電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」を聴く

2013年06月22日 06時04分38秒 | -オペラ・声楽
クラシック音楽のCDは、もともとあまり売れるものではないでしょうが、このところとみに売れ行きが悪いのだとか。行きつけのCDショップの棚は見るも無残な状態です。
そんな中で、某トミオカで、EMIの999円シリーズが目にとまりました。すでにパブリック・ドメインになっていそうな音源も少なからず含まれていて、なるほどシリーズ全体としては利益が出る設定になっているのだなと感心しつつ、いくつか魅力的なタイトルを見つけました。アンドルー・パロット指揮タヴァナー・コンソート及び同合唱団等による、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べのミサ曲」全曲と、「倫理的・宗教的な森」抜粋の二枚組です。

「聖母マリアの夕べの祈り」は、高校生の頃の妙な記憶があります。1970年前後の頃だと思いますが、朝の「バロック音楽の楽しみ」ではじめてこの曲を聴き、出だしのグレゴリオ聖歌と次の「レスポンソリウム」に心をつかまれて学校に行きました。たまたま音楽部の先生が、今年の合唱コンクールは何の曲で出ようかな、と雑談していたのに対し、私が「バロック音楽なんてどうですか」などと知ったかぶりをしたのです。どういうわけか、その年は、従来の「水のいのち/心の四季」路線からガラリと転換し、モンテヴェルディだか何かを歌ったらしいです。そうしたら、その年のゲスト審査員に、皆川達夫さんが加わっていて、かえって専門的にチェックされてしまったのだとか。偶然とはいえ、こわいものです(^o^)/

さて、このCDでは、全曲は二枚の盤に分けて収録されていますので、通勤の音楽には取り替えなければならず、むしろ自宅でPCに取り込み、二枚目の冒頭に収録されている長大な「マニフィカト」も含めて連続して聴くことができるようにした方が良さそうです。
この曲にはいろいろなアプローチがあるようですが、パロット盤はグレゴリオ聖歌~合唱とオーケストラによる詩篇~人声のない器楽曲のソナタやコンチェルト等を順次配列して構成されています。いわば、ミサに近い形で、ストイックで敬虔な祈りの音楽と、作曲者の表現意欲が強く現れた曲とを組み合わせています。たぶん、長男がローマ教皇都庁付属神学校の奨学生として入学を許可されることを願ってヴァチカンに送付したが、反発を受けて拒絶されたというエピソードも、個人の表現意欲がドラマティックな形で前面に出すぎていて反発を受けたのだろうと想像してしまいます。

CDの型番は、TOCE-16282~3 で、2枚組1,980円となっています。1983年8月15~19日、ロンドンにて収録されたデジタル録音。
演奏者は、エマ・カークビー(Sop.)、ナイジェル・ロジャース(Ten.)、ロジャース・カヴィ=クランプ(Ten.)、デイヴィッド・トーマス(Bas.)、タヴァナー・コンソート、タヴァナー合唱団、タヴァナー・プレイヤーズ、指揮:アンドルー・パロット。

■アンドルー・パロット盤
I=74'53" II=30'44" total=105'37"

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