アンデスで女性が、リオで男性が、いずれもバックパッカーでしたが殺害されたとの情報。危険回避も重要でした。生きて帰れないことも考えましたが、そうなったらそれが自分の運命だろうと。危険なことはたくさんありました。先に行った友人はエルサルバドルのバスでゲリラに襲われ九死に一生を得たし、間接的に知っているカメラマンはカメラを奪われそうになり抵抗して太腿を撃たれ3週間入院しました。それでも知識ではなく、体験を通してだけ得ることのできる、かけがえのない宝を好奇心が上回ったのです。撮影したカットは万を越えますが、想いのあるものを厳選して載せます。

 上の写真は1983年から1984年の200日余りのブラジル・アマゾン、ボリビア・アンデスの放浪の時の写真。原盤はリバーサルフィルムです。まず左からブラジルの世界遺産の街オリンダの泊まったホテル。二番目は、よく通ったバールの看板娘。彼女の供するキンキンに冷えたビールの美味かったこと。ポルトガル語がまだつたない私のいい話し相手にもなってくれました。小さいのに荒くれ者の男たちを愛嬌であしらうのです。ときには怒ったり。愛されていましたね。次はオリンダの家族。花があふれる本当に素敵な街でした。この街はアートの学校があって街中にアートが溢れていました。絶えず緊張を強いられたレシーフェと違って、ここは天国の様な街でした。

 アマゾン河中流の大都市マナウス。最初は市場です。乾季になると10mも水位が下がりずっと向こうまで砂浜になり市場や商店が並びます。知り合った日系人とアマゾンのジャングルの奥地の村に行きました。洗濯や水浴びをしていた家族。3番目はある女性ばかり3人の家に居候していた貧民街の景色。危険な所でもありましたが、人々は優しく私を受け入れてくれました。最後はマナウスのオペラハウス。ジャングルの中のマナウスはゴム景気で栄えたのです。映画『フィツカラルド』をみるとその狂気の栄華が分かります。この映画をなんと私はマナウスの映画館で観ました。アマゾンのビールの美味かったこと。二回目に訪れたときはかなりポルトガルも流暢になって冗談も言えるようになっていました。子供たちが私に日本の話しを聞きたくて集まって来ました。世話になっている女性たちとアマゾン河水浴に行って大きなパクーという大きな魚を塩焼きしたり、地元の少年たちと水泳の競争をしたら私があまりに速いので驚愕されたり。ただここでも悲しい事件は起きました。新婚旅行では、小舟をチャーターしてジャングルツアー。ピラニア釣りをしたり、船主の家でアマゾン料理を堪能したり、ビデオが3時間あまり残っていますがアマゾンを満喫しました。

 サンタレン。作家・開高健が『オーパ』のベースキャンプとしたアマゾン河中流の街です。91年新婚旅行でこの街を訪れたました。もちろんマナウスとベレンも。毎日小学生新聞に載った妻のイラストレポートをブログにアップしてあります。左のカテゴリーでアマゾンをクリック。撮影したビデオは3時間あまりありますが、妻は本当にリラックスして楽しんでいました。最初は川沿いの屋台。看板娘の少女。何度も通いました。河沿いには露天がたくさんあるのですが、これは世界一小さなおもちゃ屋と私が勝手に認定した店。知り合った日系人が紹介してくれたジャングルの中の先住民の家を訪れました。先住民の村で丸太をくり抜いたカヌーで釣りを楽しみました。これはその夕景。哀愁を感じながらしみじみと飲むビール。よくしてくれた家族の父親は金鉱でガリンペイロの元締めでしたが、私が帰国した後でトラブルで射殺されました。夫婦で金を貯めてスーパーをやるんだと言っていた夢は消えました。

 サンタレンその2。アマゾン河に面したおしゃれなレストラン。新婚旅行でも訪れました。アマゾンの魚がメインの食事も美味しい。ナマズのココナッツミルク煮は美味。遠くに見えるのは対岸ではなく中洲。1万トンクラスの客船が通り過ぎます。ジャングルへと続く赤土の道を100キロ近くで飛ばす。トラックで連れて行ってくれた日系人が横から出てきた豚の一家をはねた。豚が空を飛んでいった。立ち寄った牧場で逞しいガウチョ。アマゾン河畔の焼肉の屋台。美味い。アマゾン河の夕暮れ。新婚旅行では、白砂のアルテル・ド・ションという地元の人に人気の観光地へ。妻が水彩画を描いていると家族が描きあがるまで1時間半も見ていました。歌を歌ってくれてビールをごちそうになったり、ボートで中洲まで送ってくれた少年たちとの交流も楽しいものでした。

