[米政府のビッグ・スリー支援]
米上下両院の民主党指導部は11日、米3大自動車メーカー支援法案を、来週再開する議会に提出する意向を表明した。
ペロシ下院議長(民主党)は声明で、「米経済に大きな影響を与える自動車産業の破綻(はたん)を防ぐため、議会とブッシュ政権は迅速に行動しなければならない」と述べ、7000億ドルの公的資金枠がある金融安定化法を活用し、支援法案をまとめる考えを示した。(読売新聞より)
米国米政府は既にエネルギー省を通じた250億ドルの低利融資枠を設けている。
これは工場設備の刷新と環境対応車の開発支援に使途が限定されるひも付き融資だ。
上記の米上下両院の民主党指導部の意向はオバマ新大統領の考え方を入れたもので、3社の紐付きの制約がない融資の希望に沿ったものだそうだ。
然し、主力となる低燃費車開発を怠ってきた米自動車業界に対する政府救済には、米国内でも異論が強いそうだ。
[米国の一国主義]
・環境対策に消極的な米国
日本と米国の自動車会社の07年度の税引き後利益は、トヨタ 1兆7000億円、ホンダ 6000億円、日産 5000億円に比べて、GM 3兆8000億円、フォード 2600億円、(クライスラー 非公表)と全く対照的な数字を示している。(1ドル=98円で計算)
この原因の一つはブッシュ政権のミス・リードだ。
その一つは「環境関係の強化は経済の停滞に繋がる」として消極姿勢を続けて来たことだ。
米国の自動車業界はそのために、燃費の良い環境に優しい車の開発を怠ってきたのが、日本の自動車から大きく遅れをとった原因だ。
ブッシュさんは多くの国が賛成している京都議定書始め数々の会議毎に、環境関係の規制に反対し続けてきた。
洞爺湖サミットになってやや積極的な姿勢を見せたが、その前回のインドネシアのバリ島会議まで各国の賛成の中で米国だけが消極的だった。
この米国政府の姿勢が同国の自動車業界の今日の結果を招いてしまったのだ。
・米国のイスラエル支援
国連ではイスラエルの非人道的な行為に何度も非難決議をしたが、その都度米国の拒否権にあった。
それがアラブの人達に無力感をもたらした。
それに加えて、米国は勢力拡大政策によりアラブ各国の米軍基地を配備してきた。
そしてこれらに反対するイスラム過激派の9/11を始めとするテロ攻撃を活発化させた。
その結果テロ攻撃は、米軍のイラクの侵攻の対抗手段として、有効なことが明らかになり、世界に拡散してしまった。
・米国のイラク侵攻
ブッシュさんは、9/11は米国への挑戦とし、イラクに出兵した。
その表向きの理由?は、
イラクは大量破壊兵器の保有を過去公言し、かつ現在もその保有の可能性が世界の安保環境を脅かしている
度重なる国連査察の妨害により、湾岸戦争の停戦決議である国連安保理決議687が破られている
国連安保理決議1154で「今後のいかなる安保理決議違反も、イラクにとって最も厳しい結果を招く。」という、湾岸戦争停戦協定(上記687)破棄条件の決議、つまり最終警告決議がされていた。(Wikipedia より)
と言うことになっている。
事実は後になって判った事だが大量破壊兵器などはなかった。
詰まり国連決議は実行されていたが、イラクのフセイン大統領はこの報告を怠っていただけ言うとになる。
もし米国が欧州連合、中国、ロシアや国連のアナン事務総長などの反対にもう少し配慮していたら、今のような泥沼状態に落ち込むことは無かったと思う。
[これらの米国の姿勢に対する日本の態度]
・環境問題に関しては、京都会議から洞爺湖サミット迄、環境問題のリーダー的な地位にあった日本が、日本政府は米国の消極姿勢について一定の理解を示し、そのために世界に対する影響力が減少または無くしてしまった。
・イスラエルのパレスティナに対する非人道的な態度に国連の非難決議の時も日本はこれと言って発言したことは聞いた事が無い。
・米国のイラク侵攻までの米国の動きに対して、歴代の日本の首相は理解を示して来た。
私は米国の態度に理解を示すさいに日本の平和主義の立場から、もう少し話し合いをすべきだの前置きが欲しかったと思う。
小泉さんは野党の反対を押し切ってイラクへ自衛隊の派遣までした。
その内マスコミが非難した給水活動は軍事行為とは言えないが、マスコミが余り非難しなかった自衛隊機による米国の軍事物資の輸送は明らかに戦争行為だ。
日本は米国と同盟関係を持っている。
本来プライドがある日本なら、環境問題、イスラエル問題、イラク侵攻の問題が起こった都度、例え相手に受け入れられなくても米国に注文すべきだった。
米国もオバマさんが大統領になれば、対話路線を進めるそうだし、今の米国の世界的地位と、信頼性の低下を考えれば、そうせざるを得ないだろう。
然しそれが永久に続くと言う保証はない。
日本は今までの米国追随一本槍から脱却して、多くの世界の国が米国の方針に反対しており、その反対論が正しいと思う時は、積極的に米国にアドバイスをすべきだと思う。
小沢さんの国連中心主義で国連が決定すれば派兵も辞さない考え論外だが、国連や世界的な環境会議の決めたことについて、憲法の制約など日本側に余程の問題が無い限りそれを護るのが世界民主主義の基本だと思う。
(*注記)
その意味では日本自身は多分その方針で行くと思うが、日本の同盟国であり、落ちかかっているとは言え世界になお大きな影響力を持つ米国が道を誤らないように、そしてそれが日本に対して不利になるような影響が考えられるときは、積極的に米国にアドバイスするのも日本政府の責任だと思う。
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*注記:グローバル的な民主主義
私は06年の6月にエントリーした中東の紛争や戦争から学んだもの(1)[米国の民主主義とは]で
世界のグローバル化、民主主義化を進めている米国が改めて、民主主義のクローバル化推進のリーダーとして、今後たとえ気にいらない議案でも、民主主義の原則に基づいて最終的には国連での多数意見に従うようにすれば、今までの経験してきた世界情勢よりもっと良い方向(米国にとっても、国連にとっても、世界にとっても、日本にとっても)に進んでいくのではないでしょうか。
と書いた。
然しそう言う日本も「満州の権益は認めるが軍隊の撤退すべし」というリットン報告書が採択されて国際連盟を脱退した苦い過去がある。
あの時、報告書の言う通り、満州の権益を確保しておれば、そして関東軍の横暴を止めておれば、あるいは第二次世界大戦の敗戦に繋がらなかったかもしれない。