中学1年の時だ。どこかの王女様と米国の新聞記者の恋描く映画「ローマの休日」を見たのは。オードリヘップバーンに魅せられ、相手役のグレゴリーペックをうらやましく思った。ママヨさんに、「人生で初めて嫉妬した」と言ったら、「あのかわいそうなお話で、どこで嫉妬するの?」と笑われた。大物男性俳優演じる素敵な「大人」に対する衝撃だったのだろう。あんな大人になれるのかなあ、恋人とか出来るのかなあ…という漠然とした不安…ハリウッド版おとぎ話で。
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「冬のソナタ」は、ママヨさんの「何だかかわいいんだわ」の一言でTV放映の最初から見た。我が国初期の頃からのファンだ。番組終了までチェジューが主人公だと思っていた。韓国版おとぎ話のお姫様を。後で脇役のヨン様こそが主人公だと思っている方々が日本中にいることに驚いた。ママヨさんは、2人が主人公、それ以外どん な見方があるの?とまた笑われた。
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老後、ローマ型か冬ソナ型か、どちらの男性を目指したら良い?とママヨ姫に聞いてみた寒い日の休日。屋根の雪が上から落ちてこないかヒヤヒヤしながら軒下の除雪作業後をした後、熱い焙じ茶をすすり干し芋をあぶって食べていた時だ。 姫は「どっちのタイプでもないんだから、我が道にしたら」の助言。そうか…「我が道」というのがあったか…。
「花森安治 美しい『暮らし』の創始者」(河出書房新社)まさしく「我が道」を行く編集者について「読む本」。本人の文章、本人との対談、インタビュー、そして成し遂げられた仕事について。今の時代が花森安治を評価し、また評価されるべくして評価される花森安治という人間、を思う。言うべきことを形に表す、その卓越した技量と覚悟を。