日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

ハプスブルク展初日の講演会「イタリア美術コレクターとしてのハプスブルク家」を聞きに行き展覧会&「ゴシック写本の小宇宙」展を見ました(2019.10.19,23)@国立西洋美術館

2019年10月25日 | 美術館・博物館
ハプスブルク展初日の講演会「イタリア美術コレクターとしてのハプスブルク家」を聞きに行き 展覧会&「ゴシック写本の小宇宙」展を見ました(2019.10.19,23)@国立西洋美術館


ハプスブルク展初日の講演会は イタリアがテーマだったので一時間も並んで聞きに行きました!

1時間前に行って25番目 30分前でも先着130名なので大丈夫かも...
12時の聴講券配布時間に行ってももうありませんので できるだけ早く行く方がよいです
入れなかった方たちのための(?) 別の講演会もやっていました(^.^)

"イタリア美術コレクターとしてのハプスブルク家 la pittura italiana e veneziana nelle collezioni asburgiche tra Cinque e Seicento"というタイトルの講演会 
同時通訳付きですが 私は逐次通訳が聞きやすいなぁ...(時間よりも早く終わったのだから)

← 講演会会場前のタペストリー


さて ハプスブルク家は イタリア 特にヴェネツィア派の絵画のコレクションに情熱を注いできました 
その時々の権力者たちがいかにしてイタリア絵画を集めてきたか その目録の話 戦争などで散逸したりしながらも 今も残る絵画コレクションを ふんだんに写真を見せていただきながらお話くださいました

カール五世がティツィアーノの絵画を収集した話 今はだいたいプラド美術館にありますね
皇帝の威厳を示すためでもあったそうですが ティツィアーノはフェリペ二世のためにもたくさん描いたのだそうです

フェルディナンド一世(カール5世の弟)のコレクションは絵画のみならず タペストリー(権力の象徴)もあり ウィーン美術館に収蔵されています 
フェルディナンド二世はコインとメダルですね 

ハプスブルク家はスペイン系ハプスブルク家と オーストリア系ハプスブルク家に分かれました
スペイン系ハプスブルク家の財力はアカプルコ貿易によって支えられていたそうですが オーストリア系ハプスブルク家は大銀行に借りたり 銀山や岩塩 そして税金で賄ったそうです

ベラスケスは スペイン系ハプスブルク家の好みだったそうです💛

そして出ましたG.アルチンボルド!! これはマクシミリアン二世が収集したそうです P.ベロネーゼ(Veronese)が彼を起用したとのこと 

そして ルドルフ二世こそがハプスブルク家最大のコレクターだったとのこと 
ただ 叔父は総目録を作っていたのですが ルドルフ二世自身は とにかく買い集めるだけで...という感じだったそうです 宮殿が倉庫のようになってしまうと手紙にあったとのこと

ボヘミア貴族に渡さないためにウィーンに運ばれたそうです ラファエロの作品(マドンナ)もありましたね 

また 17世紀前半に イギリスがヴェネツィア派コレクションを収集しており 内戦で中断したためハプスブルク家は恩恵を受けました

チャールズ1世のホワイトホールグループというサークルが コレクションを収集していたのだそうです
そして 相続によってまた動いたりと...

鑑定家のお話も伺いました パオロ・ヴェロネーゼの「この人を見よ」の中に コレクター2人の顔も描き込まれているそうです 

「絵画海図」を書いたマルコ・ボスキーニによると 絵画は君主にとってトップの宝物とのこと 
この時代には結婚(政略結婚)や政治力によってネットワークも広がり 絵画コレクションが広がったのですが イギリスの権力が衰退し ハプスブルク家がヴェネツィア派の絵画をコレクションしたという力関係があるようで 興味深かったですね

18世紀になると 拡大はせずに 管理に重点が置かれたそうです

1891年にオーストリア共和国はウィーン美術館に絵画を集めました
1918年までハプスブルク家は存続し (オーストリアは敗戦国) プラハやブダペストの邸宅に保管されていた絵画を 元の国に還すように言っているそうです 

講演のあとは 展覧会を見るのは来週にして 上野公園を横切って 行きつけのイタリア人のジェラート屋さんGelateria Mammamiaに立ち寄り ピスタッチオとストラッチャテッラのジェラートを食べて アンドレアさんとおしゃべり♪

他にも 正倉院展(家族が行きました~)  ゴッホ展(行列!)などもやっていて 上野公園は 大賑わいでした
 ← ゴッホ展は行列!

