猛暑日が続く信州です。高原へ撮影に行きたいところですが、なにせ長野県は全国一ガソリン代が高いのです。県境の人は皆隣の県に給油に行っているそうです。ガソリン税は二重課税だし政府の無策には本当に腹立たしい。ということで久しぶりに妻女山山系へ。麓よりは3、4度低いのですが、今回はクロメマトイの猛攻撃に遭い1時間足らずで退散しました。とにかく雨が降らないので山はカラカラです。
開けた場所でヤマトシジミが吸蜜中。花は蕾が立っているのでヒメジョオン(姫女苑)です。牧野富太郎博士が命名したハルジオン(春紫苑)は、寝ているし葉の根元が茎を巻いています。どちらも侵略的外来種ワースト100です。陣場平では見つけたら全部抜き取ります。
コバギボウシ(小葉擬宝珠)。リュウゼツラン亜科ギボウシ属の多年草。一日でしおれる一日花なので、ちょうどいいところに出会えました。擬宝珠の名前の由来となった蕾も見られました。
陣場平へ。もの凄い数のクロメマトイ(ヒゲブトコバエ)に取り憑かれました。長いタオルを振り回しながら歩きます。油断すると目に飛び込んできます。涙に含まれるタンパク質を狙っているのです。クロメマトイにはオニヤンマくんは役立ちません。ハッカオイルを塗って行ったのですが、効果ありませんでした(涙)。メマトイはマダラメマトイやカッパメマトイなど10種類ぐらいいるそうです。
貝母(ばいも・編笠百合)はすべて種が飛んでいました。来年の発芽が楽しみです。
セリバオウレンは葉がツヤツヤしています。株が大きくなってくれるといいのですが。
ご天上の樹液バーへ。樹液はいつになくたっぷりと出ているのですが昆虫がいません。一種類の昆虫が激減は経年変化であるのですが、この様にすべての昆虫がいないというのは、極めて異常です。5月には咲くはずのウツギ、エゴノキ、ネジキの花が咲きませんでした。気象的なこともあるのかも。ただ3、4年前から明らかに昆虫が減っています。何が起きているのか非常に心配です。今年は3キロ離れた茶臼山の昆虫も減っています。
2020年7月下旬の同じクヌギです。オオムラサキのメス、カブトムシのオス、アオカナブンがいます。
2013年7月下旬の同じクヌギです。オオムラサキのメス2頭が吸蜜中、そこへオス2頭が忍び寄っています。オオスズメバチとカブトムシとアオカナブン。他のクヌギではオオムラサキのオスのグループが。他にはカナブン、ミヤマカミキリ、クジャクチョウ、スミナガシ、ヒメスズメバチ、コガタスズメバチ、チャイロスズメバチなどにハエの仲間もたくさんいました。
2014年の千曲市による松枯れ病のネオニコチノイド系農薬の空中散布で千曲市側の昆虫は絶滅しました。中止になってから2年ぐらいで長野市側から昆虫が移り始め復活したかに見えたのですが、2020年頃から激減し始めました。理由は不明です。
●2014年7月の記事:樹液バーとネオニコの記事が何本もあります。
ヌルデ(白膠木)の蕾。ウルシほどではありませんが、かぶれる人もいます。別名は、フシノキ。生薬名は、塩麩子(えんふし)/塩麩葉(えんふよう)/五倍子(ごばいし)。小葉と小葉の間に翼(つばさ)があるのが特徴。 ヌルデにできる虫こぶ(ゴール)のことを五倍子といいます。これは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシが寄生し、枝の翼に卵を産み付け、それが耳状にふくれたものです。
五倍子は、タンニンの含有量が多く、染め物では空五倍子色(うつふしいろ)とよばれる伝統色として用いられます。古くはお歯黒などにも使われました。
「足柄の 吾を可鶏山(かけやま)の かづの木の 吾をかつさねも かづさかずとも」(詠人知らず) 万葉集(巻14)東歌 *カヅノキ(可頭乃木)=ヌルデ
(足柄の地の私を思うという名の山のカジノキのように私をかどわかして欲しい)
ヨウシュヤマゴボウ(マルミノヤマゴボウ)。有毒です。繁殖力がもの凄く、妻女山では林道脇に繁茂し、在来植物を淘汰しています。オオブタクサ、セイタカアワダチソウと共に駆除すべき植物です。
タケニグサ(竹似草)。毒草です。茎が中空で折ると黄色い汁が出てきます。これが有毒なのですが、皮膚病、たむし、みずむしなどの薬で、患部に直接塗るのだそうです。以前除草の際に触れてかぶれたことがあるので要注意。江戸時代にはハエ殺しの薬として便槽に入れたとか。
振り払っても叩いてもまとわりつくクロメマトイに辟易。昆虫もいないので帰ることにしました。松代方面の眺め。積乱雲は発達していません。今日も雷雨は無いでしょう。
