モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ヤマトシジミの三角関係の修羅場に遭遇した真夏日の妻女山山系。オオムラサキのオスを初見も…(妻女山里山通信)

2023-06-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 9日ぶりの梅雨の晴れ間。前夜にかなりの降雨があったので林道は泥濘状態でズルズル滑りながら登りました。オオミドリシジミは数頭舞っていましたが、雨上がりで湿度が高いので地面近くには下りてきません。日当たりの良い場所に行けばゼフィルスが見られるだろうと向かいました。

 カタバミで吸蜜していたのは、最初メスかなと思いましたが、どうも縄張り争いで鱗粉が剥がれたオスだろうと。このオスが飛び立ってたどり着いたのは。

 メスを見つけました。交尾器のバルバを出してメスに交尾を誘います。

 迫るのですが、そう簡単には応じてもらえません。シェークスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を思います。成就するでしょうか。

 諦めずに求愛を続けます。

 めでたく受け入れてもらえました。

 どちらが主導するのか分かりませんが、位置を微妙に変えていきます。

 マクロレンズで近接撮影をしているので、かなり接近します。驚かさない様に息を止めてゆっくりと移動します。

 一番いい体勢を探している様です。

 最もしっくりする体位に落ち着いた様です。ところが。

 近くに鱗粉がまだきれいなオスが止まりました。嵐の予感。

 交尾中の二頭に激しく羽ばたいて迫ります。おらっちの方が若いしいい子種を持っているだに。

 しかし、交尾中のオスのバルバはメスをガッチリと捕まえているので、若造が体当りしたくらいでは外れません。三角関係の修羅場になるかと思いきや。二人の愛は固く確かなものでした。

 ひとり寂しく黄昏れるオス。いやいや美しいメスは彼女だけではない。君にピッタリのメスは必ずいる。かもしれない。諦めるべからず。幸運を祈る。

 というわけでセッセと交尾に励むカップルでした。昆虫を擬人化するというのは生物学的にはやってはいけないことなんですが、やりたくなりますね。以前、オオムラサキの三角関係でメスがすがりつくのをオスが気に入ったメスと交尾直前で足蹴にするのを目撃しブログにアップしました。ルリボシカミキリの三角関係もアップしています。人に限らず動物の愛の成就は難しいものなのです。動画も撮影しているので、インスタグラムやYouTubeにアップします。

 撮影を終えて陣場平へ。気温は20度ですが湿度はものすごく高いです。ガビチョウやサンコウチョウの鳴き声がします。川中島の戦いで上杉謙信が本陣としたと伝わる場所。兵どもが夢の跡。

 貝母(ばいも・編笠百合)の実は枯れていますが、まだ緑のものも。見が弾けて種が飛ぶのは梅雨明け以降になります。

 貝母の群生地入り口から林道方面。梅雨明けしたら妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバーを集めて、除草や帰化植物の除去、倒木の処理や除伐の作業をします。

 下山して松代方面の眺め。もう夏の風景です。撮影はできませんでしたが、オオムラサキをのオスを初見しました。ここ2年ほど数が減少しているので、大量に発生してくれることを期待しています。昆虫の増減には経年変化や気象条件、農薬や排気ガスなど色々な原因があるのですが、ネオニコチノイド系農薬の空中散布は中止されましたし、どういう原因理由があるのかは非常に難しい問題です。とにかく定点観測が重要なのです。

■ヤマトシジミの三角関係の修羅場に遭遇した真夏日の妻女山山系


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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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続 梅雨の森の宝石オオミドリシジミ。構造色の鱗粉がはがれ始めた。コシアキトンボ。樹下に咲くイチヤクソウ。オカトラノオとシモツケ(妻女山里山通信)

2023-06-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 3日ぶりの梅雨の晴れ間。オオミドリシジミの撮影にでかけました。快晴とはいかず小さな雲が通り過ぎますが、風がないのが幸いしました。雨天はもちろん曇天や強風の日はオオミドリシジミの専有行動の飛翔はほとんど見られません。

