母屋の書棚の中に、古ぼけた本を見つけました。理学博士・竹内時男編『誰にもわかる科学辞典』(昭和17年、愛之事業社刊、発行人:加藤三津夫)です。なんと言っても、昭和17年12月という戦時中の出版であることに驚きます。出版社もどうやらキリスト教系の出版社で、後に合併させられて新教出版社となった会社らしいです。

中身はと言うと、大日本帝国を守る神風を理論付けるようなものではなく、平易な自然科学的知識を解説した、比較的まっとうなもののようです。


カラーの口絵を見ているうちに思い出しました。そういえば、私が小学校に上がる前後ではなかったかと思いますが、亡父がこの本を大事にしていたのでした。

飛行機から見下ろした円形の虹のイラストには、たしかに見覚えがあります。これに続く博物学的な図にはあまり記憶がありませんが、カラーの図版に子供らしい関心を持ったのでしょう。おそらく、子どもにいたずらをされるのを恐れて、亡父がしまいこんだものと思われます。




たぶん、軍事的な目的で、少国民の科学教育に役立つからという理由で出版を許可されたものと思われますが、出版社側にしてみれば、飯を食うための事業活動という面とともに、あわせて4000部という規模の出版ではありましたが、せめて科学的な知識を普及することで非合理的な時代風潮に抵抗を試みたものかもしれません。
さらに想像をたくましくすれば、内村鑑三や矢内原忠雄、黒崎幸吉らの無教会主義キリスト教の影響下にあった祖父またはその弟たちの誰かが、こうしたキリスト教系出版社の刊行物を購入したのではなかろうかというのが、この古ぼけた本の出自についての推測です。

中身はと言うと、大日本帝国を守る神風を理論付けるようなものではなく、平易な自然科学的知識を解説した、比較的まっとうなもののようです。


カラーの口絵を見ているうちに思い出しました。そういえば、私が小学校に上がる前後ではなかったかと思いますが、亡父がこの本を大事にしていたのでした。

飛行機から見下ろした円形の虹のイラストには、たしかに見覚えがあります。これに続く博物学的な図にはあまり記憶がありませんが、カラーの図版に子供らしい関心を持ったのでしょう。おそらく、子どもにいたずらをされるのを恐れて、亡父がしまいこんだものと思われます。




たぶん、軍事的な目的で、少国民の科学教育に役立つからという理由で出版を許可されたものと思われますが、出版社側にしてみれば、飯を食うための事業活動という面とともに、あわせて4000部という規模の出版ではありましたが、せめて科学的な知識を普及することで非合理的な時代風潮に抵抗を試みたものかもしれません。
さらに想像をたくましくすれば、内村鑑三や矢内原忠雄、黒崎幸吉らの無教会主義キリスト教の影響下にあった祖父またはその弟たちの誰かが、こうしたキリスト教系出版社の刊行物を購入したのではなかろうかというのが、この古ぼけた本の出自についての推測です。