西の眺め。北アルプスは雲の中。右に茶臼山。その右奥に虫倉山。いずれも拙書で紹介しています。リニューアルした茶臼山動物園は大人気の様です。帰りに桃の集荷場の横を通りましたが、買いに来た車で満車でした。川中島白桃は最盛期です。
妻女山松代招魂社へ。県外ナンバーの車が3台ほど訪れていました。以前なら今頃はたくさんのオオムラサキが神社の切妻の壁に止まって休んでいたものです。今年はオスメス一頭ずつしか見ていません。
土用の丑の日ということで、バンドエイドのガーゼの部分ぐらいの小さなうなぎが入った巻き寿司を買いましたが、うがつくものということで夕食は手打ちうどんを。友人が作った幻の小麦の伊賀筑後オレゴンで。麺は白ではなく薄いローズグレー。味は濃厚かつ芳醇。一般的なうどんとは比べられないほど。つけ汁の具は、この時期ならチチタケなんですが雨が降らないもので、今回は昨秋に採ったジコ坊(ハナイグチ)と油で焼いた小森ナス。出しは塩皮鯨、鰹粉、炒り粉、本味醂、醤油で作って冷やしておきます。薬味は父手作りの七味唐辛子。伊賀筑後オレゴンはネットで買える様なので、うどん好きのかたはぜひお試しください。
信州の郷土料理のひとつ「夏野菜のくじら汁」。夏野菜は、信州伝統野菜の小森ナス、ボタンコショウに、カボチャ、モロッコインゲン。煮汁は、上のうどんつゆと同じです。塩皮鯨は、しっかり塩漬けの固いものと、ブロックの柔らかいものを使っています。おそらくゴンドウクジラとミンククジラだと思います。左上のキュウリは、ポン酢醤油と白出汁に、業務スーパーの人気商品・姜葱醤(ジャンツォンジャン)で漬けたもの。これやみつきになります。
敗戦後の食糧難の時代、日本人を栄養面から救ったのが鯨でした。1年間に世界中でクジラが食べるエサの量は、3~5億トンだそうです。鯨保護がなされると同時に鯨食害論もあり、世界の海に散らばる鯨の生態調査は非常に難しいものの様です。興味のある方は、Wikipediaのクジラで検索を。
昔、私がいた編集プロダクションで、C.W.ニコルさんにインタビューしたことがあり、著書の「勇魚」にサインしていただきました。近代日本の黎明と西洋との出会いを紀州太地の鯨刺しの青年の夢と野望を軸に描いた、波瀾万丈、近来まれに見る青春冒険小説傑作!という宣伝文句でした。非常にいい小説です。
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◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
開けた場所でヤマトシジミが吸蜜中。花は蕾が立っているのでヒメジョオン(姫女苑)です。牧野富太郎博士が命名したハルジオン(春紫苑)は、寝ているし葉の根元が茎を巻いています。どちらも侵略的外来種ワースト100です。陣場平では見つけたら全部抜き取ります。
コバギボウシ(小葉擬宝珠)。リュウゼツラン亜科ギボウシ属の多年草。一日でしおれる一日花なので、ちょうどいいところに出会えました。擬宝珠の名前の由来となった蕾も見られました。
陣場平へ。もの凄い数のクロメマトイ(ヒゲブトコバエ)に取り憑かれました。長いタオルを振り回しながら歩きます。油断すると目に飛び込んできます。涙に含まれるタンパク質を狙っているのです。クロメマトイにはオニヤンマくんは役立ちません。ハッカオイルを塗って行ったのですが、効果ありませんでした(涙)。メマトイはマダラメマトイやカッパメマトイなど10種類ぐらいいるそうです。
貝母(ばいも・編笠百合)はすべて種が飛んでいました。来年の発芽が楽しみです。
セリバオウレンは葉がツヤツヤしています。株が大きくなってくれるといいのですが。
ご天上の樹液バーへ。樹液はいつになくたっぷりと出ているのですが昆虫がいません。一種類の昆虫が激減は経年変化であるのですが、この様にすべての昆虫がいないというのは、極めて異常です。5月には咲くはずのウツギ、エゴノキ、ネジキの花が咲きませんでした。気象的なこともあるのかも。ただ3、4年前から明らかに昆虫が減っています。何が起きているのか非常に心配です。今年は3キロ離れた茶臼山の昆虫も減っています。
2020年7月下旬の同じクヌギです。オオムラサキのメス、カブトムシのオス、アオカナブンがいます。
2013年7月下旬の同じクヌギです。オオムラサキのメス2頭が吸蜜中、そこへオス2頭が忍び寄っています。オオスズメバチとカブトムシとアオカナブン。他のクヌギではオオムラサキのオスのグループが。他にはカナブン、ミヤマカミキリ、クジャクチョウ、スミナガシ、ヒメスズメバチ、コガタスズメバチ、チャイロスズメバチなどにハエの仲間もたくさんいました。
