電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

香月美夜『本好きの下剋上』第2部「神殿の巫女見習いIII」を読む

2018年01月20日 06時04分34秒 | -香月美夜
TOブックス刊の単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第2部「神殿の巫女見習いIII」を読みました。神殿長に忌避されながらも、孤児院に印刷工房を作り孤児たちに仕事と食物を与え、騎士団の要請に応えて魔木トロンベに荒らされた土地を癒した強大な魔力を見せた幼女マインは、印刷インクと金属活字を完成させ、印刷業という新しい産業の萌芽を作り出します。これに注目したのがジルヴェスターという謎の(^o^;)青色神官で、この人のやりたい放題の自由さは、さすがの神官長フェルディナンドも頭痛がするレベル。
インク協会との契約の際にちらりと見せた他所の貴族が絡む不穏な動きが底流にあり、次巻ではそれが表に出てくることになるのでしょう。



ところで、フェシュピールという楽器は、イラストで見る限り琵琶かリュートとハープが合体したような多弦の撥弦楽器みたいです。音色もおそらくリュートのようなものなのでしょう。この楽器を得意とする灰色巫女ロジーナの、音楽を至上の価値とする割り切り方はむしろすがすがしいほどで、たぶん作者の周囲にいた音大生か、音大志望の同級生をモデルにしたのかもしれません。また、子供用聖典絵本やカルタなど、幼児教育の知育教材みたいなのが次々と出てくるあたりは、たぶん作者の子育て経験の反映なのでしょう。
ジルヴェスターといいフェルディナンドといい、貴族たちの人物造形は実に個性的です。次巻が楽しみです。

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