 ← ジェラテリア・マンマミーアで♪ 


   *      *      *


展示は後日(10.23)見に行きました  平日10時過ぎでもけっこう人がいたので なるべくすいている時間帯を選んだ方がゆっくり見られるかと思いました (上野はいつも混んでいるのですよね~)

Ⅰ ハプスブルグ家のコレクションの始まり


マクシミリアン一世(ローマ王、神聖ローマ皇帝)と フェルディナンド二世(オーストリア大公)が ハプスブルク家のメインのコレクターとして挙げられます

入ってすぐにはそれらの肖像の他 甲冑が展示されており 当時のスタイルに合わせてウエストが細くなっていて よく身体が入ったなぁと感心しました!

Ⅱ ルドルフ2世とプラハの宮廷


ルドルフ2世(神聖ローマ皇帝)は ヨーロッパ史上希代のコレクターとして知られています 
講演会で聞いた 権力の象徴である大きなタペストリーもありました 
ルドルフ2世の肖像画は 首飾りのみで 権力を示す画力が必要だったそうです 

ジョルジョーネの作品も ブダペスト美術館から来ていました 

1583年にウィーンからプラハにコレクションが移されました この中にはデューラーのエングレービング(版画の一種)が何点かあり 興味深く見ました ドイツでよく見たなぁ~♪

と思ったらなんと パトロンのルドルフ2世はこのデューラーの版画の原板をコレクションしていたそうです!! 版画じゃなくて原板まで...

Ⅲ コレクションの黄金時代: 17世紀における偉大な収集


カール5世は 息子フェルディナンド二世に神聖ローマとオーストリアを そしてフェリペにスペイン王位を授けたことから ハプスブルグ家は オーストリア系とスペイン系に分裂することになりますね


ここでいよいよベラスケス登場💛
フェリペ4世の肖像 (顎が突き出ている) 
中でも 「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」が好きです💛 
これは8才の頃の肖像画で いい名付けのフェリペ4世に成長の様子を知らせるために描いて送られました 計4枚の肖像画をベラスケスは描いたそうです

(ベラスケスの「女官たち(las meninas)」という絵を スペイン語テキストの挿絵に描いたことがありプラド美術館にも見に行ったので しばし思い出にふける...)

フェルディナンド・カールとティロルのコレクション 

ここではぺルジーノやブリューゲルが そしてルーベンス公房の作品がありました

レオポルド・ウィルヘルム: 芸術を愛したネーデルラント総督


ここでは イギリスのピューリタン革命でコレクションが売りに出されたとあり 講演を裏付けていました

ティツィアーノ そしてそのあとを継ぐヴェロネーゼなどのヴェネツィア派絵画も多く レオポルド・ヴィルヘルムのコレクション目録についても紹介されていました


そして続くオランダ絵画コーナーでは プロテスタントでは聖像礼拝が禁じられており 裕福な市民が画家に注文して描かせたそうで レンブラントの使徒パウロもありました (ウィーン美術史美術館)


Ⅳ 18世紀におけるハプスブルグ家と帝室ギャラリー


マリア・テレジア マリー・アントワネット そしてフランツ・ヨーゼフとエリザベート(シシィ) カール6世 そうそうたる絵画が展示されており壮観です

アントワネットお抱え画家ルブラン作の 母M.テレジアに当てたアントワネットの肖像画 小さな小さな アントワネットの子どもたち マリー・テレーズとルイ・シャルルの肖像をあしらった装飾品(虫眼鏡で見ないと~)等々...

Ⅴ フランツ・ヨーゼフ1世の長き治世と オーストリア・ハンガリー二重帝国の終焉


若き頃のナポレオン・ボナパルトの肖像画(イタリア王としての) フランツ・ヨーゼフ一世の肖像画(年を取ってからの 普段から軍服) そしてエリザベート(シシィ)の美しく実に実にスリムな肖像画💛 
フランツ・ヨーゼフ一世のフリントロック式のピストルは かなり大きくダイヤなどの装飾が施されていますね

最後は 18世紀の帝室画廊の整備の歴史について カール6世がウィーンに集めたり マリア・テレジアの頃には手狭になり...といった経緯が紹介されていました
これだけのコレクションですから 収納や目録作りも大変でしたでしょうね

実に堪能いたしました(^.^)

     *      *      *

そして ひさびさに常設展もついでに見ました ロダンの彫刻群 マネ等の印象派の作品もたくさんありましたが この国立西洋美術館が世界遺産に登録された時(2016)の記念の展示も興味深く見ました

  ← 世界遺産登録認定書(複製)

また 奥では「内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙」もやっており 小さな展示スペースに 医師でありながら出会った中世の羊皮紙を集めた内藤裕史氏の貴重なコレクションがぎっしり!! 本の歴史に触れた思いがして 行ってよかったです💛 


内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙」展(2019.10.192020.1.26)@国立西洋美術館は こちら


ハプスブルグ展2019」は こちら

また 10月25日(金)18:00~「ナポリバロックとハプスブルグ」もあります 


美術館・ギャラリーランキング

にほんブログ村 美術ブログ 美術館・アートミュージアムへにほんブログ村


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする