モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

萬巒猪脚(ワンロワンズウジャオ)男の料理 MORI MORI RECIPE

2007-04-24 | 男の料理・グルメ
アメ横で買ってきた豚足3本と豚皮2枚を日曜日から煮込んでいます。本来は、「豚足煮込み(紅焼猪脚)ホンシャオツウチャオ」といって、しょう油や紹興酒を塗ったものを油で揚げるなり焼くなりして煮込むのですが、これは油が2mもはねて非情に、いや非常に危険を伴う調理法です。台所も油だらけになりますしね。まあ、上のレシピでは、私が開発したフタ付きの深鍋でやる方法を紹介していますが、激しく油が跳ねることには変わりありません。

そこで今回は、台湾南部の高雄にある豚足(猪脚)で有名な田舎町の屋台で行われている調理法で作りました。アメ横のものは、下処理がよくされているので、爪の間もきれいですし、血抜きも必要ありませんが、まず豚足をよく洗います。次に深鍋で、ネギ、ショウガ、ニンニクを入れて一度茹でこぼします。そして、しょう油、紹興酒、干しエビ、干し貝柱、ネギ、干し椎茸、プルーン(orナツメ)、八角、花椒(中国の山椒)、ゴマ油で煮込みます。それぞれの分量は、下のレシピを参考にしてください。

煮立てて魔法鍋に入れて4~5時間、その都度煮立ててアクや余分な油を取りながら同じことを繰り返します。夜は、魔法鍋に入れずそのまま冷まして、中に味をしみ込ませます。これを3~4日繰り返せば、本格的な庶民の中華料理のできあがり。トロトロの美味しい煮込み料理になります。台湾南部の郷土料理「萬巒猪脚(ワンロワンズウジャオ)」の完成です。

豚皮は、さらに豚もも肉と煮込んで魯肉飯(ルーローハン)に、煮卵も欲しいですね。つけ合わせは、高菜炒め。豚足は、ラーメンや丼の具に、肉まんや餃子に入れても美味。肉野菜炒めに入れたらひと味もふた味も違います。煮汁は、冷蔵すれば煮こごりになるので色々な料理に使えます。

アメ横や中華街では、豚足はだいたい1本100円〜で売られています。豚皮は、100g78円でした。ちなみに、いい豚足の選び方は、きれいに洗浄されていること。太く健康的な色つやであること。

 中国では紅焼猪脚ではなく、紅焼猪蹄と書くようですが、日本では紅焼猪脚が一般的。台湾でも紅焼猪脚と書くようです。日本では蹄(ひづめ)という文字に馴染みがないのと、ひづめを食べるのか?ということから脚という字を使うのでしょう。他にも少数ですが、前脚を使うことから紅焼猪手と書く人もいるようです。前脚を使うのは、赤身の肉が多く骨も少ないから。後脚は脂身が多く骨も多いのです。

■豚足煮込み(紅焼猪脚)ホンシャオツウチャオ

コラーゲンたっぷりの豚足煮。
圧力鍋や魔法鍋があれば簡単にできます。
たまり醤油塗った豚足を油で揚げるのがとても危険なのですが、何度も塗っては乾かし、高温の油で焼き目をじっくり付けるといいでしょう。もちろん油が跳ねるのには、十分な注意が必要です。男の料理といっていいでしょう。火傷には充分に注意を!
もちもちの美味しい豚足煮込みができます。
ご飯に乗せてもラーメンに添えてもOK。野菜炒めに入れたり餃子や中華まんに入れたりと便利で美味しい一品です。

