普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

田母神さんの参考人招致と自衛隊員の士気

2008-11-12 12:08:04 | 麻生内閣

 田母神さんの参考人招致について各社が社説を発表した。
 読売
朝日は言論の自由を履き違えたと田母神さん批判、産経は村山談話、集団的自衛権の見直しの必要性と、民主党の自衛隊の統合幕僚長や陸海空幕僚長の4人を国会同意人事の対象とする考えの批判を書いている。

  私は読売、朝日の言うように田母神さんの自分の立場をわきまえない論文の発表も少し軽率だったと思うし、産経の社説の言う事も尤もだと思う。
  そして国会で内容の討議が封印された田母神さんの論文も、彼が主張するように全てが正しいとは思わない。
  読売テレビの辛坊治郎さんが「田母神さんが参考人招致の後なら「たかじんのそこまで言って委員会」に出席の予定」だと言っていたので、前回と元自衛隊員と同じく彼の論文の内容についてかなり批判されるだろう。

[自衛隊員の士気の問題]
 ただ私が言いたいのは、田母神さんの主張から伺える「今のままでは自衛隊員の士気が落ちてしまう、そんなことでは自衛隊は戦えないので何とかすべきだ」と言う心からの叫びを産経の社説以外は、参考人招致で質問をした人達も、それに答えた浜田さんも、マスコミも捉えようとしていないことだ。

 自分の職を賭して自衛隊の抱える問題点を主張する自衛隊の幹部を馘にして、民主党の言う様に、国会が幹部の思想検査までして選んだ、ひょっとして自己保身の官僚的な考えを持っているかも知れない幹部を据えたときの自衛隊の存在価値はあるのだろうか。
 どこかの敵が日本に侵入したとき、文民の顔ばかり見て自己保身ばかり考えている幹部や、お役人的な自衛隊員で戦えるだろうか。
 私は田母神さんの言う様に「自衛隊員の士気の維持、向上」が如何に大切か、そして政治家はその士気の向上のためにどうすれば良いかを考えるべきだと思う。

 今日は自衛隊員の士気の問題に焦点を当てて、戦前派の私の見聞きした昔のことを考えて見たい。
 ただお断りして置きますが、下記の昔と現在、他国との比較など正確には多くの議論のあるとこと思いますが、ここではごく大雑把かつ定性的に比べてみただけですのでその積もりで見て頂きたいと思います。

[昔の軍人の士気の維持策]
国民の精神教育
・学校では国の祭日毎に教育勅語が読まれたが、その中に「我が臣民克く忠によく孝に」、一旦緩急あれば義勇公に奉じ天壤無窮の皇運を扶翼すべし」とあり天皇に忠義であり、ことあれば国のために働くのは当然視されていた。
・正規教科以外に日本が如何に優れた国かと話す教員もいた
現在:日本(忠義の教育がないのは当然だが、一般の道徳教育さえない)、韓国・中国(反日教育)、北朝鮮(チェチェ思想の洗脳)

宗教の利用
・天皇陛下は現人神(あらひとかみ)と呼ばれていた。
現在:日本(天皇陛下を神と信じる人はいない)、北朝鮮(金正日一族の神格化)
・戦死した人は神として靖国神社に祀られる
・日本は神の国だから神風など神の加護があると宣伝されていた。
現在:日本(これを信じる人ははいない)、中東(イスラム原理主義信者の自爆テロ)

指導者の神格化
・多くの家で天皇・皇后両陛下の写真が飾られていた。
現在:日本(一部の家庭で残っているかも知れない)、中国や多くの独裁国(指導者の写真が街や家庭内で飾られたり銅像が建っている)

国の大義それを名目にした自国の勢力拡大
・第二次大戦が始まると大東亜共栄圏、八紘一宇(はっこういちう)などのスローガンがだされた。
 詰まり日本を中心とする東アジアの勢力圏形成、天皇陛下を親とする一つの家作りだ。
現在:日本(武力による勢力拡大など論外、平和国家、ひたすら米国追随)、米国(世界の警察、アラブ諸国の民主化、イラクの圧政からの名の開放の勢力圏拡大)、ロシヤ(ロシヤ人を護る名目の隣国侵攻による勢力圏維持)

