普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

離職者3万人の問題

2008-11-30 17:17:01 | 政策、社会情勢

[離職者の増加と政治の対応]
 景気悪化の影響で、10月~来年3月の半年間に、職を失ったか、失うことが決まっている非正規労働者は3万人に上ることことが報道された。
 自動車メーカーなどで生産縮小の動きが顕著になる中、派遣社員らが雇用調整の対象になっている。
 その他にも新卒の学生たちの就職内定が取り消される可能性の大きいこと、職を失う非正規労働者は今後も増えると想定されると報道されている。
 テレビではそれに加えてリストラされたブラジルから来た人達の取り扱いの難しさを伝えている。
 百万人の外国人労働者の導入を唱えた人達はこの現状についてどう説明するのだろう。
 麻生さんはこれに対して、非正規労働者をはじめとする労働者の雇用維持、失業者の再就職支援、就職内定を取り消された新卒者への対応、雇用保険の適用条件緩和策などを指示する一方、経団連には賃上げを要請したそうだ。
 これもやった方が良いのは勿論だが、素人目から考えてもとてもうまく動きそうにはない
 それに対して、民主党は「定額給付金」対案として2兆円の雇用対策を提案する予定だそうだ。
 読売新聞
はそれについて民主党は
  定額給付金と同額の総額2兆円の使途を緊急経済対策や雇用対策に振り向け、ばらまき批判が出ている定額給付金との違いを浮き彫りにする狙いだ。
と指摘している様に、自民党は今更対案を出されても定額給付金を引っ込める訳に行かぬことを考えると、民主党はこれも政局の争いに持ちこもうとしているはの見え見えだ。

[新しい差別問題の発生?]
 基本的な問題は非正規従業員の取り扱いだ。
 彼らは「労働力」と言うまるで物扱いで、必要なときは受け入れ、必要が無くなって時は切り捨てられる。
 然し非正規従業員だといっても人間だから衣食住は欠かせない。
 同じ日本人だから、少なくとも真面目に働いている人達には少なくとも最低限の生活は保証されて当然だ。
 然し、今回リストラされた人達の中には、アパートを追い出されて住む所が無くなった人達もいるそうだ。
 中にはホームレスに転落する人達もでるかも知れない。

 日本は同和問題に長い間取り組んできて、今は一部の心ない人達の言動で関係者へ迷惑を掛けている他、殆ど問題は解決したようだ。
 そこへまた非正規従業員への差別の問題が起こり掛けている。
 新卒などで正式社員の企業への入試に失敗したり、正規従業員になっても一旦コースから放り出されたり飛び出したりすると、給料も安い身分も不安定な非正規従業員として働かねばならない
 これは致し方ないとしても、問題は彼らの努力次第でもとのコースに戻れるか否かだ。
 もし仮に元に戻れないとしたら、彼らへの差別と言われても仕方がないような気がする。
 唯一の機会は景気の回復だが、リストラされた人達が元の非正規従業員になるだけに終わることが多い。

 企業からの立場から言えば、中国を始めとする新興国の台頭で相対的に低下した戦力維持や向上のためには、最低の必要な固定的な人員は確保し、変動する生産量に合わせて、非正規従業員を増減するのは致し方ないことだ。
 言い換えると非正規従業員が、正規の社員になるためには、企業の必要とする最低の従業員の枠の中に割り込まなければならないのだ。
 然し、正規の社員は社内の教育でその戦力がアップしているのだ。
 だから新卒の学生以外の人達が、正規の従業員になるためには、それに対等する能力を持つか、少なくともそれだけの潜在能力のあることを、採用担当者に認めて貰わねばならない。
 これが難しい事は事実が物語っており、新しい差別問題が起こり掛けていると言っても過言でないような気がする。

[昔と今のの変動する労働力需要への対処の違い]
 私たちの現役時代は正規従業員の仕事の補完作業をするものとして下請け業者がいた。
 下請け業者には所謂本工という正規従業員がいて、作業量の変動に応じて客先の仕事が減ってきたときは、他の客先に回すなどしやりくりし、それでも足らぬときは孫請けに頼むか、それでも足らぬときは当時で言う人夫をかき集めて処理していた。
 つまり客先から言えば外注作業の殆どが、下請けや孫請けの正規従業員でなされていた。
 そして下請けの従業員たちはは今の中小企業のように不十分ながら給与や保険などの給付を受け取っていた
 現在の人材派遣会社は正式の従業員は管理に当たり、客先に派遣される派遣社員は正式にはたんに契約により結ばれた登録された人達に過ぎない
 つまり事実は派遣社員とは名ばかりで実は言わば個人事業者だ。
  派遣会社は法律で規定された健康保険制度や厚生年金保険の加入の義務を3ケ月毎の更新で逃れていることが多い。詰まり昔の労働基準法で厳しく規制されていた派遣社員からのピンハネをかなりの人材派遣会社がやっているのだ。

 昔はパート労働者は個人商店とか、家の女中など小さな業態で働いていたから、そこを辞めさせられても社会的には大きな問題にならなかった。
 現在は派遣先の大手製造会社(や巨大なコンビニ)などの非正規従業員は全従業員の中でもかなり大きな割合を占めている。
 そこをリストラされたら事実上の個人事業者である非正規従業員はたちまち行く先に困ってしまうし、大量のリストラは社会的にも大きな問題になるのだ。

[私の意見]
  下記の問題についての詳細や、非正規従業員自身のあり方など書かねば成りませんが、紙面が切れかかっておりますので省略しますがご了承下さい。
国へ
 ・Wikipediの人材派遣
の記述で見る様に人材派遣会社は余りにも多くの問題を抱え過ぎている。
 派遣労働法の改正を含めて非正規従業員の問題を処理すべきだ。
・大量の失業者が出ては少子化と相まって輸出から内需の拡大など思いもよらりぬことだ。
・社会のセキュリティー対策やその他の諸問題を考慮して消費税増税など思い切った政策を実施しなければ、多くの問題は解決できないと思う。
・その為には米国一辺倒の考え方を改めて、西洋型の考え方も取り入れながら、日本に適した政策を考えるできだ。

企業、経団連へ
・今までのやり方で企業の競争力(特に技術力)がつくか見直しをすべきだ。
日本型の企業経営の見直し
・非正規従業員を人間として見て、その潜在能力を発揮させること
・企業としての企業倫理や社会的責任の見直しをすべきだ。

人材派遣会社へ
同種の会社に対する批判を率直に受け止め改善に努めること
・登録した人達の正式社員化や教育
・登録した人達の仕事が切れたときに昔の下請け業者のようにその仕事先の確保、そのために(パソナがやっていたと思うが)自前の仕事も用意しておき、仕事量の変動のバッファーを確保しておくこと
・それらを怠っていては、経団連などの後押しがあっても派遣会社の存続に関わるような圧力がかかることも予期すべきだ。

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