普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

[静かな有事] 少子化…崩れる社会

2009-07-02 15:05:28 | 少子高齢化

 産経新聞に【静かな有事】少子化…崩れる社会 と言うショッキングなタイトルの報道を見ました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090630/plc0906302242020-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090701/plc0907012313016-n1.htm
・日本は世界で最も少子高齢化の進んだ国だ。国立社会保障・人口問題研究所が平成18年に公表した最も現実的な見通しでは、総人口は現在の約1億2770万人から、2055年には8993万人へと減る。50年もしないうちに3割もの日本人が日本列島から姿を消す。約100年後の2105年には4459万人にまで落ち込む。このままなら労働力不足で経済は縮小する。年金など社会システムへの影響も避けられない。われわれは「国家存亡の危機」に立たされている
・住民の過半数が65歳以上の自治体は「限界自治体」と呼ばれる。2005年は4カ所(0・2%)だったが、2035年には132カ所(7・3%)に達すると予測される。・人口の減り方はハイスピードだ。2017年以降は毎年50万人以上、30年後の2039年以降は毎年100万人以上減ると予測される。仙台市規模の街が毎年1つ消滅すると考えればよい。戦争でもこんな急激に減ることはないだろう。
・人口の減り具合を年齢別に見ると深刻さが際立つ。社会の支え手の生産年齢人口(15~64歳)は8442万人から4595万人、2263万人と50年ごとに半減していくのだ。
働き手が少なくなれば、あらゆる社会システムに支障が生じるだろう。国内消費は減少の一途をたどり、内需に依存する産業や中小企業等へ深刻な打撃を与える。
若者と高齢者の比率は2005年は「3対1」だが、2055年は「1・2対1」となる。
・税収不足で国や自治体の財政難は深刻化しよう。世代間の支え合いによる年金だけでなく、あらゆる社会システムにひずみが生じるだろう。当然、1人当たりの社会維持コストが膨らむ。若者が将来に希望を見いだせないのも当然だ。
・6月に発表された2008年の合計特殊出生率は1・37となり、過去最低だった2005年の1・26から3年連続で上昇した。反転理由は1つではないが、団塊ジュニア世代が30代後半に差し掛かり“駆け込み出産”したことも主要因だ。「第三次ベビーブームのはずが、少子化の波にのまれ微増に終わった」との指摘もある。
・一方、世界同時不況で若者の雇用が不安定な状況に逆戻りし、「子供を持つ余裕がない」という夫婦も増えている。出産期の女性が急速に減るため、出生率が多少上昇しても出生数は減り続ける。日本は縮小の坂を転げ続けるのか。社人研のデータは、900年後に日本人が消滅する事態をも予測している。
少子高齢化による影響が表れやすい社会保障も、楽観的な見通しのもとで制度設計がされてきた。厚生労働省は5年ごとに公的年金の財政再計算を行い必要に応じて制度を見直してきたが、再計算の前提として使われる数値は総じて甘めだった。
 前提の1つに「2025年時点の出生率」予測がある。1985年の計算では「2.09」で設定された。以後も「2.00」「1.80」「1.61」とされてきた。だが、実際の2008年の出生率は1.37。政府がいかに“非現実的”な予測をしてきたかが分かる。出生率予測は経済成長率など再計算の別条件にも影響する。結果として国民の年金不信を招いている。
7000万人いる年金加入者が、2000万人を割り込むすさまじい状況が待ち受けている
少子化を止めるか、人口減少時代に合った国づくりを急ぐのか。政府が目指す方向性はまだ定まっていない

[私の意見]
<面倒なことを全て先送りする政治家とその足を引っ張るマスコミ>
 最近の脳死移植が良い例ですが、十数年来からの問題が、世界が他国の人の移植を拒否し始めてやっと、衆議院で関連法案を可決したのに、まだ一年間の慎重?審議をしようとしている参議院。
 独立国としては当然の憲法改正、戦後以来の教育方針の見直し、米国依存の安全保障の見直し、自虐史観の見直し(良い所悪い所を公平に見た歴史の編纂)、戦後から変わらない公務員制度改革(最近やっと着手し始めた)などなど。