 広葉樹林の藪の高いところで数頭が舞っていましたが、一頭だけ下りてきてくれました。ヒカゲイノコヅチの葉の上で休憩中。

 たった3日ですが構造色の鱗粉があちこちで剥がれています。専有行動の飛翔はかなり激しいもので、2匹、3匹がクルクルと回る途中で翅がぶつかるのでしょう。ひとつ前の記事の写真と比べると一目瞭然です。というか翅をぶつけ合って回っているのでしょう。鹿のオス同士の角突きみたいなものかも。

 この日は葉に止まるとすぐに翅を開きます。湿った翅を少しでも早く乾かしたいのでしょうか。

 メスはオスの後翅の様な茶褐色です。オオムラサキは、メスのほうが1週間か10日ほど遅く羽化するのです。そして産卵して生涯を終えます。オオミドリシジミもそうなのでしょうか。

 オニグルミの葉の天蓋。オオミドリシジミはこの樹冠の上には行きません。

 いきなりシナノガキ(信濃柿・豆柿)の葉に止まりました。少し後ピンになりました。すぐに飛び去ったのでこのワンカットだけ。あっという間に終了の10時半になりました。彼らの体内時計は、SEIKO並みに正確です。

 苔むした山桜の幹にニホンカナヘビが日向ぼっこ。人の気配に非常に敏感ですぐに逃げるのですが、この時は日向ぼっこの心地よさに酔いしれていました。

 湿った樹下に咲くイチヤクソウ。木漏れ日のスポットライトを浴びていました。

 イチヤクソウ(一薬草)。別名は 鹿蹄草(ろくていそう)といい生薬。 薬効は急性腎炎、膀胱炎、妊娠時のむくみなど。妻女山山系では貴重な花です。周囲には5株ありました。

 休憩に陣場平へ。ヒメウラナミジャノメがピョンピョンはねて舞っています。コゲラのドラミングとサンコウチョウの囀り。貝母はまだ弾けた実はありません。

 別の林道へ。これはめずらしい。コシアキトンボの未成熟のオスです。見かけたことはあっても撮影したのは初めてかも知れません。

 林道の小さな木漏れ日の中で日向ぼっこするコミスジ。こちらもずいぶんと翅が傷んでいます。

 オカトラノオ(丘虎乃尾)サクラソウ科オカトラノオ属。花は穂の下の方から咲いていきます。群生地では、花穂(かすい)の波うつ様子がまるで波の文様の青海波(せいがいは)のように見えます。

 シモツケ(下野)バラ科シモツケ属。別名は、キシモツケ(木下野)。シモツケの葉は、卵形や披針形ですが、シモツケソウの葉は掌状に5~7に深裂します。シモツケソウは、バラ科シモツケソウ属。どちらも葉の縁に鋸歯があります。

 標高の低いところのクマノミズキの花が咲き始めました。昆虫たちがたくさん吸蜜に訪れます。

 妻女山展望台から東の松代方面の眺め。陣場平は涼しかったのですが、麓の最高気温は29度になりました。ただ湿度が低いので不快ではありません。

 北東の眺め。信越トレイルの手前は豪雪地帯の飯山。山脈の向こう側は新潟県です。典厩寺は、武田信玄の弟、信繁が八幡原で討死したことに因み、合戦から60年後、元和八年(1622)、松代藩主真田信之が信繁の官職「左馬助」の唐名「典厩(てんきゅう)」から寺号を典厩寺と改めて菩提を弔ったものです。閻魔堂には東洋一大きいといわれる閻魔大王像があります。またここの川中島合戦記念館は必見です。信繁の着用した鎧の下着や刀などが展示されています。
武田典厩信繁の墓と全国随一の大きさの閻魔大王像がある典厩寺探訪(妻女山里山通信)

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梅雨の森の宝石オオミドリシジミ。ウラゴマダラシジミ、ミズイロオナガシジミ。枯れ始めた貝母の実。熟れた実が匂うあんずの里(妻女山里山通信)

2023-06-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 待望の梅雨の晴れ間。きちんと晴れたのは2週間ぶりです。そろそろオオミドリシジミが出現する頃と登りました。かなりの雨が降ったので林道はひどい泥濘状態。何度も滑りながらやっと登りました。午前9時の気温は18度。地面や下草は湿っていますが、早朝から快晴で日が照ったので湿度は思ったよりも高くありません。期待だけが膨らみます。

