葬儀があり床屋に行った。髪を切ってもらいながら、「美術の時間に作ったハンコをすごくほめてもらった」、「あのハンコをもう一度見たい」という話になった。ほめられたのが今は店主で昔は教え子、ほめたのが30代の波風氏。色紙に武者小路実篤風の野菜や果物を描かせ、サインに捺印する石印を彫らせた。妙味は握りで、中3ぐらいになると中々達者、10㎝にも満たない石材の中に球を彫りこんでカラカラ音を出したり、ぐんにゃり捻じれたような面白いのもあった。
その中で、普段なら隣と話したりして少しうるさい子が真剣にやっていた。小さな子が石を持つデザインで持ち上げた印面に氏、逆立ちさせるとそれまで立っていた石に名が彫られていた。これにも驚いたが、子どもの造形が可愛らしく小さいながら堂々としていた。少しやんちゃな子どもで担任に時々叱られていたが、心根の優しさと手先の器用さ、集中力を感じた。この石印、後輩の参考作品にと頼んで彼からもらった。
あれから30数年、彼は羽でなでるように髭をそり(波風氏は1回でもチクリと痛い思いをさせられたら2度とその店には行かない)、年寄り臭くない髪型にしてくれる😄。そういうもんなんだなあ、彼は神経が細やかでイメージを形にできる人なのだ。昔話をきっかけに、波風氏は数少ない宝物を作者に返す。自分の作品をもう一度見たいという、こんな授業の話を聞くと教師をやっていてよかったなあと思う。
5月末と言うのに日中で10℃もない日が続く。少しやきもきするが日記を見ると毎年こんなもの。そういえば、うちのは人より遅れて実り人より遅れて枯れるんだった 車体塗装を吹聴していたら「教えて下さい」という依頼2件。「失敗しても自己責任」をしつこく確認してから手助けしよう画像は前後の姿。逆立ち姿は想像してください。持ち上げた力の入り方、手の平の形が秀逸。