電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

鈴木明『維新前夜~スフィンクスと34人のサムライ』を読む

2014年07月06日 06時04分26秒 | -ノンフィクション
表紙の写真を見て、思わず驚きました。スフィンクスの前に、羽織袴に両刀を差し、陣笠姿のサムライが勢ぞろいして写っているのです。上手な合成写真だなあと思ったら、どうも著者が発見した歴史的写真らしい。

鈴木明著『維新前夜~スフィンクスと34人のサムライ』(小学館ライブラリー)は、1992年に初版刊行された文庫版で、もともとの単行本は1988年に刊行されているようです。ふーむ、当時そんなニュースに接した記憶はなく、たぶん職場のOA化・情報化に追われていて、見逃してしまっていたのでしょう。

本書の構成は次のとおりです。
第1章:「スフィンクス写真」の謎
第2章:元治元年二月二十八日カイロの朝
第3章:「洋銀の相場が下がると、大損をするのだ。わかるか?」
第4章:アメリカ公使館に勤めた三人の若きサムライ
第5章:上海「アスター・ハウス」のチョンキナ
第6章:独立国とは何か?
第7章:トルコ風呂と「民族独立」
第8章:巴黎斯サイトー・ケンの登場
第9章:「これが、製鉄というものだ」
第10章:パンタルーンに穿きかえたサムライ
第11章:祭りのあとに
終章:百二十二年後「真珠湾攻撃」五十周年の夜

文久三年の暮に、幕府が横浜鎖港交渉のため派遣した池田使節団一行34名が、インド洋を経て紅海に入り、エジプトを経由してヨーロッパに向かいますが、この途中にスフィンクスを見学に行き、撮影したものが、この記念写真というわけです。



ひょんなことから著者が発見し、登場する人物を特定して、パリでの交渉の経過とその後を描いたもので、いわば維新前夜の幕府側の遣欧使節団の行動を追体験するルポルタージュです。

実は、1998年の10月に購入して以来、なんと16年も積ん読していたことになります。このたびの「歴史技術科学」カテゴリーの記事ネタの一つとして読んでいる文献の関連で、「そういえば」と思い出した、というのが真相(^o^;)>
なかなか興味深い本でありました。


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2 コメント

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Unknown (けんいち)
2020-02-05 07:28:17
スフィンクスの前足が、まだ出てないんだよなぁ。知ってた?。
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けんいち さん、 (narkejp)
2020-02-05 19:30:24
コメントありがとうございます。残念ながら、知りません。当時は発掘がまだ途中だったということかと想像しますが、「スフィンクス発掘史」などという分野もあるのでしょうね。
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