普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

田母神さんが定年退職に

2008-11-05 07:11:02 | 政策、社会情勢

 田母神さんが遂に定年退職になった。

 田母神さんが投稿した論文の内容を巡り更迭された問題で、防衛省は3日、田母神氏を同日付で定年退職とした。
 同省は結論が長引けば連休明けの国会審議に影響が出ると判断、更迭後の処遇としては異例の対応に踏み切った。
 同省は、田母神氏の定年を今月30日まで延長していたが、本人から辞表の提出がないため懲戒処分なども検討。しかし、手続きが長引く恐れがあり、民主党も国会で追及する構えを見せていることから、早期収拾を図ったとみられる。
 自衛官の定年は役職や階級によって異なり、空幕長は62歳。田母神氏は空幕長の役職を解かれた時点で単なる「空将」となり、他の14人の空将と同じ退職年齢(60歳)に達していた。
 定年退職の場合、数千万円の退職金も支給される。同省幹部は「辞表を出して辞めるべき。組織のトップまで務めた人物の身の処し方ではない」と批判した

読売新聞
より)
 読売では「論文の内容を巡り更迭」と書いているが、当初は論文などを出すときの文書により上司への事前報告がされていなかったのが更迭の理由だったと報道されていた。
 その後の報道では田母神さんは口頭で上司に報告してその了解を得ていたことが判ったので、いつのまにかその論文の内容についての処分と言う様に報道の表現が変わっている。
 普通に考えれば、文書で報告すべきところを口頭で済ませたのだからせいぜい譴責で済むところだ。
 私は航空幕僚長の更迭
で、私も日本が今まで取ってきた立場や彼の立場からも彼が更迭されたのは致し方ないし、浜田防衛大臣の苦渋の決断だったろうと言うのも想像できかる。と書いたが、更迭後の処遇としては異例の対応彼の定年退職、見送られたとは言え辞表提出を拒否すれば懲戒処分とは政局絡みとは言え余りにも酷過ぎると思う。
 政府見解に反した意見を公に発言したことがどのような懲戒の条項に当てはまるのだろう。

[これからの国会の動き] 
 これに対し小沢さんは一昨日の記者会見で、政府の田母神さんの任命責任を追求していた、その後の海上給油法案の対応についての質問にも、政府の任命責任を国会で取り上げると繰り返しただけだ。
 小沢さんほどの政治の中枢にあり、識見もある人だから田母神さんの論文の細部の可笑しい所ははとにかく、基本的に賛成の筈だと思う。
 小沢さんは何時ものように何でも政局絡みにし、早く解散に持って行きたいだけだろう。

 これからの展開はある程度予測できる。
 野党は田母神さんの発言と政府見解の違いを突いて政府を攻撃するだろう。
 然し、与党が多数を占める衆議院では、田母神さんの言う様な参考人招致はは当然しないし、野党が多数を占める参議院でも、参考人として呼んでも、彼の意見の正しいことろには触れずに、彼の立場としての発言の拙い所、彼の論文の論拠の拙いところを攻撃するだけで終わるだろう。
 何故なら小沢さんの外交政策は親中国、親韓国だからだ。
 そして田母神さんの提起した問題についての、国会の場での議論や検証はないまままた、雑誌やネット上の議論のままに終わりそうな気がする。
 そして公の場での戦争責任の問題はまた今までのようにタブー視されしまうのだろう。
 4日のテレビ朝日の「スーパーモーニング」で、朝日系の出演者にしては割と筋の通った発言をするキャスターの赤江玉緒さんも、「田母神さんの論文の検証くらいした方が良いのではないか」と言っていたが、彼の発言の個々の部分の正否さえ公の場(「たかじんのそこまで言って委員会」はどうするのだろうか?)での討論もされずにそのままに成りそうな気がする。
 これで仕方がないのかも知れないような気もするが、そのまま放っておいて自衛隊の人達の士気が上がるのだろうか、そしてそれが日本に取って良いのだろうか。

 田母神さんは3日の都内での記者会見で、
・解任は断腸の思い」としながらも、「誤っているとは思わない。政府見解は検証されてしかるべきだ」と主張。
・「親日的な言論の自由は制約されていたが、日本を悪く言う自由は無限に認められていたのではないか」
・「これほどの大騒ぎになるとは予測してなかった」としながら「政府見解に一言も言えないのでは北朝鮮と同じだ」と述べ、国会への参考人招致があれば「積極的に応じる」と述べた
。(朝日新聞
より)
 私は田母神さんが参考人招致をされたら、彼が議員の質問の範囲を超えてでも彼の意見を堂々と言って貰いたいし、多分そうするかも知れないが、発言停止になりそうだ。

[検証されぬままの田母神さんの論文] 
 ただこれだけははっきり言えることがある。
 一つは田母神さんに対する今回の処分で、麻生さんを支持してきたのかなりの人達の支持を失うことだ。
 もう一つは大変残念だが、世界第二次大戦の公平な検証が少なくとも当面(何年かかるか判らないが)中国、韓国、それから米国への遠慮で、公式にはまともに行われず、残念ながらすべての戦争の責任は日本にあるとされたまま、「満州や韓国に対して日本が行ったたことの功罪」や、「西欧諸国が侵略で植民地を拡げてきたこと」、日本が欧米と戦った事が、「世界的な植民地開放の少なくとも引き金を引いた」など明らかな事実も知らされず、世界の警察を自認する米国が「原爆投下という戦争犯罪を冒した」なども教えられぬままに、「日本人は何かあれば悪い事をしでかす民族だ」の教育が浸透し、日本人のモラルの低下に貢献?する可能性が大きいことだ。

 当時の「日本や日本人が悪い悪い」と言って教育してもその効果があがらないのは当然だ。
 公平に日本も外国も良い所もあり悪い所もあることを教え、それについて日本人としてどう考えるかを教えるのが教育の基本だし、その効果も上がると思う。
 その意味でマスコミが、今回の田母神さんの発言の批判や彼の提起した問題の不具合な点を指摘するだけでなく、彼の意見の正しい所も指摘して貰いたいものだが、この問題もせいぜい政治関係の雑誌と、ネット上の議論だけで終わりそうなのは残念だ。

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