昨日のテレ朝の「サンデープロゼクト」での「構造改革は、日本をどう変えたのか?」と題しての、「資本主義始まって以来の危機」に陥っている」という三菱UFJ証券チーフエコノミスト水野和夫さんを挟んでの、構造改革で小泉元総理の懐刀だった慶応大学教授の竹中平蔵さんと「構造改革のあおりは雇用不安にも及んでいる」という慶応大学教授の金子勝さんのがっぷり四つに組んだ討論と、「どうなる?日本の景気と雇用危機!」で登場した伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎さんの話は大変聞き応えがありました。(青字は番組紹介より)
政治家、官僚、企業の抵抗の中で、改革の実施に当たった竹中さんと、終始批判していた金子さんの双方の立場からの主張で、改革の問題の光と影の部分を浮かび上がらせてくれました。
小泉改革の問題について、今日は小泉改革の関係者の立場から考えて見たいと思っています。
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[頑張った竹中さんとそれに引きずられた官僚]
それは小泉さんの強力なバックアップの下で猛烈に頑張った竹中さんと、構造改革や小さな政府を目指す改革に当然伴う影の部分を補完すべき省庁が竹中の活躍に比べると殆どと言って良い程動かなかったことです。
それともう一つ、経済の実際の運営に当たる企業の経営者の中の相当数の人達が、世の風潮に流されやすい凡庸な人達がいたと疑われることです。
小泉改革が始まったころは改革にともなって生じる影の部分の対策として、セイフティーネットの構築や、社会で働く女性のための託児所などの福祉施設も取り組むべきだと言う話も出ていました。
しかも事実は小泉人気と、経済・金融の実権を握った竹中さんの小さな政府、歳出削減の勢いに押されて、小泉改革の影の部分を補完すべき他の省庁が歳出削減路線を突っ走ってしまいました。
例えば、三位一体と言う地方改革も、実際は地方への交付金の減額だけに終わり→地方の疲弊となった他、年金などの社会福祉・医療・介護体制の崩壊などなど今抱える大きな問題に繋がりました。
次の世代を育てるべき教育予算さえ削られてしまいました。
[世の風潮に流される企業の経営者]
小泉改革のもう一つの問題は世の風潮に流される(凡庸な?)企業な経営者です。
小泉さんの米国一辺倒政策、年次改革要望書に従った所謂グローバル化の波に呑み込まれ、日本の文化や考え方に合わないやり方が導入されてきました。
「金が全て」とか「企業は株主のもの」の考え、長期的視野に基づく経営より短期的な利益の追求、チームワークを捨て(従業員の過労死や自殺の増加をもたらした)成果主義を導入、金融重視に伴う技術軽視の傾向などなどで、日本企業の強みとしたところが次第に無くなってきました。
その一つの例が経営者にとって便利な派遣者労働法の制定とその改悪です。
企業の競争力強化で一番手っとり早いのは、生産能力の向上です。
不景気の際は安い経費でいつでも切れる派遣社員が導入できます。
後は生産設備を次の景気回復なで遊ばせる問題が残るだけです。
だから生産計画もつい甘くなり、長期的な視野の経営より短期利益の追求のためについ甘い工場拡張に走りやすくなります。
今度の米国初の金融・経済危機で大量の解雇をした企業の中には、誰でもが良く考えれば直ぐ判るおかしくなった米国経済の不安に関わらず、放漫な生産拡大をした企業経営者の責任は無かったのでしょうか。
それとも今度大量解雇した会社にとっては、今回の危機は完全な不可抗力だったと言うのでしょうか。
雇用問題についても、今、労働者派遣法の見直しが言われていますが、筋論から言えば企業の経営者が企業の社会的な責任感を持っていれば、経営について長期的な視野をもっていればその必要もないのに、見直しをしなければならないのは、プライドのある企業経営者に取っては恥ずかしいことだと思います。
[日本流の経営と雇用問題]
竹中さん金子さんの激しい議論の後、丹羽宇一郎さんの登場となりました。
丹羽さんの発言の中に、「企業は株主、従業員と地域のもの」、「企業の競争力の基本はチームワーク」、「企業は儲けだけでなく社会の為に存在する」など昔ながらの日本流の考え方のフレーズが出て来ました。
丹羽さんの傘下の企業では優秀な非正規労働者を正規社員として採用しているそうです。
丹羽さんは今の企業経営者で「企業の社会責任」を考えいない経営者はいるかも知れないが、ごく少数だと言っていましたが、他の企業の経営者に遠慮しての発言です。
今回の大量解雇で派遣先の企業の「生産削減を決めただけで、解雇したのは請負・派遣会社だ。政府は早く景気回復対策を講じ、セイフティネットを整備すべきだ」などの発言を見れば、企業の社会責任を考えてるいる経営者はきわめて少ないような気がします。
丹羽さんは今後の景気回復について、内需拡大が言われているが、少子化のために国内市場の成長は望めないこと、今までの米国一辺倒でなくて中国・インドなどのアジアの市場を日本の国内市場と考えるべきだと言っていましたが大賛成です。
参照:中国の金融・経済の危機と日本
[企業経営者へ]
私は企業経営者は日本のために、
・(外国流のやり方の良い所を取り入れても)従来からの日本流の経営の良い所を忘れないこと
・かってのようなぶれない企業の理念をもつこと
・世の風潮に流されないこと
についてもう一度考えとて欲しいと思います。
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