秋の味覚”むかご”ご飯をいただいた

　 元気だ元気だと思っていた昨年までは、時間の許す限り山歩きを楽しんでいた。家から歩いて約１０㌔のところに立つ、標高６５０㍍の金峰山にはよく登った。

　頂上からの眺望は素晴らしい。東には白い噴煙立ち昇る雄大な阿蘇山。それを取り巻く壁のような外輪山。熊本の市街地、熊本城は真下に見える。西は有明海。海がとても美しい。眼前の雲仙岳や平成新山には手が届きそうだといつも思う。

　ピーナツを手の平に乗せ、頂上の展望台に立つと、”やまがら”が飛んで来てそれをついばむ。１年で１００回以上も昇ったこともある。

　味覚の秋の山歩きはとても楽しかった。あけびやむかごを沢山取った。あけびはその場でいただくが、むかごは家でご飯に入れた。


　今の子供はむかごなど山の幸をしらないようだ。山の中でむかごを探していたとき、通りかかった小学生に「それはなにですか、なににされるのですか」と聞かれたことがある。むかごだよ、そのままでも食べられるが、むかごご飯はとても美味しいよと話したことがある。



　残念だが、心なくも今年は山に行けなかった。
　十二指腸潰瘍の下血で貧血を起こし、十日余の入院生活を送ることとなったためだ。入院中には２回の内視鏡検査を受け、点滴のチューブははずれない。食事は３分粥だけ。思わぬ食事制限にへきへき。幸い症状が軽く思ったより早く退院ができた。退院の夜も家ではおかゆを食べた。

　翌日、妻が買い物に行き珍しい物があったという。夕食に出てきたのは、少し柔らかめに炊き上ったむかごご飯。

　秋の味覚むかごご飯。思いがけず今年も頂くことができました。おいしかったよ。妻の心遣い。ありがとう。
　どうも妻は、秋の味を味あわせようとむかごを探して何軒も店を回ったようだ。