 いましたオオミドリシジミ。雨上がりに羽化したばかりなのでしょうか。翅も傷んでいなくて綺麗です。まず後方から気配を殺してゆっくりと近づきます。マクロレンズのラバーフードの先からチョウまでは10センチほどまで近づきます。
 オオミドリシジミ(大緑小灰蝶:Favonius orientalis)は、チョウ目シジミチョウ科ミドリシジミ亜科に属するチョウ。オスの翅は、青緑に輝き非常に美しい蝶です。メスの翅は灰褐色。幼虫の食樹はブナ科のコナラ・クヌギ・ナラガシワ・カシワ・ミズナラなど。

 発生しているのはまだ数頭。数日で大群が出るのではと期待しています。オスが高速で追いかけごっこをしたり円を描いてクルクル回ったりしています。いわゆるテリトリーの占有行動で、縄張り争い。疲れると日当たりの良い葉の上に止まります。これはヒカゲイノコヅチの葉に止まったもの。美しい翅の表の色は鱗粉の色ではなく、オオムラサキと同様に構造色です。
「モルフォチョウ構造色の基本原理:規則性と不規則性の共存」東京理科大学 理工学部 物理学科 吉岡研究室:構造色の研究論文。非常に難解です。「構造色(こうぞうしょく、英語: structural color)は、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による、分光に由来する発色現象を指す。」Wikipedia。それ自体は色を持たないか別の色です。コンパクトディスクやシャボン玉、孔雀の羽、アワビの貝殻など。構造色の印刷やディスプレイも。
構造色とは:その物質自体には色がないのに,光の波長程度の微細構造によって発色する現象を構造色といいます.本講座では,発色原理が異なる様々な構造色を取り上げて,その発色原理を説明し,発色例を紹介します. テクノ・シナジー

 ミドリシジミとつくものは他に、ミドリシジミ、メスアカミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、フジミドリシジミ、ミヤマカラスシジミ、ハヤシミドリシジミ、アイノミドリシジミなどがいますが、このエリアでは最後の二種も見られます。

 水曜日ぐらいまで晴れの日が続く予報なので、たくさんのオオミドリシジミが羽化してくれるといいのですが。

 やっと翅を広げ始めてくれました。

 構造色なので見る角度により色味が少し変わります。それもまた美しい。まるでエメラルドかアクアマリンの様。森の宝石です。テリトリーの占有行動は、晴れの日の朝から始まり午前10時半頃に終了します。雨や曇の日には行いません。太陽が大好きなゼフィルスです。

 シジミチョウの多くは、この時期に羽化して産卵するため、農薬散布をすると簡単に絶滅してしまうのです。同時期に林道脇などの除草もされますが、食草であるイボタノキやクヌギやヤマザクラ、カシワの幼木や若木が切られると、大量の卵が死んでしまいます。

 ウラゴマダラシジミ。シジミチョウ科 シジミチョウ亜科のシジミチョウで、幼虫の食草はイボタノキで、成虫もイボタノキやクリで吸蜜するので、その近くで見られることが多い蝶です。イボタノキの花が散ってしまったので今は栗の木の花で吸蜜していると思われます。

 ミズイロオナガシジミがいました。マクロレンズなのでかなり接近しますが、近づくとにじにじと回転してお尻を向けるのです。かといって飛び去るわけでもありません。理由はよく分かりません。恥ずかしがり屋なのかも。

 撮影に疲れたので陣場平へ。かなりの豪雨があったにもかかわらず、貝母はけっこう立っています。冷たいたんぽぽコーヒーを飲みながら一休み。サンコウチョウが鳴いています。エゾハルゼミやハルゼミは少なくなりました。

 貝母(ばいも:アミガサユリ)の実もずいぶんと枯れてきました。さく果なので、晴れの日が続くと弾けて種を飛ばします。

 キボシアシナガバチ(スズメバチ科)です。巣の出入り口の部分が黄色いので分かります。山歩きにはポイズンリムーバー(毒抜き用具)の持参を。刺されたときのために、抗ヒスタミン軟膏を。毒を絞り出してからぬります。前脚で顔を拭ったり、胴を曲げて何かをしています。

 昼近くに下山しましたが、森の中は過ごしやすい気温です。山菜を採りに来た夫婦に二組ほど出会いました。妻女山展望台からの北アルプス白馬三山の眺め。右奥に虫倉山。手前に茶臼山。

