電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

アル・ゴア『不都合な真実』を読む

2010年02月06日 06時22分29秒 | -ノンフィクション
かつて、クリントン政権時代に副大統領だったアル・ゴア氏にノーベル平和賞というニュースに接したとき、世間知らずの当方は、正直きょとんとしました。同時に受賞した IPCC という英四文字の機関にいたっては、なんじゃそりゃ?という状態でした。地球温暖化という語は知っていましたが、身近なローカル気候にそれほどの変化を感じていないこともあて、いたってのんきにかまえておりました。

さすがに IPCC が国連の気候変動に関する政府間パネルの略称であること、その第四次報告書が、ノーベル平和賞受賞の根拠となったことなどは、その後の報道で知ることとなりましたが、ジャーナリズムや出版界における懐疑論の影響などもあって、ほんとうに近年まで無関心でありました。

ところが、IPCC の第四次報告書の第5章「海」の執筆者が、本県出身であり知人でもある某氏であることを知り、また同氏の講演などを聴いて、認識をあらためることとなりました。氏の話によれば、IPCC というのは、世界中の科学者が集まっている組織であるために、けっこう保守的なのだそうです。氏が執筆した第5章「海」の原稿は、世界中の専門の科学者に事前に査読を依頼し、数百のコメントをもらったそうです。そして、その一つ一つについて、データの裏付けをとり、統計的な確からしさが95%というレベルにしているとのこと。したがって、いろいろ部分的な疑問が出されたとしても、根本的な結論は揺るがないそうです。

なるほどそういうものかと認識不足を自覚し、著名な本書を手にして、昨年の暮れから一ヶ月かかって、じっくりと読んでみました。いや、興味深い内容でした。ゴア氏が大学生時代、ロジャー・レヴェル教授の下で学んだ個人的な記憶や、家庭的な事情なども織りまぜながら、米国民に「不都合な真実」を知らせたいとする主張が、よく理解できました。と同時に、これは米国の石油メジャーにとってはまさに禁書だろうなあと思いましたし、クリントン後を決める大統領選で、ゴア対ブッシュがなぜあれだけの大接戦を演じたのか、また 9.11 後にアフガニスタンからイラクへ、唐突に鉾先を転じたのか、まるで国際政治小説を絵に描いたようなできごとの連続に、ビックリしてしまった次第。

まあ、当方は人畜無害の世間知らずですので、声高に天下を論ずることは似合いませんし、もともと省エネルギー、省資源志向はしみついておりますので、従来どおり地産地消のささやかな生活を営みながら、「不都合な真実」にも目をむけていきたいものだと思っております(^o^)/
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