自国への誇り
・神の国、天皇陛下を中心とする一体感、維新以来不敗の国など誇りを持っていた
現在:日本(平和国家村山談話のタブー化自虐史観を信じる人、国家・国旗に違和感を持つ人がいる)、世界(国に誇りを持つような教育、国旗・国歌に対する敬意)

伝統的な国民の考え方
・忠臣蔵に代表されるように君主に忠義をつくすのが美徳、武士道 
現在:日本(いくらかその傾向は残っているが肝心の君主がいない)、欧米(騎士道、フェアプレイなどなど)

 その善悪はともかく士気に溢れた、悪く言えばマインド・コントロールされた日本の軍人たちは遥かに劣る軍事力で、欧米の列強と数年の間戦った。
 米国のベトナムでの苦戦、イラク、アフガンでの頑強なテロ組織の抵抗もベトナム人民や過激派の士気の高さが彼らを支えている。

 逆に日本国民の意識をコントロールした積もりの日本軍の幹部たちは自分自身がマインド・コントロール状態になり、米国の軍事力を支える強大な工業生産力を無視した無謀な戦争を始め、狂気沙汰としか思えない補給など無視した前線を拡大し大敗した。

[自衛隊員の士気の維持・向上]
 然し今のままでは下記のように不利な条件ばかりで、如何に自衛隊員の士気を保つかは非常に難しい。
 プラス材料:平和国家志向
 
マイナス材料:精神的支柱がない、タブー化された村山談話、一部の人達の自虐史観を信じる人、国家・国旗への違和感

 今の自衛隊幹部は平和国家の他、何をとり挙げて自衛隊の士気を鼓舞しているのだろう、金を貰って雇われていることの責任だろうか?
 それで隊員達は生命を賭けて戦うつもりになるのだろうか
 多分、形勢が少しでも不利になれば退却するか降参するだけだ。
 今の時代だから、ぎりぎりまで戦ってそれで駄目なら退却も降参も仕方がないとは思うが。

[政治家の責任]
 
田母神さんは自衛隊の士気を上げるために、日本を愛する足りる良い国であることを知って貰うこと、そのためには自虐的な歴史史観の見直しを訴えている。
 それは読売の社説が言っているように、歴史家の仕事であるかもしれないが、歴史の見直しがおろそかになって自衛隊の士気まで影響しているのなら、それを歴史家に依頼して見直しして貰うのは政治家の責任だ。(*注記)
 私は何度も書くが、日本の過去から現在の良い所、悪い所を公平に振り返って見ても、総合的に見れば日本は良い所、愛すべき国だと思うし、見直しの結果自衛隊の人達も納得できる歴史の本が出来ると思う。
(長くなりますが下記の政治家への提言もよろしかったら、是非覗いて下さい。)

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*注記:政治家への提言
 田母神さんの参考人招致やそれまでの議論を見ていて、田母神さんの言いたいことの一つは、「今の儘では自衛隊の士気が保てない」ことのようですが、これには誰も触れていないようです。
 「今まで金を払って自衛隊員を雇っているのだから、いざとなったとき文民の言う通りに文句を言わず黙って戦え」と言っても、生命まで賭けて戦う気になるでしょうか。
 生命を賭けるつもりで戦わねば負けるに決まっています
 私は戦前派ですが、多くの兵士達の話を聞いた経験から、自分の国を愛していなければ戦えないと思います。
 私たち同年配の間の話では「今のままではバレーボールや野球の国際試合と同じように、仮に某国が日本に侵入して戦争になっても負けるだろう」と言う話が良く出ます。。
  如何にして自衛隊員に国のために生命を賭けて戦って貰えるか、そしてそのため、いかにして隊員の士気を向上すれば良いかを考えるのが、文民である政治家の責任と思います。
  歴史にしても未だに定番となるようなものはないようです。
  今、国民が一番参考になる歴史の資料は「Wikipediaの記述」だけというのは日本としてお粗末過ぎると思います。
  本格的な歴史の編纂は対外的な問題もあるようなので難しいと思いますが、政治的配慮で出された村山談話に基づく歴史観が必ずしも正しいとは言えないというのが定説のようです。
  政治家の責任でどうか自衛隊の人たちも納得できるような、出来るだけ完璧な日本の近代史(どの範囲公開するかの問題も有るかも知れませんが)を左翼的な考えの人も含む専門家に依頼してまとめて貰ったらどうでしょうか。