 左に戸隠連峰。三角の戸隠富士と呼ばれる高妻山。右に飯縄山。眼下の長芋畑は種芋の植え付けが終了しています。緑に見えるのは耕作放棄地です。この10年でずいぶん増えました。自公政権は食料安保には全く関心が無いようです。兵器があっても食料が無ければ国民は飢え死にます。

 汗をかいたので温泉に入ってからあんずの里へ。あんずの出荷が始まりました。直売所やJAスーパーの産直売り場、ネットでも買えます。近隣の和菓子屋や洋菓子屋では杏を使ったスイーツが並んでいます。

 これは生食用のハーコットでしょうか。まだ完熟していませんね。4-5センチもある大きな実です。7月に入ると熟れて落ちた実があちこちに。集落はあんずの甘酸っぱい匂いで満たされます。

「淡竹と自家製ベーコンのピラフ」淡竹もそろそろお終いです。鯖の水煮缶詰の味噌汁、和風と中華の炊き込みご飯、淡竹のおやきを作りましたが、最後はピラフです。材料は茹でた淡竹、自家製ベーコン、鶏胸肉。新玉葱。コンソメ顆粒、白トリュフの白出汁醤油、マジックソルト、白ワイン、バターで炊き込みます。すごく簡単ですが、これも絶品でした。淡竹と自家製ベーコンの風味が最高のマリアージュ。

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中国正史の書を読む梅雨空の好日。『中国正史 倭人・倭国伝全釈』『中国正史の倭国九州説 扶桑国は関西にあった』『西暦535年の大噴火』(妻女山里山通信)

2023-06-13 | 歴史・地理・雑学
 梅雨空で撮影に行かれない日々が続いています。普段できない部屋の掃除やデータの整理整頓、少し手の込んだ料理をしたりしていますが、積読でなかなか読めない本やもう一度読みたい本を少しずつ読むようにしています。古代科野のクニは、ハイキングのガイドの時にも話しますが、出雲や倭国大乱などに触れると、やはり中国の古代史に触れざるを得ません。そんなわけで中国正史の本を二冊。さらに世界史の本を一冊読んでいます。とはいえ中国は広いし歴史は複雑でとても全部は覚えきれません。ただざっくりと紀元前1000年の西周から春秋戦国時代の呉越、秦の始皇帝、前漢、後漢、魏呉蜀、色々あって随、618年の唐までを覚えておけばなんとかなります。あとは300年以降の朝鮮半島の高句麗、百済、新羅、任那も。さらに世界史対照象年表をディスプレイに出しておくといいですね。

■『中国正史 倭人・倭国伝全釈』鳥越憲三郎
 最近吉野ヶ里遺跡から大きな石棺が発見され、卑弥呼のものではないかと話題になっています。これは倭人とはなにかということに新しい解釈を持ち込んだ書。『魏志倭人伝』にあるように、倭人とは当時の日本人のことですが、『晋書』には「自ら太伯の後(すえ)なり」とあります。太伯とは呉の始祖といわれる人物。つまり、日本からの使者は我々は呉の国の末裔であると言っているわけです。そして、各史書に書かれた倭人や倭国について記しています。越に滅ぼされた呉のエリートたちが日本に渡ってきた。そして後に滅びた越の人々も日本にやってきた。その後の秦の始皇帝の時代には、徐福の集団が大挙してやってきたというわけです。しかし、弥生時代の痕跡は1000年前からあるわけで、呉の滅亡以前から大陸から弥生の文化をもたらした人々がやって来ていたということも分かってきました。更に後には唐に滅ぼされた高句麗の人々も馬産と石の文化を持って主に信州に渡ってきたわけです。各史書の分析は非常に緻密で解説も分かりやすい。おすすめの一冊です。
漢字の歴史:文字として使用できる漢字ができあがったのは紀元前1500年ごろのことといわれています。象形文字ですね。弥生時代に渡来した人々が使っていたのが神代文字と思われます。吉野ヶ里遺跡の文様の様なものも、それだろうと思われます。さらに知りたい方は「漢字」で検索を。
人口の超長期推移:縄文時代の人口のピークは26万人。末期に8万に減少。弥生時代になると60万人にまで増加。さらに古墳時代には400万人へ。奈良時代には600万人を超えます。自然増に加えて渡来人の大量移入、稲作の伝来などで爆発的に人口が増えたものと考えられます。

