この夏、妻女山山系に発生した蝶達のスライドショーをYoutubeにアップしました。妻女山から斎場山、薬師山、天城山、鞍骨山までですから、2キロ四方位。それなりにかなり広い面積になります。尾根が四方に張り出しているため、東西南北の全ての方向に向いた尾根や谷があり、植生に変化があるのが特徴です。
特別な希少種がいるわけではありませんが、それなりに多様な蝶たちが、季節の移ろいとともにあちこちで飛び交っています。
まず最初は、6月から8月にかけて現れる国蝶のオオムラサキ。今年は梅雨明けが遅かったためか、樹液の出がよく、あちこちで樹液が出たため虫達が分散してしまい、昨年の様に樹液バーが大混雑で、樹液争奪戦の激しいバトルが起きるということもありませんでした。樹液バーは、どこも閑散としていて訪れた虫達はゆっくりと樹液を吸っていました。その分撮影は大変でした。
6月末、まだ樹液がそれほど出ていない時には、森のギャップで落ちた山桑の実が潰れて発酵し始めたのをオオムラサキが吸っていました。また、その桑の実を大量に食べた猪の糞にもオオムラサキは集まっていました。真新しい獣糞は、オオムラサキの大好物でもあるのです。古くて乾いた糞は吸えないので、新しいジューシーな糞に集まるのです。臭いのを我慢して撮影しました。
真夏の果実と獣糞と、樹液バーに集まるオオムラサキ。6月の奇麗な個体から、翅がボロボロになり口吻が切れた個体が出て来る8月まで。襲われた個体も登場します。普通マニアは、奇麗な個体しか撮影しません。図鑑写真ならそれでもいいのですが、生態を写すのであれば、そういう姿も行きている彼らの証し。しっかり撮影する必要があります。そして、ボロボロになった翅で求愛。里山で息づく小さな生命のひと夏の物語です。
Omurasaki butterflies in Japan 2012【オオムラサキ】
二作目は、初夏から10月まで飛び交うその他の蝶達。今年はウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)が、3年ぶりに大発生しました。氷河期の生き残りともいわれる半透明の翅が美しい蝶です。特に逆光での撮影が映える被写体。草高30センチに満たないヤエムグラの下にカメラを潜り込ませて撮影。そして、里山の小さな妖精ゼフィルス。樹上性のシジミチョウの一群で、日本には25種が生息しています。ほとんど3センチ以下の小さな蝶ですが、翅がメタリックカラーのものも多く、魅力的な蝶です。
他には、海を渡って旅をするアサギマダラや、同じくタテハチョウ科のヒオドシチョウ、ルリタテハなど。地味ですが、ジャノメチョウやセセリも魅力的です。蝶には、それぞれ独自の食草、食樹があり、それらが絶えると蝶もいなくなります。里整備や林道の除草の際には、それらに対する配慮が必要なのですが、実際は全く考慮されずに行われているのが実情です。
Butterflies in Saijo Mountains 2012【妻女山山系の蝶】
現在、私は仲間達と「妻女山 里山デザイン・プロジェクト」という名称で、オオムラサキを中心とした里山保全の活動をしています。オオムラサキの保護だけが目的ではありません。オオムラサキはきっかけで、里山の生態系全体の保全が目的です。帰化植物も増えています。里山は、昔から人の手が入ることで成り立ってきたので、放置されるとすぐに荒れ放題になってしまうのです。
では、放置して自然に還るのを待てばいいではないかと思われるでしょうけど、原生林に戻るには400~500年が必要ともいわれています。第一、原生林と接して人々が暮らすのは、色々な問題が発生し困難です。原生林と人里の間には、緩衝地帯が必要です。それが里山なのです。
特別な希少種がいるわけではありませんが、それなりに多様な蝶たちが、季節の移ろいとともにあちこちで飛び交っています。
まず最初は、6月から8月にかけて現れる国蝶のオオムラサキ。今年は梅雨明けが遅かったためか、樹液の出がよく、あちこちで樹液が出たため虫達が分散してしまい、昨年の様に樹液バーが大混雑で、樹液争奪戦の激しいバトルが起きるということもありませんでした。樹液バーは、どこも閑散としていて訪れた虫達はゆっくりと樹液を吸っていました。その分撮影は大変でした。
6月末、まだ樹液がそれほど出ていない時には、森のギャップで落ちた山桑の実が潰れて発酵し始めたのをオオムラサキが吸っていました。また、その桑の実を大量に食べた猪の糞にもオオムラサキは集まっていました。真新しい獣糞は、オオムラサキの大好物でもあるのです。古くて乾いた糞は吸えないので、新しいジューシーな糞に集まるのです。臭いのを我慢して撮影しました。
真夏の果実と獣糞と、樹液バーに集まるオオムラサキ。6月の奇麗な個体から、翅がボロボロになり口吻が切れた個体が出て来る8月まで。襲われた個体も登場します。普通マニアは、奇麗な個体しか撮影しません。図鑑写真ならそれでもいいのですが、生態を写すのであれば、そういう姿も行きている彼らの証し。しっかり撮影する必要があります。そして、ボロボロになった翅で求愛。里山で息づく小さな生命のひと夏の物語です。
Omurasaki butterflies in Japan 2012【オオムラサキ】
二作目は、初夏から10月まで飛び交うその他の蝶達。今年はウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)が、3年ぶりに大発生しました。氷河期の生き残りともいわれる半透明の翅が美しい蝶です。特に逆光での撮影が映える被写体。草高30センチに満たないヤエムグラの下にカメラを潜り込ませて撮影。そして、里山の小さな妖精ゼフィルス。樹上性のシジミチョウの一群で、日本には25種が生息しています。ほとんど3センチ以下の小さな蝶ですが、翅がメタリックカラーのものも多く、魅力的な蝶です。
他には、海を渡って旅をするアサギマダラや、同じくタテハチョウ科のヒオドシチョウ、ルリタテハなど。地味ですが、ジャノメチョウやセセリも魅力的です。蝶には、それぞれ独自の食草、食樹があり、それらが絶えると蝶もいなくなります。里整備や林道の除草の際には、それらに対する配慮が必要なのですが、実際は全く考慮されずに行われているのが実情です。
Butterflies in Saijo Mountains 2012【妻女山山系の蝶】
現在、私は仲間達と「妻女山 里山デザイン・プロジェクト」という名称で、オオムラサキを中心とした里山保全の活動をしています。オオムラサキの保護だけが目的ではありません。オオムラサキはきっかけで、里山の生態系全体の保全が目的です。帰化植物も増えています。里山は、昔から人の手が入ることで成り立ってきたので、放置されるとすぐに荒れ放題になってしまうのです。
では、放置して自然に還るのを待てばいいではないかと思われるでしょうけど、原生林に戻るには400~500年が必要ともいわれています。第一、原生林と接して人々が暮らすのは、色々な問題が発生し困難です。原生林と人里の間には、緩衝地帯が必要です。それが里山なのです。
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