 84年の1月にボリビアに行きました。ジェット機が故障して緊急着陸とか大変でした。いきなり富士山より高い都市へ。高山病になりました。ボリビア最大の都市ラパス。1月なので花が咲く夏でした。アラシッタスという全てのものを小さくしておもちゃで売る楽しい祭りに遭遇。モルモットの姿焼きとかアルパカだかリャマだかのハンバーグ。知り合った大学の建築の先生に誘われてタクシーでチチカカ湖へ。途中で出会ったリャマを連れた少女。撮影すると全速力で谷を下って登ってニコッと笑って手を出しました。はい、ちゃんと撮影料を渡しました。チチカカ湖畔の教会。これが彼の目的。トロピカルバロック様式というのだそうです。内部も見ましたが、非常に詳しい説明をしてくれてとても勉強になりました。ラパスでは、ケーナを作る名手の工房を訪ねたり、ライブハウスへも。屋外のちょっと物悲しいルチャリブレも観ました。

 4000m超えのラパスからインディオのおばさんが鶏かかえて乗ってくるプロペラ旅客機で行った湿原地帯のトリニダッドへ。なんの用もなくここへ来た日本人はあんたらで4人目と5人目だと言われました(鹿児島の青年と行きました)。二枚目。船で暮らす家族と知り合いました。翌日訪れると息子が父親にボコボコにされていました。なんでも息子が小舟を売り払って飲みに行ってしまったそうです。3枚目、ベニ地方は美女の産地だそうです。笑顔の素敵な女性が多かった。最後は、JICAの人に誘われて数十キロ先の川に釣りに行ったのです。釣り終わる頃、数十キロ先の家族がトリニダッドへ商売するために来ました。今日はここでキャンプするとか。別れ際に我々が釣った魚を全部あげたら、すごく喜んだと同時に怪訝な顔をしました。食べるため以外の釣り、スポーツフィッシングを彼らは知らないのです。帰りにドイツ系移民のレストランで飲んだビールの味は忘れない。JICAの人がサングラスに黒いアタッシュケースでホテルに来たので麻薬の売人と間違われ、危うく大変な目に遭う寸前に。

 ブラジルに戻ってカルナヴァウ(カーニバル)は、リオから黒人のローマといわれるサルヴァドールへ。サルヴァドールでは、早稲田の学生だった彼と知り合いリオから旅して、海辺のアパートを借りました。とんでもなく活気があり同時に危険なものでした。カーニバルが始まる前に二人で郊外のプライア(浜辺)へ。5mもの大波がきれいにブレイクしています。見ると一人の少年が体をサーフボードにしてボディサーフィンをしています。これは面白そうだと加わりました。二人共遠泳したり潜ったりと海は得意でした。まず大波の壁に突っ込んで向こう側に抜けます。浮きながら次の大波を舞って来たら猛スピードで泳いでブレイクする大波の斜面を斜めに滑り落ちるのです。この感覚は本当に最高でした。しかし、あがり際が遅れると次の大波に巻き込まれて洗濯機の中。浜で見ている二人が大笑い。帰りのバスでは老若男女の乗客がパーカッションを鳴らしてカーニバル。運転手はクラクションでリズムを取って。
 最初のカットはガンジーの子供たちという面々のパワフルなおばちゃん達。フレンドリーを越えて可愛がられました。夜は危険極まりないのですが、昼はこんな可愛い子供たちのパレードもあるのです。何台もの大型トラックの上にバンドを載せて街を回ります。広場に来て大音量の演奏が始まると、それまで私達と談笑していた女の子達が一斉に飛び出して踊りだします。何千人という群衆が踊りまくるディスコと化すのです。鳥肌が立ちました。マフィアもいるし目の前でナイフを出して喧嘩が始まるし、麻薬で行った男に尻を蹴られて2mの黒人ガードマンがいるナイトクラブに逃げ込んだこともありました。写真の道連れの友人と知り合った女の子達とバールへ。友だちを殺したマフィオーゾがいると、彼女のアパートへタクシーにオレンジを投げつけられながら向かって無事を祝って乾杯。緊張感のあるビール。ブラーマとかアンタルチカという銘柄でした。