■『中国正史の倭国九州説 扶桑国は関西にあった』いき一郎
 扶桑国という実は史実から永らく失われた日本のあるクニを紹介した書。「中国正史に記録されながら、いまなお日本正史から黙殺されつづける謎の国と大和皇国史観の作為に迫る」と帯にはあります。さらに「扶桑国は決して謎の国ではなかった。この国は九州倭国の東にあり、むしろ。中国との交流を遮られていたというべきである。九州倭国は委奴国王の金印以来、唯一の列島における正当政権を名乗り、誇っていたはずであり、外国の国々の中国への渡航を妨害していたとも考えられる。関西扶桑国説は九州倭国説を補うとともに、”近畿天皇家”の定説に再考を迫るだろう。」とあります。これも中国の史書からの引用が多く、緻密。中国から見た日本の記述が主で、史記には徐福の東渡が、後漢書には5-6世紀の日本について、倭国、扶桑国、文身国、女国、大漢国があるとの記述があります。序文とあとがきを読んでから本文に入るといいかと思います。

■『西暦535年の大噴火』人類滅亡の危機をどう切り抜けたか デイヴィッド・キーズ
 火山の本ではなく歴史書です。空前絶後の大噴火が世界の気候をドラスティックに変え、その結果、文明や文化がどう影響を受けたか、歴史がどう変わったかを検証しています。目次から抜粋すると、ペストの猛威、東ローマ帝国の動揺、イスラムの剣、東洋の悲劇、アメリカ大陸の変貌、人類の未来・九つの「時限爆弾」など。大地震や大洪水など大規模な自然現象から人類は絶対に逃げることはできない。そして打ちのめされ戦い立ち上がり生き抜いてきた。その壮絶な歴史が分かります。そして、我々も現在その真っ只中にあるのだと思い知らされます。

 もちろんこれらの書にかいてあることが全て正しいとか真実であるとはいえませんが、日本の古代史を探求する上で中国はじめ海外の古代史を学ぶことは、実は長年タブーでした。日本史と世界史を分けて教えるという奇妙な教育もそれ。特に明治政府の天皇制を強固に確立するために弥生時代以前はまるで原始時代だったかの様に貶められた感があります。そのタブーが無くなりましたが、一部ではまだ記紀一辺倒の人々もいます。弥生時代といえば古代ローマ帝国とも重なります。その高度な文明がシルクロードを伝って伝播したと考えるのが普通です。人類は旧石器時代から世界を大きく動いていたわけで、日本の旧石器時代人はオーストラリアやニューギニア高地人の様な骨格をしていたといいます。縄文人はどこから来たのかなど。歴史観というものも新たな見方を求められているのだと考えます。
「全盛期の縄文土器」ー圧倒する褶曲文ー 長野県立歴史館:尽きない縄文の魅力(妻女山里山通信):2021年に行われた展示のレポート。非常に感動的で興味深い展示でした。空前の縄文ブームで来場者も大勢でした。写真をたくさん載せています。


