波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

一言多いですが【…の付録】

2012年12月06日 | 日記・エッセイ・コラム

Photo_2月30日の道新朝刊、香山リカ氏の講演概略で考えさせられた。前に書いた「辛かった時…何の言葉もいらない、ただ横にいてくれるだけで息がつけた。この頃、ここらへんに、人生で一番大事なことがあるような気が…」と重なるからだ。

怖体験者へ、以前まで精神ケアの基本だった「さらけ出し」は有害という。阪神淡路大震災で「してほしくなかったこと、傷ついたこと」の1位に「分かったふりの同情の言葉や押しつけがましい言葉」、2位が「心の傷を新たに深めるような精神科医やカウンセラーの対応」だ。逆の1位が「そっとしておいて欲しい」だ。米Photo_3 国同時多発テロでも、3.11でも同じ結果が出ているという。 立男も「その通り」だと思う。間違っちゃいけないのは、「そっとしておく人間関係」があってこその「そっとしておく」ことだ。そっとしておくは、放っておくとは違う。孤独を求めているのとは違う。ここらの関係というか、頃合いが難しい。結局、日頃の人間関係、信頼関係なんだろうな。 

年刊の「きびしい時代を生きぬく力」(香山リカ氏・江川紹子氏との共著:岩波ブックレット)も、ここらのことを考えさせられる。病的なほど真面目にやっても「自己責任」を理由に転落させられる今の社会状況。バラバラな個を見せられるのは辛いが、問題の所在が明確になると少し明るくなるような気が。

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親友  №17

2012年12月05日 | 新聞掲載

  交際歴43年の親友がいる。ご飯も作ってくれるし、身体の心配もしてくれる。17 戸籍上は妻だが、人間関係では親友だ。1年前の今頃、無事に定年退職を迎えられそうな安堵感で、何気なく私たちの関係を話題にしたらそう断言された。そのどこが悪いという毅然とした態度で通告された。

 この親友は、生まれ変わったら樹になりたいと言う。あなたも好きにしたら、なんて言う。目立たず静かに暮らしたいそうだ。ふん、何てつまらない奴だ、苦労して美味しい実をつけても、自分は口にできないじゃないか。そう思った拍子に、私はその樹の樹液や実で生かされてきた虫か獣みたいな気がしてきた。ひしと樹にへばりついて雨露をしのぐ小さな姿が浮かんだ。
    先日、親友が、「飼っていたウナギが死んで家族で泣いたんだって。蒲焼きなんか食べられない家だね」と新聞を読みながら真面目な顔で言う。私はというと、退職記念でいただいたレトロな雰囲気の小さなラジオを、「ロケットラジオだってさ。ネーミングも昭和だ」なんて喜んでいた。よく見直すと、ウナギでなくウサギ、ロケットでなくポケットだった。なるほど、老後は目の衰えと早とちりから始まる。

 昔話は、「そして、お爺さんとお婆さんは仲良く暮らしましたとさ」で終わる。この2人が親友だと思うと何だか若々しく感じる。良いかもしれない、親友も。(12/4北海道新聞「朝の食卓」)

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この12月で2年目になるこのブログ、生活の一部になってきた。3日更新しないと少し気になり、5日ぐらいで落ち着かない。 そんな時、凡師さんが埋めてくれる(笑)

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