普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

学者や評論家が意識的?に避けること

2009-01-03 12:27:24 | 経済・財政

 元日のNHKのNHKスペシャル「激論2009 世界はどこへ そして日本は」と言うテーマで何時もの三宅民夫さんの司会で「資本主義の崩壊、多極化する世界に日本はどう向き合えばいいのか」についての討論会がありました。
 議論は小泉改革推進してきた、慶応義塾大学教授の竹中平蔵さん、外交評論家の岡本行夫さんと国際基督教大学教授の八代尚宏さんに対して、それに批判的な立場の慶応義塾大学教授の金子 勝さん、北海道大学教授の山口二郎さん、経済評論家の勝間和代さん、ジャーナリストの斎藤貴男さんの間で行われました。
 いつもの三宅さん司会のこの種の番組と同じように結論は出ませんでしたが、強いて言えば、今回の雇用問題を解決するための何らかのセーフティーネットが必要だと言う事位は皆の合意を得たようです。。

 今後の日本経済の建て直し策にについては、竹中さんの持論の法人税減税、金子さんの富裕層への累進課税の他に、良く言われる環境・エネルギーの技術を活かすこと、国内市場の活性化位でこれと言った名案はなく、私の感想を総合的に言えば、皆は口にしないけれど、今の不況にじっと耐えて景気の回復を待つという結論のような気がしました。
 唯一、違った意見を持っていたのは勝間さんで、「一にも二にも教育の強化」だと言うのです。

 皆さんの議論を聴いていて気付いたのは、民放を含む今までの同種の番組と同じですが、評論家の皆さんが意識的に避けているのではないかと思われる問題があります。

[日本の貧困化?]
 日本の最大の経済問題は、今までも市場中心主義経済の恩恵を受けて来たし、今でも受けている日本が、中国の台頭で競争力が落ちていること、その対策として低賃金でしかもいつでも契約が切れる非正規社員の増強でコストカットをしていること、その傾向が増すほど日本国民全体の平均収入が減ってきていること、その為に輸出から内需への転換も難しくなっていることです。
 つまり避けられないグローバル化のために諸国民の給与水準が平均化する傾向にあること、そして日本にとっては当面の対象が膨大な人口を持つ超低賃金の中国だと言う事です。
 この問題ついては韓国の台頭の時も日本企業はその対応に苦しみましたが、韓国の給与水準が上がってやっとバランスを保つようになりました。
 然し、韓国と違って中国は膨大人口を持っており、何時、どの程度でバランスが取れるか判りませんが、その影響の大きさは韓国の比ではなく、それまでは日本の貧困化が進むことは明らかです。
 もし番組でこの意見が出れば、討論もその焦点が定まるし、活発な且つ真剣な議論になると思うのですがこの問題は出ませんした。
 然し、基本的に「経済の成長」を基礎とした考えを持っている学者や評論家に取っては、日本の貧困化が進む可能性など、致命的の発言になるから言わないのでしょうか?

[教育と日教組、全教祖の関係]
 番組でも非正規社員の給与の低下→社会格差→教育格差の問題が言われていたし、その対策として勝間さんも教育の重要性を言っていました。
 そして他の人達からも社会格差→教育格差脱出のために、奨学金の拡充を言っていましたが、もっと基本的な問題があると思います。
 それは教師の責任です。
 教師は生徒が進学の意志があり、またそれなりの能力を持っていれば、その希望に応えてやるのが当然の責任です。
 しかしそれを妨げている問題があります。
・前にも書きましたが、私の娘が新任教師の時代、遅れ気味の生徒達のために補習授業をしたいと校長に相談したところ、「他との振り合いがあるから」と言って拒否されたことがありますが、まだその傾向は残っているのではないでしょうか。
・悪評高いお手手つないでゴールの考え方がまだ残っていないでしょうか。
・教育委員会へのレポート提出で時間を取られていないでしょうか。
 そのレポート提出の目的は教師管理ではないでしょうか。
・教材の標準化や相互利用などの教師間協力による事務の合理化は進んでいるのでしょうか。
・しつけ教育の家庭と学校の分担ははっきりしているのでしょうか。
 これだけ並べて見ると全てでは無いけれど日教組や全教組の現在か、その昔からの影響がいかに大きいかがわかります。
 然し公共のマスコミで、教育問題が議論されるときはほぼ絶対と言って良い程、教員組合の問題は出てきません
 だから先に書いた経済問題の日本がグローバル化で貧乏になる可能性と同様に、議論の焦点がぼやけてくるのだと思います。

 評論家や学者の人達はこのような日本が抱える基本的な問題を避けて通らずに、真っ向から向き合って貰いたいと思うのですが。

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