 目覚めると窓からはコバルトブルーの海。交代でマラクジャとかカシューナッツの果肉の美味しいジュースにクソ不味いブラジルのパンで朝食。時々お互いが知り合った女の子を招いてパーティーをしたり。その前には中心街である女性の可愛い息子と娘がいるアパートを借りました。夕方には大西洋に沈む夕日にアベマリアのメロディが流れる部屋にいたのですが、その女主人があまりに酷かったので中心街から離れたおばあちゃんのマンションに引っ越したのでした。彼女はカーニバルが嫌いで、その間旅行をするので部屋を貸すのだとか。ガラスのテーブルに熱い鍋を直接置かないでね。それと植木には毎日お水をあげてちょうだい。それだけが条件でした。最高でした。
 私は向かいの娼婦宿の二階で天然爆発電熱パーマをかけました。ブーツはレッドウィングのアイリッシュセッター。名品ですが、これを脱ぐと猛烈に臭くて女の子がのけぞったのでした。毎日が本当にエキサイティングで楽しい日々でした。ちょうどマイケル・ジャクソンの「エボニー&アイボリー」とか「雨音はショパンの調べ」が流行っていて、でも殆どはブラジルのカーニバルの曲なのです。昼寝して夜に備える。出掛けに飲むビール。出先で飲むビール。その後はマラクジャやライムで割ったバチーダ(カシャッサをトロピカルフルーツで割ったカクテル)を。ナイトクラブのはしごもしました。対岸のイタパリカ島へ。経験があったのでディンギーを借りて洋上クルーズを満喫しました。カーニバルが終わった後の虚脱感はそれは凄いものでした。私は彼と別れてひとりアマゾンへと向かいました。前年に世話になったマナウスの家族に再び会うために。

 アマゾン河河口の大都市ベレン。日系人のペンションに投宿。港の市場で大きな肥料の袋いっぱいのカニを買いました。宿の女中の女性に茹でてもらって、投宿していた日系人の人達も呼んでカニパーティー。淡水カニでモズクガニの大きな物みたいですが、超絶美味です。ビールも美味い。二番目はそのペンションで知り合った日系人の青年から結婚式なんだけど来る?と言われて行くことにしました。これは泊めてくれた家の庭なんです。夕方になるとジャングルの中に行っていた放牧馬が帰ってくるのです。白馬がいたり、それは幻想的で美しい光景でした。河口の街ベレンの市場。アロワナや大きなナマズ。世界最大の淡水魚のピラルクーも売られています。新婚旅行で行ったときに妻はピラルクーのフリッタ・ミラネーザのあまりの旨さに絶句していました。私はビールで流し込みました。最後はベレンのサンダルを売る女の子。日本語のシャツを売る店もあって、サンタレンでは少年が、夫の友人との情事とプリントされたシャツを着ていて、ひっくり返って笑いました。いやこれ日本でもありますよ。
■WALDIR AZEVEDO -Brasileirinho ; original

 ブラジルの音楽というとサンバとかボサノバを思い出すと思うのですが、ショーロ(ショリーニョ・Chorinho)というメランコリックな音楽があります。ある時ベレンで停電があった時に向かいの家が防犯のためでしょうね。大音量でショーロを流しました。私はペンションのドアの外に腰掛けて聴き惚れました。その家の少年も出てきて、私は親指を立ててほほえみました。大好きになって帰国する前にLPをたくさん買いました。ショーロとはポルトガル語で泣くという意味が語源。Brasileirinhoというのはブラジルのちょこまか動く小さな男の子のこと。光景が浮かびます。帰国するとき35枚のLPを持っていたら税関の人が一枚一枚見始めて、これはいい、これは最高だいい耳をしてるねとか品定めし始めて。私は後ろに並ぶブラジル人達にごめんなさいと言ったのですが、皆苦笑いしていました。これらのLPは宝物です。