『富嶽と徐福』藤原祐則筆(北斎)北斎館所蔵
 大和王権の祖ともいわれる徐福集団の渡来。徐福は江戸時代でも相当に知られていた様で、かの葛飾北斎も徐福の肉筆画を描いています。徐福は伝説上の人物とされてきましたが、1982年に中国江蘇省の徐阜村が古くから徐福村と呼ばれ、徐福に関する遺跡や伝承があることが分かり、実在の人物であることが証明されました。徐福については、『阿曇族と徐福 弥生時代を創りあげた人たち』亀山 勝著もおすすめです。ヤマト王権や天皇が尊崇した伊勢神宮の灯篭に六芒星(ダビデの星)があるのは有名ですが、そのヤマト王権は先に渡来し定着した出雲を恐れたといわれています。科野のクニの崇神天皇に初代科野國造に任命された神武天皇の後裔の武五百建命(たけいおたつのみこと)の妻は、妻女山麓の会津比売神社の祭神の会津比売命(あいづひめのみこと)ですが、曽祖父は大国主命で出雲系。古代科野のクニはヤマト系と出雲系が結婚してできたといえます。ヤマト王権が出雲を取り込もうとする政略結婚だったのでしょうか。武五百建命は、森将軍家古墳に埋葬されていると思わます。
中国の歴史:見応え読み応えのあるサイトです。
徐福:ウィキペディア:秦の始皇帝に不老不死の薬を探すと少年少女3000人と多くの百工(技術者)、武士とともに、五穀の種と繭を持って来訪。結局帰らず全国に散らばり、稲作、製鉄、養蚕を伝え、クニをつくり王となり弥生時代を拓きました。全国各地に徐福伝説が残っています。徐福の村は古代に失われた10のユダヤ部族のひとつの末裔ともいわれています。帰らなかった理由は、不老不死の薬が見つからなかったというものと、最初から秦の始皇帝を騙して帰るつもりはなかったというものがあります。程なく秦は滅び、徐福集団は完全に定着したと思われます。
扶桑国の歴史的地理的な位置づけ


 春秋戦国時代の呉と越。越の人物。髪は結わず散切りで体には入れ墨。入れ墨を除いては、まるで現代のその辺にいる青年の様です。造船技術の高さがうかがえる外洋も航海可能な船。ベトナムまで交易をしていたそうです。まず滅びた呉の人々が出雲族として、ついでやはり滅びた越の人々が渡来し、徐福集団が渡来して定着し弥生時代の基礎を作ったとされる。さらに後には唐と新羅に滅ぼされた高句麗の人々もたくさん渡来しました。信州には彼らがもたらした馬産の証の馬具と石の文化を象徴する積石塚古墳がたくさん残っています。旧石器時代から1万年続いた縄文時代へ。琉球人とアイヌ民族。そして渡来人の弥生時代へと。日本は単一民族どころか多種多様な民族の集合体といえるのではないでしょうか。日本人はハーフどころか複数の民族の混血児なのです。縄文人に加えて敗残者の集団がひとつになってバイタリティのある世界でも稀に見る特徴のある日本文化を生み出したのです。神話というのは、敗残者のトラウマを払拭するために作られたと私は考えています。


 古代史は専門書が多くとっつきにくいのですが、これは2019年宝島社のムックです。書店にはもう無いかもしれませんが、ネットの古書店では見つかるかも知れません。この手の本では比較的新しいのがいいですね。旧石器時代や縄文時代のページも多く写真が多いのも分かりやすい。入門書としてお勧めです。


「淡竹と新玉葱と牛豚合いびき肉のおやき」味付けは、手作り信州麹味噌、鰹出汁粉、貝出汁、牡蠣ソース、花椒辣醤、胡麻油。皮は、夢力と幻の小麦・伊賀筑後オレゴンにとろろ。両面に胡麻油で焼き目をつけてから20分蒸してできあがり。想像以上の旨さ。手が止まりません。おやきの原型は中国の餅(びん)です。餅は日本では米粉ですが、中国では小麦。古代からある食べ物です。小麦は紀元前7000年ぐらいからメソポタミアで栽培されていてシルクロードを通って広まった様ですが、紀元前400年頃の戦国時代の中国から石臼が発見されています。日本では縄文時代後期には稲作が始まっており、弥生時代中期には小麦の栽培も盛んになった様です。おやきは古代食といえるでしょう。
「馬柵越し 麦食む駒のはつはつに 新肌触れし 子ろし愛しも」万葉集 東歌 巻14-3537
(馬の柵越しに少しずつ麦を食べる小馬のような、ほんのわずかだけ肌に触れたあの娘のことが愛おしい)


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米子大瀑布への道が3年半ぶりに開通! 梅雨時、真夏、錦秋、初冬のトレッキングルポ。梅雨の滋味を喰らう(妻女山里山通信)