■材料(4人分)
豚足・・・・・・・・・・・4本


●下ゆで用

長ネギ・・・・・・・・・・1本

ショウガ・・・・・・・・・4
片
ニンニク・・・・・・・・2片


●下揚げ用
タレ
たまり醤油・・・・・・大さじ3

紹興酒・・・・・・・・・・大さじ1 


揚げ油・・・・・・・・・・適量

●煮込み用

干し椎茸の出汁・・・・・・8
カップ
紹興酒・・・・・・・100cc

しょう油・・・・・・・・・1/3~1/2カップ

干しエビ・・・・・・・・・10個

ナツメ・・・・・・・・・・4個

長ネギ・・・・・・・・・・1本

ショウガ・・・・・・・・・4片

ニンニク・・・・・・・・・4片

五香粉・・・・・・・・・・小さじ1

中国山椒・・・・・・・・・数粒

ゴマ油・・・・・・・・・・大さじ1

■作り方
●下処理(お店で必要かどうか聞いてください。きれいに洗浄されて下処理されているものがほとんどです)
1. 豚足をよく洗い(特に爪の間)、冷水にひと晩浸けて血抜きをする。
●調理
1. 鍋で湯をわかし、豚足・ネギ・ショウガを入れフタをして、15分間ボイルする。
2. 鍋から豚足を取り出し、熱湯で表面を洗い、水気を切る。
3. 豚足の表面にたまり醤油・紹興酒を刷毛で塗り、乾かす。タレがなくなるまで塗って乾かすを繰り返す。
4. 3を高温の油で表面に焼き色をつける(油がはねるので注意)。 熱湯に取り水気を切る
5. 鍋にゴマ油を少々入れ、煮込み用ショウガ、ニンニク、ぶつ切りの長ネギ、豚足を入れて炒める。
6. 煮込み用の出汁を入れ、紹興酒、しょう油、ナツメ、五香粉、山椒を入れて3~5時間コトコト煮込む。そのまま冷ます。
7. 食べるときに温め、豚足を皿に盛り、別にゆでた小松菜(青菜)を添える。
  ★煮込むときのしょう油は、下揚げのしょう油と煮つまり具合を考えて分量を調整する。



■魯肉飯(ルーローハン)

台湾庶民の味「魯肉飯」です。最近では都内でも供する店がありますが、どうも日本人向けにアレンジしてあっていけません。
中華街の関帝廟通りの「愛龍號」の隣にある台湾家庭料理の店「秀味園」で食べた魯肉飯が忘れられず、なんとか家で作れないものかと試行錯誤。やっとレシピを完成させました。豚の皮はくせがあってという方は、豚バラ肉を使ってください。本場の味とはかけ離れますが、美味しい豚丼ができます。
台湾の人達は、ご飯に汁もののおかずを乗せて食べるのが好きなようですね。同じ魯肉飯でも、店や家庭によって微妙に作り方が違うそうです。つまり同じ魯肉飯は二つとないのだとか。
食在台湾といわれるグルメの地。コトコト煮込んで作りましょう。なお本場台湾の屋台では、油で揚げずに茹でて洗ってから、しょう油ダレで煮込むのが一般的なようです。この調理法でも美味しくいただけます。

■材料(4人分)
豚の皮・・・・・・・・・・・・・・200g

豚の赤身肉(もも肉)・・・・・・・・200g
(それぞれ1センチ角に切る)

長ネギ・・・・・・・・・・・・・・1本

干し椎茸・・・・・・・・・・・・・4枚

干しエビ・・・・・・・・・・・・・大さじ4杯
分
ニンニク・ショウガ・・・・・・・各大さじ1杯
(以上すべてみじん切り)

紹興酒・・・・・・・・・・・・・・100cc

濃縮しょう油ラーメンスープ・・・・1袋
(あるいは中華出汁+醤油)

ゆで卵・・・・・・・・・・・・・・4個

八角・・・・・・・・・・・・・・・1個
●手に入れば豚の頬肉(ほほにく)を使うと本格的。豚バラ肉や皮付きの豚バラ肉でもOKです。豚の皮を使うと独特の風味が出て美味。

■作り方
1. 鍋に油を入れ、ニンニク・ショウガを焦がさないように炒め、さらに長ネギを入れて炒める。
2. 豚の皮を入れて炒め、次にもも肉を入れて炒める。
3. 紹興酒を入れアルコールを飛ばす。
4. 干し椎茸と干しエビ、八角を加え、スープを入れ、ゆで卵を入れたら3時間コトコトと煮てできあがり。
●少し丁寧な作り方
1. 豚の皮ともも肉を長ネギ1/2本とショウガ1片を入れて、30分ゆでる。ゆで上がったら皮を剣山でついておく。
2. 水気をふきとり、皮はそのまま、もも肉は7~8ミリの厚さにスライスし、しょう油をまぶして高温の油で焼き目をつける。
3. 冷めたら7~8ミリのサイコロ状に切る。
4. 鍋に油を入れ、ニンニク・ショウガを焦がさないように炒め、さらに長ネギを入れて炒める。
5. 豚の皮ともも肉を入れて軽く炒める。
6. 紹興酒を入れアルコールを飛ばす。
7. 干し椎茸と干しエビ、八角を加え、スープを入れ、3時間コトコトと煮てできあがり。仕上がり20分前にゆで卵を入れて味をしみ込ませます。ハードな卵でよければ、いっしょに煮込んでもよい。

