日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

講演会「イタリアアニメーション映画の現在」に行ってきました(2016.7.6)@イタリア文化会館

2016年07月22日 | イタリア映画・映画

講演会「イタリアアニメーション映画の現在(Senza industria ma con genio: la giovane animazione italiana)」に行ってきました(2016.7.6)@イタリア文化会館



若い頃にアニメが大好きだったので イタリアアニメ映画について知りたくて イタリア文化会館に聞きに行ってきました!!

講師のジャンナルベルト・ベンダッツィ(Giannalberto Bendazzi)氏はアニメーション映画史家(Storico del cinema d’animazione)で 著書の「アニメーション映画100年史(Cartoons - Cento anni di cinema di animazione)」は様々な言語に翻訳されており 国際アニメーションフイルム協会理事を9年間務められ 映画祭の審査員も50回以上勤められ また聞きにこられた方々にもかなりのアニメ通やそのお仕事の方などがいらしていて 専門的な質問が飛び交っていました

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まずは直近のニュースから! この100年間のすべてのイタリアアニメの人気投票が行われたそうで 審査員100名が選んだ「長編アニメ 短編アニメ テレビシリーズ CMアニメ」の人気投票結果が出たそうです

アニメの王道は短編(cortometraggio)だそうで その短編アニメで同じ票数を集めて優勝したのが奇しくも同じ製作者の作品だったそうです
Giulio Gianini, Emanuele Luzzati の「どろぼうかささぎ La gazza ladra」(1964) そして 「プルチネッラ(Pulcinella)」(1973)の2作品で 後半でこの2作品を上映してくださいました


イタリアアニメは オペラに題材を取った作品が多く 1960~70年代は唯一のアニメ黄金期でしたが その後は下火となり 今は自主制作アニメが中心となっています

70~80年代になってCMにアニメが導入されるようになり アニメーターの収入源となりました

1990年代後半には 若いアニメーターたちが安い製作費で 精神性・芸術性の高い自主アニメを作るようになりました (日本のアニメ業界でも 昔は安い製作費で作られていたことを思い出しますね)
アニメーターたちは 詩人などもそうですが 世の中の大きな流れ(ムーブメント)からは外れたところで 孤立した形で作品を作り続けていたそうです 

主に パステル 鉛筆 水彩などで 職人芸に戻ったやり方で パソコンのCGアニメとは無縁とのこと これらを「Neopittorici」と呼ぶそうです(新絵画的とも言いましょうか)

チラシにあった 「シモーネ・マッシ、ジャンルイジ・トッカフォンド、ウルスラ・フェッラーラ、ロベルト・カターニらイタリアの多くのアニメーターは、時に恵まれない状況にあっても、理想と情熱をもって創作に励み、優れた作品を生み出しています。そして、広島国際アニメーションフェスティバルをはじめ、世界各地の映画祭で受賞するなど、評価を得ています。」という文が これでわかりました

「どろぼうかささぎ La gazza ladra」(1964) そして 「プルチネッラ(Pulcinella)」の2作品を見てみると とても素朴で セリフもほとんどなく クラシック音楽をバックに 紙(カートン)の上に水彩で描かれた主人公たちが動き ストーリーもシンプルでした 
時代も古く 私が子どもの頃(60年代なかば)に見ていたテレビの白黒アニメ(リミテッドアニメ―ション)よりも動きはなめらかでした

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さて質疑応答に移ります なんとこの「どろぼうかささぎ」は1972年に日本でも上映されたことが 質問者の指摘により判明しビックリ!! 
この作品がイタリアの若者たちに刺激を与え アニメーターたちが育ってゆくのではと期待していたが そうはならなかったのはなぜか? との質問に対して 「イタリアの大衆が好まなかった ニーズがなかった またイタリアで放映されたのが8/15とFerragosto(聖母被昇天の日)で 人々は家にいなかったことも関係している」とのことでした 

イタリアのアニメは音楽をベースに作られるという伝統も長くあるとのこと

今のアニメはCGや3D等が主流ですが 日本は昔はセル画でした ←私もセル画をもらいにアニメスタジオに何度もおじゃましたりした思い出があります(*^^*)

この2作品のアナログな手法は あえて意識的にしたのか?との質問に 「これは"Cartonanimation"(切り絵/カートンアニメーション)の手法で 色彩の遊びが大事で 今もひとつの手法として残っている」のだそうです

イタリアのアニメの視聴者は3つの層に分かれています 一番下の最も厚い層は ただで見られるTVアニメをひまつぶしに見る層 2番目の少し薄い層は お金を払って映画館に 主に家族連れで行く層 そして3番目の最も薄い層は 自主制作アニメの層で これらはマーケットがないので 主にアニメフェスティバル等で見られるくらいで それぞれの層は互いに分かり合うことはなく 別々に作られているのだそうです

フェスティバルで受賞してもそのあとの仕事がなかなか続かない それでも例外はあるとのこと 

他にも長編アニメ(lungometraggio)の第一人者 エンツォ・デカーロ(Enzo Decaro)監督についても質疑がなされました 質問者の方々の高度な質問に驚きました!!

日本のアニメが好きなイタリア人がまわりに多いのですが イタリアのアニメそのものは とても素朴なんだなぁと感じました(^^)

詳しくは こちら


素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます




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