救世主と家族の幸せ
本棚を整理していたら、母から貰った瀬尾まいこさんの『幸福な食卓』が出てきた。とても有名なのについ読まずに先延ばしにしていた本。ちょうど図書館は休館日だし他に読む本もなかったので、読むことにする。そして久しぶりにケイコ、頭が痛くなるほど泣いた。家族の話、人間ドラマ、ラブストーリー、青春譚、成長物語、とにかく全てが詰まっている。4人家族の誰もが私だと思え、誰もが私じゃないと思える。目に見えて崩壊していくのではなく、じんわりとだが確実に血を流し続けているような、そんな小さな傷をいくつも負ったような家族の姿が痛々しい。けれど、家族というものはそういうものなのかもしれない。そしてそれは、悪いものを生むばかりではない。家族のかたちをどう考えていくか、それはやはり家族の中でしか為しえないものなのだろう。でも、家族ばかりが自分の世界の中心ではない。外の世界があって、初めて家族に向き合えることもある。自分の世界を動かしてくれる存在が、救世主として現れることもある。
そんな救世主、小林ヨシコ。とにかくこの女性はすごい。登場時の印象は最悪だったのに、まさかヨシコにこんなに泣かされるとは思ってもみなかった。ともちゃんもいつかこういう人に出会えたらいい。でも最初の印象は最悪だろうなぁ。……まぁ、それも面白いか。ヨシコの良さを見極められる人間に、ケイコがなればいいのだ。