庭でうるさく鳴くタイワンクツワムシの元気な音楽会が来年の春まで続いていく。小さな庭はその鳴き声で精神が喚起される。「何しているんだ」と~。
実にけたましい鳴き声の正体が分かったのは去年のことだった。動きがややおそくて、シークワーサーの葉の上にジーッとしている姿を目撃した。よく見ると大きな後ろ足が一本なかった。それが強烈な印象である。その後もまたやはり一本の足がない姿を見つけた時、それが何を暗示するのか、タイワンクツワムシがはかなくなる前の姿に見えた。
庭が昆虫の鳴き声に包まれる秋から冬、彼らの命の勢いに圧倒される。