電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第314回定期演奏会でパウルス、チャイコフスキー、メンデルスゾーンを聴く

2024年02月12日 06時00分52秒 | -オーケストラ
鼻づまり症状が出て寝不足な今日この頃、なんとか頑張って山響こと山形交響楽団第314回定期演奏会に出かけました。少し出遅れたせいもあって、駐車場はどこも満車、仕方なく霞城セントラルの屋内駐車場に車を入れて、会場の山形テルサホールに向かいましたら、この日は県民ホールの反田恭平&ジャパン・ナショナルオーケストラツアー2024というコンサートとぶつかっていたのですね。テルサホールの山響定期はチケット完売、満席だそうで、幸いでした。今回のプログラムは、

  1. スティーヴン・パウルス:スペクトラ
  2. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 Op.23 上原彩子(Pf)
  3. メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調「イタリア」Op.90
     キンボー・イシイ指揮、山形交響楽団

というものです。

開演前のプレトークが面白かった。指揮のキンボーさん、山形入りしてさっそく財布を無くしたんだそうで、周囲の人が一緒に探してくれて、まもなく無事に見つかったそうです。西濱事務局長も銀行のキャッシュカードを落として「これ誰のですか〜」と言われているのに気づいたことがあるのだそうで、うっかりなお二人というよりも、「山形あるある」かも(^o^)

さて、1曲め、「スペクトラ」という現代曲の楽器編成と配置は、左から順に第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)と指揮者を囲み、右端にコントラバス(3)となります。正面奥の前列にフルート(1)とオーボエ(1)、後列にクラリネット(2)とファゴット(1)、木管の左にホルン(2)、右にトランペット(1)とトロンボーン(1)というやや縮小した編成で、再後列にパーカッションが陣取り、ティンパニ、シロフォン、タムタム、スネアドラム、サスペンド・シンバル、ドラ、ウッドブロック、ムチ、シンバルと多種多彩。見ているだけで面白そうです。
演奏が始まると、いわゆる現代音楽の難解さはなく、鮮烈で楽しいものでした。特に第2楽章の2本のホルンが弦楽合奏と協奏するところや、第3楽章のパーカッションが活躍するところなど、とても魅力的に感じました。常盤さんのティンパニの迫力、平下さんの目を見張るマレットさばき、三原さんのスネアドラム?が思い切りが良くてナイス!でした。

2曲めは、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番です。ステージ中央にピアノが引き出され、8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2) の木管群、その左に Hrn(4)、右に Tp(2)-Tb(3)が並び、正面最奥部に Timp. という楽器配置です。上原彩子さんは鮮やかなピンクのドレスで登場、力強くダイナミックで、それでいて弱音部は限りなく優しく、もう素晴らしい演奏! 私もこの曲を聴くのはしばらくぶりでしたので、前日まで清水和音盤とかギレリス盤とかいろいろなCDを聴いて予習してきましたが、素晴らしい演奏を前にしてみんな吹っ飛びました。ブラヴォー!
そしてアンコールがまたため息ものでした。ラフマニノフの「幻想的小品集 メロディ Op.3-3 ホ長調」だそうですが、聴衆も息を呑む静けさの中に音楽が流れ、この時間がいつまでも続いてほしいと思うほど。



休憩の後は、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」です。ピアノが後方に退き、楽器配置は 8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(2), Tp(2) に Timp. という編成。違うのは、ホルンとトランペットがバルブなしのナチュラル・タイプであることと、ティンパニもバロック・ティンパニを用いることです。このあたりは、作曲当時の楽器や奏法に準じることで、作曲家が思い描いた当時の音に近づけるという山響の特徴でもあります。
演奏が始まると、指揮のキンボーさん、中〜低音をしっかりと響かせて、その上で歌うように意図しているようで、例えば第2楽章ではチェロやコントラバスの持続する動きがよくわかります。第3楽章で突出しないナチュラル・ホルンが破綻なくバランス良く鳴らされると、ヴィヴラートを最小限に抑えたヴァイオリン群が入ってくるときのキラキラした輝かしさは例えようがない魅力です。終楽章、沸騰するようなサルタレロ。変なたとえですが、小さなミルクパンの沸騰ではなくて、中低音の土台の上に乗って、大鍋の沸騰みたいな迫力がありました(^o^)/



ああ、良かった。今回も良い演奏会でした。次回3月9日・10日の第315回定期は、世界の巨匠オッコ・カムさんが再び登場、これも特別な楽しみです。山響がある限り、私の楽しみはまだまだ続きそうです。



ところで、いただいたチラシの中で、遅筆堂文庫山形館のトークイベントで山形交響楽協会専務理事の西濱英樹さんの図書館トークの案内がありました。2月18日の日曜日の14時から東ソーアリーナにて。面白そう、行ってみたいと思ったら、ナンタルチヤ! 同日同時刻にサクランボの剪定講習会が入っているではないですか! すでに申し込み済で、うーむ、残念無念。遅筆堂文庫さん、何かの機会に、ぜひ皆さんに公開してくださいな。お願いしま〜す(^o^)/


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 年齢相応に生活を見直す〜ク... | トップ | 温泉に行き、お風呂と松花堂... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (sankichi1689)
2024-02-13 16:48:52
narkejpさん、お久しぶりです。
イタリアいいですね。スコットランドのしっとりとした情感もたまらないですが、キラキラと明るく、快活で気分も高揚します。ロマンティックな第3楽章のホルン好きなんですよね。
山響さんのナチュラルホルンで聴いてみたくなりました!
返信する
sankichi1689 さん、 (narkejp)
2024-02-13 16:57:07
お久しぶりです。コメントありがとうございます。現代楽器の場合、大ホールに適合して大きな音が出るように改良されているため、テルサホールのような800席くらいの大きさでは、p/pp の要求が難しいのだそうです。ナチュラルタイプの楽器の場合、これが抑えるように要求しなくても、自然にバランスが取れるメリットがある、と飯森さんが言ってました。響きの純度と共に、古楽器を採用するメリットは様々あるようです。
返信する

コメントを投稿

-オーケストラ」カテゴリの最新記事