<当事者の意識の問題>
少子化問題解決で一番難しいのは、当事者である若い人達の意識の問題です。
・彼らは産経が指摘したような厳しい現状にも関わらず、子育てよりも自分の生活優先、自分たちの生活を楽しみたいと思っているようだ。(*注記)
戦後以来の教育の権利重視、義務・責任軽視の考えが浸透しているし、政府としても国民の責任と言うと直ぐに軍国主義と結びつけられて批判される。
 若い人達の日本と言う社会体制の維持に対する責任を問えないので、彼らの意識の変化を待つしかないこと。
(そう言う私でさえ戦時中の産めよ殖やせよのキャッチ・コピーには抵抗がありますが。)
・だから政府のやれることは保育所などの設備の増強とか、産婦人科医の増員とか、子供手当てなどの経済的な支援など環境を改善して、子育てより自分たちの生活を楽しみたいと思っている当事者がなんとかその気になって貰うのを待つしかない
 本来なら政治家が言えない国民の責任については、マスコミが報道するしかないのですが殆どと言うか全く触れられません。

<経済情勢の悪化>
・さらに問題を難しくしているのは、今の経済情勢で子供産み育てる余裕が無いことです
・ その対策として、企業の競争力強化と言う難しい問題を克服してでも、非正規社員でも結婚でき、子供も産めるほどの給与を上げるように政府も企業も頑張って貰うしかないと思いますが、基本的には当事者の考えかたの変化に待つしかないと思います。
・戦前派の私の経験から言えば、親や子供たちの一生を考えれば、貧乏人の子沢山の親や子供のほうが(つま当面の生活が苦しくても数人の子供を育てた方が)甘やかされて育った一人っ子やその親より幸福だと思うのですが、今までの豊かな暮らしで育った若い人達に、今更貧しい暮らしは考えられもしないと思います。
・こんなことを政治家が言えばその人気が落ちるので言えないのは判りますが、マスコミや批評家、作家などがは若い人達へ子供を持つこと意義やその楽しさなどについて何故書かなのでしょうか。

<教育の問題>
 それと経済的な問題に絡んで、少子化の問題なのは親の収入による学歴格差の問題です。
 これは普通に考えれば公立中・高校で私立や塾に行かないでも、能力と意志のある生徒に教師がそれ相当の学力を付けさせること、そしてその様な生徒に国が補助すればほぼ問題が解決するのは判り切ったことですが、問題は教育界にはびこっている悪平等主義過去の日教組と文部省の対立で強化された管理方式の固定化で教師の荷が遥かに増えていていることです。
 然しこれの問題は若い人達の意識の改革などと違って出来ない相談ではないようです。

<政府や政治家の責任>
それで政府や政治家がやらねばならぬことは、
・産経が指摘したように、(どの時点で)少子化を止めるか、人口減少時代に合った国づくりを急ぐのかの方向を定めること。
・少子化を止めるための若い人達(特に非正規社員)の給与の安定化、子供手当て、託児所の増設その他、育児休業など、例え貧乏でも意志と能力のある生徒を伸ばす制度の確立など、今までやって来た環境の整備を進めること。
・親の収入の格差が教育格差に繋がらないように教育制度の見直し。
 私はこれらへの政府や企業の投資は現在では一番前向きの投資と思うのですが。

<マスコミ、批評家、作家など責任>
・その主張する方向は違っても、若い人達やそれそれを取り巻く企業、地域の人達の考え方の啓発をすること、
だと思います。
(産経は少子化について政府の責任を問うだけでなく、もっと政府では出来ない前向きな提案を購読者にすべきだと思うのですが。)

 そのいずれもが言うことは易く、行うのは至難のことですが、これを逃げていては、産経の言う様に悪くすれば日本は先細りになる可能性もあり、良く考えねばならないと思います。
 

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。

政治ブログランキングへ

政治ブログへ 

*注記:少し資料が古いですが、13年に世田谷区が行った男女共同参画に関する区民意識・実態調査報告書による少子化の原因(複数回答)です。
・子育てよりも自分の生活優先 男性52% 女性の43%
・子育てより自分達の生活を楽しみたい 男性42.9% 女性 48.6%
・保育施設、育児休暇が整っていない 男性26.5% 女性 18.6%

(現在では経済的な理由が最大を占めているのかも知れません。)