先月末の読書交流会から早1ヶ月。その時の記録を遅ればせながらUP。明後日は今月の読書交流会、何て時間が経つのは早いんだろう。子どもに比べ老人の時間感覚が早いのは感動が少ないからと、チコちゃんが言っていたが。では、参加者6名(内1名はメール参加)の読書と交流の紹介。
MS(女) マンガ『子どもはわかってあげない 上下』(田島列島作:講談社)、マンガは読まないのに、全体がほのぼのした話で楽しく読めた★5。『棚から哲学』(土屋賢治著:文藝春秋社)、学生と仲良い著者(大学の先生)は、自分を客観的に見ながら自分が好き(笑)、自虐でポジティブでポジティブって良いなあ(笑)、印象的だったのは「人間は満たされないより欲望が消えてしまうのを恐れている」という言葉で、例としてタヒチは旅行は行きたいが住みたいとは思わない、★5。
ママヨ 『鹿の王 水底の橋』(上橋菜穂子著:KADOKAWA)、王族支配の社会に持ち込まれる病原菌と闘う医師、宗教と科学と政治の争い、身分上の制約で一緒になれない男女、2月から読み始め時間が出来たら読んでいた、世界的な文学だが階級制が気になって・・・★4。『千と千尋の神隠しの謎』(Tako Studio著:王様文庫)、このアニメは宮崎アニメはここぐらいまでかなと思った作品。家に長くあったのにアニメの解説本を初めて読んだ。湯屋の歴史など教養があればもっとアニメを楽しめたと思った。
KK(女) 『あなたの獣』(井上荒野著:角川文庫)、この著者の本を1年間読んでいるが、1人の男性が1人の女性にこだわり続ける話はあまり響かなかった★3.5。『論理と感性は相反しない』(山崎ナオコーラ著:講談社)、2人の女性をメインに男の人との新しい形の暮らし方、「性」ではなく「人間」としての結びつき★4。『マウス』(村田沙也加著:講談社)、『コンビニ人間』の傾向で誰でも読める、小5の女子グループにいる私、なぜ他者の作っている世界に入らなければならないのか、なぜ私の性格を許されなければならないの、子ども時代から今日までの自分自身のことがここに★5。
SN(女) 『ひとり舞台』(山本太郎著:筑摩文庫)、アーティストとして現実社会に声を上げ原発に反対、母子家庭で自立した人間にと育てられ夏休み中に発展途上国で生活体験、政治家として闘う原点と軌跡を描く★5。『Mr、マリック超魔術の嘘』(ゆうむはじめ著:データーハウス)、種明かしは面白いが★2。『殺人出産』(村田沙也加著:講談社)、殺人よりもその背景に興味が、最後が気持ち悪かった、何を伝えたいのかが分からない★2。
腹ペコ 葦原大介『ワールドトリガー』(葦原大介作:集英社)、ずっと待っていた最新刊(22巻)が6月に出版され、その勢いで1巻から読み直した。最近自分が好んで読む本は、成長とか発達とか、そんなところにテーマがあるように感じていて、この本もその中の1冊。自分の弱さと向き合い、他者とのつながりの中でそれを「強さ」に変えていくところが好き。今一番おすすめしたいマンガのため★5。内田樹・内田るん『待場の親子論』(内田樹・内田るん著:中央公論新社)、父と娘の往復書簡という形式で進んでいく。お互いに同じ出来事を経験していても、その経験の記憶の仕方がこうも違うのか、でもそういうものだよな、と、そんなことを考えた★4。『ポスト・コロナショックの学校で教師が考えておきたいこと』(内田良他24人:東洋館出版社)、コロナショックを受けて学校や教育の意味を問い直そう、というものが増えてきている中、緊急出版された本ということで購入。まだパラパラと読んだところだけれど、再開した学校で子どもにどう寄り添うか、やはりまずは「子どもの声を聞く」だと思う。読み進めるのはこれからなので★3。
波風立男 随筆集『人はどこまでいけるか』(野見山暁治著:平凡社)、『山口薫詩画集』(九龍堂)は既に本ブログの「絵を描く 文書家」と「絵を描く 詩人」で紹介済み、両方とも★5。村田沙也加著『地球聖人』は全体の雰囲気は中途まで『コンビニ人間』に似ていると思って読んでいたが、だんだん異様に明るく凄惨なただごとでない日常に変わり唖然。自分の存在感覚と他者の見え方をどぎまぎしながら読み気持ちが悪くなったので★3.5。だが、ケイコさんの読み方で「そういう読み方があるのか」と思った。このドギマギさは、大江健三郎の初期作品を思い出させる。
【意見交流/村田沙也加をどう読むか】1年前の『コンビニ人間』の交流以来、村田作品を読む方が急増。しかし異様な設定にとまどう者続出。KKさんの適切な意見で一同「なるほど、そういう読み方があるのか」、ここらへんも読書交流の醍醐味。
村田沙也加著『マウス』からのお題で「私とグループの関係」を交流してみた。「いやだけど仕方ない関係」(ママヨ)、「中高時代よりも文句も言える大人になってからのほうが楽。他者に認められるように性格を作れるわけがない」(MS)、「小さい頃の一人で行動が普通。来る者拒まず去る者追わず」(SN)、「グループに属せず一人でいるのは怖かった、自分の性格がわからない、他者をたえず意識して性格表現し無ければ安心して生きてこれなかった」(KK)、「集団と個人(他者と自分)の関係は『教育』の根本問題。そして老後の自立生活を考える鍵、自分の性格や影響は自分ではわからないもので老いるほど頑固になり注意してくれなくなる」(波風)。
今月の読書交流会『ほんのおつきあい』を、7月26日(日)14:00~波風食堂で開催します。交流は3冊まで、参加費200円(100円は珈琲代+100円は子ども食堂支援)。準備の都合もあり参加希望の方は前日までにご連絡ください(→ namikazetateo@gmail.com)