★男の創作料理は、MORI MORI RECIPE(モリモリレシピ)をご覧ください。山菜・キノコ料理、内臓料理、ブラジル料理、エスニック、中華の込み入った料理などの「男の料理レシピ集」です。特に本格的なアンチョビーの作り方を載せているのは、当サイトだけだと思います。手作りオイルサーディン、手作りソーセージもお薦めです。山菜料理も豊富です。豆料理もたくさんあります。:現在見られません。
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目を閉じればアンデスの風

2007-04-16 | BABYMETAL・LOVEBITES・XG・宮本佳林・ジャズ・クラシック
週末、義父母の招待で息子二人も伴ってフォルクローレのコンサートに行きました。実は義母がユニセフ募金活動のためにコンサートなどを開催しているのですが、これらのコンサートのポスターを私がボランティアでデザインしたということもあって、今回初めて聴きに行けたというわけです。当日は天気にも恵まれ横浜某所のこぢんまりとしたホールは、ほぼ満員。

出演は、「グルーポ・シンコ・パイス」という、職業、年齢も様々な結成15年のバンドです。ちなみにリーダーの東出さんは、日本最初のケーナ奏者で製作者だとか。埼玉の幸手市で「笛吹おじさんの店 ラ・ケーナ」というケーキ屋を営んでおられるそうです。他には、教師や警察官や農家など。毎年福島県川俣町で開催されるフォルクローレの全国大会「コスキン・エン・ハポン」にゲスト出演しているそうです。

演奏は、サイモンとガーファンクルでお馴染みのEL CONDOR PASA(コンドルは飛んでいく)や世界的にランバーダでブラジルから有名になってしまった、実はフォルクローレの「泣きながら」という曲など、全15曲+アンコールにこれまたお馴染みの「花」。アッという間に楽しいときは過ぎていきました。

目を開けると、むさい(失礼)日本のおっさんが並んでいるのですが、目を閉じればアンデスの大平原が広がります。もうずいぶんと昔に訪れたアンデスの風景が浮かびます。着いたとたんに酸欠で倒れそうになったボリビアのラパス。知り合った大学の教授とおんぼろタクシーで行ったチチカカ湖、なんにも用がなくて来た日本人はおまえらで3人目と4人目だと言われ、さらには全く関係ないのに麻 薬の運び屋と勘違いされて、もう少しで豚箱行きになるところだったベニ地方のトリニダッドの田舎町などが浮かびます。

フォルクローレは、ケーナといい、サンポーニャといい、アンデスの大平原を渡るような風の音を連想させますが、尺八の音にも通じていて我ら日本人には受け入れやすいんでしょうね。なんだかとても懐かしいものを感じます。ファンが多いのもうなずけます。
ボリビアはラパスの「ペニャ・ナイーラ」という小さなフォルクローレのライブハウスに行ったことがありますが、その時の印象は、思ったよりもずっと情熱的で激しくてパワフルなんだなというものでした。どうも牧歌的なゆくりとしたバラードのようなものがフォルクローレだと日本では思われているようですが、実際はもっとダイナミックなものなんですね。スペイン人に征服され、抑圧されたものが激情となってほとばしり出てくるような感じを受けました。それはそれは、激しく素晴らしいものでした。

ボリビアでのある日、放浪者の知り合いに誘われてアーチャという演奏家の工房に見学に行ったことがあります。工房の主人は物静かな人で、ケーナやチャランゴの制作過程を親切丁寧に説明してくれました。

私のボリビア放浪記は、AMAZON.JP ボリビア編・ 天空のラパス、神秘のチチカカ、湿原のトリニダッドをご覧ください。写真だけでもアンデスの雰囲気を味わっていただけるかも知れません。
コメント (5)
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春だから草を食べるぞ

2007-04-07 | 男の料理・グルメ
今日は長男の入学式。次男と私はお祝いに草の餃子を作るために散歩にでました。まあちゃんとしたお祝いは、ラ・ベルエポックでやってもらったことですし、高級フレンチの後は、野生に戻って草を食うべしかと…。この季節、わが家恒例のノビル採りにでかけました。花曇りの野川の河川敷を、草露に足を濡らしながら菜の花満開の川原を歩きます。この菜の花は、改修工事前にはびこっていた帰化植物のセイタカアワダチソウやアレチウリを根絶して新たに植えられたものなのですが、和のアブラナではなく、なぜか帰化植物のセイヨウアブラナ…。

この辺りの野川左岸は、一旦河川敷に下りてしまうとずっと上がれるところがないので歩く人が少ないんです。ところによっては高さ2mにもなろうかという菜の花の小径を歩くと、ツマキチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミが乱舞。特にツマキチョウの活性が高く、たくさん飛び交っていました。ナガメやハナアブもたくさん。

