「世界の書棚から」第15回『花開く「台湾絵本」の世界』に行ってきました (2023.5.27)@板橋区立中央図書館
第14回のオランダに続いて 第15回は 台湾です
今回は 太台本屋 tai-tai booksの講師の先生に 台湾の絵本事情についてお話していただきました:
1980年代以前 台湾には「絵本」というものがなく 代わりに「図画書」という イラストの多い児童書が読まれていたそうです
戒厳令の中では出版の自由も少なく 80~90年代になりようやく海外から絵本が入ってくるようになりました
1989年に 誠品書店がオープンし 1988年には児童文学賞も作られました
1993年には「格林文化」が創設されました
90年代からは 台湾作家による絵本が増え 2000年以降は今も活躍する絵本作家がデビューしてゆきました
そして2010年代からは 個性的な作家が現れ始め 日本と同レベルになってゆき タイトルのように「花咲く台湾絵本」の時代が訪れたのですね この頃欧米に留学し 欧米の作風を持つ作家さんも増えてきたとのこと
大人の本だけでなく 児童書を出版する出版社も増えたそうです 台湾の少子化問題は日本よりも深刻で 子どもの為には親もお金を出すのでそのようになってゆきました
2023年2月には 台北国際ブックフェアが開催され 児童書の出版社ブースも設けられました
台湾には再販制度がなく値引きOKなので このブックフェアで 大量にまとめ買いしてゆく親子なども見られるとのこと📖📖📖
台湾では 海外絵本の翻訳出版が25~30%を占めており 大人の絵本も盛んになってきています
様々な台湾の絵本
次に 行政・民間による 絵本盛り上げ作戦について:
2006年に初めて ボローニャ・ブックフェアに台湾ブースが出されました これは政府と出版界が協力し 出版社の版権担当者の旅費補助まであったそうです ラガッツィ賞の受賞作品もご紹介いただきました
「Books from Taiwan」で海外に英文カタログを作って発信しました
政府からの助成金も多く 多民族・多言語の島である台湾では 台湾華語(マンダリン)以外の言語での創作にも助成のチャンスがあるそうです
高雄市立図書館の国際絵本中心(センター) は2014年にオープンし 16万冊の所蔵がありますが 絵本創作奨励プロジェクトがあり ここの絵本創作ワークショップ(2019~)はかなり本格的で 30名で50時間 ラストは作品提出とのこと
高雄市立図書館好絵芽(2019~隔年開催)では 一度でも出版されたことのある方が 企画で応募し 3名の受賞者のなんと生活費まで一定額支給され 出版の版権やりとりのマッチングの場には現役が同席してフォロー 出版された暁には一定数の買取りまでしてくれるという まさに至れり尽くせりのプロジェクトです😲 日本にもあったらいいのに...
* * *
次は 太台本屋 tai-tai booksが注目する 台湾の絵本作家です:
台湾の絵本いろいろ
リン・シャオペイの「きょうりゅうバスで がっこうへ」「きょうりゅうバスで としょかんへ」 彼女は自分で出版社を立ち上げたそうです
周見信『台湾の少年』(グラフィックノベル 全4巻)は圧巻です ぜひ読んでほしいです📖 台湾の歴史を体現された1930年生まれの主人公の激動の人生を描いており 巻ごとに作風が違っているのです これは画風の魔術師とも言われる作家が あらゆる画風を学んできたからとのこと😲
そして 日本で読める台湾絵本について:
『台湾の少年』 全4巻
『きょうりゅうバスで がっこうへ』『きょうりゅうバスで としょかんへ』『カタカタカタ おばあちゃんのたからもの』『えっ! わたしだけの学校?』『わたし ねこがかいたいの』『くろねこの ほんやさん』『「はやく」と「ゆっくり」』 『やさいだいすきだワニ』 『九色のしか』『おなじつきをみて』『ママはおそらのくもみたい』(2023.6.5発売予定!) 『HOME ホーム』(ラガッツィ賞受賞作、一青窈初の絵本翻訳) そして前述の『台湾の少年』等です
土曜午後に開催されるようになり 閉館時間を気にせず質疑応答ができるようになりました😊 デジタル化 中国での出版時の版権のこと 読み継がれたロングセラー テーマにより本屋ではなく補助金で図書館に 政権交代後に文化の発展のための補助金が増えた 英語版からではなく原書から日本語に翻訳 そしてここ いたばしボローニャ絵本館にも約400冊の台湾絵本があることを知りました
私にも初めての台湾絵本 特に「台湾の少年」を読んでみたくなり 早速読んでいます📖
次回は アメリカです
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