夏の蝶の王様といえばオオムラサキですが、秋といえばアサギマダラ(浅葱斑)と思うのは私だけではないでしょう。なんといっても、手の平に満たないこんな小さな蝶が、時には2000キロ以上も「渡り」をするということで、魅せられる人が多いのです。浅葱斑とは、半透明な白い班が浅葱色を帯びてみえることから。浅葱色は、長ネギの薄青緑のことですが、藍染めの手を抜いて薄く染めた色のことです。新撰組の羽織の青ですね。
海を越えて「渡り」をする蝶ということから、「てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった」という安西冬衛の詩が思い出されます。韃靼(だったん)海峡とは間宮海峡のことで、ロシア語のタタール海峡の中国語表記なんですね。渡って行った蝶はなんでしょう。アサギマダラは間宮海峡は渡らないでしょうから・・。
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連休のある日、キノコ狩りに出かけ、急斜面のコナラの薄暗い森を登って林道に這い上がると、眩しい陽光の中に舞うアサギマダラが目に入りました。フワフワと舞った後にスゥーっと滑空する優雅な舞いは、見飽きる事がありません。そうっと追い掛けてマルバフジバカマで吸蜜しているところを撮影。本来はヒヨドリバナなど在来種で吸蜜するのでしょうが、この林道は帰化植物のマルバフジバカマに占領されてしまっています。
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水玉の斑模様は、翅だけではなく頭部や胴体にもあります。松本出身の世界的芸術家、草間彌生さんの服を纏っているように見えるお洒落な蝶です。割と人を警戒しないので、翅を閉じて吸蜜している時など、後ろからそっと摘んで捕獲できるのですが、この蝶はけっこう警戒心が強く、近づくとすぐに飛び立ってしまいます。
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飛翔シーンを撮影したかったのですが、手持ちのカメラでは無理でした。そこで、フォトショップで合成して遊んでみました。揚羽蝶などの様に激しく羽ばたかず、フワフワと舞い滑空することでエネルギーの消費を最小限に抑え、2000キロ以上も飛ぶ事ができるのでしょうか。
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アサギマダラの最も美しいカットは、逆光で翅が透けているところだと思うのですが、今回はコントラストが強すぎてなかなか思う様なカットが撮れませんでした。アザミの花で吸蜜する時などは、アザミの濃い桃色が翅の向こうに透けて見えて、それは奇麗です。
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写真のものは、後翅に黒い性標があるのでオスです。ふと周囲を見ると、アサギマダラは三頭いました。時に互いに戯れあって舞いながら吸蜜しています。近づくとからかう様に飛び立つのですが、私の先を道案内でもするように、少し舞っては先のマルバフジバカマで吸蜜します。
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幼虫の食草は、イケマ・カモメヅル・キジョラン・サクラランなどのガガイモ科の植物です。いずれもアルカロイド系の毒素を含む毒草のためアサギマダラも毒化し身を守っています。交尾行動の際、メスはオスの腹部の先端の交尾器から出るヘアペンシルを触覚で触れ、アルカロイドが体内でダナイドンという物質に変化したものを感知すると交尾に至るのだそうです。毒性のある物質が性ホルモンというのも面白いと思います。
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林道脇で、ルビーのように真っ赤な実が光っていました。ガマズミの実です。相当酸味が強いのですが、赤く奇麗ないい果実酒になります。高酸化作用があり老化防止にもよさそうです。早速採取しました。2008年のブログ記事です。「ガマズミ酒とケルンコンサートと秋のソナタ」。
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ガマズミの採取を終えて、ふと周りを見ると、どこにもアサギマダラの姿がありません。まるで真夏の昼の夢の様に消えてしまいました。一瞬、あのアサギマダラは幻だったのだろうかと思いました。
荘子の『斉物論』に「胡蝶の夢」という寓話があります。荘子が夢の中で蝶になり、空を舞って楽しんでいると目が覚めてしまいます。すると、自分が夢を見て蝶になったのか、蝶が夢を見て自分になっているのか、どちらか分からないという話です。夢と現(うつつ)の区別がつかないことの例えや、人生の儚さの例え。大発生したかと思うと、アッと言う間に姿を消す生態や、蝶の予測できない不安定で気まぐれな飛び方から思いついたものでしょうか。
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長い登山道と林道歩きを終えて、妻女山展望台に戻ると、千曲川と善光寺平の向こうに戸隠連峰と飯縄山が見えました。連休なので、多くの登山者が登っていることでしょう。残念ながら長野市民の山、飯縄山山頂は放射線量が高いのです。秋の枯葉が舞う様な登山では、埃を吸わない様配慮が必要です。また、山麓の野生キノコからは放射性物質が検出されています。この一見美しい信州の風景が、強欲で無知な原発村の住民によって汚染させてしまったことは、慚愧に堪えません。これは人類の恥です。全知全霊をかけて核を廃絶しなければ、必ず人類は滅びるでしょう。核=原発は、生物学的に、最も反動的なものです。
■色々な蝶の写真は、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】の蝶をご覧ください。アサギマダラやオオムラサキ、スミナガシやゼフィルスなど。
