5月に入り、いい陽気になりました。東京では先日夏日になったとか。当地は桜の花びらが舞う風が心地よい気候です。桃の花が咲き、サクランボの白い花も咲き始めました。果樹園は今が見頃です。
先日のピアノ協奏曲第3番がきっかけで、最近ベートーヴェンを取り出して聞く機会が増えました。いつもは若いベートーヴェンの音楽を好んで聞いているのですが、今日は中期の充実した音楽を。交響曲第6番「田園」です。この有名な曲は、私のささやかなコレクションでも、いつのまにか複数点が集まってしまいました。
最初に全曲を聞いたのは、たぶん高校時代、友人宅でしょうか。カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団によるエンジェル盤。たしか、赤い塩化ビニルのLPだったと思います。自分で購入したのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏するLP全集。大学生の頃に、アルバイトをしてようやく入手したものだけに、ほんとによく聞きました。面白いことに、この全集にはニューヨーク・フィルを指揮した同じ「田園」のモノラル盤がボーナス・レコードとして添付されており、演奏比較ができるようになっておりました。内容的には断然クリーヴランド管とのステレオ録音の方が素晴しいと思いました。現在はデジタルリマスター版輸入CDをおもに聞いていますが、LPはとても捨てられません。
演奏面では、金管楽器も気合いの入った鳴りっぷりです。セルの演奏はしばしばトランペットを強く強調します。時には他の金管楽器で裏打ちさせることもあったとのこと。このあたりが、まろやかな夢幻的な響きを大切にする方には受け入れにくい理由かもしれません。「セルの運命交響曲の素晴らしさはわかるが、あのトランペットだけはどうもね」とおっしゃる方も、第四楽章の嵐の場面では威嚇的な響きを納得できるのでは。最後の第五楽章は堂々としたテンポで、田舎に到着したばかりの第一楽章の快速うきうきリズムとは違います。田舎の生活になれて、万事ゆったりとしてくるのでしょうか。
録音は1962年1月20~21日、クリーヴランドのセヴェランス・ホールにて。デジタル・リマスタリングのプロデューサーは、ハワード・スコットです。
CD時代になり、珍しくレギュラー・プライス盤を購入したアバド指揮ウィーンフィルの録音も、クリムトの絵を配した世紀末風のデザインと共に印象深いものです。演奏の点では第一楽章に特徴があり、アレグロ・マ・ノン・トロッポという指示はあるものの、実にゆったりとしたテンポです。ところが、後半になると次第にスピードアップしてきます。セルの演奏とは好対照です。
録音はこの中では一番新しく、1986年9月、ウィーンのムジークフェラインザールにてデジタル録音されています。
スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏も、比較的ゆったりとしたテンポで、気持ちよく聞くことができます。通勤時は、もっぱらこの演奏で楽しんでいます。DENON My Classic Gallery シリーズ中の1枚で、GES-9213 という型番、1980年7月7~9日、壁崩壊前の東ベルリンにおけるデジタル録音です。
参考までに、演奏データを示します。
■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管 (SONY SBK-46532)
I=9'53" II=11'52" III=5'34" IV=3'48" V=10'17" total=41'24"
■クラウディオ・アバド指揮ウィーンフィル (DG F32G-20206)
I=13'24" II=12'25" III=5'31" IV=3'36" V=9'19" total=44'15"
■オトマール・スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ(GES-9213)
I=12'21" II=12'14" III+IV+V=19'01" total=43'36"
先日のピアノ協奏曲第3番がきっかけで、最近ベートーヴェンを取り出して聞く機会が増えました。いつもは若いベートーヴェンの音楽を好んで聞いているのですが、今日は中期の充実した音楽を。交響曲第6番「田園」です。この有名な曲は、私のささやかなコレクションでも、いつのまにか複数点が集まってしまいました。
最初に全曲を聞いたのは、たぶん高校時代、友人宅でしょうか。カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団によるエンジェル盤。たしか、赤い塩化ビニルのLPだったと思います。自分で購入したのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏するLP全集。大学生の頃に、アルバイトをしてようやく入手したものだけに、ほんとによく聞きました。面白いことに、この全集にはニューヨーク・フィルを指揮した同じ「田園」のモノラル盤がボーナス・レコードとして添付されており、演奏比較ができるようになっておりました。内容的には断然クリーヴランド管とのステレオ録音の方が素晴しいと思いました。現在はデジタルリマスター版輸入CDをおもに聞いていますが、LPはとても捨てられません。
演奏面では、金管楽器も気合いの入った鳴りっぷりです。セルの演奏はしばしばトランペットを強く強調します。時には他の金管楽器で裏打ちさせることもあったとのこと。このあたりが、まろやかな夢幻的な響きを大切にする方には受け入れにくい理由かもしれません。「セルの運命交響曲の素晴らしさはわかるが、あのトランペットだけはどうもね」とおっしゃる方も、第四楽章の嵐の場面では威嚇的な響きを納得できるのでは。最後の第五楽章は堂々としたテンポで、田舎に到着したばかりの第一楽章の快速うきうきリズムとは違います。田舎の生活になれて、万事ゆったりとしてくるのでしょうか。
録音は1962年1月20~21日、クリーヴランドのセヴェランス・ホールにて。デジタル・リマスタリングのプロデューサーは、ハワード・スコットです。
CD時代になり、珍しくレギュラー・プライス盤を購入したアバド指揮ウィーンフィルの録音も、クリムトの絵を配した世紀末風のデザインと共に印象深いものです。演奏の点では第一楽章に特徴があり、アレグロ・マ・ノン・トロッポという指示はあるものの、実にゆったりとしたテンポです。ところが、後半になると次第にスピードアップしてきます。セルの演奏とは好対照です。
録音はこの中では一番新しく、1986年9月、ウィーンのムジークフェラインザールにてデジタル録音されています。
スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏も、比較的ゆったりとしたテンポで、気持ちよく聞くことができます。通勤時は、もっぱらこの演奏で楽しんでいます。DENON My Classic Gallery シリーズ中の1枚で、GES-9213 という型番、1980年7月7~9日、壁崩壊前の東ベルリンにおけるデジタル録音です。
参考までに、演奏データを示します。
■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管 (SONY SBK-46532)
I=9'53" II=11'52" III=5'34" IV=3'48" V=10'17" total=41'24"
■クラウディオ・アバド指揮ウィーンフィル (DG F32G-20206)
I=13'24" II=12'25" III=5'31" IV=3'36" V=9'19" total=44'15"
■オトマール・スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ(GES-9213)
I=12'21" II=12'14" III+IV+V=19'01" total=43'36"