2023-06-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 2019年10月の台風19号で道路が崩壊し通行止めになっていた長野県須坂市の米子大瀑布(よなこだいばくふ)への道が3年半ぶりに開通しました。米子大瀑布は、根子岳、四阿山、浦倉山が形成する大カルデラの最北部の秘境にあります。権現滝(男滝:落差82m)と不動滝(女滝:落差89m)の二条の大瀑布が迎えてくれます。古くから不動信仰、山岳信仰の聖地として有名です。また、主に硫黄を産出する鉱山としても古くから知られていました。
 米子鉱山の起源は古く、江戸初期ともいわれています。日本三大不動尊の一つ米子不動尊(瀧澤山家原院如来寺→米子瀧山威徳院不動寺)は、奈良時代に行基により開山された古刹といわれています。また、奇妙滝のある奇妙山は仏教用語の「帰命」が転訛して奇妙となったもので、木食信仰遺跡があることからも、深山でありながら人の出入りはかなりあったと考えられます。8世紀の「続日本紀(しょくにほんぎ)」に、当時信濃国から朝廷へ石硫黄の献上があったことが記されているのですが、これは米子鉱山のことと推察されます。
 米子大瀑布へは、80年代に初めて訪れてから7、8回行っていますが、最近の3回のルポを紹介します。アンダーラインのある記事のタイトルをクリックしてください。観光地と勘違いして軽装で来る人がいますが、トレッキングシューズ、帽子、雨具、充分な飲み物、非常食が必須です。携帯は通じないと思ってください。早出早帰が基本。また、熊や猿などの生息地です。

信州最古の不動霊場・日本三大不動尊の米子不動尊からレンゲツツジ満開の米子大瀑布へ(妻女山里山通信):2019年6月の山行。梅雨の晴れ間の大瀑布。


日本のギアナ高地、米子大瀑布へ。薄雪を踏んで幻のソブ池へ(妻女山里山通信):2017年11月の山行。薄雪の大瀑布。


錦秋の米子大瀑布へ。瀑布の上にある幻のソブ池探索も。「続日本紀」に記述のある米子硫黄鉱山(妻女山里山通信):2015年10月の山行。錦秋の大瀑布。


【信州の山】四阿山カルデラ一周 Mt.Azumaya from The Yonako falls in Nagano
米子大瀑布-根子岳-四阿山-浦倉山-米子大瀑布【四阿山カルデラ周回コース】約23キロ10時間のロングコース。:2010年8月の山行。ハイビジョンです。ぜひフルスクリーンでご覧ください! 拙書でもこのコースは、写真と地図と文章で詳しく紹介しています。大瀑布から根子岳や浦倉山方面への登山道が登山可能かは未確認です。須坂市役所にお問い合わせください。


 前の記事の最後で紹介した淡竹(はちく)ですが、「砂肝と淡竹の中華炊き込みご飯」を作りました。材料は、砂肝、茹でた淡竹、長ネギ。調味料は、中華醤油、牡蠣油、中華出汁、味醂、鰹出汁、五香粉、胡椒。淡竹は信州新町道の駅やJAの産直コーナーで買えます。ボリュームあって安いのが魅力です。鯖の水煮缶詰との味噌汁が有名ですが、若竹煮、炊き込みご飯、天ぷらや肉詰めやエビや白身魚のすり身を詰めてフライも美味です。

「淡竹と新玉葱と牛豚合いびき肉のおやき」味付けは、手作り信州麹味噌、鰹出汁粉、牡蠣油、胡麻油。皮は、夢力と幻の小麦・伊賀筑後オレゴン。両面に胡麻油で焼き目をつけてから20分蒸してできあがり。ビジュアルは地味だけれど、餡も皮も想像以上の旨さ。手が止まらない。伊賀筑後オレゴンを食べたら小麦粉に対する考えが変わるかもしれません。

「浅間山とカブの煮物」新潟県十日町市の名産車麩の両端のはじ麩と甘いカブを鰹出汁、貝出汁、手作り塩麹、干し椎茸、昆布、薄口醤油、本味醂で煮ました。噴火口には卵。締めには汁でお茶漬けに。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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イボタノキで吸蜜するウラゴマダラシジミ。ゼフィルスの季節到来。ウスバシロチョウやヒメウラナミジャノメも(妻女山里山通信)

2023-06-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ウスバシロチョウが例年より早く出現したのでウラゴマダラシジミも早いだろうと妻女山山系へ。ウラゴマダラシジミは幼虫の食草がイボタノキなので、その群生地へ向かいました。いよいよゼフィルスの季節到来です。そういえば家を出ようとしたら、ガラス戸の縁にクジャクチョウが止まっていました。