■【信州の里山】キノコの汚染と除染について
腐生菌と菌根菌(腐生の約10倍汚染)除染方法等。
海を越えて「渡り」をする蝶ということから、「てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった」という安西冬衛の詩が思い出されます。韃靼(だったん)海峡とは間宮海峡のことで、ロシア語のタタール海峡の中国語表記なんですね。渡って行った蝶はなんでしょう。アサギマダラは間宮海峡は渡らないでしょうから・・。
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連休のある日、キノコ狩りに出かけ、急斜面のコナラの薄暗い森を登って林道に這い上がると、眩しい陽光の中に舞うアサギマダラが目に入りました。フワフワと舞った後にスゥーっと滑空する優雅な舞いは、見飽きる事がありません。そうっと追い掛けてマルバフジバカマで吸蜜しているところを撮影。本来はヒヨドリバナなど在来種で吸蜜するのでしょうが、この林道は帰化植物のマルバフジバカマに占領されてしまっています。
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水玉の斑模様は、翅だけではなく頭部や胴体にもあります。松本出身の世界的芸術家、草間彌生さんの服を纏っているように見えるお洒落な蝶です。割と人を警戒しないので、翅を閉じて吸蜜している時など、後ろからそっと摘んで捕獲できるのですが、この蝶はけっこう警戒心が強く、近づくとすぐに飛び立ってしまいます。
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飛翔シーンを撮影したかったのですが、手持ちのカメラでは無理でした。そこで、フォトショップで合成して遊んでみました。揚羽蝶などの様に激しく羽ばたかず、フワフワと舞い滑空することでエネルギーの消費を最小限に抑え、2000キロ以上も飛ぶ事ができるのでしょうか。
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アサギマダラの最も美しいカットは、逆光で翅が透けているところだと思うのですが、今回はコントラストが強すぎてなかなか思う様なカットが撮れませんでした。アザミの花で吸蜜する時などは、アザミの濃い桃色が翅の向こうに透けて見えて、それは奇麗です。
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写真のものは、後翅に黒い性標があるのでオスです。ふと周囲を見ると、アサギマダラは三頭いました。時に互いに戯れあって舞いながら吸蜜しています。近づくとからかう様に飛び立つのですが、私の先を道案内でもするように、少し舞っては先のマルバフジバカマで吸蜜します。
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幼虫の食草は、イケマ・カモメヅル・キジョラン・サクラランなどのガガイモ科の植物です。いずれもアルカロイド系の毒素を含む毒草のためアサギマダラも毒化し身を守っています。交尾行動の際、メスはオスの腹部の先端の交尾器から出るヘアペンシルを触覚で触れ、アルカロイドが体内でダナイドンという物質に変化したものを感知すると交尾に至るのだそうです。毒性のある物質が性ホルモンというのも面白いと思います。
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林道脇で、ルビーのように真っ赤な実が光っていました。ガマズミの実です。相当酸味が強いのですが、赤く奇麗ないい果実酒になります。高酸化作用があり老化防止にもよさそうです。早速採取しました。2008年のブログ記事です。「ガマズミ酒とケルンコンサートと秋のソナタ」。
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ガマズミの採取を終えて、ふと周りを見ると、どこにもアサギマダラの姿がありません。まるで真夏の昼の夢の様に消えてしまいました。一瞬、あのアサギマダラは幻だったのだろうかと思いました。
荘子の『斉物論』に「胡蝶の夢」という寓話があります。荘子が夢の中で蝶になり、空を舞って楽しんでいると目が覚めてしまいます。すると、自分が夢を見て蝶になったのか、蝶が夢を見て自分になっているのか、どちらか分からないという話です。夢と現(うつつ)の区別がつかないことの例えや、人生の儚さの例え。大発生したかと思うと、アッと言う間に姿を消す生態や、蝶の予測できない不安定で気まぐれな飛び方から思いついたものでしょうか。
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長い登山道と林道歩きを終えて、妻女山展望台に戻ると、千曲川と善光寺平の向こうに戸隠連峰と飯縄山が見えました。連休なので、多くの登山者が登っていることでしょう。残念ながら長野市民の山、飯縄山山頂は放射線量が高いのです。秋の枯葉が舞う様な登山では、埃を吸わない様配慮が必要です。また、山麓の野生キノコからは放射性物質が検出されています。この一見美しい信州の風景が、強欲で無知な原発村の住民によって汚染させてしまったことは、慚愧に堪えません。これは人類の恥です。全知全霊をかけて核を廃絶しなければ、必ず人類は滅びるでしょう。核=原発は、生物学的に、最も反動的なものです。
■色々な蝶の写真は、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】の蝶をご覧ください。アサギマダラやオオムラサキ、スミナガシやゼフィルスなど。
■【信州の里山】キノコの汚染と除染について
腐生菌と菌根菌(腐生の約10倍汚染)除染方法等。
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