2014年の千曲市による松枯れ病のネオニコチノイド系農薬の空中散布で千曲市側の昆虫は絶滅しました。中止になってから2年ぐらいで長野市側から昆虫が移り始め復活したかに見えたのですが、2020年頃から激減し始めました。理由は不明です。
●2014年7月の記事:樹液バーとネオニコの記事が何本もあります。
ヌルデ(白膠木)の蕾。ウルシほどではありませんが、かぶれる人もいます。別名は、フシノキ。生薬名は、塩麩子(えんふし)/塩麩葉(えんふよう)/五倍子(ごばいし)。小葉と小葉の間に翼(つばさ)があるのが特徴。 ヌルデにできる虫こぶ(ゴール)のことを五倍子といいます。これは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシが寄生し、枝の翼に卵を産み付け、それが耳状にふくれたものです。
五倍子は、タンニンの含有量が多く、染め物では空五倍子色(うつふしいろ)とよばれる伝統色として用いられます。古くはお歯黒などにも使われました。
「足柄の 吾を可鶏山(かけやま)の かづの木の 吾をかつさねも かづさかずとも」(詠人知らず) 万葉集(巻14)東歌 *カヅノキ(可頭乃木)=ヌルデ
(足柄の地の私を思うという名の山のカジノキのように私をかどわかして欲しい)
ヨウシュヤマゴボウ(マルミノヤマゴボウ)。有毒です。繁殖力がもの凄く、妻女山では林道脇に繁茂し、在来植物を淘汰しています。オオブタクサ、セイタカアワダチソウと共に駆除すべき植物です。
タケニグサ(竹似草)。毒草です。茎が中空で折ると黄色い汁が出てきます。これが有毒なのですが、皮膚病、たむし、みずむしなどの薬で、患部に直接塗るのだそうです。以前除草の際に触れてかぶれたことがあるので要注意。江戸時代にはハエ殺しの薬として便槽に入れたとか。
振り払っても叩いてもまとわりつくクロメマトイに辟易。昆虫もいないので帰ることにしました。松代方面の眺め。積乱雲は発達していません。今日も雷雨は無いでしょう。
西の眺め。北アルプスは雲の中。右に茶臼山。その右奥に虫倉山。いずれも拙書で紹介しています。リニューアルした茶臼山動物園は大人気の様です。帰りに桃の集荷場の横を通りましたが、買いに来た車で満車でした。川中島白桃は最盛期です。
妻女山松代招魂社へ。県外ナンバーの車が3台ほど訪れていました。以前なら今頃はたくさんのオオムラサキが神社の切妻の壁に止まって休んでいたものです。今年はオスメス一頭ずつしか見ていません。
土用の丑の日ということで、バンドエイドのガーゼの部分ぐらいの小さなうなぎが入った巻き寿司を買いましたが、うがつくものということで夕食は手打ちうどんを。友人が作った幻の小麦の伊賀筑後オレゴンで。麺は白ではなく薄いローズグレー。味は濃厚かつ芳醇。一般的なうどんとは比べられないほど。つけ汁の具は、この時期ならチチタケなんですが雨が降らないもので、今回は昨秋に採ったジコ坊(ハナイグチ)と油で焼いた小森ナス。出しは塩皮鯨、鰹粉、炒り粉、本味醂、醤油で作って冷やしておきます。薬味は父手作りの七味唐辛子。伊賀筑後オレゴンはネットで買える様なので、うどん好きのかたはぜひお試しください。
信州の郷土料理のひとつ「夏野菜のくじら汁」。夏野菜は、信州伝統野菜の小森ナス、ボタンコショウに、カボチャ、モロッコインゲン。煮汁は、上のうどんつゆと同じです。塩皮鯨は、しっかり塩漬けの固いものと、ブロックの柔らかいものを使っています。おそらくゴンドウクジラとミンククジラだと思います。左上のキュウリは、ポン酢醤油と白出汁に、業務スーパーの人気商品・姜葱醤(ジャンツォンジャン)で漬けたもの。これやみつきになります。
敗戦後の食糧難の時代、日本人を栄養面から救ったのが鯨でした。1年間に世界中でクジラが食べるエサの量は、3~5億トンだそうです。鯨保護がなされると同時に鯨食害論もあり、世界の海に散らばる鯨の生態調査は非常に難しいものの様です。興味のある方は、Wikipediaのクジラで検索を。
昔、私がいた編集プロダクションで、C.W.ニコルさんにインタビューしたことがあり、著書の「勇魚」にサインしていただきました。近代日本の黎明と西洋との出会いを紀州太地の鯨刺しの青年の夢と野望を軸に描いた、波瀾万丈、近来まれに見る青春冒険小説傑作!という宣伝文句でした。非常にいい小説です。
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