 大蛇を持ち上げる女の子。先住民の土産物を売る少女。アマゾン河とセニョリータ。甘くほろ苦い思い出。色々おまけしてくれた焼肉屋台のおばちゃん。オリンダの海岸でおばあちゃんと海水浴に来ていた少女。サルヴァドールの美容室。客は我々以外は皆ボアッチ(自由恋愛のできるナイトクラブ)に出入りする夜の女性たち。彼女たちにからかわれながらパーマをかけました。階下にはエビをココナッツミルクで煮たムケッカ・デ・カマロンというものすごく美味しい料理を出す女性が一人でやっている小さなレストランがあってほぼ毎日通いました。お手伝いもしたり。結婚して妻にも教えて作ってもらいました。息子達も大好き。

 4年後にマナウスの貧民街で世話になった女性が再婚してノルウェーに。遊びにおいでというので出かけました。彼女の娘はアマゾン時代の私をはっきりと覚えていて。空港で出逢ったときには飛びついてきて顔中にキスをしてベトベトにしてくれました。アイスクリームが大好きで甘えん坊、でもきちんと自分の意志は言う。お母さんが大好き。最初に、チェルノブイリ3年後で、キノコと川魚は絶対に食べちゃ駄目と言われました。25度以上になると白樺でしょうかケサランパサラン、何かの種が大量に飛ぶのです。クリスチャーノ・ロナウドの出身地でもあるマデラ諸島出身の青年が居候していて、友人の娘の誕生日のケーキを取りに行ったら娘のスペルが間違っていて、どうしようと話していたら店員の女の子が「この人達何語で話しているのかしら」と。その時私達はポルトガル語で話していました。スペルのミスは私が直しました。ノルウェー人と結婚した日本人の御婦人の家で飲んだ、北欧のビールの甘露。フィンランドには東郷ビールなるものがあるのです。今日も明日も明後日も、ビールを飲むために私の体は存在する。

この記事は、ついこの間まで存在していた20年続いた我が家のホームページ「CAPINO」からの抜粋です。tok2の広告表示の無料サイトが突然閉鎖されました。そのためアクセスが多かったトレッキングやネイチャーフォト、妻のグルメサイトや水彩画のサイト、息子達のペーパークラフトのサイトが消えました。復活は技術的な部分で非常に負担が多く不可能に近いのです。今後、当ブログで少しずつ再編集して行こうと思いますが、情報量があまりにも多すぎてどうしようか思案中です。いずれにせよツイッターなどSNSも永遠なんていうことはないのです。古代の石板や洞窟絵の方が今のDVDやデータより遥かに保存性永続性が高かったのだと思います。写真もデータも儚い。
新たに『アマゾンひとり旅』を順次掲載熱狂のカルナヴァルはサルバドールで [Salvador] 熱く、情熱的で、官能的で、暴力的なカルナヴァル。ボアッチに逃げ込む。マフィアや娼婦の溜まるバー。情熱のバイアーナ。大西洋でボディサーフィン。忘却は神の贈り物 アップ。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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ナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)。幸せを呼ぶ青い蜂ブルービーを求めて茶臼山山系へ。ハンミョウ。ツマグロヒョウモン、ウバタマムシ(妻女山里山通信)

2023-08-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)。「幸せを呼ぶ青い蜂」といわれ、ブルービー(Blue Bee)」の愛称を持ち、非常に希少な種で、長野県では準絶滅危惧種に指定されています。
 今回は36度の猛暑の中、3日間撮影に出かけました。理由は簡単でなかなかいいカットが撮れなかったからです。相手が自然なので、気まぐれなブルービーはもちろん天候やノアザミの状態などが思うようには行かないのです。気温は27度で麓より6度ぐらい低く時折涼しい風も吹きますが、撮影時は炎天下に出るので厳しいです。

 ナミルリモンハナバチは、学名をThyreus decorusといい、ハチ目ミツバチ科ルリモンハナバチ属の昆虫です。成虫の体長は雄10~13mm、雌11~14mm。分布は、日本(本州・四国・九州・大隅諸島)・台湾・東南アジア・中国・朝鮮半島・極東ロシアということなんですが、本州でも確認されているところはごく僅かです。ルリモンハナバチ(瑠璃紋花蜂)ともいいます。