そして、わが家がノビル畑と呼んでいる場所に到着。雨が多かったせいか土は軟らかく掘りやすそうです。次男とふたり黙々とノビルを掘ってはほぐし土を落とし、枯れ草やゴミを取り除き袋に入れます。上の遊歩道にはサイクリングや散歩の人が通るのですが、あまりこちらを見る人はいません。ノビル採りは、ほんの一部の人しかしないですからね。草に交じってノビルがちゃんと判別できる人も少ないでしょう。ノビルの美味しさを知る人も少ないでしょうし。

小一時間も掘ったら結構な量になったので対岸に渡って帰路につきました。途中、上の遊歩道でどでかいカメラを持ったおじさんが通りがかりの親子に「ほら珍しいカワセミだよ」と言ってました。ある写真の右下に写っているんですが分かるでしょうか。でも実はそんなに珍しくないんですよ。朝方散歩に来れば、たいてい見つけることができます。だって野川に棲んでいるんですから。見ようと思うと目に入る鳥です。

しばらく歩くと馬がいました。ポニーより小さいなんとかいう種類だそうです。道ばたの草を美味しそうに食べていました。やはり春は草を食べねば…。というわけで今夜はノビル餃子です。ノビル味噌も作ります。ノビルの松前漬けも美味です。ノビルレバ炒めも旨い。次男は、餃子と味噌焼きがお気に入りだとか。別名乞食葱なんていいますが、失礼な話です。年中採れますが、やはり今の季節が葉が柔らかくて最も美味です。

さて、次は山菜採りに山へ行こうと思います。自然のものを食べると、ジワジワと力が沸いてくるような気がします。
追記:今回の写真は、ほとんど全て次男が撮影しました。
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幻の大トチに会いに

2007-04-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
昨秋の大菩薩峠以来の家族揃ってのトレッキングは、私の腰のリハビリもあって、わが家が何度も通う高低差の少ない「牛ノ寝通り」へ。長寿の里ゆずり原は、麓の桜が七分咲きぐらい。足元にはスイセンの花が咲き乱れていました。しかし、小菅村から139号線を松姫峠へと登り始めると、咲いているのはキブシとダンコウバイぐらい。木々の芽吹きもまだでした。

ところが当日はまれに見る暖かい日で、峠の朝7時の気温は、なんと11度。去年同じ日に長男と来たときには、マイナス2度だったのにと驚きました。歩き始めると背中に当たる朝日が暑く感じられるほど。けれども足元を見るとスミレもキジムシロも、やっと小葉をのぞかせたところ。やはりおかしな気候です。

緑ではないけれどもそよ風の抜ける森の道を歩くと、シジュウカラやコゲラがさえずりながら樹間を飛び交っています。どこからかコゲラのドラミングが聞こえます。山沢入のヌタに着くと、モミの木に長さ1mほどの月の輪熊の爪痕がくっきりと。木の皮の裏の部分を食べるのだそうです。熊棚もふたつ見つけました。春は新しい命が生まれる季節ですが、春を待たずに倒れたブナの巨樹を3本も見ました。

何にもないこの季節ですが、今回のお目当ては、一昨年の9月に長男と見つけた幻の大トチに会いに行くこと。次男と連れはまだ見ていないので、ぜひ連れて行ってあげたいと思っていました。といっても登山道から大きく外れ、急峻な谷へ下りなければならず、普通の人が気軽に行けるところではありません。帰りは、45度の急斜面を滑落しないように登らなければならない厳しいところです。

しかし、それだけの価値はある場所なのです。その谷は、日常から非日常への入口であり、普段持っている自分の物差しが役に立たないところなのです。人間は、レーゾンデートル(存在理由)なるものを探し求めたりしますが、この谷にいると生きているというだけで素晴らしいではないか、と思えてくるのです。ありのままでいいではないかと。数多の政治家や実業家などには「ひとり」でこの谷に来てもらいたい。傲慢な気持ちなど物の見事に粉砕されるはず。

芽吹く前の谷は清生としていますが、初夏を過ぎれば高さ30~40mの緑の天蓋に覆われ、日中でも陽がほとんど差さなくなります。その荘厳さと漂う緊張感には畏敬の念すら覚えるほど。なのに胎内にいるような安堵感も同時に味わえるという希有な空間なのです。

今回のトレッキングは、モリモリキッズフォトドキュメントをアップしました。ご覧ください。
コメント (3)
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