波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

第22回『ほんのおつきあい』全記録

2020年11月01日 | 読書

遅れましたが9月27日開催の読書交流会記録。あの頃は、朝顔も元気よく咲いていました。冬が来るのだなあと腹を固めたのは2日前の冬タイヤ交換の時。花畑はすべて片付け、半年後の楽しみを待つ日々に入ります。

MM(女) 不倫もの2冊(笑)で、『風の盆恋歌』(高橋治著:新潮文庫)と『命』(柳美里著:小学館)。前者では不倫同士が一緒に死のうとする話だが残された配偶者はどうなるの?男の奥さんの立場で読み、男も嫌だが自分のことしか考えない女はもっと嫌。小説自体は美しく書いてあるので★4。後者は自伝小説、身近にいたら迷惑な嫌な奴。不倫はそんなに苦しくてそこまで好きになれるのかと思った★3。

 

KK(女) 『ウェハースの椅子』(江國香織著:新潮社)、お洒落な世界観で大人のおとぎ話、不倫の罪悪感をぼやかせ美味しいところをつまんで食べさせてくれながら孤独と絶望に★4。『神様のボート』(江國香織著:新潮社)、この作家の一番好きな作品、不倫相手の子どもを妊娠し「あの人のいない場所にはいられない」と引っ越しを繰り返すママに対して違和感を持つ娘。最後で涙が止まらない★5。『真昼なのに暗い部屋』(江國香織著:講談社)、不倫に正対する小説、完璧な奥さんと大学の先生のジョーンズさんは気づくと心は少しづつ傾いていた★5。

SN(女) 『安部官邸 VS. NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(相澤冬樹著:文藝春秋)、「森友事件」を追い続け異動を命じられたNHK記者。圧力と葛藤の中でNHKの内実、マスコミのあり方を描き、未だ私たちに一生懸命真実を届けようとしている記者がいることも教えてくれる★5。私は真実が知りたい』(赤木雅子 相沢冬樹著:文藝春秋)、森友事件で公文書改ざんを命じられ2018年3月に自ら命を絶った赤木俊夫さん(享年54)、奥さんの提訴と手記公開、ジャーナリスト相澤冬樹氏の同時進行ドキュメント★5。『思考停止という病』(苫米地英人著: KADOKAWA)、教育や会社で自分の頭で考えない日本人が増えている、自分で考える人は自ら実践し結果を作るが、考えない人は何度も同じ過ちに陥る、教育や会社が考えない人を育て、権力者はそういう人間が好きだ★4。

ママヨ 『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著:新潮文庫)★5、『裏梨木香歩著:新潮社)★4。『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(梨木香歩著:理論社)★5、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』と対になっている。この作者を読む理由の1つは、『庭』がキーワードで植物の名前が出てくること、もう一つは思春期を超えた若い人が傷つきながら再生していくこと。「死」を考えるかで「生」について考えさせられる。『役に立たない日』(佐野洋子著:朝日文庫)、今まで世相風刺が面白くて読みこれが最後のエッセー、自分と同じ年齢だと知る★5。

 

波風 漫画『坊ちゃんの時代』(谷口ジロー画・関川夏央:双葉文庫全4巻)、明治の大作家たちを虚実ない交ぜにして「こういうことがあったかも」という話は人物が小粒にされ過ぎた感じで興味をそそらなかったが明治という時代の空気は感じ、夢想を絵にした谷口ジローの凄さを実感して★4。近藤よう子作『ルームメイツ』(全4巻)、『見晴らしが丘にて』とその30年後描く『見晴らしが丘にて それから』、通販生活の折り込みで読み「暮らしの中の悲哀をこんなふうに漫画で表現できるんだ」と思った作家、昭和的な絵柄で一見穏やかだが人間の深い業を感じさせる。神がかり的な話を多く描くようになるのがわかる気がする★4。


『不倫』描く小説が多く交流され、『不倫』話題にして盛り上がる(笑)。本を通じてならどんな話題でも話が出来ることを知る。近日中に、10月末開催の読書交流記録をUPしたい。今週~来週は秋の読書週間 WILD WOXさんの写真に立ち止まるのは『物語』があるから。詩を感じる絵に魅力があるのと同じかな。

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