この国の首相辞任のニュースを不思議な気持ちで聞いた。「白けた」気分7割、虚しさ3割。このリーダーの言葉を思い出そうとしたが、意味なく多用する「いわゆる」とか「そもそも」のような修飾語しか浮かばない。良し悪し別にして心に残る言葉が一つも思い出せない。強行採決法案すぐに思い出せても庶民に寄り沿った政治結果は全然浮かばない。
この最長政権のリーダーは、繰り返し「責任」を唱えながら全く何もせず、大げさで空疎な「今までに例の無い」「いまだかつてない」のような事実と乖離した言葉をコロナの危機的状況下でも使う。その果ての2度目の政権投げ出し。何なんだこの方は?
政治家の命は言葉だと言う。庶民と政治家との信頼関係の鍵がそれだ、民主々義の本質は真実の言葉だ。その場限りの耳障りの良い言葉やインパクトが強いだけの言葉は、政治に対するあきらめを生んだ。感銘するに遠い官僚の書いた作文もそれに貢献した。
空疎な言葉の影響は深刻だ。任期途中のリーダー辞任は大きなニュースのはずだがそういう感じがあまりしない。希な自分の言葉で述べた辞任会見の言葉も重みを感じさせない。そして、次のリーダーに期待できない感じは、政治の言葉を信頼できなくなってしまったからだろう。最低からさらに最低になるのは勘弁して欲しい。政治家への期待はただ一つ、聞く耳を持ち、心のこもった言葉による政治信頼だ。
先々週に読んだ『ほんとうのリーダーのみつけかた』(岩波書店:梨木香歩著)を、首相辞任のニュース聞いた後で所々開いて読みこのブログを書いた。