 ほぼ満開のイボタノキの花で吸蜜する一頭のウラゴマダラシジミを発見。せわしなく吸蜜する様子を連写しました。昨年より5日、例年より10日ほど早い出現です。

 順番に花から花へと吸蜜して行きます。

 ウラゴマダラシジミ(裏胡麻斑小灰蝶)は、シジミチョウ科ミドリシジミ亜科。やや大型のシジミチョウで、翅の裏の縁に沿って二列の黒胡麻状の紋があり、それが名前の由来です。

 下側の花へ移動中。こういう時でもないと丸めた口吻はなかなか見られません。

 一番下の花を吸蜜。この後、二頭のウラゴマダラシジミがやってきました。

 ウスバシロチョウもやってきました。他にはたくさんのセイヨウミツバチやハナアブたちも。隣のクヌギの花穂にはチャイロスズメバチも。

 陣場平へ移動して見つけたのはヤマトシリアゲ。2億5000万年前のベルム期から生息していた古い起源の昆虫。青虫や毛虫を捕まえて体液を吸います。

 小さすぎて肉眼では確認できなかったのですが、拡大してもこれがなんの死骸か分かりません。セミのような長い口吻が見えます。頭部が手前に折れています。長い口吻と2本の触覚が特徴。黒白のまだら模様。グーグルレンズで調べると、カメムシ、ツノゼミ、ゾウムシが出てきました。まだ決定的な種が見つかりません。未同定。どうやらナガゴマフカミキリの様です。以前撮影したものと比べてみると間違いないと思います。

 おそらくイオウイロハシリグモの死骸。何に襲われたのでしょう。

 ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。食草はイネ科のススキ、チヂミザサなど。

 ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)。イチゴはそれ自体は偽果で痩果(そうか)。本当の果実は表面の粒々。無毒ですが無味無臭。中国では、ジャモ(蛇苺)といい全草を熱、咳、のど、痔の薬。抗がん活性作用もあるらしい。

 川中島の戦いで上杉謙信の本陣と伝わる陣場平。貝母は先週末の大雨でずいぶん倒れましたが、まだ立っているものも。サンコウチョウ、ウグイス、シジュウカラ、ホトトギス、ガビチョウなどの鳴き声がします。

 中央にあるクマノミズキの実。球形になり、秋には紺色から黒へ。多くの鳥や昆虫の餌になります。

 貝母(ばいも)の葉や茎は枯れても実はまだ緑です。梅雨明け頃には実も枯れて割れて種が弾き飛びます。

 イボタノキで吸蜜するヒメウラナミジャノメ。

 イボタノキに頭を突っ込んでいるのは、クロハナムグリ。初めて撮影しました。いやそんなことはないですね。ただかなり久しぶり。

 ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)の赤い実があちこちで見られます。渋みはなく甘い実です。

 スイカズラ(吸葛)。冬を耐え忍ぶことから忍冬(にんどう)とも。白い花が黄色に変わることから金銀花ともいいます。花をたくさん摘んで作る忍冬酒には、利尿作用があり、膀胱炎、腎臓病、各種の皮膚病、強壮に効くそうです。

 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)キキョウ科ホタルブクロ属。昔、ホタルを入れて遊んだからの名前だそうですが、本当かなと思っていたら、生前父が子供の頃そうやって遊んだと聞いて、へえ!って納得しました。

 妻女山展望台裏の四阿から望む右に茶臼山。その右奥に虫倉山。北アルプスの白馬三山は霞んでいます。今週末には梅雨入りするでしょうか。

 信州の筍というと根曲がり竹が有名ですが、産地は飯山、高山、信濃町や戸隠と山間部です。長野市や千曲市の里山や麓では淡竹が採れます。根曲がり竹より太く、アク抜きが不要なので大人気です。信州新町道の駅やJAスーパーの産直売り場で買えます。ボリュームあって安いのが魅力です。やはり鯖の水煮缶詰との味噌汁が有名ですが、若竹煮、炊き込みご飯、天ぷらや肉詰めやエビや白身魚のすり身を詰めてフライも美味です。ひとつ前の記事にこの時期の山菜料理を6品載せています。ご覧ください。

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