[変わってきたテレビ]
<選挙中のテレビ報道>
「このテレビ可笑しくないの?」
小泉さんの郵政選挙のテレビを見ていた(テレビのニュース報道は欠かさず見ている)家内の発言です。
何しろ、少なくとも選挙中には各党に公平に報道すべきテレビが、その真っ最中と言うのに郵政改革賛成か否かを訴える小泉さん、その彼に熱狂的に手を振る小母さんたち、郵政改革に反対した人達へ派遣された刺客の動きの報道ばかり。
結果として小泉さん大勝に終わりました。
その選挙後のテレ朝の「スーパーモンニング」で赤江玉緒さんの先任の渡辺宜嗣さんが言った「私どもは小泉選挙報道の反省をしなければならない」言った言葉を今でも思い出します。
つまりテレビ界はその選挙中の報道の威力に気付いたのです。
そして安倍さんに変わっての参議院選挙での赤城さんの「絆創膏報道」。
選挙の真っ最中に絆創膏を貼った赤城さんに執拗にインタビューしていました。(普通に考えれば、赤城さんが絆創膏を貼ったくらいでインタビューして、その理由を問いただすなど、ニュース価値があるとは考えられないことです。)
つまり、テレビは赤城さん絆創膏報道で、彼の事務諸経費問題→同じ事務所経費の問題で自殺した元閣僚の事件を国民に思い出させ→安倍さんの「政治と金」の処理の甘さの問題を追求→安倍内閣に「暗いイメージ」を定着させたのです。(秘書の経理処理の誤りを追求して閣僚を自殺に追い込んだのは、同じように秘書がやった(と言っている)個人・故人献金で問題になっている鳩山さんが率いる民主党です。)
結果は安倍さんが大敗に終わりましたが、その大きな原因の一つは「絆創膏報道」がボディーブローのように効いたのだと思います。
(なお、私個人の反省ですが、この「絆創膏報道」の不思議さを見て余程ブログに書こうと思っていましたが、多くのブロガーの方達と同じように、選挙中だからと思って政治関係のエントリーを遠慮していました。しかしこれからは選挙中でも遠慮しないことにしました。)
<テレビのニュース報道の強化>
もう一つのテレビ界の動きはその放送のマンネリ化の脱出と収入の減少対策、経費節減のために、ニュース報道強化に大きく方向を変えて来たことです。
つまり、
特にに報道に力を入れているテレビ朝日の今日の番組を見ますと朝の8時から夜の12時までの間(900分)に注記のようなニュース報道番組があり、(私も驚いたのですが)コマーシャルの時間も含めて482分と全体の53%を占めています。
報道番組の強化は一般の人達に取って良いことですが、テレビ会社から見て次のようなメリットがあるような気がします。
・ドラマのようにギャラの高い人を使わなくても済む。(ニュース関連番組の出演者の顔ぶれを見て下さい。)
・一度収録したものを、同じ日にも、日を置いてからも何度も何度も使える→経費の削減(ドラマやバラエティーはその日に二度も使えない。)
・コメンテーターを使って自社の主張(目立つのは権力者は悪、弱者は正義の主張)を伝えることが出来る
結果として政治関係の報道に限って言えば、小泉選挙までとその以後のテレビのニュース報道の強化とその報道姿勢のあり方は大きく変わってきたようです。
そして今の状況は、政局に大きく影響する世論調査、その世論を創り出すマスコミ、特にテレビ、そのマスコミを利用しようとする政治家、そして政治の軽薄化だと思います。
[変わらない自民党の政治手法]
それに対して自民党の手法は昔から殆ど変わっていないようです。
・党内の有力者や族議員などが裏で内閣を動かす
・自民党が困った時は有力者が操縦しやすい(出来れば国民に人気のある)人を総裁→首相に選んで、リモートコントロールする(自民党政府の歴代首相の名前を見て下さい。なお小泉さんのときはまだ自民党の勢いがあったので、彼の様な異端者が首相になれたのだと思います。)
・その手段として福田さん擁立のときのように影で裏工作するか、自分の意見をマスコミに洩らす。
この手法の問題点は、何時も言うように、何を言っても何をしても政権が確実に転がり込んで来る、社会党が野党第一党と言う自民党に取って古き良き時代の考え方がまだ抜けないこと、マスコミとくにテレビの報道姿勢が大きく変わったのに対応仕切れていないこと思います。
そして一番テレビの鴨になったのは党内基盤の弱い麻生さんです。
・総裁選時の麻生さんの安倍さん裏切り報道(後でデマと判りましたがそれをマスコミに洩らしたのは自民党員?)
・麻生さん組閣前からの閣僚予定者の名前のジャジャ洩れ
・麻生さんの言い違えや、中川さんの朦朧記者会見の数えきれない程の繰り返し報道
・麻生さんの郵政改革反対発言に対して、自社内の資料を検索して総裁選挙のときの「自分が郵政改革を担当していた」と言う発言を探し出しまた繰り返し報道
・麻生さんの指示に対して裏で有力者や反対の族議員→麻生さんの発言の振れ
・そして最近の中川秀直さんなどのあからさまな麻生降ろし発言
何しろテレビとしては一度収録すれば、そして他にネタがなければ、後は経費も一銭も掛からず、繰り返し繰り返し放送できるのですから、自民党の混乱ほど有り難いものはないでしょう。
昨日の読売テレビの「ウェークアップ!ぷらす」では拓殖大学教授の森本敏さんから、今の自民党内の混乱を「みっともない」と一言で切り捨てられる有り様です。
自民党の人達は自分達の発言が繰り返し報道で何倍にも増幅され、それが内閣や自党の支持率の低下に繋がり、ことによったら自分自身の支持の低下に繋がるかも知れないことを認識すべきだと思います。
今のままでは、麻生降ろしや不規則発言をしている有力者の何人かは、次の衆院選で落選するかも知れません。
自民党は社会党でなくて民主党台頭の意味、マスコミ、特にテレビの報道姿勢の変化など昔と変わってきていることに留意し、その政治手法が今の世にあっているか否かを反省する余地があるような気がします。
私は、一旦総裁・首相を担いだら小異を捨てて大同につき、挙党一致して彼をささえ、不規則発言を控えるのが政党のあり方、特に非常時のあり方であり、今やらねばならぬのは、鳩山さんの政治資金の追求より、民主党をギャフンと言わせるような自民党のマニフェスト作成だ、と思うのですが、素人の甘い考えなのでしょうかね。
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