ぶろぐ猫の目

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オレたちバブル入行組』 池井戸潤 

2013-02-13 05:43:08 | 読んだ本の紹介

『オレたちバブル入行組』 池井戸潤

1989年(平成元年)いわゆるバブル時代入社の銀行員の物語です
題名から、バブルに浮かれたおちゃらけた子供向けの小説かと思ってたのですが
なんのなんの、立派な経済小説でした。


1988年の採用活動で産業中央銀行が内定を出した慶応大学の5人。
経済学部の半沢直樹、渡真利忍、押木、法学部の苅田、商学部の近藤直弼。
バブルが崩壊する直前に入行した5人は、
それぞれに夢を抱き、希望に胸を膨らませて銀行の門をくぐった。

時が流れ、主人公半沢は、大阪西支店の融資課長。
渡真利は、本社の融資部調査役。
押木は、9.11に遭遇し行方不明
苅田は、司法試験の合格を嘱望され優遇をうけていたが合格できず
関西支店法務部で冷や飯をくっている。
近藤は、営業職で仕事と上司のプレッシャーに耐え切れず、うつ病となり
システム部で出向待ち状態。

バブル時代の夢や希望はそれぞれ打ち砕かれ
バブル崩壊後のロスジェネ時代を必死に泳いでいる。

そんなおり、業績にあえぐ大阪西支店のビッグ融資案件で
西大阪スチール�あての5億円の融資が実行されることに。
これは、支店長浅野の肝いりで強引に決裁された案件で、
半沢は、全くのノータッチであった。

しかし、この案件は半年もしないうちに
西大阪スチールの不渡り、倒産という形で半沢を襲ってきます。
この融資は、全くの無担保融資で5億円がまるまる不良債権となり
わるいことに、粉飾決算まで発見されました。
支店長の浅野は、粉飾に気付かず無担保での融資を実行したのは
融資課長の半沢だと、責任をなすりつけるのでした。


債権回収に奔走する、半沢ですが
西大阪スチールの社長、東田は開き直り逃げ回ります。

行内では、すべての責任を半沢におしつけ
浅野は保身をはかります。
しかし、半沢は上司を恐れることなく自分に責任が無いことを
反駁します。
その態度に業を煮やした浅野は、本社の人事筋を動かし
半沢を更迭しようとたくらみます。

本社筋のかずかずの嫌がらせに対し、
渡真利や半沢を支持する部下たちの力をかりて
嫌がらせに対抗します。これがまた小気味いいんですw


かたや、西大阪スチールの財務資料をチェックする
半沢は、連鎖した下請企業との取引におかしな部分を発見します。
どうも、下請との間で架空の取引を計上し
裏金があることに気付きました。
下請会社の社長、竹下と組み東田を追うことに。
2人が東田を追い回すうち、東京にある外資の証券会社に
裏金がキープしてあることを突き止めます。

しかし、ただの大阪の企業の社長がそんな隠し場所を思いつくか?
意外な人物が、裏で東田とつながっていたのです!

はたして、半沢は無事融資資金を回収し
更迭を回避することができるのか!?



銀行の内輪の話が、結構リアルで
都銀(メガバンク)は、人事がすべてなんだってことが
良くわかります。
如何にして、×がつかずに業務を執行するか
上司の受けをよくするかが出世のこつなんですな。
半沢のように仕事ができるだけでは、なかなか難しい
権謀術数が必要なのです。


しかし、半沢の性格がとにかくおもしろい。
上司や本社筋に攻めまくられるんですが
反撃に際しての言葉がいいんです。

「オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、
誠心誠意それに応える。だが、やられたらやり返す。
泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして、潰す。二度とはい上がれないように。」

という台詞で、溜飲をさげるんだよなあ

まあ、とにかく面白いです。
経済小説っていうほど、難しくも無いですし
さくさく読めます。テンポがいいんです。
わしも通勤の電車で読みましたが、面白くてのめりこんで
何度も乗り過ごしそうになりました。

これは、現在3部作
続きも読むぞー!




オレたちバブル入行組 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋
コメント
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