ぶろぐ猫の目

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13階段 死刑制度は有効か

2022-11-08 05:55:06 | 読んだ本の紹介

13階段 高野和明著



高野さんのこの本は、てっきり読んだと思ってました。



古本屋で何気に手に取って、あらすじを読んだら

あれ?こんなの読んでないやって思って

買ってみました

乱歩賞を選考委員全員一致で獲得したという本です。

面白くないわけがない。





主人公、三上は、2年前佐村恭介という男を酒場での喧嘩で殺害します。

しかし、喧嘩を売ってきたのは佐村ということもあり

三上は情状酌量もあり2年の服役で仮釈放となりました。



しゃばに戻った三上をまちうけていたのは

被害者の佐村恭介の両親への賠償金でした

両親が、家財を売り、切り詰め支払っている状況ですが

もうそれも限界でした



一方、四国の刑務所に死刑囚として収監されている樹原亮

数年前、千葉勝浦の保護司、宇津木耕平一家を惨殺した罪で死刑を宣告されています。



しかし樹原は事件当日、オートバイの事故でけがをしており

当日の記憶をまったくなくしていました。

事故で意識を失った樹原のカバンの中に宇津木氏のキャッシュカードや

凶器を埋めたであろうスコップなどが見つかったため

本人の記憶がないまま審判が進み、死刑を宣告されました。



4度の再審請求もむなしく却下され

このままでは、樹原の死刑が執行を待つばかりの中

樹原が、一つの記憶を呼び覚まします

「事件当日、俺は階段を上っていた」

5度目の再審請求に向け事態が動き出します。



樹原の無実を信じる、刑務官の南郷。退官間近の南郷に

弁護士の杉浦が、仕事を持ち掛けます

樹原の無実を晴らすために働いてみませんか?

高額の報酬を出すという、秘密の篤志家の依頼で

樹原の無実を証明しようとします。



刑務所で三上の事をよく知っている南郷は

三上が賠償金で金に困っているのを知り

三上を助手にして高額報酬を分け与えようと画策します。

そして南郷は三上を助手に、樹原の無実を証明するため

「階段を上っていた」という証言の真実を暴くため

動き始めました。





とまあこんな感じです

無駄のない精緻な筆跡で読みやすいです

死刑制度の是非を問いかける問題作

哲学的な視点からも考えさせられる。

死刑というのは本当に必要なのか?

絶対悪の人間には死刑あってしかるべきなのか

人間は改心するのか?

被害者の親族の心情は・・

難しい問題です



南郷と三上が過去の事件を洗いなおすのですが

被害者家族の抵抗が大きく、捜査は進みません。

また、三上が起こした殺人事件も後を引きます

2年の服役では何も終わっていなかった。



そして場面は変わり、

死刑執行に際し13の手続きがあるそうです

こちらも13階段です

その手続きが、順々に進んでいきます。

刑事局から矯正局、保護局の決裁をへて「死刑執行命令書」が作成され

官房長、法務事務次官の決裁がすすみ

あとは、法務大臣の決裁だけとなります



もう時間がない

法務大臣が、サインをすれば樹原の死刑は執行されるのです

南郷と三上は、はたして樹原を救うことができるのでしょうか



一気に読ませますぞ








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