山形弦楽四重奏団第34回定期演奏会、休憩後に、プロコフィエフの弦楽四重奏曲第1番が始まります。これは、今朝の記事「山形弦楽四重奏団第34回定期演奏会を聴く(1)」の続きです。
第1楽章:アレグロ。モダニズム~新古典主義時代のプロコフィエフにしては、強烈なたたきつけるような音楽ではありません。でも、神秘的な感じはよく出ています。意表をつく跳躍、すぱっと鋭角的な変化は、やっぱりプロコフィエフです。
第2楽章:アンダンテ~ヴィヴァーチェ。始まりはヴィオラとチェロから。ヴァイオリンが入り、緊張感のあるゆっくりした音楽になります。やがてテンポが速くなり、動きのある音楽に。不安感や焦燥感を感じさせる中に、チェロのピツィカートが実にタイミング良く入ります。このリズム感も、プロコフィエフのもので、ヴィオラの旋律が魅力的です。
第3楽章:アンダンテ。懐かしさを感じさせるロシアの子守歌のような旋律から。プロコフィエフらしい抒情性です。硬質の抒情。この楽章は、後年のプロコフィエフを思わせるものがあります。
作曲されたのは、1931年、米国議会図書館からの委嘱によって、とありますので、1891年生まれのプロコフィエフはちょうど40歳、不惑とはいうものの、不安定な惑いの時期だったのでしょう。わがままいっぱいに育った10代を経て、20代半ばで祖国を出て、40代半ばまで米国やヨーロッパで暮らし、作曲では認められつつ、演奏家としては必ずしも成功していない。このまま自分は年老いていくのだろうかという焦りや漂泊感が、政治体制の変化で不安もあるが懐かしくもある故国ロシアへの帰還という願望とないまぜになり、帰るに帰れなかったマルティヌーにも通じる、悩み、悲嘆や切迫感を出しているのかもしれません。
アンコールは、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76-1から、メヌエットを。あ~、やっぱりハイドンはいいなあ。カルテットの原点だなあ。当方、今回は事前予習なし。ぶっつけ本番でした。おかげで、音楽の外形だけ、上っ面をなでただけに終わってしまいましたが、それでもプロコフィエフの弦楽四重奏曲などに、あらためて興味を持ちました。これは、後でCDでじっくり聴いてみなければ!
また、今回のプログラムは、ハイドンを除けばきわめてマニアックな、近現代中心のものでした。プロコフィエフ好きの当方はともかくとして、この冬空の下、お客さんが入るのかなと心配しましたが、トップの写真のように、なんと約80名の来場者でした。これは、固定客数と見ていいでしょう。山形市の人口は20万人、周辺人口をあわせてもたかだか30万人程度の地方都市で、近現代中心の室内楽演奏会に80人の聴衆が毎回集まる。これは、演奏家と聴衆の両方の幸福な関係がなければ不可能なことです。室内楽専門の音楽ジャーナリスト、やくぺん先生(*)の言い方をちょいと真似るならば、「すごいぞ、山形!」なのかもしれません。
そして、次回の第35回定期演奏会は、なんと、チラシもカラー印刷です!
プログラムは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番、尾崎宗吉「小弦楽四重奏曲Op.1」、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.74-2、4月20日(火)、18:45~、文翔館議場ホール、です。これもまた、楽しみです。
(*):やくぺん先生うわの空~音楽ジャーナリスト渡辺和さんのブログ
第1楽章:アレグロ。モダニズム~新古典主義時代のプロコフィエフにしては、強烈なたたきつけるような音楽ではありません。でも、神秘的な感じはよく出ています。意表をつく跳躍、すぱっと鋭角的な変化は、やっぱりプロコフィエフです。
第2楽章:アンダンテ~ヴィヴァーチェ。始まりはヴィオラとチェロから。ヴァイオリンが入り、緊張感のあるゆっくりした音楽になります。やがてテンポが速くなり、動きのある音楽に。不安感や焦燥感を感じさせる中に、チェロのピツィカートが実にタイミング良く入ります。このリズム感も、プロコフィエフのもので、ヴィオラの旋律が魅力的です。
第3楽章:アンダンテ。懐かしさを感じさせるロシアの子守歌のような旋律から。プロコフィエフらしい抒情性です。硬質の抒情。この楽章は、後年のプロコフィエフを思わせるものがあります。
作曲されたのは、1931年、米国議会図書館からの委嘱によって、とありますので、1891年生まれのプロコフィエフはちょうど40歳、不惑とはいうものの、不安定な惑いの時期だったのでしょう。わがままいっぱいに育った10代を経て、20代半ばで祖国を出て、40代半ばまで米国やヨーロッパで暮らし、作曲では認められつつ、演奏家としては必ずしも成功していない。このまま自分は年老いていくのだろうかという焦りや漂泊感が、政治体制の変化で不安もあるが懐かしくもある故国ロシアへの帰還という願望とないまぜになり、帰るに帰れなかったマルティヌーにも通じる、悩み、悲嘆や切迫感を出しているのかもしれません。
アンコールは、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76-1から、メヌエットを。あ~、やっぱりハイドンはいいなあ。カルテットの原点だなあ。当方、今回は事前予習なし。ぶっつけ本番でした。おかげで、音楽の外形だけ、上っ面をなでただけに終わってしまいましたが、それでもプロコフィエフの弦楽四重奏曲などに、あらためて興味を持ちました。これは、後でCDでじっくり聴いてみなければ!
また、今回のプログラムは、ハイドンを除けばきわめてマニアックな、近現代中心のものでした。プロコフィエフ好きの当方はともかくとして、この冬空の下、お客さんが入るのかなと心配しましたが、トップの写真のように、なんと約80名の来場者でした。これは、固定客数と見ていいでしょう。山形市の人口は20万人、周辺人口をあわせてもたかだか30万人程度の地方都市で、近現代中心の室内楽演奏会に80人の聴衆が毎回集まる。これは、演奏家と聴衆の両方の幸福な関係がなければ不可能なことです。室内楽専門の音楽ジャーナリスト、やくぺん先生(*)の言い方をちょいと真似るならば、「すごいぞ、山形!」なのかもしれません。
そして、次回の第35回定期演奏会は、なんと、チラシもカラー印刷です!
プログラムは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番、尾崎宗吉「小弦楽四重奏曲Op.1」、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.74-2、4月20日(火)、18:45~、文翔館議場ホール、です。これもまた、楽しみです。
(*):やくぺん先生うわの空~音楽ジャーナリスト渡辺和さんのブログ