 二匹が吸蜜中。実はもう一匹います。

 特徴の一つに「労働寄生」があります。 他の花蜂の巣に侵入して卵を産み付け、幼虫は宿主が保存する餌を横取りして成長するもので、労働寄生の対象となる花蜂は、コシブトハナバチ類やケブカハナバチ類といわれていますが詳細は不明です。

 長い舌を差し込んで吸蜜しています。動画はInstagramに2本アップしています

 生息地の消滅や減少、宿主の生息や蜜源の減少により個体数が著しく減少しており、絶滅危惧II類に指定されています。

 200mほど離れたハンミョウのポイントへ。ハンミョウ(斑猫)はナミハンミョウともいい、コウチュウ目オサムシ科のハンミョウ科の甲虫です。大きな複眼と鋭い大顎が目を引きます。動作は機敏で、アリや蛾などの小型の昆虫を捕らえて食べます。成虫は夏の終りに羽化し、冬は土中で集団越冬します。そして、翌春に交尾産卵をします。

 近づくとすぐに逃げて1mぐらい先に止まります。これを繰り返すので「道教え」とか「道しるべ」とかいわれますが、撮影しようとすると逃げまくるので非常に厄介な被写体です。しかもまだ一匹しかいないので警戒心がマックス。旧盆をすぎると個体数は増えるはずです。

 モノサシトンボ。モノサシトンボ科モノサシトンボ属。文房具の物差しの様にメモリが入っているトンボ。細くて黒い部分が多いので目立たなく見つけにくいイトトンボなので観察力が必要です。

 前日に激しい雨が降ったためか三日目はブルービーは一匹が短時間現れただけ。そこで離れた茶臼山自然植物園の最上部へ下りてみました。葉の付け根に珠芽(むかご)が無いのでコオニユリ。コオニユリの百合根は非常に美味しく道の駅で売られていたりしますが高価です。猛暑で昆虫がいません。

 ピラミッドアジサイ。日本の山に自生するノリウツギの仲間。和名をミナヅキ(水無月)といい中国と日本が原産地だそうですが、花房が全て装飾花化した園芸品種だそうです。背が高く見栄えがします。

 ピラミッドアジサイに空蝉(うつせみ)が。大きさと触覚の根元から3番目の節が2番目の節の1.5倍の長さなのでアブラゼミです。ミンミンゼミはまだ出ていません。

 ツマグロヒョウモンのメスが一頭。他にはモンキチョウ、コミスジ、オニヤンマが見られただけでした。途中の水たまりで翅の表がラベンダーブルーの大きいシジミチョウの仲間が二頭舞っていました。形や大きさはウラギンシジミですが、色が違います。同定できず。昨年は見られたオオムラサキは樹液バーにもいませんでした。ツクツクボウシとアブラゼミの合唱。

 苔むした切り株に多孔菌科のキノコ。ベッコウタケでしょうか。生木に発生すると倒木を引き起こす厄介なキノコです。危険なので自治体によっては見つけたら報告を呼びかけるところもあります。

 赤松の切り株にウバタマムシ(姥玉虫・姥吉丁虫)。幼虫は枯れた松の木を、成虫は松の葉を食べます。4センチぐらいある大型のタマムシ。松の木の樹皮に擬態した体が渋くて美しい。

 ハキダメギクなどと共に可愛そうな名前の植物に必ずあげられるヘクソカズラ(屁糞葛)。別名は、ヤイトバナ(灸花)、サオトメバナ(早乙女花)、ウマクワズ(馬喰わず)。万葉集では屎葛(くそかずら)ですが、後年屁が追加されました。しもやけ、ひび、あかぎれなどの外用民間薬。
「そうきょうに 延ひおほとれる屎葛 絶ゆることなく 宮仕えせむ」 高宮王『万葉集』(巻十六、3855)
(そうきょう(皂莢・ジャケツイバラ)に絡みながら延びてゆくクソカズラ、その蔓のように絶えることなくいつまでも宮仕えしたいものだ)


 茶臼山自然植物園から妻女山山系を望む。麓は36度ですが山上は28度。日陰は吹き上げてくる風が涼しいのですが、日向は地獄のような暑さです。

ナミルリモンハナバチ 幸せを呼ぶ青い蜂ブルービー 230803


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